機動戦士ガンダムSEED RE:SONANCE ―星巡りのルナと換装の呪縛― 作:マキ
【あらすじ】
C.E.71年9月23日――戦局はついに、人類の存亡を賭けた最終局面『第1次ヤキン・ドゥーエ攻防戦』へと突入する。 地球連合軍がなりふり構わず投入した「ピースメーカー隊」の核ミサイル群に対し、ミーティアを駆るキラのフリーダムとアスランのジャスティスが核迎撃のため先行する。 ジュピターヴガンダムで出撃したルナは、2機が核撃墜に専念できるよう周囲の敵部隊を抑え込み、突破口を開く役目を担う。首元のチョーカーを解除したルナは、研ぎ澄まされた空間認識能力を解放し、手動制御のドラグーン運用で乱戦を切り抜けていく。 しかし、核の恐怖を退けた安堵も束の間、ヤキン・ドゥーエ要塞から解き放たれた絶対的な滅びの光『ジェネシス』が、漆黒の宇宙を染め上げる――!
「――各機、発進準備! ターゲット、地球連合軍の核ミサイル搭載機群!」
クサナギのブリッジに凄惨な警報音が鳴り響く。漆黒の宇宙(そら)は、絶え間なく弾け飛ぶ爆発の火線によって白く染まっていた。
地球連合軍がなりふり構わず投入した最悪の切り札――核ミサイルを抱いたメビウス部隊。それを断固として阻止せんとする、殺気立つザフトの防衛ライン。二つの狂気が真っ向から衝突する激戦区へと、ミーティアユニットを装着したフリーダムとジャスティスが圧倒的な閃光を纏って先行していく。
「キラ、アスラン……核は頼んだよ……!」
ジュピターヴガンダムを駆るルナは、2機が核迎撃に専念できるよう、迫り来る敵の増援やザフトの牽制を抑え込むべく白銀と朱色の機体を滑り出させた。
「ジュピターヴガンダム、ルナ……出ます!」
爆発的なGが全身を襲う。先行したフリーダムのバラエーナとクスィフィアス、そしてジャスティスの全砲門が一斉に火を噴き、圧倒的な火力で核ミサイル群の第一波が空間ごと蒸発していく。
だが、混乱を極める戦場では、ミーティアの死角を突いて接近を試みる敵機や、混乱に乗じたザフト機が入り乱れていた。
(ミーティアのルートを……絶対に邪魔させない!)
ルナは躊躇うことなく首元のチョーカーに細い指を掛け、ロックを解除した。
「ッ……ぁ……っ!」
冷たい電流のような刺激が脳髄を直撃する。視界の色彩が一瞬で反転し、戦場のあらゆる情報――敵機の推進ベクトル、相対速度、熱源反応の全てが、怒涛の濁流となって脳内へ直接流れ込んでくる。
ジュピターヴガンダムの背部スラスターが全開となり、懸架されたドラグーン(ビット)群が宇宙空間へ一斉に解き放たれた。
ルナ自身の卓越した空間認識能力と、適合体として調整された脳内の並列処理能力が、1本1本のドラグーンへ直接、ミリ秒単位の制御信号を打ち込んでいく。
――1番機、右上方30度へ配置。敵ダガー部隊の進路をカット。 ――2番機、左下方15度。ミーティアを狙う敵機を射出線上に捉える。 ――3番機、4番機……順次追従!
「そこっ……! 狙わせないぁっ!」
宇宙(そら)に描かれる、美しくも苛烈な光の軌跡。 ルナの戦術は、空間にチェスの駒を寸分狂わず配置するように、ドラグーンを時間差で追い込み、フリーダムたちの周囲に群がる敵を回避不能な『詰み』へと誘導する――凄惨なまでの手動オールレンジ攻撃だった。
次々と爆散していく連合とザフトの撃墜機。しかし、コックピットのパワーメーターは容赦なくレッドゾーンへ向かって目減りしていく。
『ルナ! 充電シーケンスに入る! 給電ハンガーの射出線上へ急げ!』
通信回線からバルトフェルドの鋭い叫びが飛ぶ。ジュピターヴは間一髪で前線から離脱し、クサナギから射出された給電ハンガーと一時接続(リミテッドチェンジ)。超高電圧の電流が、コアガンダムのバッテリーへと急速に流し込まれていく。
「ハァ……ハァ……っ!」
激しい頭痛がルナの思考を殴りつける。チョーカー解除による過剰な脳波駆動と、アンテナアーマーから送られる精神パラメータの負荷が、彼女の脳細胞を削り取っていく。
それでも急速充電を終えたジュピターヴは、すぐさま激戦の渦巻く極限の前線へと再び飛翔した。
その時だった。
ヤキン・ドゥーエ要塞の巨大な外壁がスライドし、漆黒の宇宙に「世界の終わり」を告げる絶対的な光が解き放たれた。
――超巨大ガンマ線レーザー兵器『ジェネシス』。
一瞬で真っ白に塗りつぶされる視界。連合軍の大艦隊、そして無数の生命が、一秒にも満たない瞬きの間に宇宙の塵へと蒸発していく。
「な……なに、今の……」
モニターの自動減光処理が追いつかず、ルナは息を呑んだ。 核の惨劇すらも一瞬で呑み込んでいく、ザフトの生み出した狂気の光。
『警告:大規模のガンマ線放射を確認、直ちに中域から離脱してください』
創世の光が残した莫大な残熱と衝撃波は、戦場全体の空間を激しく歪ませ、ジュピターヴの各種センサーを狂わせていく。パワーメーターも限界に近い。
『全機、一旦引け! 熱線と衝撃波が収まるまで一時後退だ!』
通信機から飛び込むバルトフェルドの悲痛な怒号。 ルナは歯を食いしばりながら操縦桿を引き絞り、迫り来る熱波から離脱すべく、ギリギリの態勢でクサナギの補給ラインへと機体を後退させるのだった。
第25話をお読みいただき、ありがとうございました!
ついに最終決戦『ヤキン・ドゥーエ攻防戦』の幕が上がりました。 核攻撃を阻止するために先行するフリーダムとジャスティスを支援するため、ジュピターヴガンダムで出撃したルナ。激しいバッテリー消費や脳波ブーストの負荷に耐えながら、極限の手動操作による「詰将棋ドラグーン運用」で敵を退ける怒涛のアクションをお届けしました。
しかし、核の恐怖を退けたのも束の間、ザフトの滅びの光『ジェネシス』が解き放たれ、圧倒的な危機の前に一時後退を余儀なくされます。戦場はさらに凄惨な地獄へと変貌していきます。
体制を立て直し、再び戦場へと舞い戻るルナたちの前に、ついにラウ・ル・クルーゼの駆る「プロヴィデンスガンダム」が姿を現します……
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次回、第26話『【Saturn】創世の狂気』、!を楽しみに!