どれだけの時間が経ったのかもわからない。
茫然自失という
答えを見つけたいわけではない。なぜか思考が巡り続けてしまっているのだ。
それは今まで関わった人間の生や死、欲望についてであったり。
また、己の〝鳥の王〟としての記憶の由来についてであったり。
あるいは古代王だった人物の本質についてであったり、等々。
答えや、それに近しい情報はきっといつも近くにあったのだろう。
しかし、アンクはそれらの横を全て素通りしてきてしまった。
我ながらまったくもって愚かしい。
そしてその答えの手前には必ず〝唯一の例外〟が佇んでいる気がするのだ。
常に横に居て、自分が苦しい時でも笑顔を絶やさなかった大馬鹿者が。
今では後光でも差しているのではないかと思うほど
そういう部分も含めて、アンクは改めて苦虫を嚙み潰す心情だった。
――ったく、反吐が出るぜ……。
そんな折、脳裏にザラついた気配がちらついた。
おぞましくも懐かしい、かつて戦友を蝕み、そして、今アンク自身が保管している
それは間違いなくかつての真木博士との一戦で砕け、消失したはずであったのだが、
本降りの雨の中、背後からやけにはっきり聴こえた『じゃり』という足音を合図に、アンクは舌打ちをする。その振り向き際、視線で相手の足元から顔に向かって抉り取るような強烈な睨みを効かせてやる。
「誰だ……お前は……」
ひとりの時間を邪魔され、怒気をこれでもかと発するアンクに対して、対象は
「これはこれはアンク様!
既知の友人にでもあったように親し気なテンションで紫色の化物は宣う。
ただ、アンクの知るグリードとは容姿がまるで違っていた。
かつて煮え湯を飲まされた〝恐竜グリード〟は、紫のコアメダル三種、すなわち恐竜メダルとも呼ばれる『プテラノドン』、『トリケラトプス』、『ティラノサウルス』から成立するグリードである。ただし、メダル自体に意志は無く、人間を宿主としてその欲望の器を溢れさせて暴走させた形態というのが本質である。
その姿は頭部にティラノサウルス、胴にトリケラトプス、肩にプテラノドンの意匠を備え、地上はおろか空中戦までそつなくこなせる戦闘的優位性を持ち合わせていた。変身した当の真木博士といえば、己の欲望と紫のコアメダルとの親和性故か、終ぞ暴走らしい暴走はしなかったものの、全てを犠牲にしてでも世界に『善き終末を』もたらそうとする執念は狂気の暴走とも言えなくはない。しかし、目の前にいるグリードの自我はそれとはまったく違う様子である。
ガメルほどではないが頑強な体躯をしており、頭部がトリケラトプスを模している。それどころか、胴、肩、腕、脚、
肝心の自我も、人間を取り込んでいるような暴走状態でもなければ、真木博士のような適合者らしい欲望も見えてこない。すなわち
「俺はお前に誰だと聞いたんだ。名前くらいあるだろ」
「いやはや、これは失礼いたしました。ワタクシは〝ギル〟の名を拝命しております。お察しの通り、紫のコアメダルに宿っている意志にございます」
その名に記憶はない。紫のコアメダルに意志が宿るとも聞いたことはない。
不可解で気に入らないことだらけだ、と、アンクは鼻を鳴らした。
「一応聞いてやる。そんな奴が俺に何の用だ?」
「お話が早くて助かります。アナタ様が抱えてらっしゃる紫のメダルを頂戴しに参りまし……」
言い終わる前にギルの足元が爆ぜ、雨を含んだ周囲の空気が一気に張りつめた。
アンクは人間の姿でありながら、特徴的な異形の右腕を突き出しながら告げる。
「悪いがよく聴こえなかった。さっさと帰れ」
「残念ですが、ご要望にはお応えできませんッ……!!」
次の瞬間には互いに光弾を放ち、中間距離で相殺、爆発する。
炎と氷、どうやら威力は互角といったところだろう。
アンクは五メートルほど後方に跳び退いて全身をグリード化する。
様子を伺おうとするも、その
「……ッ!!」
鋭利な角になっている部分だけは何とか
「逃げているだけではジリ貧ですよ!!」
こうも間合いを詰められては空に飛び立つこともままならず、つい舌打ちが漏れる。
執拗な突進を躱し、いなすが、こちらからの決定打が無い。
そうしている内にアンクは、いつの間にか近在の廃墟まで追い立てられていた。
「クソがッ……!!!」
苦し紛れに火炎弾を放つが、ギルはそれを羽虫でも払うかように弾き落とす。
仮にも完全体の攻撃を片手で無力化するその姿に、アンクは近々の敵以上の恐怖を感じていた。
「やはりアナタ様ではワタクシには敵わないようです。おとなしくメダルを渡していただきたい」
アンクにとって紫のコアメダルを抱えているメリットは皆無に等しい。
ただ、他のメダルの様に鴻上に回収されてまた何か起こされてもたまったものではないし、現存が三枚とは言えこれだけで充分脅威になるものである。使用者の居なくなったオーズドライバーも同様、戦闘力のある自分が持っていた方がタヌキに渡すより丸い、とアンクは考えていた。
事実、ピンポイントでギルが自分を襲いに来たということであれば、世界共々瀕死の鴻上ファウンデーションに致命傷を与えずに済んでいるということである。少なくとも現在は。
――これはひとつ貸しだぞ、鴻上。
アンクはこの己の危機的な状況を
この場は一旦逃げて、奇襲なり何なりと策を立てるべきだろう。
無策では敵わない。悔しさを歯噛みしつつ、アンクは現状を見定める。
廃墟の壁沿いに走りつつ、火炎弾を放って少しでも時間を稼ぐ。
ギルはそれを相変わらず弾き続けるが、そも有効打は必要ない。
距離が少しでも空けば飛び立って逃げれば良いのだ。
「さぁ、後がないようですが、次はいかがされますか?」
「……さぁ、どうだろうな!!」
従来より巨大な火炎弾、完全体ではないグリードであれば一時的にメダルに戻すだけの威力はあろうかというそれを瞬時に生成し、ギルに投げつける。これで一時的な隙は作れるだろう。
「ほぅ、これはこれは……」
致命傷にできなくとも、ダメージを与えて足止めできればいい。
発弾から敵に着弾する間際、アンクは飛び立つ。
奴は飛べない。あとは全速力で距離を離すだけだ。
そう思っていた。
「……ぁ……がっ!?」
漏れているのが自分のうめき声だと気付くのに、僅かな逡巡があった。
アンクは翼を貫かれ、気付けば壁に打ち付けられている。
ギルの左腕からガントレットのように伸びた角によって、虹色に輝く羽根とセルメダルが無惨に散らされていた。
奴の体勢からして、その後の衝撃は恐らく頭突きだろうか。
身動きが、取れない。
――読まれていた……? いやそれよりも、
「いやぁ、ワタクシが
「……ふ、ざけやがって……完全体じゃないなら、お前は一体何だって言うんだ」
精一杯の虚勢で悪態をつくが、アンクとしてもそれ以上に情報は欲しい。
完全体である自分を凌駕する強さは一体何なのか。教えてくれるというのなら聞いてやろうではないか。
「おや、まだお気付きになられませんか?」
ギルは空いている右手をひらひらと振って見せる。腹の立つ動きだ。
そもそもギルを構成しているメダルは本来消失しているはずの『トリケラトプス』のメダルのみである。
かつて真木と映司に散々ばら撒かれた気配だ。間違えるはずはない。
事実間違いはなかった、のだが。
表情の変わらないグリード体であるはずのアンクの顔が、一瞬青ざめる。
「お前、まさか……!?」
あり得ない、という言葉も、現状の支離滅裂っぷりを見れば霞むというものだ。
アンクを含む本来のグリードは、同系統の三種類のメダルを三枚ずつ揃えれば完全体となる。ところが、どうやら目の前のグリードは紫のコアメダルの中でも『トリケラトプス』のメダルのみで顕現しているらしいというのは、鉢合わせた当初から気付いていた。だからこそアンクはそこに勝機があると
「お気付きのようですね。ワタクシは『トリケラトプス』のメダルのみで構成された完全体。そうですねぇ、いわばグリードにおける『進化体』とでも申しましょうかね? どうです? 驚かれましたか?」
つまるところ、ギルは『トリケラトプス』のメダルを九枚揃えているというわけだ。
同じメダルはどう揃えても三枚のはずではないのか、誰かが紫のコアメダルを量産しているのか、古代王が復活した時に何かが狂ったのか……様々な考えがアンクの中を巡るが、全く意味が分からない。
「いやはや、お可哀そうに。混乱されるのも無理はない。ですが事実なのですよ」
「……その『進化体』様とやらが、どうしてまだメダルを集める?」
「必要だから、とだけ、申しておきましょうか。どの道、もうアナタ様には関係ないのですから」
左腕から伸ばした角を縮めつつ、アンクに近付くギル。
どうやら右腕でアンクの持つコアメダルを奪うつもりのようだ。
――だが、それでは手が空かないだろう?
ギルが右腕を構えた瞬間、性懲りもなくアンクは火炎弾を放つ。
無論それが通用するはずはない。だがまだ足掻く手はある。
顔に火炎弾を貰ったギルは臆することなく右腕を伸ばすが、それは虚しく空を切る。
「……何?」
アンクは瞬時にメダル化し、ギルの拘束を逃れる。
空中には逃れることは出来るが、それでも高速で移動できるわけではなかった。
「無駄なことを」
ギルはアンクのメダル群に追い付くと、右腕から伸ばした角でそれを弾く。
アンクはその瞬間に人間体として弾き落とされ、それと別に何かが地面に落ちた。
「ぐあぁッ……!」
アンクの目の先に落ちたそれは、かつて映司が使っていたオーズドライバー。
つい先日、ダジャドルコンボエタニティとして戦い抜き、戦友を共に看取った形見である。
アンクは不本意ながら、そのオーズドライバーに紫のコアメダル三枚を嵌め込んで保管していた。紫のコアメダルは長期間触れていると己が削られるようなピリつく感覚があるのだが、オーズドライバーに収まっている間はどうもおとなしい。形見にそんなものを入れるのは
地面に落ちたその、紫のコアメダル入りのオーズドライバーをひょいと拾い上げると、ギルは満足そうに宣う。
「いやいや、前座としては中々面白かったですよ、アンク様! ただの完全体のアナタ様がこんなにもワタクシの手を煩わせてくださるなんて! まったくもって素晴らしい!」
手を触れることもなく、オーズドライバーから紫のコアメダルが抜き取られた。
それを体内に取り込むわけでもなく、宙に遊ばせながらギルは
「……メダルは好きにしろ……だがドライバーは返せ!」
前座扱いされたことも忘れ、アンクは形見の返却を要求する。
「んん? これを返して欲しいと?」
ギルはオーズドライバーをこれ見よがしに指でつまんでぷらぷらさせている。
「……返……せ!」
地に伏せて呻くアンクに、ギルは面白がっているように近付いてしゃがみ込んだ。
ぷらぷらさせながら幾分考えているようで、顎に手を当てて唸っている。
暫く唸ったあと、あっけらかんと「いいでしょう!」と言い放つと、ギルはアンクの手がギリギリ届かない程度のところにオーズドライバーを雑に放り投げた。
「……貴様ッ!!」
「さぁ、お返しいたします。どうぞお持ち帰りください」
行動と裏腹な恭しい態度にアンクの調子は狂いっ放しである。
当然ただで返して貰えるとは思っていなかった。持ち帰れ、などと言っているが信用できたものではない。
アンクが落ちているオーズドライバーを拾うところまでを〝見世物〟として遊んでやろうという魂胆なのだろう。そしてその後にどうなるかなど火を見るより明らかだ。
だが……。
あのオーズドライバーを拾って消えるのであれば、先に逝った戦友に会えるのではないか? そんな考えがアンクを
こんな考えは、あってはならない。諦めの中の欲望など、妥協でしかないのだ。
だが、生命いのちあればこそ、それもまた良いのかとも、アンクは思う。
――こんな感じだったのか……なぁ、映司?
応えない戦友に問いながら、ジリジリとオーズドライバーに近付いていく。
近くではギルが満足そうに氷属性の光弾を練り上げている。
あれに触れればアンクのメダルは粉々に破壊されてしまうだろう。
実に惨めで無様だった。鳥の王として生まれた自分が地に伏して殺される。
だが、欲のまま存在し続けたグリードなど、こんな最期が似合いなのかもしれない。
グリード達はいつの時代も悲惨な最期を辿ってきた。自分もまた、同類なのだ。
アンクがやっとオーズドライバーに手が届こうとしたその瞬間に、それは来た。
「ではアンク様、崇高なる滅びをアナタ様に」
――何が崇高なる滅びだ、馬鹿らしい。
近付く光に為す術は無く、オーズドライバーには
――今そっち行くから、ちょっと待ってろ、映司。
眩い光に包まれ、アンクは目を瞑った。
激しい爆発音と共に光はかき消え、衝撃で立ち昇った土煙が周辺を覆う。
「……少々遊び過ぎましたか。まったく迂闊なことです!」
ギルの取り乱した声で周囲を見渡せば、土煙の中で見慣れない黒色のエネルギーシールドが弾けて消えた。どうやらこれがアンクを守ったということらしい。
「アナタ様方はどれだけワタクシ達の邪魔をすれば気が済むのですか。まったく俗悪な!」
ギルが言葉を投げた方を見れば、人影がふたつ。
ひとつは見慣れない、純白で覆われた全身にところどころ神々しい金と黒の装飾がなされた人物。オーズのような合理的なデザインとも、バース系統のような人工的なデザインとも違う、その仮面には金色の瞳が力強く輝いていた。鴻上製の新造仮面ライダーだろうか。そしてもうひとつの人影に、アンクの視線は釘付けになる。
「……お願い」
白い方の一言で、
「なッ! 速ッ……!」
ギルが言葉を紡ぎきる前に、鋭い爪がギルを荒々しく撫でていく。
と言ってもその威力は人口の構造物であればひと薙ぎにできる代物であり、火炎弾の通らなかったギルにすら明確なダメージを蓄積させる。
不意のダメージを負って防戦一方のギルだったが、敵の攻撃を腕の角で防ぎつつ体勢を立て直す。
「クッ……ならばこれでどうですッ!?」
ギルは周囲を覆うような大量の氷属性弾を生成すると、
「なんて数だ……」
オーズドライバーを抱えながら形勢を追うアンクの前に、白い方の人物が並び立った。
「ちょっと目を瞑ってて」
「……何?」
一瞬の逡巡の後、アンクは次に何が来るか理解した。
咄嗟の判断のため人間体のままであるが、腕で出来る限りの防御態勢を取る。
無数の氷の弾頭が
「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!」」
大地を揺るがすような雄叫びと、それに呼応する熱波と光が周囲を焼き焦がす。
降っていた雨すら一瞬止むほど広範囲に及ぶその威力は、勢いのままに大量の氷弾すら瞬時に蒸発させ、かき消していく。
アンクもよく知っている技だ。八百年前に古代王が使った時は本当に手が付けられなかった代物で、映司が初めて使った時ですら小さい川を一瞬干上がらせていた。
オーズが使う強力なメダルコンボのひとつ〝ラトラーター〟。
『ライオン』、『トラ』、『チーター』からなる猫型の獣王たるコンボである。
その傍若無人さは、消音高加速の脚、高威力の爪だけでは在りえない。最も厄介なのはその頭部から発せられる『ライオネルフラッシャー』と呼称される、太陽のような光と強力な熱波である。
「ぐあああああああああああッ!」
氷弾をかき消され、己も強烈な熱と光に晒されたギルは、地面を転がりながら自身の冷却を試みる。
アンクも多少のダメージを覚悟していたが、どうやらこの白い奴がさっきのエネルギーシールドを具現化していたらしく、今度はそれをドーム型に展開して身を守っていた。ついでに守られた形ではあるが、敵意は無いと見て良いらしい。
「き、今日のところはこれにて失礼いたします。またその内お目に掛かりましょう……」
やっとのことで起き上がったギルは、地面に拳を突き立て、空間に〝穴〟を穿った。
件の〝ラトラーター〟が追撃を掛けようとするも、白い方がそれを制する。
恐らくそれを確認するような状況ではなかったであろうギルは、そそくさと余裕もなさげに〝穴〟にその身を投じる。
その入り口は瞬時に閉じ、そこには焼け焦げた地面や戦闘痕だけが残っていた。
脅威は去り、アンクが口を開こうとした瞬間に、雨音が戻る。
アンクは一瞬呆気にとられるが、次の瞬間には顔を歪ませて自然と舌打ちが出ていた。その、どうやらいつもの調子に戻ったらしい様子を見て、白い方が口を開く。
「とりあえず建物の中に入ろっか。ちょっとアンクに肩貸してあげて?」
無言のまま〝ラトラーター〟は一瞬肩をすくめ、アンクを横から支え上げる。
間違いなく〝オーズ〟であり〝ラトラーター〟であるのだが、どうも様子が違う。
そして白い方の声、どうも聴き覚えがある。何なら数日前に会っているはずだが。
雨を凌げる適当な廃墟の中、適当な場所に腰掛けると、アンクはやっと口を開く。
「礼は言う。助かった。」
意外、という雰囲気で二人は顔を見合わせる。それがどこか気に食わなくてアンクはまた舌打ちをしてしまう。間違いなくこの二人はアンクを知っているし、アンクも恐らく、この二人を知っている。何となく、そういう認識があった。
「んで、この〝オーズ〟の中身は誰なんだ? 間違いなくこいつは映司じゃない、そうだろ?」
指をさされた〝オーズ〟はお手上げ、といったポーズで場を茶化す。
「茶化さないで。良いよ、変身解除して」
白い方に諭された〝オーズ〟がその変身を解くと、そこに現れたのは――。
「やぁ、久し振りかな? アンク」
キャップを被ったラフな格好と、何を考えているか分からない笑顔。
同類でありながら、いや、同類であるが故にお互いに決して気を許すことのなかった不倶戴天とも呼べる相手。
なるほど、納得はできた。先程見たラトラーターの戦い方は確かに〝完全体のそれ〟そのものだった。身体の使い方においては付け焼刃で使っていた映司の比ではない。己の身体を駆使する戦い方に実に慣れた身のこなしである。
「……カザリ、どうしてお前がオーズに?」
「それに関しては、
立てた親指をくいっと白い方に向けると、カザリは軽く首を傾げて見せた。
アンクは一旦立ち上がると、少しばかり
「どういうことか詳しく聞かせてもらおうか、
白い仮面ライダーが変身を解くと、アンクの察しの通り、泉比奈の姿があった。
数日前会った時とは服装も違えば雰囲気も若干違う様子である。
少なくとも、泥臭いレジスタンスに身を置いていた雰囲気ではない。
「そのために、ちょっと私たちの拠点まで来て欲しいんだけど、良い?」
やや緊張した面持ちで切り出す比奈。
それに対してアンクは高圧的に問う。
「その拠点とやら、ちゃんとアイスはあるんだろうな?」
その一言でふと、ピリついていた空気が解ける。
比奈は失笑し、アンクもつられて口角を上げ、カザリは肩をすくめる。
「あるよ、ちゃんとプレミアムなやつもね!」
び過ぎて地続きとは思えなかった世界で、アンクはやっと、かつての自分たちと何かが繋がっているらしいものを見つけた気がした。
よろしければ評価・感想いただければ励みになります。