機動戦士ガンダムSEED RE:SONANCE ―星巡りのルナと換装の呪縛― 作:マキ
【あらすじ】 プラントからの追撃に追い詰められるエターナル。絶体絶命の危機に駆けつけたのは、フリーダム、ジャスティス、そしてリアクター改修により完全充填を果たしたルナの『ジュピターヴガンダム』だった。高出力スラスターの機動力とドラグーンの精密射撃で追撃艦隊を圧倒し、エターナルの救出に成功する。戦いを終え、廃コロニーに潜航した3隻の艦の中で、ルナは桃色の髪の少女ラクス・クラインと出会う。「兵器」として生み出されたルナに、ラクスがかけた言葉とは――。ここに、平和を願う『三隻同盟』が結成される!
プラントからの追撃を受ける高速戦闘艦『エターナル』の視界に、暗礁宙域の闇を切り裂いて現れた3つの光が映し出された。
純白の翼を広げたフリーダムガンダム、紅蓮の重装甲を纏うジャスティスガンダム。そして、白銀の装甲と巨大な高出力スラスターを背負った『ジュピターヴガンダム』――。
「あれは……! MSが3機!?」 エターナルの艦橋で、バルトフェルドが目を見開く。
『ラクス、無事か!』 通信回線から飛び込んできたキラとアスランの声に、ラクスの瞳が安堵で潤んだ。 「キラさん……! アスラン……!」
「追撃のローラシア級、及びナスカ級艦隊を視界に補足。……これより敵艦隊の機動力を奪い、エターナルを離脱させます」 ルナの静かな声が通信に交じる。ジュピターヴガンダムのコックピットで、彼女は右手でGコンを強く握りしめた。首元のチョーカーが青い光を放ち、頭部アンテナを通じて戦術演算データが脳内へと流れ込んでいく。
「ジュピターヴ、スラスター出力全開。……ドラグーン(ビット)、展開!」 両肩から射出された機動ポッドが、無重力空間を高速で旋回する。 直前にカガリやモルゲンレーテ整備部隊の手によってリアクターコアハンガーへの給電系が改修されたことで、出撃直前の完全充電状態が維持されていた。
シューッ! シューッ! 多方向から放たれた高出力ビームが、迫り来るジンやシグーの脚部・メインスラスターを正確に打ち抜いていく。 「なっ……プラントのドラグーンシステムを、地球連合のMSが……!?」 動惑するザフトパイロットたちに対し、フリーダムのバラエーナとジャスティスのファトゥム-00が追撃を掛け、一瞬にして敵部隊の戦力を削ぎ落としていった。
「右手のビームガトリングガン……照射!」 極太のビーム弾幕が暗闇を切り裂き、迫る敵艦のブリッジ前方を照射。威嚇と機能停止に絞った精密な攻撃により、ザフト艦隊はこれ以上の追撃を断念せざるを得なくなった。
『敵艦隊、後退していきます……! 救援、感謝いたします!』 エターナルからの通信を受け、ルナは静かに深く息を吐いた。
L4暗礁宙域の巨大な廃コロニー内。 静かに錨を下ろしたアークエンジェル、クサナギ、そしてエターナルの3隻。艦隊の合流を果たした格納庫デッキでは、久しぶりの再会を喜ぶ声と、新たな旅立ちへの緊張感が漂っていた。
「あなたが……ルナさんですね」
コアガンダムの昇降ペダルから降り立ったルナに、柔らかい声がかけられた。桃色のドレスを纏った少女――ラクス・クラインだった。その隣には、キラとアスランが静かに佇んでいる。
「……はい。適合体LUNA-07……ルナです」 素体に戻ったルナは、いつものように無機質な応答をしようとした。しかし、ラクスの前に立つと、なぜかわずかに言葉が詰まった。
「キラさんやアスランから、あなたの活躍を聞いています。オーブのために、そして私たちのために命を懸けて戦ってくださったのですね」 ラクスはルナの小さな手を、そっと両手で包み込んだ。その手はとても暖かく、ルナの冷えた指先へじわじわと体温が伝わっていく。
ルナは自分の胸の奥が、ぎゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。 チョーカーの戦術データにも、OSの演算結果にも、この感覚を説明するコードは存在しない。ウズミが散った時のあの痛みと同じ――システムではなく、自分という一人の人間としての『心』が動いているのだと、ルナは理解していた。
「私は……兵器として作られました。でも……キラたちが私に名前をくれて、オーブの人たちが居場所をくれました。だから……守りたかっただけです」 ぽつりと漏らしたルナの言葉に、ラクスは慈愛に満ちた微笑みを返した。
「あなたは兵器ではありませんわ。……意志を持ち、人を想う心を持った、かけがえのない一人の少女です」
その言葉が、ルナの胸の深くに静かに沁み込んでいく。
「よし! これでアークエンジェル、クサナギ、そしてこのエターナル……『三隻同盟』の結成だな」 バルトフェルドが缶コーヒーを片手に歩み寄ってきた。 「地球連合もザフトも、もはや正気を失っている。……俺たちは、俺たちの意志でこの愚かな戦争を止めに行くぞ」
「はい……!」 キラとアスランが強く頷く。
ルナは自分の手のひらを見つめ、それから二人の少年とラクスを見上げた。 兵器として生み出された少女が選んだ、自分の居場所と仲間たち。迫り来る最終決戦の予感に、ルナは静かに、しかし力強くその足でデッキを踏みしめた。
第22話をお読みいただき、ありがとうございました! 今回は前話でハンガー改修を施したジュピターヴガンダムの完全充電状態での出撃と、エターナル救出戦を描かせていただきました! 高スラスター機動とドラグーンの多角射撃により、ザフト追撃艦隊を見事に撤退させることができました。
そして、ついに結成された『三隻同盟』。 ラクスとの対面を経て、適合体としてではなく「一人の人間」としての意思を確かめるルナの姿を感じていただけたら幸いです。
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次回、第23話『【Jupiter】試練の宇宙(そら)』もお楽しみに!