機動戦士ガンダムSEED RE:SONANCE ―星巡りのルナと換装の呪縛― 作:マキ
【あらすじ】
バクゥやジンの迎撃をかわし、旧演習場の崩落した地下テストドックへダイブしたルナ。そこで眠っていた赤き外装『マーズアーマー』とドッキングを果たし、近接格闘仕様『マーズフォーガンダム』が覚醒する! 彼女の精神が【狂暴なる闘争心・赤き破壊者】へと塗り替えられる中、二刀流の重実体剣がザフトのMS群を無慈悲に切り裂いていく。しかし、地下での大爆発の激音が、地上に潜むさらなるハイエナどもを引き寄せてしまい――!?
ハンガーの噴射煙を曳きながら、上空のアースリィガンダムはビームライフルを連射した。
青い光条が砂丘を穿ち、跳ね回るバクゥの脚元を崩す。だが、ザフトのハイエナどもも引き下がりはしなかった。
「上だ! 空を飛んでやがる! ミサイルで叩き落とせ!」
バクゥの背部240mm2連装ミサイルポッドから、無数の対空ミサイルが煙を引いて射出される。さらに後方のジンが重突撃機砲を打ち上げてきた。
「チッ……鬱陶しい!」
ルナは即座に判断した。砂漠の上空では障害物がなく、的になるだけだ。彼女はハンガーの懸架ロックを一部解除し、機体を急降下させた。狙うは、砂に半分埋もれた旧演習場の天窓(ハッチ)の破片。
ズドォォン!
アースリィはガラスと金属の割れ目を突き破り、薄暗い地下テストドックへと強行ダイブした。後を追うように、バクゥ2機とジンが崩落した天井の穴から雪崩れ込んでくる。
「逃がすかよ! 狭い地下なら逃げ場は――」
ジンのパイロットの叫びは、地下ドックの奥深くから放たれた赤き眩光によって掻き消された。
ドックの格納庫の中央。そこに打ち捨てられていた赤き武具――『マーズアーマー』が、接近したコアガンダムの固有バルスと同調し、咆哮のような稼働音を上げたのだ。
「コアチェンジ、アースtoマーズ」
アースアーマーの各パーツが瞬時にパージされ、マーズがついていたハンガーがそれと合体し突入したところから離脱していった。分離したコアガンダムの四肢へ、ハンガーから解放されたマーズアーマーのパーツが次々と引き込まれ、合体していく。
ガシィィン! ガシィィン!
鮮烈なクリムゾンレッドのフェイズシフト装甲が四肢を覆う。それと同時に、ルナの脳波と同調したシステムが、彼女の精神を【狂暴なる闘争心・赤き破壊者(マーズフォーモード)】へと強引に塗り替えた。
首元のコントロールチョーカーが脈打つような熱い赤に発光する。ルナの瞳から冷徹さが消え、燃え盛るような狂気が宿った。
「ふはっ……くははは! 私の邪魔をする虫ケラどもが……! 残らず細切れにしてあげるわ!!」
マーズフォーガンダムが背中にマウントされた2振の大剣――スラッシュブレードを両手に引き抜く。
「な、何だあの赤いモビルスーツは!?」
動揺するジンに対し、マーズフォーはハイドロ・スラスターとは異なる陸戦用の爆発的なダッシュで牙を剥いた。狭い地下空間を壁面蹴りで立体的に疾走し、ジンの頭上へ跳躍する。
「死ねぇぇぇ!!」
斬ッ!!!
すれ違いざま、二刀流の実体刃がジンの重装甲を紙のように切り裂いた。ビームではなく熱と質量で叩き斬られたジンは、切り口から火花とオイルを撒き散らしながら爆散する。
「ヒッ……!? こ、このバケモノが!」
怯えたバクゥが格闘用ビームサーベルを口にくわえて突進してくる。だが、ルナの口元に浮かぶのは、歪んだ恍惚の笑みだった。
「遅い! ヌルすぎるのよ!」
ルナは両手のスラッシュブレードを柄同士で合体させた。超大型実体剣ハードヒートブレードの完成だ。
バクゥのビームサーベルが届くより一瞬早く、マーズフォーは全身の旋回力を乗せた大段突きを繰り出した。超高熱を帯びた巨大な刀身が、バクゥの頭部から胴体にかけてを真っ二つに一刀両断する。
ズガァァァァンッ!!
激しい爆圧が地下ドックを揺らし、燃え盛る炎が赤きガンダムの影を不気味に浮き上がらせた。
「はぁ……はぁ……っ! 素晴らしい……この力……誰も私に触れさせない……!」
煙を吹く大剣を突き立て、ルナは荒い息をつきながら狂喜の笑みを漏らす。
だが、その余韻を破るように、天井の穴からけたたましい無限軌道(キャタピラ)の走行音と、複数のMSの駆動音が地下ドックへと響き渡った。ドックの閉鎖空間で響き渡った大爆発の激音と振動が、地上をうろついていた残りのハイエナたちを一気に集めてしまったのだ。
『おい、地下で何かが弾け飛んだぞ!』
『なんだあの赤い機体は!? 宝の山を横取りさせるな、蜂の巣にしろ!』
ドックの頭上に、さらに数機のジンや作業用改修MSが黒い影となって群がり、一斉に砲口を向けてくる。
「ちっ……群がるハエどもが……ウザい……ウザいのよ!!」
ルナは赤く染まった視界で咆哮すると、振り下ろされた砲火の隙間を凄まじい脚力で跳躍。立ちふさがる敵機を正面突破の豪快な一閃で切り裂き、そのまま天窓の外へと躍り出た。
そして上空で待機させていた、マーキュリーアーマーを懸架したリアクターコアハンガーのフレームへとダイレクトに飛びついた。
ガシィンッ!
ハンガーのバーニアが最大出力で狂暴に噴射され、マーズフォーガンダムを吊り下げたまま熱砂の大地を高速で離脱していく。追撃の砲弾が遠ざかる砂漠の空で、赤き牙を手に入れたルナは、抑えきれない笑みを漏らしながら戦場をあとにした。
第11話をお読みいただき、ありがとうございました! 今回は近接格闘用外装『マーズアーマー』の奪還と、**『マーズフォーガンダム』**の圧倒的な斬撃アクションを描きました! 二刀流のスラッシュブレード、合体大剣ハードヒートブレードで重装甲のバクゥやジンを一刀両断する爽快感と、マーズフォーと同調して【狂暴なる闘争心】を爆発させるルナの激情を楽しんでいただけましたら幸いです。 地下での爆発音で集まってきたハイエナどもを切り裂き、待機させていたハンガーに飛びついて無事に砂漠を強攻離脱したルナ。 無事にマーズアーマーを手に入れた彼女の前に、次なる試練と最後のアーマーの情報がどのように提示されるのか……? もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ぜひページの評価(★)や感想、お気に入り登録をよろしくお願いします!皆さんの応援が執筆の大きな励みになります。 次回『第12話:【Core】強襲の要塞』もお楽しみに!