機動戦士ガンダムSEED RE:SONANCE ―星巡りのルナと換装の呪縛―   作:マキ

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前回の『第9話:【Mercuone】深海の水脈 ―冷え切った嘲笑―』では、覚醒した『メルクワンガンダム』の圧巻の機動性と水中ビット、高周波ブレードでザフトのアルヴァレス隊を粉砕したルナ。
【あらすじ】
南太平洋での激闘を終え、モルゲンレーテへと戻ったルナ。コアガンダムの受信システムが捉えたのは、彼女がかつて倒れ、アークエンジェルに回収されたエリア――『北アフリカの旧演習場』だった。砂漠の虎(バルトフェルド)が去り、ハイエナたちが争う無法地帯と化したその地の地下に眠る『近接格闘戦用マーズアーマー』。アースリィの足を取られる砂漠の地形を、リアクターコアハンガーによる空中飛行で克服したルナは、過去のトラウマが眠る熱砂の大地へと再び降り立つ――。


第10話【Earthly】灼熱の残光

南太平洋の深海からオーブへと帰還したルナを待っていたのは、過熱していく世界情勢の裏で取り残された、かつての戦場の傷跡だった。マーキュリーアーマーを解除した彼女の精神は、再び他者を激しく拒絶し、孤独に身を震わせる素体状態へと戻っていた。

「北アフリカの旧演習場……。あそこは……」

モルゲンレーテの私室で水もつけずに適合薬の錠剤を喉の奥へ押し込み、薬の強力な副作用による強烈な眩暈を指で堪えながら、ルナはエリカ・シモンズが提示した情報を見つめていた。、ルナはエリカ・シモンズが提示した情報を見つめていた。画面に映し出された見覚えのある砂漠の座標。そこはコズミック・イラ71年2月、ルナが度重なる実験や模擬戦の末にザフトのバクゥ強襲に遭い、最後はパワーダウンして動けなくなった、あのエリアだった。あの日、動けなくなった自分をリアクターコアハンガーが引きずって移動させ、最終的にアークエンジェルに回収されたのだ。

「ええ、あなたの言う通りよ。砂漠の虎が敗れてザフトが撤退した今、あの演習場跡地は完全に権力の空白地帯になっているわ。皮肉なことに、あの日あなたが残していったアースリィの稼働データや兵器の残骸を狙って、地球連合軍の敗残兵や武装したタチの悪いスクラップ屋が入り乱れて小競り合いを繰り返している無法地帯よ」

エリカは複雑に明滅するマップの一角を指し示す。ルナが力尽きた演習場のさらに奥地、かつて連合が極秘裏に構築していた秘密地下テストドック。

「そこに、局地戦用陸戦外装マーズアーマーの固有バルスが確認されたの。今は完全に打ち捨てられたドックだけれど、目を付けたハイエナどもが周囲をうろついているはずよ。ルナ、あの砂漠はアースリィでも足を取られるわ」

ルナはエリカの言葉を遮るように、膝を抱えながら淡々と言い放った。誰の助けも借りず、あの忌まわしい過去の地へと一人でカタをつけるために。

「想定内です。……今までの実験データや実戦データで、リアクターコアハンガーがアースリィを牽引できるだけの推力を持っていることは完全に実証済みです。今回は最初からハンガーに機体をぶら下げさせ、飛行状態を維持します。そうすれば、砂漠の砂を完全に無視して立体的な立ち回りが可能です」 「……相変わらず過去の限界データまで平然と戦術に組み込む子ね。いいわ、現地までの足は手配するけれど、くれぐれも無茶はしないでね」

数日後。熱砂が吹き荒れ、陽炎が視界を歪める北アフリカの砂漠地帯。

ルナは再びアースアーマーを纏い(アースリィの冷徹兵器モード)、因縁の大地へと臨んでいた。しかしその足は砂を掴んでいない。随伴するリアクターコアハンガーに機体をぶら下げさせ、砂丘の数十メートル上空を飛行していた。背中には、あの圧倒的な火力を誇るビームシュートライフルU7のドッキングパーツが背負われている。

ピピッ、とコックピットの警告音が鳴る。

『警告:前方より高速接近する熱源3。識別――ジン1機、バクゥ2機』

かつての戦場の遺物を漁るハイエナたちが、接近するアースリィガンダムを敵対勢力とみなして迎撃に動いたのだ。

「来ましたか……。排除コードを並列実行します」

ルナはチョーカーの冷たい感触を確かめ、ビームライフルのグリップを握り直した。

「ハンガー、推力維持。このまま上空から迎撃します」

かつて自分が力尽き、アークエンジェルと出会った燃え盛る砂の海を、今度は空中から冷徹に見下ろすアースリィガンダム。次なる赤い外装マーズアーマーを回収し、彼女の精神が『紅蓮の激情』へと塗り替えられる戦いが、すぐそこまで迫っていた。

 




第10話をお読みいただき、ありがとうございました! 今回はルナの原点である『北アフリカ旧演習場』への帰還と、かつて自分を引きずって移動させたハンガーの推力を利用して「空中から砂漠を攻める」という、ルナらしい冷徹で知的な戦術を描きました! 第1話でルナを機能停止に追い込んだ因縁の相手・バクゥ、そしてジンの急襲を受け、かつての燃え盛る大地で再び火蓋を切られた戦い。 地下に眠る赤きアーマー『マーズアーマー』を前に、ルナの精神が『紅蓮の激情』へと解き放たれる瞬間をぜひ楽しみにしていてください! もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ぜひページの評価(★)や感想、お気に入り登録をよろしくお願いします!皆さんの応援が執筆の大きな励みになります。 次回『第11話:【Marsfour】赤き爪痕 ―無慈悲な斬撃―』もお楽しみに!
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