夏。
太陽。
そして……海。
郊外に居た俺には無縁だと思っていたが……何の因果か、今……リゾート地の海岸に来ていた。
スロノス区、ファンタジィリゾート。
ついこの前まで閑古鳥が鳴き経営難に陥っていた新興リゾート地だ。
だが、タイムフィールド家の力と……とある凄腕アドバイザーの手によって生まれ変わったらしい。
今では年中人で賑わう大人気リゾート地となった。
そんな中、
「アレックスさん!3番さんに焼きそばッス!」
「もう出来てる!持って行け!」
「あ、アレックスさん……!こっちにも……!」
「今からやる!」
「アレックス!」
「I'm Ready!!」
「アレックスさん、買い出しから戻りましたわ」
「全部冷蔵庫へ頼む!」
俺は、クソ熱い鉄板で焼きそばを作っていた。
(……なんで、こんなことに……)
「アレックスさん?水分……摂られてますか?」
「え?あ、ああ……悪い」
リナに水の入ったペットボトルを差し出され、受け取った。
少し、気まずい。
視線が合って……お互いに黙ってしまった。
「アレックス!何ぼさっとしてんだい!次だよ次!」
「あ、ああ!すまねぇ!」
プルクラに呼ばれて、俺は作業に戻った。
――――――――――
遡ること、1週間前。
「アレックス。海とか行かない?」
リングオブファイターズの件が片付き、ようやく落ち着いた。
ギルスから詫びも兼ねてファイトマネーが振り込まれ……それなりに楽が出来るようになった。
そんな中……自宅でダラダラしてる時に、プルクラがそんな事を口にした。
「……お前、水辺嫌いじゃなかったか?」
「そうだけどさ……たまには、どっか行かない?」
「たまには、ね……」
プルクラとは……一緒に仕事をしているので何処か行ってるかと聞かれると行ってはいると言える。
大体ホロウの中だけどな。
気分転換も必要か。
「……お前が行きたいんなら、行くか」
「……ああ。行こうよ」
「ただなぁ……水着持ってねぇんだよな」
郊外から無一文でやってきた身なので、そう言った娯楽用のアイテムは何も持っていないのである。
それと、この身体で一番不便に感じることは……。
服のサイズが、合わないのだ……。
「じゃあ買いに行こうよ。わたしも買いたいし」
「ルミナスクエアに行くか……」
「……珍しいね、アンタが行こうって言うの」
床に座って広げていた雑誌を片付ける。
ベッドに背を預けていたので、俺のベッドで寝転がっていたプルクラが後ろから俺の顔を覗き込む。
関係ないけどプルクラが使ったあとのシーツ毛だらけで洗うの大変なんだよな……。
最近だと自分で使うベッドパッドとプルクラ用を用意する羽目になった。
「お前には……世話になってるからな」
「ふぅん……?」
「……なんだよ」
「良いね。素直になってきたじゃないか」
「…………………」
ニヤニヤしてるプルクラを置いて、俺は鞄とバイクのキーを手にした。
「行くぞ」
「ちょっと、拗ねないでよ」
「拗ねてねぇ!」
次回、買い物に。