「プロヴィデンスホロウに行きたいだって……?」
六分街、Random Playにて。
俺はあれから、アキラに直談判していた。
「ああ」
「それは、どうして」
「ヤツ……ギルを倒す」
「……知ってるのかい?」
「……知ってるさ」
この身体……アレックス·ウィンガーが戦う切っ掛けになった男。
「本気で言ってるみたいだね」
「ああ」
「僕が調べたところによると……あのエーテリアスには攻撃がほぼ通じていないみたいなんだ」
「……通じない?」
何故そんな事を知っているのか、今更気にはならないが。
「謎の力場に阻まれているらしい」
「そいつは……困ったな」
「エーテル由来の攻撃に限った話だそうだ」
「ホロウに入る奴らは全員そうだろ」
今現在、ホロウがもたらすエーテルエネルギーは必要不可欠な存在だ。
それを攻撃に転用する技術も珍しくない。
「……アレックス。君は純粋な肉体だけで戦っているじゃないか」
「……えっ?」
俺も音動機で身体強化して戦っている……ん?
「僕も、その音動機で強化して戦っていると思ってたんだ」
「……ギルスは、この音動機に特別な機能は無いと言っていた」
「でも違った。肉体の硬質化は……アレックス、君の特異体質だ」
「……いやいやいやどういう事だよ」
「特異体質や超能力に目覚める人間も、珍しくないんだよ。目が見えなくなったけどエーテルの流れを視認できたり、少し先の未来を予知出来たり……僕の知り合いにもそう言う人達がいる」
ガタタッ、と店舗の2階からそんな音が聞こえた気がした。
リンだろうか。
「君の場合はそれだよ」
「……じゃあ、今まで音動機のお陰だと思っていたのは……」
「何か、発動のキーがあるのかも知れない」
「……発動のキーか」
今までどうやって使っていたか。
発動しよう、そう意識していたが。
「今日、音動機は?」
「持ってきてないが……」
「丁度いい、試してみよう」
「……って言われてもな」
大体何で硬質化なん……いや待て、まさか……ヘビーラリアットのアーマーの事なのかこれ……?!
確かにスト6のアレックスはブレイカースタンスの派生行動であるヘビーラリアットに攻撃を耐えるアーマーが付与される。
それを自由に使えるって考えると大分無法だ。
取り敢えず、大事なのはイメージだ。
「ぐぬぬ……」
……出来ない!
何で今まで出来てたのに言われたら急に出来なくなるのか……!
「……ハハハ。難しそうだね」
「クソっ……出来ねぇ」
「うーん……どうしたものか……」
「お兄ちゃん、師匠に見てもらうのはどうかな」
2階からリンが降りてきた。
……あの、腰に紫色の女が抱き着いてるんだけど。
「師匠に?確かにそれはいい案かもね」
「師匠って?」
恐らく触れてはならないだろう紫の少女を意識の外に追い出す。
「雲嶽山の儀玄師匠だよ」
「アレックス、キミも会ったことがあるはずだ」
「儀玄……あぁ、あの時の」
俺がミアズマにやられた時に助けてくれた白髪グラマラス美女がそうなのか……。
「連絡してみよう」
「なのです……なのです……」
「オイなんか呻いてるぞそれ……」
「ああ、気にしないで。この子今栄養補給してるから」
「栄養補給……」
流石に気になって聞いてしまった。
俺の負けだ。
後から知ったがコイツもモッキンバードの一員でヒューゴの相棒らしかった。
どういう教育してんだアイツ。
「ちょっと失敗しちゃって落ち込んでたから慰めてたんだ」
「そ、そうか……」
「パエトーン様……パエトーン様……」
「………………」
なんか怖いな。
「アレックス。連絡取れたから会いに行こうか」
「え?今からか……?」
「こういうのは早いほうが良い……これは勘だけど……あまり時間があるようには思えないからね」
「……同感だ」
タイムリミットは、確実にある……そんな気がしていた。