機動戦士ガンダムSEED RE:SONANCE ―星巡りのルナと換装の呪縛―   作:マキ

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前回の『第11話:【Marsfour】赤き爪痕 ―無慈悲な斬撃―』では、北アフリカの旧地下ドックにて『マーズアーマー』を奪還。近接格闘仕様『マーズフォーガンダム』へと姿を変え、重実体剣の圧倒的なパワーでザフトのMS群を一刀両断しました。
【あらすじ】
南太平洋、北アフリカと過酷な連戦を乗り越えてきたルナ。統合されたマーズアーマーのシステムが、地球上で最後となる外装『ヴィーナスアーマー』のシグナルを捉える。しかし、その発信源は地球連合軍の絶対防衛圏『ビクトリア基地』だった。要塞への対抗策に、ルナが打ち出したのは使い捨て通信増幅ユニットによる遠隔強攻策で――。


第12話【Core】強襲の要塞

モルゲンレーテの暗い私室のなか、ルナはこめかみを指で強く押さえていた。

連続する激闘の疲労と、適合薬の副作用による強い眩暈が視界を不規則に揺らす。だが、彼女の瞳に宿る光だけは、決して衰えていなかった。

コンソールに表示された地球儀のホログラム。その中央、アフリカ東部の赤道直下に位置するポイントが、鮮烈な光を放ちながら明滅している。

『識別シグナル受信:地球連合軍・ビクトリア基地。――重火力外装ヴィーナスアーマー』

地球上で最後となるアーマーの存在を、マーズアーマーを統合したコアガンダムの長距離通信システムが正確に捉えていた。

「ビクトリア基地……地球連合の宇宙への心臓部ね」

「正気なの、ルナ?」

静かにドアが開き、部屋に入ってきたエリカ・シモンズが険しい表情で画面を見つめた。

「あそこは巨大マスドライバー『ハビリス』を擁する連合軍の絶対防衛圏よ。無数のストライクダガーと要塞砲が隙間なく配置されている。いくら新しいアーマーを手に入れたとしても、単身で殴り込みをかけるなんて自殺行為よ」

「真正面から基地を攻め落とすつもりはありません」

ルナは椅子から立ち上がると、コンソールの画面を拡大した。

「コアガンダムの固有シグナルの送受信範囲は、通常ならわずか1kmしかありません。ですが――今回はこの『外付けの使い捨て通信増幅ユニット』を使います」

ルナは調整中の拡張ユニットの設計図を画面に呼び出した。

「このユニットで9割のエネルギーを一度に発振し、通信範囲を数十kmにまで一気にブーストします。基地の外郭から十分離れた安全な死角に潜伏し、数十kmの距離から地下深くのヴィーナスアーマーへ直接、同調信号――『バースト・シグナル』を叩き込みます」

エリカが息を呑む。

「……地下深くに眠るヴィーナスアーマーを、遠隔で強制起動させるというの?」

「はい。呼応したアーマーが自律飛行で飛び出してきたところを上空で回収し、即座にドッキング。そのまま重火力で包囲を突破して離脱します。これが私の立てた『強攻回収作戦』です」

「危険すぎるわ!」

エリカは強く首を振った。

「数十km離れているとはいえ、要塞の地下ドックを貫通するほどの高出力パルスを放てば、あなたの位置は基地の広域レーダーに一瞬で特定されるのよ? 使い捨てユニットが焼き切れれば再送信は効かないし、アーマーが到達するまでの間、あなたは迫り来る基地の追撃部隊をたった1機で凌がなきゃいけないのよ!」

「分かっています」

ルナは首元のコントロールチョーカーにそっと触れ、エリカのまっすぐな懸念を受け止めるように頷いた。

「ですが、すべてのアーマーを揃えなければ、私は自分のミッションを完遂できません。……心配はいりません。確実にやり遂げてみせます」

静かだが、決して揺らぐことのない決意。それ以上の制止が無意味であることを悟ったエリカは、深く息を吐くと、黙ってハッチへのパスコードを解放した。

「……無事で戻りなさい。いいわね」

「感謝します、シモンズ技師」

――数時間後。

夜明け前の静寂に包まれたアフリカ大陸。ビクトリア湖畔の鬱蒼とした熱帯雨林――ビクトリア基地から数十km離れた死角となるポイントへ、コアガンダムは静かに滑り込んでいた。

遠く地平線の彼方、夜霧の向こうには、空を突き刺す巨大マスドライバー『ハビリス』のシルエットがかすかにそびえている。

ルナは深く息を整え、操縦桿を握り直した。

コアガンダムのバックパックに装着された外付け通信増幅ユニットが過熱音を上げ、コンソール中央に『SIGNAL START』の文字が浮かび上がる。

「……来なさい、ヴィーナス」

ルナの指が、キーを強く押し込んだ。

バチチチッ!

増幅ユニットから放たれた強烈な不可視の指向性バースト・シグナルが、数十km先の要塞の地底へと一直線に突き刺さる。限界を超えた高出力を叩き出した増幅ユニットは火花を散らして焼き付き、ガラガラと音を立ててパージされた。同時にコアガンダムのエネルギーゲージが一気に跳ね上がり、PS装甲維持の危険域を示すイエローアラートが点滅する。

ズウゥゥゥン……!

直後、数十km離れたビクトリア基地の方向から、地鳴りのような重低音の咆哮が響き渡り始めた――。 




第12話をお読みいただき、ありがとうございました! 今回は、本来1kmしか届かないシグナルを「使い捨て通信増幅ユニット」で数十kmまでブーストし、ビクトリア基地へ『バースト・シグナル』を撃ち込む遠距離強攻作戦を描きました。 エリカの懸念を受け止めつつも、緻密な計算と決意で任務に挑むルナの姿を楽しんでいただけましたら幸いです。 信号を打ち込んだことで基地に位置が露見し、追撃部隊が押し寄せるなか、地底から飛び出そうとする最後の重火力アーマー!もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ぜひページの評価(★)や感想、お気に入り登録をよろしくお願いします!皆さんの応援が執筆の大きな励みになります。次回『第13話:【Veetwo】氷晶の爆炎』でお会いしましょう!
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