リアルが忙し過ぎてゼンゼロもスト6もやれず更新も止まってました。
最終更新から1週間経ってたらしいです。
ヤバいですね。
プロヴィデンスホロウ、外。
「お兄ちゃん!ホロウのエネルギーが急速に萎んでいくよ……!」
「まさか……ホロウが、消える……?」
「……ねぇ、アキラさん。ホロウが消えると……中に居た人はどうなるんだっけ」
「……ホロウごと、消える」
アキラが苦々しく呟く。
レミエールは初代虚狩り……知らない筈は無いが、これは警告の為に呟いたのだろう。
中に居るアレックスが、戻って来ない。
ホロウが消えるということは、中に居た主を撃破しエーテリアスを根こそぎ倒し尽くしたということになる。
原生ホロウは現実的ではない物量により無理だが、共生ホロウならばその気になれば消す事が出来る。
でなければ、人類はとっくに終わっていた。
アレックスは単騎で共生ホロウを消すほどのエーテリアスを撃破した。
だが、
(帰ってこないんじゃ、意味が無いんだ……)
「店長!」
アキラ達の車の前に、1台のバイクが滑り込むように停まる。
乗っていたのは……プルクラと、リナだった。
「アレックスさんは!?」
「……まだ、ホロウの中だ」
「入れるんだろうね」
「当然!」
アキラはイアス……ボンプの用意を終える。
計算は完了した。
「中に居る迷子を迎えに行こうじゃないか」
――――――――――
「……う、お……やべ……」
ギルを倒した。
その確信を得た瞬間俺の身体から一気に力が抜けた。
膝を着いて辛うじて倒れなかったが……なかなか動けない。
「つ、疲れた……帰らないと……」
よろよろと立ち上がろうとして、尻餅を着いた。
本格的に体力がすっからかんだ。
「は、ははは……やべぇ……」
乾いた笑いが起こる。
ここまでの脱力感は初めてだ。
結局地面に大の字になって寝転んだ。
「………………」
ホロウの中の空は、外と同じで晴れている。
ホロウの外と中の景色はまるで変わらない。
……いや、違うことはあるな。
ホロウの中では、世界に蔓延るホロウのドームが見えない。
「ホロウって、何なんだろうな……」
「言わば
「……イングリッド」
「にゅふふ。おぬしの戦い、見ておったぞ。よく頑張ったな」
俺の視界にイングリッドの顔がひょっこり入ってくる。
いつものように笑ってはいるが……祖母が遠い孫を見るような目をしていた。
「これで、終わりなんだ?」
「うむ。ギルの姿をしたドッペルゲンガーはエーテルに戻り霧散した。このホロウとやらの中にエーテルはほぼ無くなりつつある」
「………………エーテルが、無い?」
「うむ……どうした?顔色が悪いが……」
「……そう言うことか……」
一般的な知識として、ホロウ内のエーテル活性が収まるとホロウは収縮する。
「このホロウは……消える」
「こんなもの消えたほうがお主たちには都合が良いのじゃろう?」
「そうなんたが……ホロウが消える時、中にあったものは何処に行く……?」
「消滅……あ」
そういうことだ。
ホロウが消滅する前に俺はここから出なきゃ……この世界から完全に消え去ってしまう。
「そう言うことか……調べるのを失念しておったわ」
「見ての通り俺はもう動けねぇ……出してくれると助かるんだが」
「ちょっと待っておれ……ぬ?」
イングリッドがモナド体を召喚して何かしようとして、止まった。
「……どうした?」
「ふむ。わしがどうこうしなくても良さそうじゃの」
「は?」
「後はこの世界の住人として頑張れよアレックス」
「ちょっと待て。何言ってんだ」
「ほな、ばいならー」
「ハァ!?」
イングリッドが消えた。
えっ?俺置いていかれた?
「マジかよ!?あのクソババァ何考えて、はぁ!?」
俺は何とか立ち上がろうとして結局地面に蹲った。
「クソっ!何とか、出ねぇと……!」
冗談抜きで立てない。
最早匍匐前進レベルでズリズリと地面を這っていた。
「で、出口は……どっちだ……」
侵入する時、アキラが居たからキャロットは持ってきていないしギルが呼んでいたから迷わなかったが……出口が分からない。
ホロウの中でキャロットもなしに進むのは自殺行為もいいとこだ。
そして俺は今まさにその死の淵に立たされている。
「クソ、クソ……!帰らないといけねぇのに……!」
焦る気持ちばかりが募っていく。
俺は勝ったんだ、と……送り出してくれたアイツらに言わなきゃいけない。
「ちくしょう……!」
身体は動いてくれない。
とうとう自分の体を引きずることすら出来なくなった。
「ちくしょう……………」
拳を握る。
もうそれすらも出来ない。
まぶたも重くなってきた。
ミアズマを護符が吸ってくれたとは言え至近距離で受けたのだ。
俺の身体はとっくに限界を超えていた。
「プルクラ……リナ……ヴェス、ポ……」
「死に際に出る名前になってるなら、まぁ悪くないか」
「私の名前もはっきり呼んでくださってますね」
「……は?」
幻聴か?
ここにいるはずのないヤツの声が聞こえた。
「ほら、アレク。帰るよ」
「立てますか?」
「お前ら……どうしてここに……」
幻聴かと思ったが……何故か二人がここに居る。
二人がかりで俺を起こそうとしていた。
『やあアレク。無事だったみたいだね』
ポテポテと軽い足音と共に、聞き馴染みの声が聞こえてきた。
「……アキラ?いや、ビデオ屋のボンプ……?」
ビデオ屋でよく店番をしている、オレンジのスカーフをしたボンプ。
そのボンプからアキラの声が聞こえた。
『僕が入れるほどきちんとしたルートを作れなくてね……3人に迎えに行ってもらったんだ』
そう言えばパエトーンの噂は『ホロウの中に居る人語を喋るボンプ』が主だったものなのを思い出す。
どう言うからくりかは知らないがコイツらのやる事なす事全部俺の想像の埒外だ。
「3人……?」
「や。元気そうだね」
「レミエール……だったか……?」
膝立ちで肩で息をしている俺の前に、白の翼が舞い降りた。
……その姿を見て、ふと思い出した。
その名前どこかで見た気がする。
「……初代虚狩りの……レミエール·ダン中佐……?」
百年前。
ホロウによる災害を退けた英雄たち。
そのうちのひとりだってのか……?
「まさか」
「さて、どうかな」
「………………」
思わせぶりな態度ではぐらかされた。
今はそれどころではないしな。
「歩けますか?」
「わりぃ……一歩も動けねぇ」
「本当に何もかも出し切ったって感じね。気は済んだかい?」
「ああ……」
リナとプルクラが俺を抱えて立ち上がった。
「重っ……!ヴェスポに言う前にアンタだって大概だよ……」
「中々……しっかり鍛えられてますわね……!」
「すまない……」
さっきまでひとりで進んでいた時よりも確かに進みは早い。
「アキラさん。間に合いそう?」
『多分、大丈夫だ』
「多分、か……」
ズルズルと二人に引き摺られていく。
情けなくて泣き出しそうだがそんな元気も無かった。
『みんな!出口はあの裂け目だ!急いでくれ!』
「キミもね!」
『わっ!?』
レミエールがボンプを胸に抱えて飛ぶ。
「「せーのっ……!!」」
「嘘だろお前らぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
二人が声を合わせて俺を裂け目に向けてぶん投げた。
浮遊感のあと、ずっとついて回っていた違和感が消えて地面の感触が俺を襲った。
「ぐおっ……!?」
ゴロゴロと転がり、誰かの足元で止まった。
「やぁ、おかえり」
「……おう」
アキラがにこやかに微笑む。
首だけを辛うじて起こす。
……彼方にあった、光をも飲み込む黒いドームが……小さくなっていく。
俺たちの傍に、プルクラとリナが歩いてくる。
二人は無言で俺の上半身を起こした。
「見えますか?これが……貴方がやったことです」
「ねぇ?凄いじゃないか。見直したよ」
「は、はは……すげぇや」
みるみるホロウが収縮していき……消えた。
海の真ん中にぽっかりと生まれた穴は、すぐに海水が押し寄せて消えた。
最初から、本当に何もなかったかのように。
「終わった……のか……」
俺は、呻くように呟いた。
「……お疲れ様でした」
うとうとし始めた俺の頭を撫でる感触があった。
気が付けば、リナに抱き寄せられていた。
「やめ……ろ……」
「貴方には休憩が必要です」
「そ……」
「とりあえず寝てな。起きてから全部終わらせようよ」
プルクラがそう言うので、お言葉に甘えて俺は意識を手放した。
ホロウ消滅。
アレックスを取り巻く環境がまた様変わりする……が、戦士には休息が必要である。
だが、まだまだ決着をつけるものは多い。