GO!ALEX!〜希望再誕〜   作:塊ロック

62 / 62
ラスボスと遂にご対面です。


第61話『天帝、そして運命の血』

 

ギルスの用意したボートで、ホロウへ侵入した。

……毎度毎度、侵入の時のストレスのかかり方が尋常ではないと感じてしまう。

 

(……本当に、別の世界に入った気分だ)

 

「……静かすぎる」

 

アキラがぼそりと呟く。

 

「静か?ホロウは大体そうじゃないのか?」

「何と言うか……空間の揺らぎが少ないし、エーテリアスの活動が活発じゃないんだ」

「そうなのか……?」

 

このホロウは、衛非地区にある原生ホロウ……ラマニアンホロウの共生ホロウだ。

共生ホロウは、エーテルの活動が沈静化すると縮小していき……最終的に消滅する。

 

「……つまり、消滅寸前だと?」

「いや、そうじゃない……エーテル濃度は前来た時よりもむしろ高い。でも、この高さでエーテリアスが湧いてこないのはおかしいんだ」

 

何だかいい話では無いな。

ホロウの中でエーテリアスに遭わないといううのは、ホロウレイダーにとっては垂涎の状況である。

リスクを最小限にして宝を入手できるようなものなのだから。

 

「どの道、頭を追いかける事には変わりないのだ。行くぞ。レガール、お前は脱出ポイントの確保を」

「……畏まりました」

 

ギルスがレガールに指示すると、コイツは頭を下げる。

……信用して良いのか?

 

「TOPS入りしていない我が社をわざわざ乗っ取るメリットが無い。今回は大丈夫だろう」

「……本当かよ」

「灸は据えた。暫くは大丈夫だ」

「……アンタがそう言うのなら」

 

この社長本当に物好きだな……。

 

「あ、あの……アレックスさん」

 

カリンが、俺のズボンを軽く手で引く。

 

「……どうした?」

「そ、その……」

「……ゆっくりでいい。落ち着け」

「は、はい……」

 

屈んでカリンと目線を合わせる。

そして、カリンが深呼吸するのを待つ。

 

「嫌な、予感がします」

 

はっきりとそう言った。

 

「……大丈夫だ」

 

カリンの頭に手を乗せる。

 

「家政にちゃんと帰れるようには努力する」

「か、カリンじゃなくて……アレックスさんも、自分を大事にしてください」

「分かってる。危なくなったら撤退だ。それでいいな?」

 

アキラとギルスにそう問う。

 

「元より、そのつもりだ。僕は皆のプロキシだからね。帰り道まで案内するのが、僕の役目だよ」

「リスクを犯す価値がそこまで無ければ、私も撤退に賛成だ」

 

二人の確認も済んだので、いよいよ探索を開始する。

 

「行こう」

 

アキラの音頭で、行動が開始された。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

……結論から言うと、マフィアのボスはすんなり見つかった。

 

「ぎ、ひぇ……!?離せ!離せェ!!!」

 

……数多のエーテリアスに捕まり移送されていた。

 

「……どういうことだ?」

 

アキラが呆然と呟いた。

 

「エーテリアスが統率されてる……」

「……確かか?」

「アレを見てくれ。どう見たって行軍の構えじゃないか……」

 

確かに、雑魚のエーテリアスが隊列を組んでいる様に見える。

 

「……何事だ?」

「分かりません……」

「ボスが居るんじゃないのか?」

 

このホロウの環境で頂点に君臨している個体が居るから、俺はそう思うのだが……。

 

「アレックス。エーテリアスは基本的に群れないんだ」

「……意思の疎通がとれそうには、確かにないな」

「だから……こんな統率が取れているのは、はっきり言って異常だ」

 

ホロウの専門家がそう口にするって事は、相当ヤバい案件みたいだ。

 

「……アイツ、運ばれてる後を着けたら親玉見れるかもな」

「……危険を知らせるためにも、確認する必要があるかも」

「行こう」

 

ギルスが即断する。

俺たちはそれに頷いた。

 

着かず離れずの距離感で、気付かれない様に尾行する。

 

「「「「…………………」」」」

 

誰も、一言も喋らない。

心臓の鼓動が早くなる。

 

しばらく歩いて。

 

「……これは」

 

ホロウの中の建築物として……あまりにも不自然な風景だった。

長い登り階段と、その頂に鎮座する玉座。

そして、そこに座る何者か。

 

「……人か?」

 

誰かが、座っている。

 

「……なっ」

 

俺は思わず声を出してしまった。

 

何故なら……見覚えがあったから。

 

「何で……」

 

天に向かうほど逆立つ髪。

遠くからでも分かる、左右で色の違う肌。

天帝と名乗る、あの男の姿。

俺はストリートファイターは6から参戦した人間だが……なかなか奇怪な見た目をしていたから知っていた。

 

なんで、こいつがここに居るんだ……!?

 

「や、やめろおおおおおおおおお!!」

 

悲鳴。

俺以外のメンツはそっちに気を取られていた。

俺達の追っていた男は……エーテリアスに取り押さえられ……侵蝕を受けていた。

姿が急速に変異していく。

 

俺達が息を潜める間に、男は哀れにもエーテリアスの仲間入りをした。

 

「どう……して……」

 

カリンが呆然と呟いた。

 

……視界の端に、何か光る。

俺は、咄嗟に動いた。

 

「あぶねェ!!」

「?!」

 

カリンを庇うように前に出る。

 

その瞬間、

 

「がっ……?!」

 

氷の塊が、俺の腹に突き刺さっていた。

 

「マジ……か……」

「え……え……?」

 

カリンが、状況を飲み込めずに声が漏れる。

 

「アレックス……!?音動機の効果が何故発揮されていない……!?」

「拙い!ギルスさん!エーテリアスが!」

「くっ……!」

「アレックスさん……!?何で、カリンを庇って……!」

 

カリンが俺の腹の氷塊に触ろうとする。

その手を払った。

 

「駄目だ、触るな……!」

「でも、」

「お前は、俺が守らないといけないんだ……!」

「えっ……?」

「親父と、お袋に誓ったんだ!お前だけは……」

 

そう、言い切る前に。

 

「クリオキネシス」

 

ここの人間ではない誰かの声でそう聞こえた。

更に俺の身体に氷の塊が着弾する。

 

「生きろ……!」

 

俺が言えたのは、そこまでだった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「あ、ああ……そんな……」

 

カリンの代わりに、アレックスさんが攻撃を受けてしまいました。

そして……そのまま、氷に包まれました。

 

「アレックスさん!アレックスさん!」

 

声を掛けても反応はありません。

 

「カリン!撤退だ!」

 

プロキシ様がカリンの手を掴みます。

でも、カリンは動けませんでした。

 

アレックスさんが氷に包まれる前に言っていた言葉。

カリンを守ると、誓ったと。

 

やっぱり、アレックスさんはカリンの家族だったんです。

 

置いていくなんて、出来ません。

 

「い、嫌です……!」

 

カリンは、初めて拒絶しました。

 

「ぐ……!数が多い!」

「……仕方ない!ピュロイス!」

 

プロキシ様とギルス様が応戦を始めました。

カリンも戦わないといけません。

 

でも、このままアレックスさんを置いておいてしまっては……命が無いかもしれません。

 

(どうすれば……どうしたら……!)

 

カリンの頭の中はもうごちゃごちゃです。

でも、

 

『お前は、どうしたいんだ?』

 

「!?」

 

いつの間にか目の前に、金髪の男の子が立っていました。

 

「え……?」

 

どうしたい?

決まってます。

 

「死なせません……絶対に!」

 

顔は良く見えませんでしたが、男の子は笑っていました。

 

どくん。

 

「っ……?!」

 

身体の中から、何かが溢れ出すような感覚。

 

「カリン……!?」

「う……!」

 

「うわああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

カリンの身体から。青い暴風の様な物が巻き上がりました。

……カリンの意識は、ここで途切れました。

 

 

 




次回、最終章。
アレックスの活躍もあと少しです。

最後までお付き合いよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

監察官のちょっと奇妙な冒険(作者:プロメイア推しの人)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

オリ主が転生して、赫灼熱拳するお話です。▼ストーリーは2.7から始めま~す。ん?まぁ、途中からにょきっと生えてくる感じで。(それでも過去キャラと絡みがあるのは許してちょ)


総合評価:965/評価:8.24/連載:10話/更新日時:2026年06月23日(火) 16:25 小説情報

ホロウの中で人のGO!を咎めるおじさん(作者:究極の出来損ない)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

知れば誰もが望むだろう!誰にも脅かされず、自己の命の存続を!!親しき者達の幸福を!!!  ▼他者に優しくっ!!他者に寄り添い!光の中を歩むっ!!!▼讃頌会は滅びるっ!!!私を生み出した咎を背負ってなぁっ!!!▼これこそが私の責!!!貴様らの業ぉっ!!!▼我々は滅びるべくして滅びるべきなのだよっ!人の過ちとして!!!▼気づいたら誰とも知らねークローンにされたの…


総合評価:2522/評価:8.27/連載:10話/更新日時:2026年08月17日(月) 15:54 小説情報

オシャメとサメ(作者:なかりょた)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

チェンソーマンのビームの能力とビームの見た目をもってゼンゼロの世界に飛ばされたオリ主がヴィクトリア家政に所属してあれこれする話です。なお無自覚に周りを曇らせている模様▼


総合評価:1136/評価:8.44/連載:4話/更新日時:2026年05月19日(火) 21:26 小説情報

終末世界のラーメン屋台の店長さん(作者:一反木綿豆腐)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

▼ ▼ いつ壊れ、跡形もなく崩れ去ってもおかしくない終末世界。▼ 人類最後の砦となった街、新エリー都は今日も危ういながらも何とか繁栄を謳歌する。▼ そんな街を転々とする、ラーメン屋台が一軒。▼ 何やら謎の多い店主と相棒の超々高性能ボンプは、今日も今日とて店を出す。▼  ▼ 「パエトーン」の家族として、エージェントの知人友人として生きていく。▼


総合評価:2100/評価:8.96/連載:7話/更新日時:2026年08月23日(日) 17:00 小説情報

コロッサル•バウンティ(作者:担々餅)(原作:崩壊:スターレイル)

▼スローライフを求めた男が星核ハンターのクソ高い懸賞金を貰うために頑張る話


総合評価:1876/評価:8.92/連載:9話/更新日時:2026年06月13日(土) 20:02 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>