『
『ここへ来たということは、
『元々ただの一般人であった
『過酷な戦いを終え世界を救った
『それじゃボクのお話は一旦ここまでにしておいて、ここから先は“英雄になれなかった一人の少年”の物語を始めるとしよう……』
そう語る白いフード付きローブを纏った
プロローグ前編 その日、夢を見た
目を開けば石で作られた居心地の悪い部屋に窓には鉄格子がはめられており、そこはまさに監獄と呼ぶ薄暗い場所だった。
普通の人なら驚いても仕方がない───けど何故なのか、どこか懐かしさを感じる。まるで以前に行った事があるような……そんな不思議な既視感が胸をよぎった。
「ここは俺とお前が初めて出会った場所だ……」
不意に声が響く。思わず振り向くと、そこには
「かつてお前が囚われていたこの場所を再現してみたんだが……覚えてないのならそれでいい……」
どこか悲しげな声を残し、人影はゆっくりと歩き出す。それを見ていた自分も、何故か後を追うようになった。部屋を抜けると、美術館の壁には飾られてそうな巨大な壁画が描かれていた。空を埋め尽くすほどの竜が飛び交い、大地では無数の兵士達が激しく戦っている光景。ある壁画には賑わう街並みがあったり、またある壁画には荒れ狂う海原を進む巨大な船が描かれている。
どれもこれも初めて目にするはずの光景なのに、どこか不思議なほど懐かしく感じる。
「既に旅を終わっているお前には、普通の暮らしへ戻る権利がある。もうこれ以上、悲惨な戦いを経験する必要もない。」
何を言っているのかさっぱりだが、人影は気にしないまま語り続ける。
「何度絶望しても諦めず、お前は何度も立ち上がり続けた……本当によく戦ったと誇りに思えば良い。たとえ誰の記憶に残らずとも、例えお前自身がその記憶を忘れていても………俺達が覚えている。」
自身の事を言っているのかもしれないが、やはり意味は分からない。それでも足は止まらず人影の後を追い続ける内に、気付けば周囲の景色は再び変わっていた。
「もしこれを夢だと思うのならそう思っても構わないし、何なら忘れてしまっても構わない。」
そう聞いている内に、先ほどの壁画とは異なる絵が数多く壁に飾られている場所に移る。しかも今度はどこかの背景とかではなく、人物画だった。
左右には多くの騎士たちが囲み、剣を持ち鎧を纏う一人の少女
腕を組み、まるでこちらを見下ろすかのような黄金の男
あたり一面に生えている花畑のど真ん中で、杖を持つ白い魔術師らしき人物
大剣を持ち、こちらをじっと見つめる黒い死神
多くの軍勢と自身の愛馬と共に疾走する赤い衣を纏う大男
槍を持つ白い肌の戦士と、弓を持つ褐色の肌の戦士が戦い合う光景
巨体で岩のような硬い肌を持ち、斧剣を抱えながら戦う大英雄
誰かを救う為に自ら“正義の味方”として戦い続ける弓兵
旗を上げながら祈りを続ける金髪の聖女
そしてそんな聖女とは真反対とは思える女性が、炎と共に旗を上げる
その他にも壁を埋め尽くすくらい数多くの人物画が飾られているが、どれも全て初めて見る。
不思議に疑問を抱いている内に、他とは少し違う額縁を眼にする。
「お前が再び戦場に立つ事はもう無いだろう………しかしだ。もしもその時に危機が訪れていたら、例え俺達が干渉できなくともお前に力を貸そう。」
足を止めた人影は自信の方を振り向き、目が合った瞬間に告げられる。
「Attendre et espérer」
ノイズ音が混じっていて何を伝えたいのか全く聞こえなかった。そしてその瞬間、白黒のノイズが一瞬で辺りを囲んだと同時に自身の意識は暗闇へと落ちてしまう……
XXXXX
ピッ!ピピ!!
目を覚ますと、どこかアラーム音が鳴り響く音が聞こえた。視界が未だにボヤけたまま寝転がった身体を無理に起こそうとするも、脳内にほんの少しの頭痛が広がる。
身体をゆっくりと起き上がらせながら、辺りを見渡す。そこには見慣れた机や天井、そして数々の本が揃ってある本棚……そこは間違いなく、自分の部屋だった。
「顔……洗いに行くか……」
欠伸の涙で滲んできた目元を擦りながら、鳴り続いていた電子時計のアラームを止める。目覚めたばかりなのか未だに寝ぼけていて、一階の洗面所に向かうと自室を出ながら下の階に降りようと足を動かす。
既に冬の時期は近づいているのか、段々と寒さが近づいてきた。そう思いながら1階に到着し、いつもの場所にある洗面台から流れ出てくる冷たい水で顔を洗って眠気を覚ます。流れ出る冷たい水で洗い流し、眠気を吹き飛ばした自分は洗面台を通り過ぎた後、何か軽い朝食でも食べようとキッチンの方へ向かう。
「何食べようかば………ん?」
簡単なもので料理できないかと考えながらキッチンに辿り着くと、テーブルにはラップをかけられたおにぎりやおかずの料理とその隣には書き置きが置いてあった。
立香へ
昨日、カップラーメンだけで夕食を済ましたでしょ?いくら
凛子より
──と、書き置きを目にした俺……
「はは.....凛子さん、相変わらず手厳しいなぁ〜」
忙しいのに朝食を料理してくれた凛子さんにお礼を言いながらかけてあるラップを取り外し、「いただきます」と言ってから食べ始める。
「そういえばあの時の夢………結局何だったんだ……」
朝食を食べている最中、ふと先ほど夢で見ていた出来事を思い出す。振り返ろうとするもあまり自身の記憶に残らないのか、見ていたはずの夢を思い出す事ができないそれどころかその夢は、
「………まぁいいか、ご馳走様。」
そうこう考えているうちに朝食を食べ終え、キッチンで食器を洗った。再び洗面所へ向かった俺た歯を磨き終えた後、今度は着替えなければならないと自身の部屋へ戻る。
パジャマ姿から私服姿へ着替へ、部屋にある時計の時刻を確認しようと視線を向ける。出かけるまでの時間がまだあると確認し、暇つぶしとして部屋のある本棚から本を漁る。
「巌窟王……古代ローマ……ギリシャ神話……よし、今日はこれにしよう。」
歴史と神話に関するラノベや論文が載っている本が数多くあったり、更に絵本や童話までと言ったジャンルなどを問わず本が敷き詰められている。悩んだ結果、俺は棚から一冊の本を取り出した。
その表紙には『アーサー王の伝説』と書かれており、ページを開きながら読み始めた。
「円卓の騎士………ガウェイン、ランスロット、アグラグェイン、トリスタン、ベディヴィエール、モードレッド、パーシヴァル、ケイ、ガレス、ギャラハット……そしてアーサー王。」
本の中に登場する人物達の名を口に出しながら、読み続ける。ちなみに本の日本語で書かれておらず違う国の言語であるも、それをスラスラと読んでいた。もちろん小さい時に習った事がないのに、何故か読める事ができる。
「それにしてもこのアーサー王はすごいなぁ……見た目は普通の女の子なのに、王様の仕事をこなすなんて───
ん?女の子………誰が?」
本を読んでいる内に、ふと違和感を感じた。そもそもアーサー王は“男”であるはずなのに、どうして自分は“女”であると思ったのだろうか。違和感を抱きながら考え込んだが、心当たりが無い。そう考え込んでいながら時計に視線を向けると、気がつけば時刻が7時前と指していた。
「ヤッバ!?もうそんな時間になったの!?」
出発する時間が予定よりも少し過ぎてしまい、慌てながらも急いで荷物やスマホを手に取りながら玄関の方へ向かう。
「行ってきます!」
──と口に出すが、誰もいない声が返ってこないことを知りながら玄関のドアの鍵をかけた。
『行ってらしゃいませ、先輩』
その時、ふと言葉が脳裏をよぎった。
「ん?今誰か……」
周囲を見渡すが、自身に声をかけてくる人はいない。けどそんな事を気にしていれば遅刻すると思い込んだ俺は、急いで
プロフィール
本名:◯◯ 立香(CV:島崎信長)
SAO時のキャラ名:不明
性別:男
年齢:不明
一人称:俺
容姿:黒髪の普通の少年である。
改めまして、所見の方は初めまして。
前作からご覧になられた方々はお久しぶりです。
前作のリベンジということで、再スタートしました。またお付き合いいただけると幸いです。