ゼンゼロっぽくないのは割といつものことですけど(
プルクラとバイクでホロウの出口を目指す。
ホロウにはヴィクトリア家政とヒューゴ、アキラが突入したらしい。
流石に社長であるギルスは追うわけにもいかず、現場の指示を行うそうだ。
「……さて」
俺とプルクラは、ホロウへ続く渓谷に立っていた。
ここがレガールが逃げ込んだホロウからの脱出経路になっているらしい。
どの道俺は保険なのでここで事態解決の連絡を待てば良い……のだが。
(こういう時に大体貧乏くじ引くんだよな……)
「わたしは隠れてるから」
「……分かった。正面戦闘は任せろ」
プルクラに不意打ちを担当してもらって、俺は待機する。
とは言え向こうが充分に戦力を残していたら俺ひとりは厳しいかも知れんが……。
(……ライカンとリナが居るし何とかなるだろ)
ヴィクトリア家政の面々は戦闘のエキスパートである。
それにヒューゴも居る……そういやストリートファイターにもヒューゴーって名前のやついたな。
全然似てないけど。
……なんて考え事をしていたら、スマホが鳴る。
……あれ、登録されてない番号だ。
『あ!もしもしアレックスさん?私!リンだよ!』
「リン……?ああ、店長の妹の」
『あと5分でレガールがホロウから抜けるから!用意して!』
「……待て、どうしてホロウの外でそんな事が分かる」
『え?あ、あー……』
リンが言葉を詰まらせた。
電話をかけてきたと言うことはリンはホロウの外にいる。
しかし、あと5分と言う具体的な数字をどうして言えるのか。
『今は、説明してる時間が無いんだ……!お願い!あとで説明するから今は信じて!』
……そう言われちゃ仕方ないか。
どの道5分ならすぐだ、時間を無駄にする訳にはいかない。
「……分かった」
通話を終了し、プルクラに向けて叫んだ。
「構えろ!あと少しで来る!」
俺も、音動機のスイッチを入れて構える。
……しばらくして……。
「ハァ……!ハァ……!クソ……!」
ボロボロになったレガールが、こちらに向かって走ってきた。
……都合の良いことに、ひとりで。
「来たな」
「ハァ、ハァ……!貴様、選手のひとりか……!何故ここに……」
「悪いが、お前を逃がす訳にはいかない」
「貴様程度が敵うとでも……!」
……確かに。
ヴィクトリア家政とヒューゴの追撃を受けてコイツは逃げ果せている。
だが、
「やってみなきゃ分かんねぇだろ」
「驕るなよ、チンピラ風情が」
……ふと、レガールの格好に違和感を感じる。
上着を脱ぎ捨て、上半身はインナーだけ。
……これ、ルガール第2形態じゃね?
「シッ……!」
そう思った瞬間、プルクラが仕掛けた。
「あっ……!待て!」
つい声が出た。
だが、プルクラは止まらず……。
「ジェノサイドカッター!!」
レガールが片足を弧を描くように振り上げ跳ぶ。
……背後から仕掛けたプルクラに気付いていた?!
「くっ……!?」
直前でプルクラが攻撃を中断して止まる。
だが……プルクラのマスクが真っ二つに割れ、足元に落ちた。
「伏兵か……くだらん」
(ジェノサイドカッター……やっぱ使えるのか……)
かつて昇竜拳と同レベルの知名度で知られた無敵技。
……こちらは、ボスキャラが使う無敵技……と言う意味でトラウマ的な知名度だが。
威力が高い、無敵時間が長い、硬直が極端に少ないと驚異の性能をしていた。
……流石に次回作から弱体化されたが。
「ここで時間を喰うわけにはいかん……手短に済ませよう」
俺達の勝利条件はライカン達が来るまでの時間稼ぎと、コイツのKO。
相当手傷を負ってる状態のため……一撃でKOできる可能性もある。
しかもコイツは本気モード。
MAX版ジェノサイドカッターなんて喰らおうものなら俺は一撃でやられるだろう。
「ハッ!烈風拳!」
「っ!?」
レガールが手を地面スレスレまで下げて振り抜く。
放たれた技は、さっきギルスが出した技と同じ。
「くっ……!」
飛び道具に対して、俺のできることは多くない。
咄嗟にガードが出来ればせいぜいといったところ。
「このっ……!」
「フン!」
追撃を食らう前に距離を詰める……!
「「フラップチョップ!!」」
全く同じ技、同じモーションがぶつかる。
「何……!?」
「驚いたかね?私は……」
レガールが姿勢を低くする。
これは、俺のブレイカースタンス……!?
「一度見た技を完全再現する事が出来るのだよ!」
「ごわ……!?」
そのまま、足払いされる。
間違いない……
「あのくだらん大会も、私の手数を増やすことには貢献してくれる」
「チッ……パクり技ばっかで自慢すんじゃねぇ」
「ほう?私には……君も同じように見えるがね」
「……なんだと?」
「君のその技、借り物だろう?」
「は?何を根拠に……」
……言い切れなかった。
だって俺にも覚えがあるから。
この身体とこの技は……アレックス·ウィンガーと言うゲームのキャラクターからの借り物なのだと腑に落ちてしまったから。
「アレックス!」
「っ……!」
プルクラの叫びで俺は切り替える。
意識を現実に戻して目の前の男に殴りかかる。
が、攻撃をいなされそのまま投げられた。
(ギースの当身投げ……!)
「どうした!何か言ったらどうだ!」
「こんの……!」
立ち上がった瞬間、レガールの起き攻めに対してヘッドバッドを返してやる。
「がっ……!?」
「だったら、なんだってんだ!」
だとしても。
だとしても、だ。
「俺は、この技に人生賭けてきたんだ……!」
尻もちを着いたレガールを蹴り飛ばす。
「テメェみたいな付け焼き刃振り回してる半端なヤツと一緒にすんじゃねぇ……!!」
「貴様ァ!!」
レガールが慌てて立ち上がり、両腕を後ろに引いて力を貯めた。
「消えて失くなれ!!」
「!!」
俺はブレイカースタンスを取る。
間違いない、あの構えは……!
「カイザー、ウェイブ!!」
レガールから、巨大な気弾が放たれた。
これは前世でたまたま調べていた内容だが……基本的にルガールは他のファイターからコピーした技を用いて戦う。
その中に、烈風拳と……もう一つ飛び道具があった。
それが、カイザーウェイブだ。
飛び道具を相殺しまくり、ジャンプで跳ぶことも出来ない強力な攻撃だ。
……だが、あの時代にはなかった要素がひとつある。
弾無敵属性。
リュウの竜巻旋風脚とかがそれに当たる。
つまり、
「逃がすか……!!」
俺はブレイカースタンスから前方……カイザーウェイブへ飛びかかる。
「血迷ったか!」
「ハッ!」
「何……!?」
俺は、カイザーウェイブを
「DDT!!!」
すれ違いざまに頭をロックして、レガールの後頭部を地面に強打した。
「ごはっ……!?」
「これは、見せてねぇもんな!!」
「この……!」
「貰った!」
「ぐはっ……!?」
レガールから手を離した瞬間……プルクラの放った弾丸が、レガールを貫いた。
「あ、おい……!」
「よく見な」
慌てて駆け寄ると……レガールは、失神していた。
ゴム弾だった様だ。
「わたしは、そんなヘマしないよ」
「は……はは……まぁ、そうか……」
思わず脱力する。
取り敢えず、これで終わりか……。
「やったね」
「……ああ」
プルクラが拳をこっちに向けてきたので、俺はグータッチで応えた。
……その瞬間、プルクラのジャケットの下のタンクトップが……縦一閃に裂けた。
「あ」
「……あっ?」
恐らく、レガールのジェノサイドカッターの余波で切れたのだろう……と、冷静に分析して俺は咄嗟に視線を背けた。
発生2Fのクソ早い視線切りだ。
「……なんだい、急に目を背けて」
「……なんだ、その……服」
「服……?あっ」
「せめて、ジャケットの前を閉じろ」
「……私は別に、アンタになら構わないよ」
「俺が構う」
「ふぅん……?」
「あ、こらやめろって……こっち来るな……もうライカン達も来るから!やめろって!やめろ!!」
次回で目指せ最強編は終わりとなります。
次からどうしようかな……。