エタらないようにはしたい……。
パーティが終わって。
後片付けはすると言われて追い出されたので……夜の六分街を散歩していた。
「……ん?」
いつもとは空気が違う気がした。
普段は日が落ちても少し人が居る……が、今日は誰も居ない。
「わぁ、角煮エフ……ううん、フカヒレックスみたいな人が居る」
「……え?」
角煮エフ……確かフードファイターってゲームのキャラだっけ。
めちゃくちゃストリートファイターみたいなゲームだなって思って眺めてたわ。
若い女性の声に振り向くと……夜に溶けるような漆黒の羽根が目に入った。
「こんばんは、お兄さん」
「お、おう……?」
誰だ?
知り合いではないし……何より、オーラが違う。
そこらの一般市民ではないことは確かだ。
「……何もんだオメェ」
「えっ?そんな構えられる事したかな……?まぁでも、お互いを知るならやっぱりターン制バトルだね!」
「生憎だが俺はターン制が好きじゃなくてな。格ゲーばっかやってる」
「へぇ!そうなんだ。私、角煮エフ使いだよ」
……可愛い顔してエゲつないキャラ選択なことで。
「俺は……ベリーかな」
「フカヒレックスじゃないんだ……?」
ベリー……まあテリー·ボガードみたいなキャラだ。
さっきから目の前の女が言ってるフカヒレックスとはまさに俺……じゃなくて、アレックスの事である。
「そのまんま過ぎるだろ」
「そうだね」
「レミエール、来てたのか……!」
「あっ。アキラさん」
「アキラ……?」
こんな夜更けに、なんでアキラまで……。
と言うかこの女、またアキラの知り合いか。
「時間になっても来なかったから探したじゃないか」
「あ!もうこんな時間……ごめんなさい、フカヒレックスにそっくりな人がいてつい……」
「フカヒレ……ああ、アレックスか……」
「何だアキラ。また知り合いか?」
「まぁ、そんなところだよ……」
いやにアキラの歯切れが悪い。
珍しいな、コイツが友達だと即答しないのは。
「えーっ?知り合い?私達、ターン制バトルした仲じゃない」
「一番語弊のない言葉を選んだだけさ」
「むう、私の共犯者さんは冷たいな―。こんな夜更けに女の子呼び出してそんな事いうなんて」
「約束を守らなかったのはそっちだろ……?全く」
なんだか、アキラがらしくない。
星見雅や瞬光に対する言動とは違う……ちょっと年相応と言うか、飾りがない感じ。
「……はーん?お前も大概だなアキラ」
「そうなのよ!ねぇ言ってやってよ!」
「おや、意外だったな。アレックスが彼女の肩を持つなんて」
「本命相手にはさしものパエトーンも素が出るか?」
ビシッ。
なんか亀裂の入った音がした。
「何を……言ってるんだい」
「ん?違ったか?」
「はぁ……全く。レミエールも何か言ったらとうだい」
「本命……」
話を振られたレミエールとやらは……耳を真っ赤にしてフリーズしてしまっている。
……これまさか両片思いとか言うやつじゃ。
「……悪かったな」
あまりにもバツが悪くなる。
せっかくアキラに反撃するチャンスだと思ったんだがな……。
「いいかいアレックス。僕とレミエールは……ただの共犯者だよ」
「……そうかい。詮索して悪かったな」
「……ぶーぶー。抗議します」
「却下します……はぁ、本題に入ろう。プロヴィデンスホロウは今厳戒態勢が敷かれている。正面から行っても入れないんだ」
「だから、私の力で侵入するってわけ」
「アンタの……?」
「当日をお楽しみにね」
しかし、レミエールか。
なんかどっかで聞いたことのあるような名前な気がする。
(……気の所為か)
それはそれとして……まぁ間違いなくアキラの本命だろうなぁと思ってしまう。
レミエールに対してだけはアキラが妙に素っ気ないし。
「後の準備は僕の仕事だ。決行日まで十分休んでくれ」
「……ああ、頼む」
……いよいよ、か。