機動戦士ガンダムSEED RE:SONANCE ―星巡りのルナと換装の呪縛―   作:マキ

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前回の『第12話:【Core】強襲の要塞』では、送受信範囲「1km」の限界を克服するため、使い捨ての通信増幅ユニットを用いて数十km離れた死角からビクトリア基地へ『バースト・シグナル』を叩き込む遠距離強攻作戦を実行しました。
【あらすじ】
バースト・シグナルにより、ビクトリア基地の地底深くに眠る『ヴィーナスアーマー』が覚醒。しかし同時に、シグナルの発信元を特定した地球連合軍の追撃部隊がルナのもとへ殺到する! 押し寄せる敵機の砲火をかいくぐり、ルナは最後のアーマーとドッキングして要塞の包囲網を突破できるのか――!?



第13話【Veneight】氷晶の爆炎

ウゥゥゥゥン――! ウゥゥゥゥン――!

数十km先にある地球連合軍・ビクトリア基地に、けたたましい緊急警報(サイレン)が吹き荒れていた。

「高出力の指向性パルスを検知! 発信源はビクトリア湖畔、数十km地点の熱帯雨林!」

「地下第07ドックの反応が急上昇! 封印中の未知のオブジェクトが自律移動を開始しました!」

「バカな、ロックを破って壁を穿っているぞ!? 急ぎ追撃部隊を出せ! 発信源の敵機を叩き潰せ!」

要塞の広域レーダーが一瞬で特定したルナの潜伏地点へ向け、基地から多数のスカイグラスパーと、ホバー走行で泥腔を爆走するストライクダガーの追撃小隊が一斉に解き放たれた。

――パンッ!

「……来たわね」

焼き切れた使い捨て増幅ユニットをパージしたコアガンダムのシートで、ルナは冷ややかにモニターを見据えた。

熱帯雨林の木々を押し倒し、至近距離まで肉薄してくるストライクダガーの群れ。上空からは機銃の掃射が容赦なく降り注ぐ。

ルナはコアガンダムの軽量さを活かし、樹木を蹴り跳びながらビームガンで応戦する。だが、追撃部隊の数は圧倒的だった。数分ともたない激しい砲火の集中。

しかし、ルナの表情に焦りは一切なかった。

「……来なさい、ヴィーナス!」

ルナが叫ぶと同時に、上空の分厚い夜霧を切り裂いて、圧倒的な質量が飛来した。

ズバァァァンッ!

ビクトリア基地の地下ドックを破壊して飛び出してきた緑色系の重装甲――『ヴィーナスアーマー』。

音速を超えて大気を切り裂くアーマーは、押し寄せるストライクダガーの射線を強引に割り込み、ルナの頭上でピタリと旋回した。

「コアチェンジ、ドッキング・ゴー!」

空中での一瞬の交錯。寸分の狂いもなくコアガンダムとアーマーが咬み合っていく。

ガシィィン!

『ヴィートルーガンダム』へと姿を変えた瞬間、機体各部の冷却スリットから高圧のメガ粒子と冷気ガスが吹き出し、周囲の熱帯雨林の蒸気を一瞬で凍りつかせて結晶化させた。

白く煌めく氷晶が舞い散るなか、ルナの瞳から温度が消え去る。

(モード:重火力――絶対零度の統制)

「……掃討を開始する」

機体背部の巨大なバックウェポンユニットが展開し、両肩の大口径ビーム砲と広域ミサイルポッドが、押し寄せる連合軍部隊へ一斉に照準(ロックオン)を合わせる。

ストライクダガーのビームライフルがヴィートルーガンダムの重装甲に着弾するが、厚く硬いフェイズシフト系の特殊装甲はかすり傷一つ負わない。

「消えなさい」

トリガーを引く。

ドーーンッ!!

極大のビームが一閃。夜の熱帯雨林を真白な光芒が貫き、前方のアサルト小隊を一瞬で蒸発させた。さらに全方位へ射出されたマイクロミサイルが空中のスカイグラスパー群を捉え、大空に無数の連鎖爆発を咲かせる。

爆炎の熱気と、機体から吐き出される氷晶の冷気が交錯する幻想的な光景のなか、ビクトリア基地の追撃部隊はわずか数分で全滅していた。

圧倒的な破壊力の余韻を残し、ヴィートルーガンダムは重厚なスラスター音を響かせて大空へと急上昇していく。

要塞からの追加の迎撃砲火も、はるか高空へと脱出していく機体には届かなかった。

――数時間後。

雲を抜けた上空、穏やかな青空を滑空する機体のコックピット。

ルナは、コンソールに並ぶ4つのアイコンを見つめていた。

『アースリィ』

『メルクワン』

『マーズフォー』

『ヴィーナス』

地球上に散らばっていた全てのアーマーが、今、コアガンダムのもとへ完璧に揃い踏みを果たしていた。

「……これで、地球のパーツはすべて回収した」

安堵の溜息を漏らした瞬間、張り詰めていた緊張の糸が切れ、激しい眩暈と倦怠感がルナを襲う。適合薬の過剰摂取と連戦による疲労は、すでに彼女の限界を超えていた。

「今は……休まないと。」

ルナは、蒼い地球の境界線の向こう側にある宇宙(そら)を一度だけ見つめ、それから機体の進路を北へと向けた。

目指すのは、中立国オーブ。自分を唯一受け入れ、機体を調整できる場所――モルゲンレーテ。

ルナを乗せたコアガンダムは、朝焼けに染まる海を越え、再びオーブの島影へと向かって降下を始めた。




第13話をお読みいただき、ありがとうございました! これにて、長かった第2章「アーマー回収・地球編」が堂々の完結となります! 送受信範囲を強引にブーストする使い捨てユニットから放たれた『バースト・シグナル』。それに応えて覚醒した『ヴィートルーガンダム』の圧倒的な重火力によって、連合軍の追撃部隊を一瞬で退け、ついに地球上に散らばっていた4つのアーマー全てを揃えることができました。 激闘を終えたルナは、限界を迎えた身体を休めるため、そして各アーマーの最終調整を行うため、再び中立国オーブ・モルゲンレーテへと戻ります。 次回からは、オーブでの束の間の休息と各アーマーの運用試験、そしてアークエンジェルとの合流を待つ『第14話:【Equip】束の間の凪』をお届けします! もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ぜひページの評価(★)や感想、お気に入り登録をよろしくお願いします!皆さんの応援が執筆の大きな励みになります。次回もお楽しみに!
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