GO!ALEX!〜希望再誕〜   作:塊ロック

67 / 67
第66話『自分を見極める』

 

衛非地区、適当観。

 

「来たな」

 

雲嶽山の宗主である女性、儀玄。

術法と呼ばれる特殊な技術を修める道場をやっているとか。

 

「今は特段急務も無い。少しだけ面倒を見てやる」

「……よろしく頼む」

 

俺は大人しく頭を下げた。

 

「全く、アキラも無理を言うようになったな」

「すみません、師匠。でもこういう事を頼めるのは師匠しか居なくて」

「……都合の良いやつめ」

「ハハハ……」

 

儀玄にジト目で睨まれるアキラ。

それに笑顔で応じている様を見てなんとも微妙な関係性に見えてしまった。

 

「それで?お前さんは前に警告したというのにミアズマに挑むのか?」

「……ああ」

「阿呆め」

 

額に指弾が当たる。

どういう理屈か知らんが、俺の身体が大きく揺らいだ。

 

「うお……!?」

「ふむ、体はかなり頑丈そうだ」

「な、何だ今の……」

「お前さんの目的、自分の能力の開花を目指して……せいぜい頑張れ」

 

……こうして、俺の適当観での修行の日々が始まった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「アレクー」

 

貰った(勝手に)合鍵で彼の部屋を訪れる。

……誰も居なかった。

 

「あら?留守かしら」

 

スマホを取り出して二人にノックノックを送る。

 

『アレク居ないの?』

 

少しして、プルクラからメッセージが届いた。

 

『あれ?ヴェスポに言ってなかったっけ』

『今、アレックスさんは衛非地区に居ますよ』

『えっ。何も聞いてないけど』

『あー……そりゃごめん。あいつ暫く修行に行くみたいでしばらくいないよ』

『えーっ』

 

思わずため息吐いちゃった。

なんだか、アレクに関わってからため息が増えた気がするわ。

 

「しばらく居ないんだ」

 

部屋の中はしんと静まり返っている。

そう言えば私は中をあんまり見たことがなかったっけ。

 

「……普段、何してるんだろ」

 

悪いとは思うけど好奇心は止められない。

私はちょっと部屋を物色することにした。

 

「……あれ、女物だ……誰のだろ」

 

アレクの服は少ない。

これなんて書いてあるの?

 

……ディゲンヌって何……?

たまに着てるの見るけどよくわからないわ。

 

「……サイズ的に……まさか、プルクラ……?え、プルクラ同棲してるの……やるわね」

 

よくよく見ると歯ブラシやマグカップなどの生活用品は二人分ある。

浴室のシャンプー類も絶対アレクが使わない女性用が置いてあった。

 

「……今思うとこんな相手によく相乗り挑めたわね私」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「喝!」

「ぐおっ……!?」

 

背中を思いっきりシバかれた。

隣に座っていた虎のシリオンがびくっとする。

 

「アレックス、お前さん集中が乱れすぎだ」

「真面目にやってる……!」

「口答えしない。もう一度」

「お、おう……」

「『はい』だ馬鹿者」

「ぐ……はい」

 

座禅を組みなおして目を閉じえる。

集中して、自分と向き合う。

自らの中に眠る力を開花させるためには必要な事らしい。

 

「お前さんは身体の方は完成している。後は内面の問題だ」

「……」

「自分と向き合え。今まで出来た事なのだから、切っ掛けを掴め」

 

音動機の効果だと思っていた俺の力。

それを自在に引き出すために、まず自分を理解しなくてはならない。

 

俺は特に……前世の記憶とアレックス・ウィンガー、そして、今の人生の記憶。

全てが混ざっているため、儀玄に言わせると自分が定まっていないという事らしかった。

 

俺とは、なんなんだ?

 

(俺は、なんなんだ?)

 

しがない会社員。

格ゲーが好きな一般人。

旧都陥落を生き延びた子供。

地下闘技場の戦士。

ホロウレイダー。

 

……いや、全部違う。

 

俺は……。

 

「アレックス」

「……」

 

考え事から引き戻された。

気が付けば、日が暮れていた。

 

「やれば出来るじゃないか。今日はここまでだ。初日からあまり根を詰めるな」

「……ああ」

「はい、だ」

 

一瞬掴みかけた、俺の本質。

 

(戦いの中に生きる男……多分、そうなんだろうな)

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

監察官のちょっと奇妙な冒険(作者:プロメイア推しの人)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

オリ主が転生して、赫灼熱拳するお話です。▼ストーリーは2.7から始めま~す。ん?まぁ、途中からにょきっと生えてくる感じで。(それでも過去キャラと絡みがあるのは許してちょ)


総合評価:982/評価:8.24/連載:10話/更新日時:2026年06月23日(火) 16:25 小説情報

ホロウの中で人のGO!を咎めるおじさん(作者:究極の出来損ない)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

知れば誰もが望むだろう!誰にも脅かされず、自己の命の存続を!!親しき者達の幸福を!!!  ▼他者に優しくっ!!他者に寄り添い!光の中を歩むっ!!!▼讃頌会は滅びるっ!!!私を生み出した咎を背負ってなぁっ!!!▼これこそが私の責!!!貴様らの業ぉっ!!!▼我々は滅びるべくして滅びるべきなのだよっ!人の過ちとして!!!▼気づいたら誰とも知らねークローンにされたの…


総合評価:2530/評価:8.27/連載:10話/更新日時:2026年08月17日(月) 15:54 小説情報

オシャメとサメ(作者:なかりょた)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

チェンソーマンのビームの能力とビームの見た目をもってゼンゼロの世界に飛ばされたオリ主がヴィクトリア家政に所属してあれこれする話です。なお無自覚に周りを曇らせている模様▼


総合評価:1141/評価:8.44/連載:4話/更新日時:2026年05月19日(火) 21:26 小説情報

終末世界のラーメン屋台の店長さん(作者:一反木綿豆腐)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

▼ ▼ いつ壊れ、跡形もなく崩れ去ってもおかしくない終末世界。▼ 人類最後の砦となった街、新エリー都は今日も危ういながらも何とか繁栄を謳歌する。▼ そんな街を転々とする、ラーメン屋台が一軒。▼ 何やら謎の多い店主と相棒の超々高性能ボンプは、今日も今日とて店を出す。▼  ▼ 「パエトーン」の家族として、エージェントの知人友人として生きていく。▼


総合評価:2346/評価:8.91/連載:8話/更新日時:2026年08月26日(水) 00:30 小説情報

コロッサル•バウンティ(作者:担々餅)(原作:崩壊:スターレイル)

▼スローライフを求めた男が星核ハンターのクソ高い懸賞金を貰うために頑張る話


総合評価:1921/評価:8.92/連載:9話/更新日時:2026年06月13日(土) 20:02 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>