レベル1のわんこプレイヤー   作:わんこ

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喧嘩祭りは花火のようにバラバラに

 

 

 

 

 オブジェかと思えたものが、実はプレイヤーで、殺気めいたオーラを漂わせながら傍に来た。

 エムルちゃんがその威圧感に震え、お兄ちゃんが冷や汗かきながら警戒している。

 

 お兄ちゃんほどのプレイスキルがあればどうにかなるかもしれないがレベル的に────確実に私達が敵う相手ではないプレイヤー、サイガ-0。

 

 お兄ちゃんの傍にきた鎧の武者が、小さく頭を下げたのだ。

 

 ピコンと音が響く。

 

 

「フレンド、だと……!?」

 

「んぇ」

 

 

 まさかあの呂布みたいなヤバいプレイヤーがお兄ちゃんにフレンド申請したってこと?

 私達のユニーク情報吐かせるために襲撃しに来たとかではなくて?

 

 お兄ちゃんも私と同じことを考えてるのか、なんともいえない雰囲気を漂わせていた。

 

 チラリと私を見たので頷いておく。

 どうせ「フレンド交換するべきか否か!? もし罠だったらどうする……いやだが、ここで断ると襲いかかってくる可能性も否定できん……!」とかなんとか考えてるに違いない。

 

 アイコンタクトをした私達兄妹にサイガ-0は何故か威圧感を強くする。

 

 

(こわい……)

 

 

 そんな怖い目でこっち見ても私何もできないよ。リルはただの幼女でレベル1だよ。

 そう伝えられたらいいけれど、何かを喋るにしても兄からでないといけない雰囲気が漂っていて無理。私もお兄ちゃんもコミュ力そんなに無いし。

 

 

「あの、その子は……」

 

「妹です」

 

「リアルバレ止めろおいこら」

 

「あっ、妹……シスター……なるほど……」

 

 

 

 殺気が薄まったが、それでも威圧感はまだ消えない。

 

 もはや自棄になったのか、賭けに出た兄が────おそらくフレンド申請許可を押そうとして。

 

 

 

「っ────」

 

 

 

 その不意打ちの剣にお兄ちゃんか気付いた。

 

 不意にお兄ちゃんが私たちを抱き上げて、その場から一気に後退する。

 

 

 

「避けんじゃねえよ雑魚が!!」

 

 

 レッドネーム輝く悪党。

 オルスロットと書かれたプレイヤーの背後からぞろぞろ出てくるプレイヤーキラー達。

 

 サイガ-0も警戒しているようなので罠ではないことが分かったが、お兄ちゃんの方を見ていて動かず。

 

 

「リスキルされたくなかったらそこのウサギ含めてユニーク全部吐いてもらおうか。野郎共、周り囲め!!」

 

「「「へい!!」」」

 

 

 

 なんかすごいテンプレ悪党。こういう奴らがリアルにいることに驚いたし、呆れた。

 

 

「……えらく台本通りの悪党してるじゃねえか」

 

「気合い入れてヒャッハーしてきたんじゃない?」

 

「ひゃっはーって何ですわ?」

 

「人を襲おうとして逆に襲われるギャグ系悪党のことだよエムルくん」

 

「つまり雑魚ということですわ」

 

 

「雑魚じゃねえよ!!!」

 

「ぴゃわ!?」

 

 

 エムルちゃんがお兄ちゃんの頭からずり落ちる。

 それを慌てて私がキャッチしたら隙が出来たと思ったのか、オルスロットがニヤリと笑った。

 

 

「野郎共やっちまえ!」

 

「「「うぉぉぉ!!!」」」

 

 

 飛び上がって襲いかかる者。一気に距離を詰める前衛。

 後方では魔法を使う奴らがいて、チームで私たちを襲おうとしてることが見てとれる。

 

 対するこちらは、介護要因たる足手まといが私とエムルちゃん。

 

 

 

(……これまずくない?)

 

 

 

 お兄ちゃんが舌打ちをしつつ武器を手に前へ出た。

 しかしそれより前に────襲いかかる輩を一振りで一掃する呂布もどき。

 

 

 

「────いいえ、させません。……させるものか」

 

 

 数多もの攻撃を一手に受けてなお余裕綽々とした様子で立つその姿はまさしく武人。

 

 サイガ-0の敵意は全て、奴らに向けられた。

 

 

 

「道を作ります。どうか逃げてください……そしてどうかおともだちに……ゴホッ……い、いえ。とにかく逃げて」

 

 

 

 威圧感に見合わず、サイガ-0の声は少し低めの声を意識している女の子そのもの。

 ロールプレイしているのが明らかなのに気付いたお兄ちゃんが、警戒から一転。

 

 

「俺らが無事に逃げたらフレンド交換しようぜ、サイガ-0さん」

 

「っ!」

 

「行くぞリル、エムル! 強行突破だ!!」

 

「結局こうなるんですわぁ!!」

 

「待てやてめえら────」

 

「駄目です。行かせませ……行かせない。私より一歩前へ出たら全員殺す。命が惜しいなら去れ!」

 

「ぐっ……クソがぁ!!!」

 

 

 

 オルスロット達がどうなったのかは見えず、走るお兄ちゃんに抱っこされたままの私はサードレマへ向けて前を警戒し続ける。

 

 

「お兄ちゃんこれどうするの! サードレマの途中から待ち伏せされてたんじゃ、たぶん町の中も────」

 

「いや、行ける!」

 

「私はラビッツ行けないよ!?」

 

「そのときはその時だ」

 

「ちょっとお兄ちゃん今面倒になったでしょ!?」

 

「ええいとにかく町に行ってから決めるぞ! ラビッツに出禁とはいえ、一瞬ぐらいなら行けるだろ!!」

 

「ぴえっ!? お父ちゃんに怒られるですわ!?」

 

「なぶり殺しにされたらまたリュカオーンになってお兄ちゃんを噛み殺してやる」

 

「ヘイヘイそん時はやり返してやるよ! ひとまず強行突破だ!」

 

 

「いいや、行かせないよ。革命騎士サンラクくん?」

 

「っ!」

 

 

 町の門までもうすぐだったというのに、その勢いは止まる。

 サイガさんには恐怖心、先ほどのオルスロットとかいう輩には軽い敵対、それとは全く違う、誰にも見せなかった最大級の警戒をお兄ちゃんはしている。

 

 つまり、目の前にいるプレイヤーはそれだけヤバい奴ということ。

 

 

「出たな鉛筆戦士」

 

「こらこら、その言い方はいただけないなぁ。そこにいる小さな子が私のことをモンスターだって勘違いしちゃうでしょう?」

 

 

 え、あれお姉ちゃんが人生を狂わせるぐらい熱狂して止まないトワ様じゃん。

 声もトワ様そっくり。これ本物?

 

 思わず彼女を見つめるけど、女神かと思えるような美人の微笑み攻撃をされてしまった。

 

 

 

「お兄ちゃんトワ様と知り合いなの?」

 

「止めろ。奴の前でお兄ちゃんと呼ぶな」

 

 

 

 小声で話し合う私達に気付いてるのかいないのか。

 

 

 

「ここでは鉛筆戦士じゃなくて、アーサー・ペンシルゴンって呼んでもらえるかな」

 

 

 

 武器を手にしたペンシルゴンが殺意を向けてきた。

 

 

 

(鉛筆戦士……? もしかして別ゲームでの知り合い?)

 

 お兄ちゃんに抱っこされつつ、目の前にて敵対してるペンシルゴンという人について考える。

 

 アーサー・ペンシルゴンという名の女性プレイヤー。

 ゲーム内ではアバターは何でも製作可能であり、芸能人の姿を模倣してプレイするスタイルだって存在することは分かっていたさ。

 

 何故彼女を天音永遠だと思えたのかについては、トワ様ファンたるお姉ちゃんから何度も番組出演した際の映像を見させられていたから声がそっくりだったから。

 数多ものNPCを作成し、その動き一つ一つのプログラムをするためにリアルの人間観察を怠らない私だから、彼女の動きにプロの所作が見られたことに気づいたこと。

 

 お兄ちゃんが本気で警戒し、対処しようと動いているのを見たからである。

 

 

「それにしても驚いたよ。あのクソゲー大好きなサンラクくんがシャンフロやっていただけじゃなく、余所のプレイヤー……それも女の子を大事に抱えて逃げるだなんてさ」

 

「ケッ、ユニークなけりゃあこんなガキ捨てるに決まってんだろ」

 

「んなっ──もがっ……」

 

 

 

 文句を言おうとした私の口を、お兄ちゃんが塞ぐ。

 別にお兄ちゃんとは呼んでいない。文句を言われるようなことを言ったのはお兄ちゃんのせいだ。

 

 ────それなのに、私の口を塞ぐ理由とは?

 

 兄が私とペンシルゴンが雑談するのすら防いだってことでは?

 それか時間稼ぎの邪魔するなってこと?

 

 

(お兄ちゃんはこっちを見ない。ずっとペンシルゴンさんを見てる……)

 

 

 つまり、兄はペンシルゴンさんが言外に警戒するべき対象だと教えてくれたようなもの。

 

 チラリとペンシルゴンの方を見たら、彼女は私をじっと見つめて微笑んだ。

 それにお兄ちゃんは無意識ながらに一瞬だけ、ギクリと身を固めたのだ。

 

 

「その子、よく似てるね。見た目じゃなくて性格が」

 

「あ? 何がだよ」

 

「ふーん。偶然なんだぁ」

 

「気持ち悪いぞペンシルゴン。意味深なこと言ってるつもりなら止めとけ。電波発生させてる不審者にしか見えねぇから」

 

「アッハッハッハッハ! ────ころそ」

 

「やってみろよ雑魚がよぉ!」

 

「雑魚は君でしょ! 低レベルのサンラクくんに言われたくないんだけど!」

 

 

 お姉ちゃんが愛して止まない天音永遠なら別にリアルに兄妹だってバレても嫌なことされないと思うけど、何故お兄ちゃんはそんなにも警戒を怠らないのか。

 

 とりあえず邪魔しないよう黙っておくか。手遅れならごめんねお兄ちゃん。

 

 

「それにしてもさぁ、ほんと、ユニーク関連独占はいただけないなぁ?」

 

「ユニーク発生させてないほど鈍いのが悪いだけでは? ……あっれぇ無言ってことは図星ですかぁ?」

 

「サンラクくんさぁ、わざと煽ってくる理由は分からないけど。一応伝えとくね」

 

 

 笑みを絶さない彼女の背後から出てくるはレッドネームのプレイヤー達。

 サードレマ門の奥から出てくるは野次馬根性かつ突撃してくる怖い顔したプレイヤー達。

 

 サイガさんとは全く違う、ペンシルゴンさんの戦力。

 

 

 

「君もう詰んでるから」

 

 

 

 それを見たお兄ちゃんが、私達を放り投げた。

 

 

 

 

「リル! エムル連れて避難してろ!」

 

「避難って何処に!?」

 

「か、囲まれましたわぁ!!?」

 

 

 レッドネームな方はお兄ちゃんに集まってきており、放り出された私達を囲うのは何故か「ウサギちゃんきゃわいい」「モフモフ……」「黒い子は……」「リルたんだぁ」「ワンピ」「スク水……」など、ぶつぶつ呟く変人共。

 

 ペンシルゴンが武器を振り回して攻撃し、それを避けつつ武器を構えたお兄ちゃんが冷や汗をかいて前を見ている。

 

 

「ユニーク独占してるサンラクくん達がサードレマへ来ることが分かっていれば、たーっくさんのユニーク知りたい人達がここに来るのは当然だよねぇ?」

 

「つまりユニーク皆無で憐れなゾンビの群れってこった」

 

 

 明らかに相手は高レベル。

 攻撃し、避けてを繰り返すけれどお兄ちゃんがそれに対応出来ているのはプレイヤースキルが異様に高いから。

 

 人数差が圧倒的に多いこの状況。しかも私達という弱みがある限り打破は難しいだろう。

 

 チラチラとこっちをみてるお兄ちゃんは、隙を見て私達を連れて逃げようとしている。でもそれをペンシルゴン達がことごとく止めていた。

 

 お兄ちゃんを殺そうと動いていた。

 

 

 

「ラピン、おにいち…サンラクのところへ手助けに行って!」

 

 

 

「黒のウォーパルバニーだぁ!」

 

「口に包丁加えてるかわいい~!」

 

 

 片腕のウォーパルバニーたるラピンを影から出した瞬間聞こえるは歓声。

 いつの間にか近づいたプレイヤーがエムルちゃんに手を伸ばしたため、必死に避ける。

 

 

「エムルちゃんどうにか逃げられる!?」

 

「む、無理ですわ……壁みたいに押し寄せてきて脱出不可能ですわぁ!」

 

 

 私はレベル1で、他の人より遅い。

 お兄ちゃんのところへ行ったラピンに守ってもらう必要がある。

 

 ────そういえば、ラピンが向かったらその分だけ人が減ったよね?

 あれ、向こうへ行ったプレイヤーがラピンを守ろうとしてない?

 

 歓声あがったってことは、動物好きってことか。

 

 

 

「ねぇお願い! ここにいるエムルちゃんはサンラクがいないと泣いちゃうの! それにラピン……向こうの黒兎もあのままだと死んじゃうかも! 助けたいなら私達に手を貸して!!」

 

「その前にもふらせて」

 

「あっ、はい」

 

「ちょっ、リルサン!?」

 

 

 思わず反射的に手放したエムルちゃんを抱き寄せた女性プレイヤーがとても見せられない顔をしてよだれ垂らしてモフモフしてる。

 それに「ずるいですよ園長!」「私にもモフモフさせて!」「エムルちゃんの毛並み!」「きゃわいー!」と凄まじい熱狂だ。

 

 

「たしゅけてほしいでしゅわわわわ!!!」

 

 

 

 エムルちゃんの悲鳴は聞こえないふりして、園長と呼ばれた女性を見る。

 

 

「あそこにいるウォーパルバニーと似た子を数匹。あと他にも動物をテイムしてるんだけど、助けてくれたら好きなだけモフモフさせてあげるよ」

 

「よろしくね、リルちゃん」

 

 

 即座に送られたフレンド申請。そこに書かれたメッセージは『最低1日1回はもふらせてね。ウォーパルバニーちゃん最高!!』という文字。

 それに変な顔しつつ私はYESの文字を押した。

 

 

「ひどい裏切りでしゅわぁぁぁ!!!」

 

 

 

 エムルちゃんの悲鳴が戦況覆しの合図となりお兄ちゃんへ加勢する。

 

 お兄ちゃんがそれに驚き、ペンシルゴン含めたレッドネーム達が舌打ちをして対応しているのが見えた。

 それをなんとか救い上げたけどもふもふさせられ過ぎて気絶してるエムルちゃんを抱えて見守る。

 

 

 

「リアルロリボイス」

 

「やはり造形神。動作も声も全てにおいて幼女」

 

「わんこ幼女」

 

「りるたんだぁ」

 

 

 

「はぇ」

 

 

 

 息の荒い様子。頬を赤らめこちらをじっとり観察する目線の数々。

 動物好きなプレイヤーが離れたことで残ったのは、もっとヤバい人達だった。

 

 

「リルちゃん」

 

「っ……は、はい。何ですか?」

 

 

 野郎共に囲まれてるため震えつつ、彼らを見上げながらも反射的に首を傾ける。

 それだけの反応に、彼らは何故か全員顔を上げて感激した様子だった。

 

 

「くぅぅ……!!」

 

「ロリボイス最高かよ」

 

「きゃわゆい」

 

「純白のワンピース絶対に似合う」

 

「ティーアスたんに匹敵する幼女っ……!」

 

 

「目が怖すぎですわ……」

 

 

 ほんとそれな。確かに私のボイスは前世でのかの有名なくぎゅうボイスだけれども。

 エムルちゃんの言葉に必死に頷きたくなる私だが、何をしても彼らは過剰反応しそうで怖い。

 

 先程までエムルちゃんの一挙一動に声をあげまくった動物好きクランみたいな。その対象が私に移っただけのような感覚。

 

 

『片腕のウォーパルバニーが破壊されました』

 

 

 えっ?

 

 

『影による補修を実行。片腕のウォーパルバニーが完全修復されるまで72時間かかります』

 

 

 ラピンが破壊された?

 完全修復ってことは、一応蘇生できるってことだよね?

 

 それに安堵しつつ、何が起きたのか分からない私は息の荒い彼らの足の隙間から見えるお兄ちゃん達の方を見た。

 何か増えてて、先程助けてくれたサイガ-0さんもいて、それでなんかお兄ちゃんがこちらへ来てるような……?

 

 

「エムル!」

 

「は、はいな!」 

 

 

 

 エムルちゃんが私の手から離れ、彼らの頭を足場に飛び上がり、お兄ちゃんの肩へ飛び移った。

 

 

「えっ、ちょっと!?」

 

「悪いなリル! あとは自分でどうにかしてくれ!」

 

 

 それってつまり、囮にするってことでは!?

 

 

 

「お、お兄ちゃんの馬鹿ぁぁぁ!!!」

 

 

 

 叫んでも何もかも遅く。

 兄はサードレマへ向かい、その背中は遠くなっていく。

 お兄ちゃんを追いかけるプレイヤーはいるが、サイガ-0に止められて、動物クランが壁になってくれたおかげで町の中へ入っていくのが見えた。見えてしまった。

 

 

 

「はわわ……」

 

 

 どうしよう。どうすればいいの!?

 ラピンがいない今、私には召喚出来る影はない。

 

 レベル1の私が逃げることなんて不可能。プレイヤーのエサになるしかない。リスキルされて情報吐かされ、嫌な思いをするしかない……!

 

 

「リルちゃん」

 

 

 

 震える私に近づくのは、プレイヤー名サバイバアル。そして同クランらしいレッドネームな息の荒いプレイヤー達。

 他のプレイヤーが近づこうとするがそれを阻止し、PKしてくる姿に涙目になって命乞いをしようと動く。

 

 

 

「俺たちのアイドルになってくれ」

 

 

 ────しかし、動くより先にサバイバアル達が土下座し、様々な服やアクセサリーをアイテム譲渡申請されたんだけど。えっ、なにこれ?

 

 彼らを見ると期待を込めた目で私をじっと見つめている。明らかに返事を待っているようだ。

 

 

 

「……こ、ここから自由に逃げられるなら考えます」

 

 

「野郎共! リルたんに手を貸せぇ!!」

 

「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」」」

 

 

 

 ────後々に聞いた話だが、私の姿はかの『ティーアス』をより幼くし、無垢な雰囲気を漂わせた奇跡の幼女として見られていたらしい。

 思わず我が儘を聞きたくなる可愛らしいロリボイス含め、小動物みたいな様子といい、その妹属性といい、作られた偽物には見えず、幼女を泣かせるわけにはいかないと立ち上がったとか。

 

 

(……逃げないと)

 

 

 助けてくれるのはありがたいが、それでも奴らは逃がすのを対価に、私に着せ替えアイドルを所望している様子。

 着せ替えは別にお姉ちゃんで慣れてるけど、それでもアイドルになるつもりはない。というか目立つの怖い。

 

 

 彼らには悪いけど逃げる一択。

 でもどうしたらいいのか。肝心の馬鹿兄が消えたので助けてくれる人いないし、明らかに知り合いっぽかったペンシルゴンはいつの間にか逃げたみたいだし。

 

 

『ユニークスキル「リュカオーン」は夜襲のリュカオーンによる許可がないと使用できません』

 

『影法師による使い魔は召喚されており、新しい使い魔の召喚はできません』

 

 

 んむむ、逃げられないかなぁ。頼むよリュカオーン。このままだと面倒なんだから助けてよ。

 

 

『ユニークスキル「リュカオーン」は夜襲のリュカオーンによる許可がないと使用できません』

 

『ユニークスキル「リュカオーン」は夜襲のリュカオーンによる許可がないと使用できません』

 

『ユニークスキル「リュカオーン」は夜襲のリュカオーンによる許可がないと使用できません』

 

 

 

『夜襲のリュカオーンにより「呪いの行使」が宣言されました』

 

 

『朝日を浴びる影は弱体化し、その身を縮ませる』

 

 

『168時間の間に一度、「リュカオーンの(ぶんしん)」へ変質しませ───』

 

 

 

 マジで!!?

 

 まさか応えてくれるとは思わず、身体が震えてしまった。

 

 

 

『夜襲のリュカオーンにより、その身体は喰われず』

 

 

『リュカオーンによる────』

 

 

 

 流石はリュカオーン! ありがとうリュカオーン!!

 

 

 

 

『ユニークスキル「リュカオーン」の許可がおりました』

 

 

『夜襲のリュカオーンより、身体の主導権が移ります』

 

 

 

 えっ。

 

 

 

『リュカオーンの分身(弱体化)へ変質します』

 

 

 

 ……えっ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 






リュカオーン「うるせえから影使わせてやる」


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