しばらくして、俺は無事に退院した。
……世間では、プロヴィデンスホロウを消滅させた人間はホロウと共に消えた。
そう報じられた。
「……良かったの?それで」
ある日の夜。
俺は自宅でベーコンを焼いていた際、プルクラが戻ってきた時だった。
「何が」
珍しく疲れた顔をしていたので俺は無言でリビングに座らせて飯の準備を続けた。
適当に盛り付けてプルクラに食事を渡した。
「ありがと」
「……で?何の話だよ」
「ホロウ攻略の功績さ」
「ああ……」
プルクラがマスクを外す。
思えば仕事の時以外にプルクラがマスクをしているところをあまり見ない。
戦闘用ではなく花粉症とか諸々のために着けていると言っていたが……。
「要らねぇよ、そんなの」
奮発して買った分厚いベーコンに食いつく。
なんだよ……結構うめぇじゃねぇか……。
「……そうだよね」
「どうしたんだよ。そんなこと気にして」
「別に……ただ、ちゃんと帰ってきたんだなって」
「言ったろ。帰るって」
「死にかけてたじゃないか」
「……うっせぇ」
痛い所を突かれたので、俺はそっぽを向いた。
……視線の先には、ケースのなかに入っているヒビだらけのドライバディスクがあった。
音動機の中にあったドライバディスクを取り出そうとして……ディスクはほぼ粉々に砕け散った。
辛うじて1枚だけ原型を留めていた。
「ヴェスポに、謝らねぇとな……」
「ヴェスポに?……別に、良いんじゃない?」
「わざわざ俺用に用意したって言ってた」
「なおさらじゃない。アンタのために用意してアンタのために壊れたんだから、本望でしょ」
「……そう、か」
「気が済まないなら、気の済むまで埋め合わせしたら?」
「う……まぁ……そう、か……」
埋め合わせ。
プルクラに言われてちょっと言い淀んでしまった。
ぶっちゃけ俺はプルクラにも埋め合わせをする必要がある。
散々迷惑かけたしな。
「……何さ」
プルクラが分かってるのかニヤニヤしながら追求してくる。
やめてくれ。
「な、んでも……無く……は、無い……」
自分でもびっくりするくらいへんな言葉遣いになってる。
その様子に満足したのか、クックックとプルクラが笑う。
「で?アンタは何してくれるわけ?」
「………………何、か」
戦う以外に、俺は何が出来るのだろうか。
「俺の出来ることなんて戦う以外に何もねぇなって」
「………………」
「俺は生粋のファイターだ。ぶつかり合い、腕を磨いて、戦う。そんだけの人生だった」
「……で?アンタの人生、本当にそれで終わらせるつもり?」
「……どうだろうな。最近ちょっと……戦う事以外、興味は出てきたかも知れない」
「へぇ?」
「取り敢えず……今はただ、何も考えずにバイクをかっ飛ばしたいかな……」
ここまで考えることが多過ぎた。
しばらくは、そう言うのは良いかな。
「良いコースを知ってる。ナビとして私を雇わないかい?」
「……そうだな。ナビじゃなくて……ダチとして、隣走ってくれよ」
「………………良いよ」
「じゃあ、明日。出掛けようぜ」
「約束だよ」
「ああ。今日はどうすんだ?」
「泊まる」
「そうかい」
二人で片付けて、プルクラがベッドで、俺はソファでいつものように眠った。
(……なんか、久しぶりだな……)
傍に人が居て眠るのは。
(……柄にもないが、ちょっと……安心しちまうな)
特に疲れはないが、秒で眠りに落ちた。
今久しぶりにエクストリームバーサスにハマっててゲーセンに通い始めたんですよね……。
今作のファンファーレが頭から離れない。