ロスカリファ、かなり大変なことになってますね……。
TOPSとしてハワードコネクション出してますけどなんかえらいことやらかしてくれてますね、本編……。
「アレク!」
「おう……のわっ……!?」
六分街にて。
聞き覚えのある声に呼ばれて振り返れば鋼鉄の塊にフライングボディプレスを仕掛けられて吹っ飛んだ。
「久しぶり!会いたかったわ!」
「げふっ……!?」
倒れたところに追い打ちのベアハッグをされる。
「うぎぎぎ……!?」
「きゃっ!?いきなり背中?今日は積極的ね!」
声が出ないのでタップするがなんか勘違いされている。
やばい、そろそろ腰が逝きそうだ。
ヴェスポは俺の胸に顔を埋めている。
ちょっと早く気付いてくれないか……?!
「あ、あの!?ヴェスポさん!?アレックスさんが上下真っ二つになりそうです!離してあげてください!!」
途中通りかかった朱鳶に止められて事無きを得るのだった。
死ぬかと思った……。
――――――――――
「げほっ……で?お前はここに……?」
「アレクに会いたくて……って言えたら素敵だったんだけど、今日はエイファの所に行ってたの」
「エイファ……?」
はて、誰のことだろうか。
「あそこの」
「ん?あー……レコードショップか。入ったことねぇなそう言えば」
「そうなの?」
「あんまり縁がなかったしな……」
レコードショップ「吟遊ニードル」。
ビデオ屋の正面に位置するなかなか優雅なレコードショップだ。
裏ではホロウレイダー用のドライバディスクの提供もやっているのだが……俺はついこの前までディスクなんて持っていなかったのである。
これを機に新調するのも良いのかも知れない。
「何?アレク、ディスク用意するの?」
「え?ああ……」
「ふーん、私のは?」
「………………」
何気なく聞かれてなんて答えるか言葉に詰まってしまった。
「あはは!ごめん!ちょっと意地悪だったわね」
ヴェスポが、いつものように笑う。
俺はその顔を見て少しバツが悪くなった。
「壊れちゃったんでしょ、私のディスク」
「……ああ」
「そういうふうにしか作れなかったもん」
「え……?」
「あ、やっぱり気にしてたんだ」
「そりゃ……な……」
「うんと強いのを作ろうとしたんだけどね」
『ドライバディスクの限界を超えて作るつもりでしたら……流石に一回の使い切りになるのを覚悟して頂かないと』
「って」
「まぁ……そうだろうな」
人間過ぎた力を使い過ぎれば身を滅ぼすもの。
あのディスクは俺の能力を限界以上に引き出した……今思えば、アレを使い続けて居たらと思うと少し背筋が寒くなる。
「でも、役に立ったでしょ?」
「……ああ」
ぶっちゃけヴェスポのおかげで勝てたと言っても過言ではない。
「助かった。お前のおかげで勝てた」
「そ。なら良いわ」
「……本当に、ありがとな」
「ちょっと……やだ、そんなに真剣に見つめないでよ。温度計が壊れちゃうわ」
「ハハハ……」
そこで、ふと……ヴェスポのボディと言うか全体的に新しくなっている……ような気がした。
「えっち」
ジロジロ見ていたのに気付かれたのか、そんなことを言われる。
「ちげぇよ。ボディ新調したのか?」
「あ、気付いた?」
なんと言うか、同じ黒でも高級感を感じる色合いだ。
「スポンサーが付いたの」
「へぇ?俺の知ってるとこか?」
「ハワードコネクション」
「めっちゃ知ってるわ……」
ギルス、何考えてんだ……?
歌姫を手にして何をするつもりなのか……。
「それに、アレクもハワードコネクションに入社するんでしょ?」
「……それは」
実はまだギルスに返答していないのだ。
……そして、今吟遊ニードルのすぐ目の前でこのやり取りをしているので……。
六分街はルミナスクエアよりも人口は少ない。
だが、居ない訳では無い。
端的に言うとめちゃくちゃ見られていた。
「ねぇ、アレク」
「うん?」
少し考え事をしている間に、ヴェスポは何かを決めたような顔をした。
「私が……貴方のこと好きって言ったら、迷惑?」
落ち着け。
まだLOVEかLIKEか……。
「愛してるって言ったら」
LOVE確定でした。
「もう聞いてるじゃねぇか」
「そ、そうだけど……」
「それに……伺いを立てる間柄か?」
「……え?」
「来いよ。ぶつけたいなら」
三人目。
三人目かぁ。
いやまぁこんな言動してる俺にも非がある気がした。
「……好き。好き、大好き」
ヴェスポが俺に近寄り、両腕をガッツリ掴む。
顔を寄せて囁くように連呼する。
「私のことを何も知らなかった貴方を愛してる」
「……良いのか?お前のことを何も知らなかったんだぞ」
「それが、良いの。貴方は飾らない私を見てくれる」
……あれ、思ってたよりヴェスポの気持ちがデカい……?
ヴェスポの手が俺の頬に添えられる。
「私は今までTOPSの良いように歌うことを強いられていた、歌姫の代替品。でも……貴方に会ってから、私は心から歌いたい歌を歌えた。貴方への気持ちを込めて込めて込めまくって」
「……それが、あのディスクか……」
「貴方のために砕け散っても良い、そう想って作ったの」
「……ありがとな」
「……生きて戻ってきてくれて、本当に良かった……」
ヴェスポがまた俺の胸に顔を埋めように抱きついた。
今度は、優しく。
「私は知能構造体だから……他の人みたいにぬくもりは無いし、柔らかくもない。貴方と根本的に違うし……あの二人に勝てる要素も少ないの。ズルい私を許して」
「………………そんなに、俺が?」
プルクラも、リナも、俺を選んだ。
何でだ?
自分の何が彼女たちを揺さぶったのかが分からない。
「うん。アレクが良い。アレクじゃなきゃヤダ」
世間一般のヴェスポは、凛々しく高飛車なイメージらしい。
たまに昔の動画やインタビューを目にしたけど、俺の前にいるヴェスポとまるで違った。
天真爛漫に子供っぽく甘えてくる。
俺の前ではまるで飾っていなかったのだろう。
「そう、か……」
「ねぇ、二人とは話した?」
「え?あ、ああ……」
「……よし。ちょっと待ってね」
ヴェスポが俺から離れ……る前に頬に一瞬顔を寄せた。
キスされたと気が付くのに少し時間がかかった。
「オイ」
「あ?もしもし?二人とも聞こえてるわね。私は言いたいこと全部言ったけど……あ?二人ともOKね。じゃあ集まりましょうか。今ね、六分街。うん。それじゃ待ってる」
二人……まさか、プルクラとリナ?
え、待て待てマジで三人グルだったってことか……?!
「アレク」
「……なぁ、ヴェスポ」
「行きましょ」
「何処にだよ」
「貴方の家」
「は?オイ……ちょ、引っ張んな……!」
と言うわけで次回、三人に覚悟決めさせられるアレックス。