GO!ALEX!〜希望再誕〜   作:塊ロック

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ラスボスと遂にご対面です。


第61話『天帝、そして運命の血』

 

ギルスの用意したボートで、ホロウへ侵入した。

……毎度毎度、侵入の時のストレスのかかり方が尋常ではないと感じてしまう。

 

(……本当に、別の世界に入った気分だ)

 

「……静かすぎる」

 

アキラがぼそりと呟く。

 

「静か?ホロウは大体そうじゃないのか?」

「何と言うか……空間の揺らぎが少ないし、エーテリアスの活動が活発じゃないんだ」

「そうなのか……?」

 

このホロウは、衛非地区にある原生ホロウ……ラマニアンホロウの共生ホロウだ。

共生ホロウは、エーテルの活動が沈静化すると縮小していき……最終的に消滅する。

 

「……つまり、消滅寸前だと?」

「いや、そうじゃない……エーテル濃度は前来た時よりもむしろ高い。でも、この高さでエーテリアスが湧いてこないのはおかしいんだ」

 

何だかいい話では無いな。

ホロウの中でエーテリアスに遭わないといううのは、ホロウレイダーにとっては垂涎の状況である。

リスクを最小限にして宝を入手できるようなものなのだから。

 

「どの道、頭を追いかける事には変わりないのだ。行くぞ。レガール、お前は脱出ポイントの確保を」

「……畏まりました」

 

ギルスがレガールに指示すると、コイツは頭を下げる。

……信用して良いのか?

 

「TOPS入りしていない我が社をわざわざ乗っ取るメリットが無い。今回は大丈夫だろう」

「……本当かよ」

「灸は据えた。暫くは大丈夫だ」

「……アンタがそう言うのなら」

 

この社長本当に物好きだな……。

 

「あ、あの……アレックスさん」

 

カリンが、俺のズボンを軽く手で引く。

 

「……どうした?」

「そ、その……」

「……ゆっくりでいい。落ち着け」

「は、はい……」

 

屈んでカリンと目線を合わせる。

そして、カリンが深呼吸するのを待つ。

 

「嫌な、予感がします」

 

はっきりとそう言った。

 

「……大丈夫だ」

 

カリンの頭に手を乗せる。

 

「家政にちゃんと帰れるようには努力する」

「か、カリンじゃなくて……アレックスさんも、自分を大事にしてください」

「分かってる。危なくなったら撤退だ。それでいいな?」

 

アキラとギルスにそう問う。

 

「元より、そのつもりだ。僕は皆のプロキシだからね。帰り道まで案内するのが、僕の役目だよ」

「リスクを犯す価値がそこまで無ければ、私も撤退に賛成だ」

 

二人の確認も済んだので、いよいよ探索を開始する。

 

「行こう」

 

アキラの音頭で、行動が開始された。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

……結論から言うと、マフィアのボスはすんなり見つかった。

 

「ぎ、ひぇ……!?離せ!離せェ!!!」

 

……数多のエーテリアスに捕まり移送されていた。

 

「……どういうことだ?」

 

アキラが呆然と呟いた。

 

「エーテリアスが統率されてる……」

「……確かか?」

「アレを見てくれ。どう見たって行軍の構えじゃないか……」

 

確かに、雑魚のエーテリアスが隊列を組んでいる様に見える。

 

「……何事だ?」

「分かりません……」

「ボスが居るんじゃないのか?」

 

このホロウの環境で頂点に君臨している個体が居るから、俺はそう思うのだが……。

 

「アレックス。エーテリアスは基本的に群れないんだ」

「……意思の疎通がとれそうには、確かにないな」

「だから……こんな統率が取れているのは、はっきり言って異常だ」

 

ホロウの専門家がそう口にするって事は、相当ヤバい案件みたいだ。

 

「……アイツ、運ばれてる後を着けたら親玉見れるかもな」

「……危険を知らせるためにも、確認する必要があるかも」

「行こう」

 

ギルスが即断する。

俺たちはそれに頷いた。

 

着かず離れずの距離感で、気付かれない様に尾行する。

 

「「「「…………………」」」」

 

誰も、一言も喋らない。

心臓の鼓動が早くなる。

 

しばらく歩いて。

 

「……これは」

 

ホロウの中の建築物として……あまりにも不自然な風景だった。

長い登り階段と、その頂に鎮座する玉座。

そして、そこに座る何者か。

 

「……人か?」

 

誰かが、座っている。

 

「……なっ」

 

俺は思わず声を出してしまった。

 

何故なら……見覚えがあったから。

 

「何で……」

 

天に向かうほど逆立つ髪。

遠くからでも分かる、左右で色の違う肌。

天帝と名乗る、あの男の姿。

俺はストリートファイターは6から参戦した人間だが……なかなか奇怪な見た目をしていたから知っていた。

 

なんで、こいつがここに居るんだ……!?

 

「や、やめろおおおおおおおおお!!」

 

悲鳴。

俺以外のメンツはそっちに気を取られていた。

俺達の追っていた男は……エーテリアスに取り押さえられ……侵蝕を受けていた。

姿が急速に変異していく。

 

俺達が息を潜める間に、男は哀れにもエーテリアスの仲間入りをした。

 

「どう……して……」

 

カリンが呆然と呟いた。

 

……視界の端に、何か光る。

俺は、咄嗟に動いた。

 

「あぶねェ!!」

「?!」

 

カリンを庇うように前に出る。

 

その瞬間、

 

「がっ……?!」

 

氷の塊が、俺の腹に突き刺さっていた。

 

「マジ……か……」

「え……え……?」

 

カリンが、状況を飲み込めずに声が漏れる。

 

「アレックス……!?音動機の効果が何故発揮されていない……!?」

「拙い!ギルスさん!エーテリアスが!」

「くっ……!」

「アレックスさん……!?何で、カリンを庇って……!」

 

カリンが俺の腹の氷塊に触ろうとする。

その手を払った。

 

「駄目だ、触るな……!」

「でも、」

「お前は、俺が守らないといけないんだ……!」

「えっ……?」

「親父と、お袋に誓ったんだ!お前だけは……」

 

そう、言い切る前に。

 

「クリオキネシス」

 

ここの人間ではない誰かの声でそう聞こえた。

更に俺の身体に氷の塊が着弾する。

 

「生きろ……!」

 

俺が言えたのは、そこまでだった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「あ、ああ……そんな……」

 

カリンの代わりに、アレックスさんが攻撃を受けてしまいました。

そして……そのまま、氷に包まれました。

 

「アレックスさん!アレックスさん!」

 

声を掛けても反応はありません。

 

「カリン!撤退だ!」

 

プロキシ様がカリンの手を掴みます。

でも、カリンは動けませんでした。

 

アレックスさんが氷に包まれる前に言っていた言葉。

カリンを守ると、誓ったと。

 

やっぱり、アレックスさんはカリンの家族だったんです。

 

置いていくなんて、出来ません。

 

「い、嫌です……!」

 

カリンは、初めて拒絶しました。

 

「ぐ……!数が多い!」

「……仕方ない!ピュロイス!」

 

プロキシ様とギルス様が応戦を始めました。

カリンも戦わないといけません。

 

でも、このままアレックスさんを置いておいてしまっては……命が無いかもしれません。

 

(どうすれば……どうしたら……!)

 

カリンの頭の中はもうごちゃごちゃです。

でも、

 

『お前は、どうしたいんだ?』

 

「!?」

 

いつの間にか目の前に、金髪の男の子が立っていました。

 

「え……?」

 

どうしたい?

決まってます。

 

「死なせません……絶対に!」

 

顔は良く見えませんでしたが、男の子は笑っていました。

 

どくん。

 

「っ……?!」

 

身体の中から、何かが溢れ出すような感覚。

 

「カリン……!?」

「う……!」

 

「うわああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

カリンの身体から。青い暴風の様な物が巻き上がりました。

……カリンの意識は、ここで途切れました。

 

 

 




次回、最終章。
アレックスの活躍もあと少しです。

最後までお付き合いよろしくお願いします。
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