どうしても復旧できなかったので飛ばします。
「こんにちは、霊夢。魔理沙が三日、紅魔館の図書館から出ていないの」
アリスは、挨拶の次にそう言った。
博麗神社には、朝から蝉の声が降り注いでいる。
縁側へ座ってお茶を飲んでいた霊夢は、境内に立つ駆けつけ魔理沙発言をしたアリスを見上げた。
「それ大丈夫なの? 魔理沙は生きてる?」
「今朝は動いていたわ」
「じゃあ大丈夫ね」
「大丈夫じゃないわ……」
アリスは日傘を閉じ、縁側へ腰を下ろした。
その周囲へ、数体の人形が静かに降りる。人形のうち一体が日傘を受け取り、別の一体がハンカチを差し出した。
霊夢は便利そうだとは思ったが、自分でも使いたいとは思わなかった。
人形へ細かい命令を出すくらいなら、自分で日傘を置いた方が早い。
あれは練習と修行であり、同時にスタイルでもある。
霊夢にとっては修行とした合わないし、また自分のスタイルでもなかった。
「霊夢。この前、外の世界から魔理沙たちが持ち帰った本があるでしょう」
「ああ。勝手に動く本ね」
「動くのは索引書よ。魔理沙の魔力に反応して、主書の術式を読み替えているらしいの。パチュリーが接続構造を調べ始めて、魔理沙も一緒になって――」
「ああ、なるほど。二人とも夢中になってるのね」
「それで困ってるの」
紅魔館の図書館では、咲夜が時間どおりに食事を運んでいる。
しかし、二人とも作業を中断しようとしない。温かい料理は冷め、冷たい飲み物はぬるくなり、ほとんど手をつけられないまま下げられているらしい。
「パチュリーは普段からあんな感じじゃない」
「魔理沙まで付き合っているのが問題なのよ」
「帰れって言えば?」
「索引書が魔理沙から離れると暴れるから、今は無理だそうよ」
アリスの返事が少し硬かった。
霊夢は湯呑みを置いて、落ち込んでいるアリスの横顔を眺めた。
彼女が魔理沙を気にかけていることは知っている。
ただ霊夢の認識では、アリスは魔理沙ともっと仲良くなりたいのに、妙なところで遠慮してしまう。
魔理沙の方も、アリスの家へ勝手に上がって茶を飲んだり、本を借りたりしている。
その状態からどう仲良くなれば満足なのかは分からないが、アリスの中ではまだ足りないらしい。
「だったら、食べ物を持っていけばいいじゃない」
「咲夜が運んでいるわ。で、食べてない」
「いつもの食事だから後回しにするのよ。外の世界の食べ物なら、魔理沙が珍しがって手を出すかもしれないでしょ」
アリスの目線が落ち、少し考えはじめた。
「片手で食べられて、屑が出にくくて、匂いが強すぎず、蓋を閉められるものなら、パチュリーも図書館への持ち込みを認めるかもしれないわね」
「魔理沙のためでしょう?」
「パチェリーもよ。それに本のためにも」
即答したあと、アリスは視線を逸らした。
こういうところで、もっと素直に心配していると言えばよいのに。
霊夢はそう思ったが、口には出さなかった。
「一人で行くのが嫌なら、誰か誘えば?」
「誘ったわよ。紅魔館から戻る途中でチルノに」
「チルノ……。よりにもよってどうして最初にいきなりチルノ」
「ほかに誰もいなかったのよ。外の世界へ行くかと聞いたら、夏に湖のボスが離れるわけにはいかないと言われたわ」
「暑いのが嫌なだけでしょ」
「私もそう思う」
氷の妖精が真夏の現代日本を避けることには、十分な合理性がある。
ただし、本人はそれを暑さへの敗北とは認めない。湖のボスとしての責任を持ち出すことで、結果的に最も暑い場所へ近づかずに済んでいる。
本人が意識しているかどうかは怪しかったが──。
「じゃあ、私が行くわ。お茶漬けの素が切れてるから、ついでに買ってくる」
霊夢は立ち上がった。
「いいの?」
「それに、あんた一人で行ったら、魔理沙へ何を買うか決めるだけで一時間かかりそうだし」
「かからないわよ。三十分もあれば十分よ」
長い……。と、霊夢は思ったがぎりぎり声にはでなかった。
+ + + + + + + + +
日本の夏は大げさだった。
暑いだけじゃない。街も人も情報も大げさだった。
商業施設へ入る前から、壁には青い海と白い砂浜の広告が並んでいる。入口付近では風鈴の音が機械から流れ、天井からは紙で作られた魚が吊り下げられていた。
冷房の風は強く、自動ドアを一枚通っただけで、蝉の声と熱気が遠ざかる。
「温度差が極端なのよ。人間は平気なの?」
「平気じゃないから、夏風邪を引くんじゃない? でもきっと冷房は止めないわよ」
「人間らしいわね」
霊夢は人間に呆れているアリスを横目で見た。
礼儀正しく、家は清潔で、料理も裁縫もできる。人形を操る技術も高く、必要以上に人間を脅かさない。
優等生という言葉を使うなら、アリスは幻想郷で上位に入るだろう。
ただし、妖怪である。
今も人間を外から見た意見を出してきた。
博麗の巫女としては、その分類を決して忘れてはいけない。
忘れていて困る場面がほとんどないため、時々忘れるのだが。
まるで決してない。
「それで、何を買うつもりなの?」
「まだ決めていないわ。お店で実物を見てから選ぶわ」
「アリス。あんたなら魔理沙の好みくらい分かるでしょ」
「好みと、魔理沙の状況に適した食品は別よ」
ここで会話が止まった。
霊夢は前を歩きながら、次の話題を探した。
アリスの人形には興味がない。
魔法の話をされても、霊夢は細かな理屈を気にしない。家事の話なら多少はできるが、アリスは手順を守り、霊夢は勘で済ませるため、長く話すと互いのためにならない。
共通の話題は少なかった。
少し考えて、霊夢は気づいた。
魔理沙の話題なら、話が続く。
「あ、そうだ。魔理沙といえば。この前、うちに泊まっていったわよ」
隣で、アリスの肩がわずかに動いた。
「いつ?」
「五日くらい前」
アリスは正面を向いたまま渋い顔をした。
「夕方に来て、そのまま縁側で寝たの。夜には雨が降ったから、面倒になって泊まったみたい」
「そう」
「確か、あんたの家へ行く途中だって言ってたけど」
アリスが足を止めた。
周囲の人形も、きれいに同時停止する。
「私の家へ?」
「ええ」
「その日、魔理沙からは何も聞いていないわ」
「じゃあ、行くつもりだっただけかな?」
「なら、問題ないわ」
アリスは再び歩き出した。
「最初から存在しない予定が、本人の都合で消えただけだもの。私が知らなかった以上、何の問題もないわ」
「もしかして怒ってる?」
「誰が? 誰に? 一応、断っておくけど、あなたが泊めたことを責めているわけではないわよ」
「ああ、それはそうじゃないかなってわかってるけど」
「魔理沙が、行くと言っていない相手の家へ行く途中だったと言い、その途中で別の場所に泊まり、翌日には予定そのものを忘れていたとしても、魔理沙の問題でしょう」
「詳しく想像するほど怒ってない?」
「怒っていないわ」
アリスは、いつもより少し速く歩いている。
霊夢はその横へ並んだ。
やはり、もっと仲良くなりたいのに、魔理沙の行動が読めず、うまくできないでいるのだろう。
霊夢も魔理沙の考えていることは分からない。
でも、アリスに魔理沙の話題を出す時は、もう少し考えてから話そうと決める霊夢だった。
+ + + + + + + + +
三階の吹き抜けでは、期間限定の水着販売会が開かれていた。
白い床へ青い布が敷かれ海を模し、売場の周囲には人工の椰子と、空気で膨らませたイルカが置かれている。
上から吊るされた横断幕には、大きな文字で「サマー・リゾートフェア」と書かれていた。
「海へ行くためだけの衣服を、こんなに用意するのね」
アリスが通路側の水着を見て、足を緩め売場へ近づいた。
人形たちも後ろからついていく。
差し入れを買いに来たはずだったが、水着売場を通る必要はない。霊夢は少し待つことにした。
アリスが見ているのは、黒地に白い縁取りの入った水着だった。
上着は長袖で、胸元に小さな黄色い星が一つついている。派手すぎず、泳ぎやすそうな形だった。
「これ、魔理沙に似合うかしら」
「いや、差し入れには要らないでしょ」
「差し入れの話はしていないわ」
「え? じゃあ、何の話よ?」
「見て思っただけよ」
「ふ〜ん…………。買うの?」
「どうして私が買うのよ」
「魔理沙に似合うと思ったんでしょ」
「似合うと思うことと、本人へ買い与えることは別でしょう」
「本人を連れてくればいいじゃない」
「魔理沙を?」
「そう……ほら。泳ぎに誘えば、水着も必要になるでしょ」
完全に霊夢の思いつきだった。幻想郷に海はない。
泳ぐなら霧の湖となるだろう
アリスは黒い水着を見た。
「ねえ……誘って、来ると霊夢は思う?」
「うーん。そうね。来るんじゃない?」
「魔理沙が当日に別のことを思いつかなければね」
アリスは迷わず言った。どこか不満を噛み締めてる表情だ。
霊夢でも、水着を見ただけの会話がここまで魔理沙への不満へ戻るとは予想していなかった。
アリスは売場を離れた。
数歩進んだあと、一体の人形だけが売場へ残っていることに気づき、指を動かして呼び戻す。
未練があるのは人形ではなく、操っている方だろう。
霊夢は気がついても指摘しなかった。
+ + + + + + + + +
食料品売場では、霊夢とアリスの意見が最初から分かれた。
「おにぎりでいいでしょ」
「後から巻くのはダメ。海苔が落ちるわ。本の材質によっては剥がれなくなる」
「それならサンドイッチ」
「具材によっては水分が出る」
「パン」
「屑が出るわね。本が痛む原因になるわ」
「じゃあ何を食べさせるつもりなのよ」
「そうね、これ」
アリスが手に取ったのは、透明な容器へ入った一口大の巻き寿司だった。
蓋を閉められ、箸を使わず、箸を使ってもよく、手も汚れにくい。匂いの強い魚は入っていない。
「魔理沙は足りないって言うわよ」
「だから具材違いも買って、こちらも買う」
次に選んだのは、密封包装された鶏肉と野菜のサンドイッチだった。
「ああ、パチェと選べるようになるわね。でも、パン屑は?」
「こっちはしっとりしてるパンだから、乾いたパンより落ちにくいわ」
飲み物も、紙の容器ではなく、蓋を閉め直せるものが選ばれた。
パチュリーには無糖の紅茶。
魔理沙には甘い珈琲。
さらに水分補給用の飲料と、一口で食べられる栄養補助食品が籠へ入る。
「魔理沙、そんなに甘い珈琲が好きだったの?」
「苦いものを飲めないわけではないけれど、長時間作業するときは必ず魔理沙は糖分が入っている方を選ぶのよ」
「へえ……。よく見てるのね」
「な、何度か見ただけよ」
アリスは籠へ視線を落とした。
「それに魔理沙って……何を渡しても、自分で好きなようにするでしょう」
「ああ、そういえばそうね」
「珈琲を温めることもあるし、冷たいまま飲むこともある。砂糖を足す日もあれば、忘れることもある。自分で買ったのに、ほかの飲み物を選ぶこともあるわ」
「え? そうなの? …………あ、ああ。そっか。うん、そうね。本当によく見てるじゃない」
「ただの記憶力よ」
霊夢は、アリスがなぜ魔理沙ともっと普通に付き合えないのか、少し分かった気がした。
相手をよく見ているぶん、予想から外れたときのことまで考えてしまうのだ。
魔理沙を相手にする場合、予想が外れる可能性はかなり高い。
霊夢も覚えがある。
大当たりを狙って、外れを恐れて、慎重になればなるほど、動けなくなる仕組みだった。
+ + + + + + + + +
会計を終え、水着売場の前へ戻ったときだった。
アリスの肩へ座っていた人形が、急に顔を横へ向けた。
「どうしたの?」
アリスが尋ねる。
人形は、売場の端に並んだ浮き輪の陰を指した。
位置的に霊夢は何も見えない。
ただ、耳を澄ませると、売場の音楽の下に、かすかな泣き声が混じっていた。
「子供がいる?」
「そうみたいね」
二人で近づくと、黄色い帽子をかぶった女の子が、展示台の裏へしゃがみ込んでいた。
年齢は四、五歳ほどだろう。
両手で小さな鞄を抱え、泣き声を外へ出さないように唇を結んでいる。
アリスが一歩近づく。
女の子の肩が跳ねた。
アリスは止まった。
「ママとはぐれたの?」
女の子は答えなかった。
「一緒に来た人の名前は分かる?」
さらに小さくなる。
見ていられなくなった霊夢は、アリスの肩に手をおいた。
「ちょっとアリス」
「何?」
「聞き方が固い。目線が高い」
霊夢は女の子の前へしゃがんだ。
「お母さんと来たの?」
女の子が、わずかにうなずいた。
「いなくなっちゃった?」
もう一度うなずく。
「そっか。じゃあ、一緒に探しましょ。名前、言える?」
「……みお」
「みおちゃんね。私は霊夢。こっちはアリス」
アリスが少しだけ眉を動かした。
勝手に紹介したことへ抗議したいらしいが、子供の前なので黙っているようだった。
やっぱり優等生ね、と霊夢は認識を強固にした。
ただ、子供には弱い。ああ、魔理沙も子供だから、好きでも苦手なのかしら、と霊夢は合点が言った。
みおは霊夢を見て、次にアリスを見た。
最後に、アリスの周囲を浮いている人形へ視線を止める。
赤い服を着た一体が、ゆっくりと女の子の前へ降りた。
人形は小さな手を差し出した。
みおが泣くのをやめる。
「お人形さん?」
人形は返事をしなかった。
代わりに、差し出した手を一度動かした。
「この子も一緒に行くって」
アリスが言った。
みおは、ようやく立ち上がった。
「迷子なら、売場の人へ知らせるのが先ね」
霊夢が周囲を見回す。
「館内放送も使えるでしょう」
「私も探すわ」
「私たちまで動くと、入れ違いになるわよ」
「人形を動かすの」
アリスが指先を上げた。
周囲にいた人形たちが、一斉に散った。
売場の上へ二体。通路の左右へ三体。
残りは高さを変え、陳列棚の間を進んでいく。
「お母さんの服、覚えてる?」
アリスが尋ねた。
「しろ。あと、あおいかばん」
「髪は長い?」
「ながい」
「分かったわ」
アリスは人形たちへ追加の指示を送った。
霊夢は感心した。
迷子を見つけたら売場の担当者へ知らせ、子供をその場から大きく動かさず、保護者の特徴を確認する。
人形を十体近く無断で施設内へ展開する部分だけが、一般的な迷子対応と異なっていた。
こういうところを見ると、やはり妖怪である。
ただし、今は便利なので止める理由もなかった。
売場の店員が駆けつけ、事情を確認した。
「それでは、一階の案内所でお預かりします。保護者の方には、館内放送で――」
「ここにいた方がいいんじゃない?」
霊夢が聞いた。
「安全上、案内所で保護する決まりになっています。お名前は館内放送で直接呼ばず、保護者の方からお問い合わせいただいた際に、服装などを照合します」
「ちゃんとしてるのね」
「迷子を装った引き渡しを防ぐためです」
「なるほど」
みおは案内所へ行くと聞いて、再び不安そうな顔をした。
赤い服の人形が、抱えていた指を軽く引く。
「この子も来る?」
「ええ」
アリスが答えた。
「お母さんが見つかるまで、一緒にいるわ」
赤い人形が先に進み、みおがその後を歩く。
霊夢は隣へつき、アリスと店員が後ろから続いた。
吹き抜けの向こう側で、六人ほどの若者が一斉にこちらを見ていた。
手にはノートと携帯端末を持っている。
学生の調査か、よくある夏の販売会に関する聞き取りのバイトだろう。
迷子騒ぎで、若者たちもそれなりに気にしているのか?
若者たちはこっちを気にしているようだが、霊夢は気にしなかった。
+ + + + + + + + +
一階へ降りる途中で、人形の一体が戻ってきた。
青い服を着た人形だった。
アリスの耳元へ寄り、身振りで何かを伝える。
「見つけたわ」
「お母さん?」
「白い服に青い鞄。子供を探しながら、四階の店員へ話を聞いている」
アリスは青い人形へ指示を出した。
人形は来た方向へ戻っていく。
「ここへ連れてくるの?」
「ええ。人形を見てついてくるかは分からないけれど、店員も一緒なら説明できるでしょう」
「人形だけを見たら、普通はついてこないと思うわよ」
「あら、人間って意外とついてくるものよ」
「経験あるの?」
「似たようなことなら、昔に何度か」
それ以上、アリスは説明しなかった。
霊夢はふと思う。
アリスとて昔から優等生というわけではないだろう。
過去のどこかで、幻想郷で、森で、人間に敵意を持っていた時があるかもしれない。
そういう時、追い詰められた誰かを、人形で誘って──。
そんな疑いと仄暗い想像を霊夢がしたとき、エスカレーターを駆け下りてくる女性が見えた。
その前を、青い人形が飛んでいた。
「みお!」
「おかあさん!」
赤い人形は指から振り切るように手を放し、母親の腕へ飛び込む女の子を見送った。
何度も名前を呼び、怪我がないことを確かめる。それから霊夢たちへ向き直り、深く頭を下げた。
「本当に、ありがとうございます。少し目を離したあいだにいなくなってしまって……」
「見つかったならいいわ」
「このお人形が、私のところへ来てくれたんです。最初は売場の展示かと思ったんですけど、ついてきてって」
青い人形がアリスの肩へ戻った。
「それは私の人形よ」
「どうやって動いているんですか?」
「私が動かしているの」
「ドローンとか、遠隔操作ですか?」
「遠隔ではあるわね」
魔法による操作も、距離が離れていれば遠隔操作である。
店員は人形の背中へ操作装置がないか確認していたが、見つけられなかった。
「お人形さん、ありがとう」
みおが赤い人形へ言った。
人形は小さく頭を下げた。
みおも頭を下げる。
母親に手を引かれて離れていく途中、女の子は何度も振り返り、人形へ手を振っていた。
赤い人形も、見えなくなるまで手を振り返した。
「子供の相手、慣れてるのね」
「違うわ。私は最初、泣かせそうになったもの。見てたでしょ?」
「聞き方が固いのよ。迷子に事情聴取しても仕方ないでしょ」
「今後の参考にするわ」
アリスは素直に言った。
こういうところが優等生なのだ。
自分に足りないものを認め、必要なら他人から学ぶ。
魔理沙にも、この半分くらい素直さがあれば、アリスはもう少し楽になるだろう。
もっとも、魔理沙が素直になったところで、何を言い出すかは分からない。
「さあ、行きましょ。魔理沙のやつがお腹を空かせてまってるわ」
「お腹が空いてることにも気がついてないでしょうね。そして待ってもいないくせに、待ってましたって言うわ」
逐一、魔理沙への理解が深いな、と霊夢は肩で笑って足を幻想郷へ続く境界へ向けた。