……えっ?もう90話超えたの??
「お久しぶりです、アレクさん」
「おう」
ルミナスクエアにて。
久しぶりにリナと会うことになった。
ホロウを出て入院、そんでもって退院してから全くと言っていいほどタイミングが合わなくて気が付けば一ヶ月も経っていた。
「お変わりないみたいですね」
いつものようにリナは微笑んだ。
「お互いにな」
「あら、相変わらず美しいと?」
「………………」
いつものように俺をからかってくる。
なので、
「……ああ」
たまには仕返ししてみる。
「え……あ、おほほ……」
素直に肯定してやったら、珍しく顔を赤くした。
「少し歩くか」
「……こほん。はい」
リナが俺の隣に並ぶ。
いつものようにメイド服で。
俺もいつものようにTシャツとオーバーオールだ。
バンダナは巻いていない。
「何だか懐かしいですわね」
「ここが?……そうだな」
いつぞやの、一緒に走った河川敷までやってきた。
「……今でも、教えてくれたコースは走ってる」
「そうなのですか……?」
「それと、お前と……ライカンが教えてくれたトレーニングも、やってる」
「……ふふ。お役に立てたようで何よりですわ」
「あん時は騙されたと思ったがな」
「それは…………ええ。あのときは、私達はアレクさんを利用しました。これは嘘でも偽りでもなく真実です」
「……そうか」
まぁ、悪い騙され方ではなかったし。
敵を欺くにはまず味方から、そんな感じだろう。
「良い経験にはなった。なんかギルスにも気に入られたが」
「こちらとしても予想外でした」
「想像できねぇよそんなの」
「そうですわね」
二人で同じタイミングで笑ってしまった。
なんだか、リナと話していても前みたいにいちいちどぎまぎしなくなった気がする。
慣れた……というか、結構気安い関係になったからだろうか。
最初はめちゃくちゃ美人ですんげぇタイプだったから気後れしてたしな……。
「?私の顔に何か?」
「い、いや……何も……」
……見過ぎたか?
それはそれとして反則級に顔立ちは良いし身体も……いや何言ってんだ俺は。
「アレクさんは」
「ん……?」
「その……怒りましたか……?」
怒った?俺が?
リナの方を見れば……なんと言うか、怒られるのを待つ子どものような顔に見えた。
……気にしてたのか?
「……別に」
「それは怒っている方の返し方ですわ……」
「あー……まぁ、なんだ」
あの時は状況が全く飲み込めなかったしな。
怒る暇すらなかったと言うか。
「怒ってない」
むしろ、
「……感謝してる」
「……え?」
俺はリナにグローブを見せる。
ボロボロになってしまったが、大切に保管していた。
「ありがとな」
「え……」
「お前たちのおかげだ」
礼を言うと、リナは目を丸くして驚いたような顔をする。
「ど、どういうことでしょうか……?」
「お前のお陰で、俺の道が明るくなった」
「は、はぁ……?」
「あの時、ホロウの中でお前を庇ったときから……俺の人生は変わったのかもな」
「ええと……?」
「……その、なんだ」
言いたいことが思ってたより纏まらなかった。
しまらないな。
「俺は……お前から色々貰いすぎた。だから……それくらい、何でもねぇ」
結局はこれに尽きる。
リナから受けた恩が多過ぎるのだ。
精神的に救われているのが一番大きいかも知れない。
「私は、そんな……」
「俺が勝手にそう思ってるだけだ」
「な、なんですかそれ……」
「それに、美人の知り合いが増えて得したからな」
「も、もう!からかってますわね!?」
「ははは」
珍しくリナが狼狽えるものだからついついいじりたくなる。
普段やられてるからたまには良いだろうよ。
「……アレクさんは、私の事を美人と評しますけど」
「うん?」
「つ、付き合いたいとか……そういった事は」
「………………」
何を言い出すんだ急に。
そんなの、
「……結婚とか、まだ分からん」
その先の未来、誰かと一緒になる人生。
想像が付かない。
そして、
「……俺は、決められてない」
リナも、正直好ましく思っている。
タイプなのもあるし、恩義もある。
でも、プルクラのこともある。
結局どっち付かずなのだ。
「……そうですか。少なくとも、私のこと……好ましく思っているのですね」
「何でだよ」
何でそこまで読まれてんだよ。
「うふふ。私、これでもアレクさんのこと好きでしてよ?」
「……中身は聞かないことにする」
ライクなのかラブなのか聞くのちょっと怖いから。
「勿論LOVEですわ」
「言うなよ!!」
やめろ!これ以上俺を悩ませないでくれ!!
「大丈夫ですわ。アレクさんは悩まなくても」
「いや悩むわ!」
でも、正直悪い気はしなかった。
リナから好意を向けられている事に。
……それと同時に罪悪感も。
プルクラとリナ、二人とも俺に矢印が向いてるわけで。
(……どうしよ)
やっぱ決断できねぇ……。
「うふふふ。次は、ヴェスポさんに会ってくださいまし」
「えっ?ヴェスポ?」
「それからでも、全然間に合いますわ」
「……分かった」
なんかプルクラの時と同じ状況になってる気がする。
「ひとまず休憩しませんか?ティンさんのお店が近いですし」
「……そうだな」
その後は普通に談笑して、別れた。
……なお、その後ずっと俺はリナに腕を組まれていた。
どうすんだよこれ。
マジで覚悟決めないと拙い気がしてきた。
というかなんか誘導されてないか俺。
……まさか、三人がグルとか……無いよな……?
リナさんからぶっちゃけカミングアウト。
アレックスは1人に決める気でいるけどそういえばこの三人はグルである。
どうなるアレックス。