GO!ALEX!〜希望再誕〜   作:塊ロック

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第89話『沈む夕日、昇る太陽。傍らには同じ人』

 

「ん〜……!」

 

隣に停めたバイクの上で、プルクラが大きく伸びをした。

俺も軽く身体をほぐす。

結構な時間飛ばしていた気がする。

 

ここは……郊外の何処か。

どこでも良いし何処だか分からん。

 

「なんでここに?」

「景色が良いからさ」

 

使われておらず、寂れたガソリンスタンド。

その裏手の崖から……新エリー都が見える。

 

「なるほどね……」

 

俺はバイクから降りる。

……気が付けば、俺のバイクには猫のシール以外にデフォルメされた幽霊と、これまたデフォルメされたヴェスポのシールが貼られていた。

いつの間にか二人に貼られていたらしい。

 

「今日はここで野宿でもするかい?」

「……それも良いかもな」

 

だから野営用の荷物があったのか。

思えば……新エリー都で暮らしてから郊外で一夜明かすなんてこともなくなった。

なんだか懐かしい気持ちになる。

 

「見なよ、アレ」

「……おお」

 

日が沈む。

新エリー都も、郊外も夕日に照らされていた。

 

「言ったろ?景色が良いって」

「そうだな……」

 

そのへんにあった倒木を転がして椅子にして座る。

プルクラが隣に座った。

 

……近い。

 

「……んだよ」

「良いじゃない、別に」

「そんなくっつかなくてもいいだろうが」

「嫌かい?」

 

……正直なところ、嫌ではないが……困る。

郊外育ちだが案外ちゃんと身体の手入れをしているので、近くを通られるといい匂いがしたりして少し心臓に悪い。

 

「イヤじゃねぇよ……ただ」

「ただ?」

「……落ち着く」

「ふぅん……?」

 

プルクラがマスクを外して……ニヤリと笑う。

そして、俺の腕に身を預けた。

 

「じゃあ、私はアンタの隣に居てあげる」

「……そいつはどうも」

 

しばらく二人で、沈み行く夕日眺めていた。

 

郊外の夕日なんて、昔は何も感じなかった。

一日が終わって、また新しい戦いが始まるだけ。

 

今は?

 

(今は……どうなんだろうな)

 

ずっとひとりで過ごして来た。

けど、今は……プルクラが隣に居て。

リナとか、ヴェスポとか。

 

アキラとかフォルテとかカリンとか……ギルスとか。

 

周りに人が増えた気がする。

 

(……ガラにもねぇな)

 

考えることが増えた。

やることも増えた。

 

なら、それで良いんじゃねぇかな。

少なくともあの時……何も考えないでただ拳を振るっていた日々より遥かに良い。

 

「プルクラ」

 

気が付けば、俺は傍らの女の名を呼んでいた。

 

「な、何さ」

 

急に呼ばれたからか知らないが、珍しくプルクラが驚いた顔をしていた。

 

「俺は……お前が居たから、マシな生活と……ガラにもなく夢なんて持てたのかも知れねぇ」

「なんだい急に……」

「だから……その……」

 

踏み込んだ関係になりたい。

いつしかそう思うようになっていた。

 

「……その」

 

プルクラがバツが悪そうな顔になる。

 

「まだ、ダメ」

「え……?」

 

プルクラの人差し指が、俺の唇に添えられた。

口を閉ざすようなジェスチャー。

 

普通に拒絶されたかと思って結構ショックを……ん?

 

「……まだ?」

「……まだ。私だけじゃなくて……二人にも、会ってから決めて」

「二人って……」

 

二人。

まさか。

 

「リナと、ヴェスポ……?」

「アンタの気持ちは……嬉しいけど、私ひとりだけ……今選んで貰うのは……フェアじゃないから」

 

なにかに耐えるように、俺に背を向けて立ち上がった。

 

「プルクラ……」

「……ご飯にしよ。今日は……まだ、その時じゃないから」

「……分かった」

 

……雰囲気に流されちまったかなあ。

ちょっと勇み足が過ぎたか。

 

その後、天幕を張って二人で眠りについた。

 

……夜、プルクラが俺に抱き着いて寝ていた。

あんな事言ったくせにそういう事するのかよ……!

理性と戦いながら眠り、二人で起きて……。

 

「……おはよ」

「……おう」

 

昇る朝日を眺めて、何のけなしに笑い合った。

 

(……まだ俺が真剣じゃなかった……そう言いたかったんだな)

 

分かったよ。

3人の中からちゃんと選ぶさ。

 

 

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