レベル1のわんこプレイヤー   作:わんこ

9 / 9
それはどうにも詰みなので

 

 

 

 

 

 

(酷い目に遭ったぁ……)

 

 

 現在隠れているのはサードレマの宿近く。

 プレイヤーが数多く動いているためお店の側面に置かれている荷物置き場となった場所に潜んでいるのだ。仔犬の姿で。身体を丸めてびくびくしつつも。

 

 ぴよぴよ。

 

 動くことがあまりにも遅く、きゃんきゃん鳴くことしか出来ないと思っていた私だけど、影から影へ移動することが出来ると知ってすぐさま行動を開始。

 プレイヤーの影から影へ飛び、そして門前の影に潜って反対側へ飛び出したのだ。

 

 ほんと、リュカオーンには感謝するしかないというかなんというか。

 

 ぴよぴよ。

 

 ────というか、仔犬の姿はいつまで続くんだろうか。

 元の姿に戻ったら速攻で宿に入ってリスポーン地点を更新し、ゲームからログアウトするというのにだ。

 

 ぴよぴよぴよぴよ。

 

 

「……きゃん」

 

 

 おそらくフレンドとなった園長さんが鬼メール仕掛けてきてるのだろう。バサバサと鳥が飛んでくるたびに影に隠れてはいないふりをする。

 そうすると不思議なことに鳥はぐるりと一周して私のことが追跡不可能となり、帰っていくのだ。

 

 でもこれ鳥のせいで追いかけられてる可能性あるよね?

 やっぱりフレンド解除するか。園長さんには悪いけど、私の身が危険だからしょうがない。

 

 たぶん仔犬の姿になって抱っこさせてとか鬼メールしてるとかなんだろうなぁ。

 いやもうほんと、無理なんだけどな。

 

 ひとまずフレンドを解除したらメール爆撃が止んだので一安心だけど。

 

 

(ログアウトしたらお兄ちゃんに仕返ししてやる)

 

 

 冷蔵庫にあるライオットブラットを全部誰かにあげてしまおうかと画策する。

 

 そうしているうちにまた誰か近づいてきた気配がしたため影に潜る。

 しかし、いつまで経っても遠ざからない。仕方なく私が移動しいなくなろうとして、気づいた。

 

 前足を動かしていつものように影にダイブしたいのに、影がない。

 

 

 ────あれ、荷物置き場の影と他の影が繋がってない?

 

 先程までは逃走手段として影がたくさんある場所に隠れていたつもりだった。

 でも今は、明るい。明るすぎる。

 

 

 誰かに影を消された?

 明かりか何かをつけた?

 

 

 おそるおそる荷台から顔を出して外へ出て、息をのんだ。

 逃げたいのに逃げられない。足が動かないほどのプレッシャーに襲われる。

 

 

 

「ハァイ、リルちゃん」

 

 

 ランタンを持ったペンシルゴンが、楽しそうに仔犬の私を抱き上げたのだ。

 

 

 

「ちょっとお話しよっか」

 

「きゅう……」

 

 

 

 

 

件名:不本意ながら飼い主が出来ました

差出人:瑠璃

宛先:お兄ちゃん

本文:可愛い妹のピンチなので至急添付した伝言のところに来るように。もし来なかったらリアルに襲撃かけるのでよろしく

 

 

 

「これでいいですか、ペンシルゴンさん」

 

「ええ、ありがとねリルちゃん」

 

「じゃあ私はこれで────」

 

「リルちゃん、お座り」

 

「アッハイ」

 

 

 ────君のお兄さんが来るまで待っててね。

 

 そんな風に命じられたせいで出るに出られなくなった蛇の林檎のお店。

 街中ではあるし、店長に頼み込んで上の部屋を貸してもらってなんとかセーブとログアウトは出来るようになったけれど、この店から出られなくなったのは事実。

 

 お兄ちゃんとは別ゲームで話をつけるといってたし、それまで時間はかかるはず。

 ログアウトしていったペンシルゴンさんとの約束は破るわけにはいかない。

 

 というか、町の外に出たら動物好きの変態とユニーク狙いの変態とロリコンの変態がうようよ潜んでるからね。ペンシルゴンさんもそこは分かってるからこそ私をここへ置いたのだろう。

 

 貸してもらった部屋でのんびりくつろぎつつ、棚にあるインテリアを軽く触る。

 

 

「どうしようねラピン」

 

「チッ」

 

「舌打ちしても出れないよ。ペンシルゴンさんに隔離してもらってるようなもんだからね」

 

 

 子犬から戻れたのは明るい太陽に照らされてダメージを負い、影が軽減されたせいか。

 どうにもペンシルゴンさんは私のユニーク職業か何かしらに用があるみたいだけど……。

 

 

「ひゃわっ!?」

 

 

 考えながら棚のお洒落な瓶に触ってたせいか、つい落としてしまい割れてしまった。

 どうしよう無一文みたいなもんだし、これ以上ペンシルゴンさんに借りを作るのは怖いし……!

 

 

「どうしようラピン!?」

 

「チッ」

 

「ふぇ────」

 

 

 ラピンが何故か、割れた瓶ごと影に戻っていく。

 

 

『聖なる翡翠(瓶)が影に吸収されました』

『リュカオーンの影が濃くなります』

『影により修正されたそれは、リュカオーンの分身に新たなる力を得ることになる────』

 

 

『聖なる翡翠(影)の複製に成功しました』

 

 

「えっ」

 

『影から取り出しますか?』

 

「えっ?」

 

 

 思わず反射的に取り出したるは黒くなってるけど割れてない瓶。ついでにラピンの持つ割れた瓶。

 つまり、二つに増えたということでは?

 

 

 ちょっと軽く確認すると割れてない瓶の隅っこに(影)の文字が。

 

 

「待ってまって……もしかしてこれ、回復用のアイテムとか……」

 

 

 恐る恐る足元の轟く影にアイテムの持つ手を突っ込んで見ると、リュカオーンへの吸収と複製成功。

 

 それぞれの手に持つのは、ちゃんとした回復アイテムたるポーションと、影により複製されたポーション。

 

 

「これもしかして使える……?」

 

 

 

 ラピンに頼んでちょっとだけダメージを作り、影のポーションを使ってみると普通に使えた。

 でも、影のアイテムからまた複製は出来ないらしい。何回か検証したけど無理だった。

 

 

 つまり、本物を一度影に入れたら一回だけ複製出来るということで……。

 

 

 

 

 やっぱりナーフされるべき案件じゃん!?

 

 

 

 

 

 

 





ちなみにこれはリュカオーンとも繋がっているため、複製された分だけリュカオーンの強化に繋がります。

つまりリュカオーン戦の難易度がやばいことになります。





ここから先は新しく書いていくので、のんびり書くつもりです。
面白いと思ってくれたら、高評価やお気に入り登録、感想などしてくれると嬉しいです!


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

野生児少女は魔法剣を使いたい(作者:とらいあ)(原作:シャングリラ・フロンティア)

そんなロールプレイをしています。(原作うろ覚えTS転生者より)


総合評価:1410/評価:8.67/連載:20話/更新日時:2026年05月28日(木) 20:02 小説情報

神ゲーなのに、今日も釣り日和(作者:ひよこ大福)(原作:シャングリラ・フロンティア)

幼馴染の一言をきっかけに始めた神ゲー――シャングリラ・フロンティア。▼だが幼馴染の朝倉湊の目的は攻略ではなく、暮らすこと。▼採取、釣り、料理、調薬。戦闘は最低限。▼のんびり過ごすはずだったゲーム世界は、気づけば少しずつ広がっていく。▼最前線を走る幼馴染の裏で、マイペースに遊ぶもう一人の物語。▼これは《えびす天丼》のスローな冒険記。


総合評価:458/評価:6.8/連載:41話/更新日時:2026年05月29日(金) 15:00 小説情報

レイドボスのお気に入り、神ゲーに行く(作者:伊夜 灯)(原作:シャングリラ・フロンティア)

辻斬り・狂想曲・オンライン、通称『幕末』のランカー堂々1位のレイドボス、ひいてはランカー全員のお気に入り。友達の誘いによって神ゲーにを始めることになった彼はそこで何を起こすのか。▼シャンフロもやります、幕末もやります。▼この作品は『シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜』の二次創作です▼


総合評価:479/評価:7.75/連載:14話/更新日時:2026年08月29日(土) 22:22 小説情報

転生フロムゲーマー、神ゲーに挑まんとす(作者:人外が着ているスーツ)(原作:シャングリラ・フロンティア)

ディスプレイを用いるゲームをレトロと呼び、今やフルダイブ型VRゲームが主流となった世界▼フロムゲーの概念自体が消えたためにフロゲニウムを摂取できない転生フロムゲーマーは、少しでも似た成分であるクソゲニウムを摂取する立派なクソゲーマーに変わっていた▼コレは、神ゲーの頂点にフロゲニウムを求め、神ゲーに挑む転生フロムゲーマーのお話▼


総合評価:488/評価:8.43/連載:5話/更新日時:2026年07月05日(日) 11:33 小説情報

シャングリラ・フロンティア 〜神ゲーのモンスター共を天誅しに参ります〜(作者:YY:10-0-1-2)(原作:シャングリラ・フロンティア)

▼ 世に100の神ゲーあれば、世に1000のクソゲーが存在する。▼ だが、そんなクソゲーの中でも、本人にとっては『神ゲー』になる可能性もある。▼ これは、『辻斬・狂想曲:オンライン』……通称『幕末』をこよなく愛し、そして、神ゲー『シャングリラ・フロンティア』のモンスターを天誅しに参る、青年のお話である。▼※設定ガバガバです。▼※ヒロインはペンシルゴンです。▼…


総合評価:2031/評価:8.69/連載:114話/更新日時:2026年08月19日(水) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>