機動戦士ガンダムSEED RE:SONANCE ―星巡りのルナと換装の呪縛― 作:マキ
【あらすじ】 L4暗礁宙域の静寂の中、三隻同盟は決戦に向けた最終テストを開始する。カガリは宇宙空間での操縦に慣れるため『ストライクルージュ』で出撃。ルナもまた、独立リアクターを増設したジュピターハンガーを用い、ジュピターヴガンダムのドラグーン&高機動テストに挑む。そして、キラとアスランは巨大支援兵装『ミーティア』のドッキング試射を敢行するが、ミーティアが秘める桁外れのエネルギー消費によって、フリーダムの機体に予想外の異常が発生する――!
「――ミーティア01、02、射出します。キラさん、アスラン、準備はよろしくて?」
エターナルのブリッジからラクスの落ち着いた声が響く。L4暗礁宙域の廃コロニー群を望む漆黒の空間に、巨大な一対の兵装ユニット――ミーティアが滑り出した。
「了解、ラクス。フリーダム、ドッキング・シークエンスに入る!」 「ジャスティス、同じく。接続を開始する!」
キラとアスランの声とともに、二機のガンダムがミーティアの機首へ吸い込まれるように合体する。核エンジンから莫大なエネルギーがミーティアへと流れ込み、巨大なビームソードと無数のミサイルポッドが、獲物を待つ獣のように展開された。
その光景を、少し離れた位置で待機する『ストライクルージュ』のコックピットからカガリが見つめていた。
「すごい威力だな……! よし、私も負けていられないぞ!」
カガリは操縦レバーを力強く握りしめた。無重力空間でのMS操縦、そして宇宙戦用のスラスター挙動に体を慣らすため、カガリはルージュのバーニアを噴かしてデブリ帯を旋回する。
『カガリ、焦らないで。宇宙では慣性が強く働くから、微小スラスターの逆噴射を意識して』 通信回線から届くのは、ジュピターヴガンダムを駆るルナの静かなアドバイスだった。
「わ、分かっている! くっ……地球の重力下とは勝手が違うな……!」 懸命にルージュの姿勢を制御するカガリの様子を、ルナは温かい眼差しで見守りつつ、自機の最終チェックへと移行する。
「ジュピターハンガーからのエネルギー供給、オールグリーン。改修した独立リアクターのおかげで、機体の全システムをフル稼働させたまま待機完了」
ルナはGコンを握り直し、高機動スラスターを全開にした。白銀のジュピターヴガンダムが、デブリの合間をすり抜けるように加速する。
「ドラグーン(ビット)、オールレンジ展開!」
両肩のマルチポッドが離脱し、周囲の岩塊へ向けて多角ビーム照射を開始。完全充電状態からの連続運用でも、独立リアクターのバックアップによって電圧降下は一切発生しない。
「出力バランス、完全に安定。これなら長時間の宇宙戦にも耐えられるわ」
ルナが自機のテストを完了したその時――暗礁宙域の彼方で凄まじい閃光が弾けた。
ズドオォォォンッ!!
ミーティアの巨大なビームソードが一閃し、演習目標であった廃コロニーの残骸が一瞬にして蒸発、膨大なエネルギーの爆炎が広がった。
「な……なんだあの火力は……!?」 カガリが思わず息を呑む。だが次の瞬間、通信回線に緊張が走った。
「くっ……!? メイン出力が……引かれている!?」
フリーダムのコックピットでキラが悲鳴を上げた。ミーティアの規格外なビームソード照射に莫大なエネルギーを吸い上げられ、フリーダムのニュートロンジャマーキャンセラー(NJC)による給電供給すら一瞬だけ追いつかなくなったのだ。
バチチチッ!
純白と青の装甲が一瞬だけグレーに変色する――フェイズシフトダウン。
「キラ!?」 アスランが叫ぶ。フリーダムの装甲が一瞬だけ死の灰色に染まり、スラスターの推進力が途切れた。
「はぁ……はぁ……! ごめん、制御を誤った……! ミーティアのエネルギー要求量が、想定の数値を遥かに超えてる……!」
キラは冷や汗を流しながら素早くコンソールを操作し、エネルギー配分を再構築。即座に装甲へパワーが再充填され、フリーダムは本来の色を取り戻した。
『戦術分析:ミーティアユニットの瞬間最大消費電力。……核エンジン搭載機であっても、全開照射時の制御を誤れば一瞬でPSダウンを引き起こす危険性あり』
ジュピターヴのモニター越しにその光景を捉えていたルナは、冷や汗を拭いながら呟いた。
「単機で要塞を撃破できる火力……でも、それだけの『毒』も秘めている。生半可な覚悟で扱える兵器じゃないわね」
『キラ、大丈夫か!?』 『うん……ありがとう、アスラン。でも、分かったよ。本番までにこの出力を完全にコントロールしてみせる』
息を整えたキラの力強い声が通信機から響く。カガリもまた、ルージュの操縦桿を強く握り直した。
「みんな、それぞれ凄まじいものを背負って戦おうとしてるんだな……。私も、もっとルージュを使いこなしてみせる!」
「ええ。……私たち全員で、決戦へ向かいましょう」
ルナは首元のチョーカーに触れ、仲間たちの光を見つめた。 規格外の威力を秘めたミーティア、訓練を重ねるカガリのルージュ、そしてドラグーンの電力を克服したジュピターヴガンダム。それぞれの覚悟と「牙」を研ぎ澄ませ、三隻同盟は最終決戦の地・ヤキン・ドゥーエ宙域へと向けて静かに艦を進めるのだった。
第23話をお読みいただき、ありがとうございました! 今回は決戦に向けた三隻同盟の準備回として、SEED本編の重要描写である「ミーティア試射時の莫大なエネルギー消費によるフリーダムの一瞬のPSダウン」、そしてカガリのストライクルージュでの宇宙操縦訓練、ルナのジュピターヴガンダム(ドラグーン&リアクター改修)のテスト運用を描かせていただきました!
核エンジン機すら一瞬PSダウンさせるミーティアの凄まじい威力を前に、各自が覚悟を新たにする胸熱な展開を感じていただけましたら幸いです。
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次回、第24話『【Jupiter】螺旋の因縁』もお楽しみに!