機動戦士ガンダムSEED RE:SONANCE ―星巡りのルナと換装の呪縛―   作:マキ

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前回の『第8話:【Core】暗躍の海原』では、南太平洋の旧資源採掘プラントにて、ザフトのアルヴァレス隊による猛攻を受けながらも、ルナはU7ライフルで外壁を破壊して『マーキュリーアーマー』の回収を果たしました。
【あらすじ】
水中戦用機体『メルクワンガンダム』へと合体を果したルナ。それまでの水圧の苦しみから解放されると同時に、彼女の精神は【静かなる狂気・冷酷な捕食者】へと強制遷移する。ハイドロ・スラスターによる圧巻の機動性と、ブレードフィンザンバー、そして水中用ビットを駆使し、襲い来るザフトのゾノやグーンを冷え切った嘲笑とともに「狩り」始めていく――。


第9話【Mercuone】深海の水脈 ―冷え切った嘲笑―

「……機体制御、完全同調。これより、排除行動に移ります」

マリンブルーの装甲を纏ったメルクワンガンダムのコックピット内で、ルナのディープブルーの瞳が冷たく冴え渡る。いや、それは冷徹というよりも、どこか命を奪うことを愉しむような、静かな狂気を孕んでいた。首元のチョーカーの警告赤光は静かな青へと戻り、脳を苛んでいた水圧の恐怖は消え去っていた。

コアガンダムのビームスプレーガンを核として、メルクワンの強化パーツが水中でガシィンと強固に噛み合う。ビルドアップされたウォーターニードルガンが、深海の暗闇で鈍い光を放った。

「な、何なんだあの機体は……! さっきのやつとはカラーリングも形状も違うぞ!?」

敵のゾノのパイロットが通信回線で驚愕の声を上げる。先ほどまで水圧に押し潰されかけていた哀れな獲物が、一瞬にして深海の捕食者へと変貌したのだ。恐怖を振り払うように、グーン2機が左右からフォノンメーザー砲を連射する。

しかし、メルクワンのハイドロ・スラスターが爆発的な推進力を生み出した。

シュウゥゥゥンッ!

水の抵抗をゼロにするOSの演算により、メルクワンガンダムは水流を文字通り滑るように横ステップを踏み、フォノンメーザーの光条を紙一重で回避した。その速度は地上の高速機動と何ら変わらない。

「速い……っ!?」

驚愕するグーンの懐へ、メルクワンが一瞬で肉薄する。ルナは背中にマウントされた2振の近接ブレードフィンザンバーを滑らかに引き抜いた。

「終わりです。さようなら」

ザシュッ!!!

水流を切り裂く高周波の刃が、すれ違いざまにグーンの巨体を両断する。深海の圧力によってザフト機は内部から爆縮を起こし、一瞬の泡となって消え去った。

「うわぁぁぁぁぁ! 化け物め!」

残されたゾノが、巨大な格闘用クローを振りかざして突進してくる。水中でまともにぶつかれば質量差で押し潰される間合い。だが、ルナの表情はぴくりとも動かないどころか、クスクスと低く笑い声を漏らした。

「ふふ、大きな体で突撃するだけなんて……本当に鬱陶しいですね」

ルナがウォーターニードルガンのトリガーを浅く引くと、銃身にマウントされていた2基の水中用ビットがハイドロ・ジェットを噴射して分離した。ビットはゾノの死角を鋭い軌道で回り込み、その背部スラスターへと、まるでコバンザメのようにガチリと強引に張り付いた。

「何だこれ!? 機体が勝手に――うわあああ!?」

ルナの遠隔操作により、ゾノに張り付いたビットの推進器が逆向きに最大出力で強制点火される。凄まじい逆噴射の推進力を浴びせられたゾノは、推進バランスを完全に破壊され、独楽(コマ)のように激しく回転しながら海底の泥へと猛スピードで引きずり落とされた。

制御を失い、海底の岩盤に激激突して動けないゾノ。その頭上へ、メルクワンガンダムが静かに降下する。ルナはウォーターニードルガンの照準を、無防備な敵のコックピットハッチへと正確に定めた。

「これで、沈みなさい」

トリガーが深く引かれる。スプレーガンから増幅された高圧のウォーターニードルが超音速で射出され、水の壁を突き破ってゾノの装甲を容赦なく撃ち抜いた。

ゴォォ……と激しい泡を立てて沈黙するザフト部隊。深海には、再び冷たい静寂が戻っていた。

「マーキュリーアーマーの回収、および周辺の脅威排除を完了」

冷酷な笑みを収め、ルナは潜航艇へと帰還の進路を取る。しかしその時、コアガンダムの中央データバンクが、大気圏を越えて届いた極微弱な暗号バルスを受信した。

画面に表示されたのは、燃え盛る大地、北アフリカの砂漠地帯。そこには、赤く熱い輝きを放つ「次なるアーマー」の咆哮が刻まれていた。




第9話をお読みいただき、ありがとうございました! 今回は覚醒したメルクワンガンダムによる、深海での圧倒的な無双と「狩り」を描きました! 水中ビットを直接敵に張り付けて強制逆噴射させるトリッキーな戦術や、ブレードフィンザンバーの一閃、そして何よりメルクワンと同調して「冷え切った嘲笑」を浮かべるルナの狂気的な強さを楽しんでいただけましたら幸いです。 無事にマーキュリーアーマーを回収したルナ。しかし戦闘後、コアガンダムの受信システムが捉えたのは、燃え盛る北アフリカの砂漠――彼女自身が眠っていた「あの原点の地」から放たれる、次なるアーマー『マーズアーマー』の赤き咆哮でした。もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ぜひページの評価(★)や感想、お気に入り登録をよろしくお願いします!皆さんの応援が執筆の大きな励みになります。 次回『第10話:【Earthly】灼熱の残光』もお楽しみに!
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