ソードアート・オンライン~神速の剣帝~   作:エンジ

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マザーズロザリオ編
第一話 絶剣


俺は、昇りはじめた太陽の日差しによって目を覚ます。目の前には、久しぶりに見た茶色い自室の天井だ。俺は、上体を起こすが体中が痛い。

 

「じいちゃん、いくら何でもやりすぎだろ・・・・いててて」

 

俺は、思わず右肩をおさえる。なぜこんなことになったかというと一週間前、つまりキリトのためにエクスキャリバーをとった次の日から、俺は帰省することになった。なぜか、帰省するのは俺だけで妹の琴音と居候の聡は、用があるため帰省しなかった。俺は、仕方なく帰省すると待っていたのは、神社訪問などの楽しい行事ではなく、俺のお祖父さんによる厳しい修行だった。

なぜ修行することになったかというと、久しぶりに祖父さんと手合せしたところ、俺の剣術があまりにもひどすぎて「一から鍛錬じゃあ!」と言って勝手に始めてしまったのだ。

俺は、基本一刀流なのだが祖父さんは二刀流を主体としているため、<二刀流をマスターするための修行>になってしまっていた。

そして、このざまである。

 

「二刀流か・・・・別に使わないわけではないけど」

 

俺は、今ALOで二刀流の練習をしている。何故かというと、<戦闘に有利になる>からだ。俺は、今のスピードカウンター式に不満があるわけではない。むしろ、大好きだ。だが、二刀流をマスターすれば、カウンターの幅が大きくなるし、最大のメリットは<連撃数が増えること>だ。

刀は基本一発一発の威力が高い代わりに、連撃数が少ないという難点があった。かといってOSSで連撃数を増やしたソードスキルでも一撃の重みが弱くなり、結果的に合計ダメージ数は連撃が少ないときと大して変わらないという状況が起きてしまう。

そう言うこともあり、じいちゃんの修行はありがたいといえばありがたいということになる。

 

「・・・・今日は夜にダイブするかな」

 

俺はキリトたちと一週間あっていない。それにゲーム自体も一週間ぶりだ。ゲーム好きの俺にとっては苦痛の一週間であったが、ゲームができる喜び以上に体が疲労しきっていた。俺は、朝食をとるため一階に降りていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、一月六日午後五時半

 

俺は、二十二層にあるキリトとアスナのログハウスに来ていた。俺は、リーファの隣で読書をしていた。ゲームの中に入ってまで読書する必要はないのだが、やはり一人よりみんなでいたほうが楽しい。俺以外にも、リーファ、リズ、シリカ、コトネ、フライが来ている。リーファ、シリカ、コトネ、アスナの三人は冬休みの課題に没頭している。冬休み終了まであと三日なのに課題は終わっていないらしい。

 

「ほら、シリカちゃん。今寝ちゃうと夜眠れなくなるよー」

 

「うにゅ・・・・むにゃ・・・・」

 

「冬休みも後三日しかないんだよ。宿題頑張らないと」

 

「う・・・うう・・・・眠いです」

 

「・・・・なあ、コトネ。お前帰省しなかったのに何で課題が終わってないんだ?」

 

「こっちはこっちで忙しかったの!ね?フライ君」

 

「あはは、まあ忙しかったといえば忙しかったですけど」

 

「どうせ、年末年始のイベントかなんかだろ?こっちは大変だったっちゅうのに」

 

「そういえば、ラテンさん、実家に帰って何してたんですか?」

 

「・・・・・修行かな?」

 

「・・・・・」

 

リーファは、自分で訪ねといて無反応だ。なかなかひどい奴だ。

そう思い、シリカの方へ顔を向けると今にも寝そうな表情をしていた。

 

「もうすぐそのページも終わりじゃない。がんばって、やっつけちゃおう?」

 

「ふ・・・・ふぁい・・・」

 

「ちょっとこの部屋あったかすぎる?温度下げようか?」

 

「いえ、そーじゃなくて、アレのせいだと思いますよー」

 

「・・・・ああ、ナルホド・・・」

 

「・・・・あいつ、まだ課題終わってないんじゃなかったっけ」

 

リーファが指差す方向には、かつての英雄が眠っていた。あの世界でも、キリトは時間さえあればいつでも寝ていた。それを目撃すると、こちらにも少し眠気が襲ってきてしまう。先に言う、俺はノーマルだ。

 

「ちょっとアスナさん、自分が寝てますよ!あっリズさんまで!コトネも!」

 

シリカは、アスナの肩を揺らしながら眠りかけている女子を起こす。

アスナは慌てたように顔を上げるとアイテムストレージから七つのコップを取り出す。中には、いろいろな色の液体が入っている。俺はその一つを取り口につけると、何ともスパイスの効いたカレーの味がした。

 

「そういえば、さ」

 

リズが何かを思い出したように口を開く。

 

「アスナとラテンはもう聞いた?<ゼッケン>の話」

 

「ゼッケン?運動会でもするの?」

 

「さすがに違うだろアスナ。あれだよ、あれ、ストリートファイターみたいなやつ」

 

「それは<鉄拳>。<ゼッケン>は、絶対の絶にソードの剣と書いて、<絶剣>」

 

「絶・・・・剣。レアアイテムか何かか?」

 

「のんのん。人の名前よ。誰がつけたかわからないけど、ついたあだ名が<絶剣>。絶対無敵の剣、空前絶後の剣・・・・そんな意味だと思うけど」

 

あだ名か。俺にも一応あだ名がある。ブラッキー先生ことキリトは容姿からつけられたあだ名だが、俺は、名前からつけられた。<ラテン>が<ラテン語>ということにしてラテン語は、昔イタリアで使われていたため<イタリアン先生>などと言われている。もしくは、あまりにも速い斬撃から<神速の剣帝>なんていわれている。

まあ、主に使われているのは前者だが、それにしても・・・・・

 

「なんで、イタリアンなんだろうな~」

 

「え?なに?」

 

「いや、聞かなかったことにしてくれ」

 

「はいはい、でね絶剣はデュエル専門なのよ。二十四層のちょっと北にさ、でっかい樹が生えた観光スポットの小島があるじゃない。あそこの樹の根元に、午後三時になると現われて、立ち合い希望プレイヤーと一人ずつ対戦すんの」

 

「大会とか出てる奴か?」

 

「いや、まったくの新顔らしいよ。でもスキル数値は相当高そうだから、ほかのゲームからのコンバートじゃないかな。最初は掲示板に対戦者募集って書き込みがあってさ。三十人くらいが押し寄せたらしいんだけど・・・」

 

「返り討ち?」

 

「まさか、勝ったのか?」」

 

「全員、きれいにね。HP三割以上削れた人は一人もいなかった、ってゆーんだから相当だよね」

 

「ちょっと信じられませんよねー」

 

シリカは、アスナが出したフルーツタルトを食べながら割って入ってきた。

 

「シリカも対戦したのか?」

 

「まさか!観戦しただけで勝てないと確信しましたもん。ま、リズさんとリーファとコトネとフライ君はそれでも立ち会ったんですけどね。ほんと、ちゃれんじゃーですよね」

 

「うっさいなあ」

 

「何事も経験だもん」

 

「そうそう、リーファの言う通り」

 

リズとリーファとコトネは口をとがらせて言った。

 

「なあ、フライも負けたのか?」

 

「はい、負けました」

 

「お前、空中戦闘じゃユージーン将軍以外敵なしじゃん。それでもか?」

 

「はい、さすがにあの人は速すぎました。見てる限り、ラテンさんより速いかも」

 

「まじかよ・・・・」

 

フライが強いというんだから、間違いなくこの世界のトッププレイヤーにランクインしているだろう。

 

「でも、そんだけ強さを見せつけちゃうと、もう対戦希望者なんていなくなっちゃんたんじゃないの?辻デュエルはデスペナルティが相当だし」

 

「それがそうでもないんです。賭けネタが奮っているんですよ」

 

「レアアイテムか何かか?」

 

「アイテムじゃないんです。なんと、<オリジナル・ソードスキル>を賭けてあるんですよ。すっごい強い、必殺技級のやつ」

 

「OSSかぁー。何系?何連撃?」

 

「えーと、見たトコ片手剣系汎用ですね。なんとびっくり十一連撃ですよ」

 

「「十一!?」」

 

アスナは、口笛を鳴らす。それもそうだ、OSSを作るには気の遠くなるほどの努力が必要だ。作り方の手順は簡単であるが、技を登録するのはとても難しい。

なぜなら、重心移動や攻撃軌道は少しの無理があってはならず、その斬撃のスピードも完成版ソードスキルとほぼ同じにしなければならない。

つまり、一、二回でできるものではなく何度も反復練習を行って、動きを体にしみこませなければならない。

現在、最も連撃数が多いのはユージーン将軍の八連撃OSS、<ヴォルカニック・ブレイザー>だ。俺は、七連撃までしか開発していない。それをも上回るとは、たゆまない努力によって編み出したのだろう。

 

「ラテンはあまり興味がなさそうね」

 

「いやいや、はっきり言ってめっちゃ気になる。でもさ、俺は刀を使ってるし、OSSで構成されたスキルオーバーラップがあるからさ、使えそうにないかな」

 

「ふーん、まあ、あんたの技はチート級だもんね」

 

「それを言うならキリトもだろ?合計威力は俺のほうが上回ってるけど単発威力はキリトのほうが上回ってる」

 

「みんなはそのソードスキルを見たの?」

 

「のんのん。初日に演武として披露したみたいだけどそれ以来は使ってないみたいね」

 

「リーファやフライでも無理だったのか?」

 

「最後の最後までデフォルトで押し切られちゃいました」

 

「僕も同じです。素早い斬撃で押し切られてHP五割くらいしか減らせませんでした」

 

「へええ、種族とか、武装は?どんなの?」

 

「種族はインプですね。武器は片手剣ですけど、アスナさんのレイピアくらい細めです。通常攻撃もソードスキル並みの速さで目でも追えないくらいでした」

 

「スピード型かー。リーファちゃんにもフライ君にも見えないんじゃ、私にも勝機無しかな・・・・・・あ」

 

「動きのスピードなら、こことそこに反則級の人がいるじゃない。ラテン君は戦ってないみたいだけど、キリト君ならそういう話興味持ちそうだけど」

 

すると、俺とアスナ以外の奴らは顔を見合わせると急に笑い出した。

 

「ふふふ、もう戦ったんですよ、お兄ちゃん。そりゃもう、かっこよく負けました」

 

「まじか!?あのキリトが・・・・・?」

 

「はい」

 

「・・・・キリト君は本気だったの?」

 

「こう言っちゃなんだけど、あの次元の戦闘となると、わからないなあ。まあ、キリトは二刀じゃなかったしそういう意味では本気じゃないだろうけど」

 

「・・・・キリトはもう本気にはなれないかもな、俺もだけど」

 

「・・・・どうして?」

 

「必死で戦う理由がなくなったからな。あくまでゲームを楽しめばいい。ただそれだけだ」

 

「・・・・・」

 

アスナがだまる。先ほど言った通り俺は、SAOのように必死に戦うことはできない。もちろん、SAOの時の俺と今の俺とを比べたら、今の俺のほうが強いかもしれない。だが、死と隣り合わせだったあの世界では窮地に立った時に、自分の中に眠る潜在的能力がたびたび目覚めていたが、現実世界に戻ってからは、あの感覚を感じたことはない。そういう意味では、本気にはなれない。

 

「・・・・あとは、その絶剣さんとやらに直接聞いてみるしかない、かな」

 

俺が、考えている間に話は進行していたようだ。どうやら、アスナは絶剣と戦うらしい。

 

「ラテンは?」

 

「俺もやってみるぜ。何せキリトを倒した相手だからな」

 

「みんなは付き合ってくれる?」

 

「もちろんですよ!こんな名勝負、ぜったい見逃しません」

 

「勝負になるかわからないけど・・・・じゃ、決まりね。午後二時半にここ集合でいい?」

 

みんなは頷くと、それぞれログアウトしていった。

 

 

 

 

 

 




マザーズロザリオ編第一話どうでしょうか?まだ、ユウキは出てきていませんが次回から出てきます。マザーズロザリオ編は長く書くつもりです。

これからもこの作品をよろしくお願いします!!
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