嫌われ生徒はその後に好かれても気付かない。 作:ブルーアーカイ部 一般部員
タイトルで察してください。
前回とは若干趣が異なります。ご注意ください。
『近づくな不審者!!』
『近寄らないで貰えるかしら』
『何故あなたのような人が………』
―――――目を覚ます。
今日は一際悪い夢だ。きっと、これは怨嗟だ。僕が受けてきた悪意や憎悪の数々。
トリニティは見た目だけならば清廉な女性の由緒正しい綺麗な学園だ。
けど実情はそんなものではない。笑顔の裏で相手を貶し、欠点があれば一瞬で敵に回る。そんな
人生と言うものは、何が起きるかわからないと言うが……僕の人生は、きっとこれからも憎悪に満ちた穢れた道なのだろう。
しかし、それは仕方ないのだ。性別を恨むしかない。
紅一点、と言う言葉があるが、この場合は黒一点である。
酷く淀んだ、汚らわしい人間である僕には、お似合いの色だろう。
だから、趣味は捨てた。音楽もBDも、兎に角目に付く『異端』とも『個性』と呼べるものを無くした。
ただそのせいで、『
何もしない、と言う何かをしてしまったのだ。選択を誤った。
そこから、先生に拾ってもらうまでは大変だった。
机が無くなるのは常。下駄箱はもはや肥やし溜めである。
近付けば遠ざけられる。だから僕は、『人と必要以上に関わる』のを辞めた。
そして、先生に拾ってもらって。シャーレに正式入部して正しくシャーレ職員になって。
アビドスに向かって黒服さんと仲良くなり、ミレニアムでアリスさんを拾い、トリニティではエデン条約そのもので暗躍した。Rabbit小隊の皆さんには毎回弁当を届けているし、デカグラタン*1?みたいな名前の機械を何とかしたりして、リオさんの行動を止めた。
そして、別時間軸のシロコさんを救って――――別時間軸の先生と、お別れした。
先生が全裸で駆けてきた時は全力で着させたけど、それ以外では顔すら合わせないように苦労した。
最期の一撃、シロコさんを守る先生を、みんなが居なくなってから対話したのは記憶に残っている。
『キミは……ああ、アス。こちらのキミは……元気そう良かった……』
『…………先生、なんでですか。………どうして、そんなになるまで。』
『…………キミにも言えることだけどね、アス。キミも私も……動き過ぎだ』
『―――――皆と、楽しくね。』
こっちの先生にも、別の何かの言葉を告げて。
僕らは落下していった。勿論、先生のオーパーツが光って僕も助かったけど……最期の、皆が集まる中には参加しなかった。
流石にモモトークで、安否確認だけは入れたが。
その後も動き回った。鋼鉄大陸に行ったり、アリウスの内部抗争を止めたり。もう一回アビドスに向かって、ホシノさんを止めたり。
それはもう、色んなところを動き回った。
けど、僕は人を避け続けた。ダメなのだ。
気軽に振る舞おうとしても、体が拒否してしまう。
精神はこれだけ元気なのにね。ヒャッハー!クレジットを全部置いていきなァ!
何はともあれ。僕は白い制服に袖を通す。
勿論、今までの選択を後悔はしていない。やれるだけのことはやったし、その上で僕は彼女達の生活を支えてあげるだけなのだ。
きっとそこに、恋愛感情は生まれない。勝手な持論だけれども。
そして再三言うが僕は『反省してればオールオッケー!』スタンスである。彼女たちが避けたそうにしていれば避けるが、それまでだ。
嫌いならば避ける。嫌いじゃないなら……なんて考える必要はない。
あの態度はどう見たって嫌われている。
「……にしたって、随分と人がいないな……なんでだ?」
そう、何時もは人が出張っている筈のシャーレ。しかしそこには誰も居らず、ただオフィスが静かに佇んでいた。
今日は当番も居ないのか……?珍しい。誰も来てないなんてな。
すると、背後から急に声がする。………僕はよく、背後を取られるらしい。
セイア「それは、この世界が夢だからさ」
「………百合園さん」
セイア「セイアで構わない。キミと私は同級だろう?」
「立場って物がですね………」
僕の真後ろで紅茶を嗜んでいたのは先刻のお茶会で居なかったティーパーティーの三人目、元ティーパーティーホストさんだ。
だから敬語である。ミカさんは名前呼び+さんで良いのかって?あの人は別枠である。
彼女はときたま、こうして僕の夢に現れてくる。その度にどうするか悩んでいる。
この人は………僕を忌んでいるのかそうでないのかか全くわからない。関わる機会が少なくともあった筈であるエデン条約では本当に会わなかった。
その他は………うん、無かった気がする。
だから、そこまで嫌われても好かれても無いと思うのだけれど……
「あの、百合園さん?」
セイア「どうしたのかな?何処か体調でも優れないのかい?」
いや、そう言うレベルじゃない。
「………なんで僕の腕を掴んでいるんです?」
セイア「ふふ、ボディタッチと言うものさ。動物でもよく見るだろう?」
ボディタッチならば、なんで僕の腕にコアラのようにしがみついているのか、説明が欲しいところだ。
セイア「………キミは、鈍感過ぎる。いやそうだね……環境がよくなかった、と言うのが最大の悪点だろうけど……」
「??」
全く理解できない。このわんぱく系フォックスさんの言葉は。
けれど、僕は屈しない。理由は至極単純。
セイア「……どうかな。私の体は貧相だが……キミを満足させることくらいは出来ると言う自負がある」
「……誘ってます?」
セイア「乙女にそれを聞くかい?」
するり、と僕は百合園さんの拘束から抜け出す。
以前のこと。それは百合園さんじゃない人だったとして、僕は色目を使った誘惑に乗せられた挙句、お金を奪われ射撃された。
アレ以来僕は色目に対して圧倒的な耐性を得たのだ。
するりと回避された百合園さんは、柄にもなくムスッと頬を膨らませていた。意外とこの人はミカさん寄りなのかもしれない。
セイア「……………そんなに否定されると、少し傷付いてしまうよ」
「すいません、でもこれが最善なんです」
セイア「…………わかったよ、善処する」
明らかにションボリしたセイアさんは、そのまま立ち去った。………いや、『起きた』のだろう。
この世界は夢だから。起きるならば世界から消える。当然だった。
さーて、僕も起きるかなー!
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「………起きて、しまったか。」
もう、私に予知夢の力は無い。だから私はネル経由でエンジニア部に頼み込み、『夢見ーるくんEX』を作ってもらった。
自爆機能やBluetooth機能まで付けられそうになったが、全力で止めておいた。
結果、『あたかも私が予知夢に招待したかのように』振る舞うことが出来るようになった。
彼――――黒神アスは、キヴォトス唯一の男子生徒なのに、私はなんやかんや事件に巻き込まれ、解決したら別の問題が起きると言うバタバタ状態だったために、話せていないのだ。
しかし、彼は一度"私に会っている"。しかも、私にとって――――いや、女にとって特大の爆弾を落としながら。
確かに言葉は交わしていない。ただ、思いっきり私を姫抱きしながら助け出したのだ!!
私は身分上、色々な事件に巻き込まれやすい。ティーパーティーの3人のうち、一人はゴリ………人型の兵器で、一人は核兵器のようなモノを統括する者である。
私にあるのはホストとしての権限とひ弱な肉体のみ。
今回も、そのような事例か……と諦めていた時だった。
何故かその場にいた彼が、全力で助けてくれたのだ。
しかも姫抱きで。
そんなの………そんなの……!!
「好きになるしか無いじゃないかッッッ!!!」
思い出すだけで湧き出る羞恥に、思わず布団に飛び込む。しかしまだ抑えきれない感情を抑制するために、ジタバタとしてみる。
しかし、ダメだ。あの顔の前では、私は冷静では居られない。今日だってわざわざ恥ずかしさを隠すためにボディタッチ多めにしたし恥ずかしい言葉だって言った!
なのになんだ彼は!!
『僕は嫌われてるから……』とはなんだ!!
私の権限で嫌ってる奴を駆逐してやるか!?そうするか!!*2
………閑話休題、少し落ち着こう。
見ての通り、私は重度の恋の病に冒されてしまっている。
周囲を見渡せば、ライバルは沢山いるらしい。彼の所属はトリニティながらもシャーレ。各学園にも彼のことが好きな女は居るだろう。あの女誑しはそう言う男だ。
…………ただ、私は優位性がある。
どうにかこうにかして、サッサと誤解を解くのだ。
他の皆は好意を避けられていると落胆しているようだが、私は違う。
私も避けられていると思っている。しかし、それが諦める理由にはならない………そう。
幾ら絶望的でも、それがどんなに確定された未来でも。
希望を持てば、未来は変わる。それを私は学んだから。
「……ふふ。いずれ私は彼を手に入れる。その為にはまず……」
意味のない妄想を繰り広げた結果、私は当然茶会に大遅刻したのだった。
すれ違いで彼が『ニゲルンダヨ~ン!』と全力で走り去る姿が見えた気がしたが……気の所為だろう。
私は未来への希望と少々(?)下品な妄想をしながら、表向きは純粋無垢で清楚なふわふわフォックスを演じ、ティーパーティーの部室ドアを静かに開けたのだった。
ふふふ……キャラ崩壊フォックス!
本編経過後のセイアはネタ及びギャグに振り切ってるので書きやすかった。
あと言われたけど主人公メンタルつよつよ過ぎて笑いだった。