『禁忌の古龍たち ― 五黒龍姉妹・模擬戦』
キヴォトス。
数多の生徒が集うこの学園都市において、その名を聞くだけで誰もが言葉を失う姉妹がいた。
**黒龍姉妹**
そして――
空崎ヒナと並び、キヴォトス五本指に数えられる実力者たち。
その名は、
* 長女――**黒龍ルーツ**【祖龍ミラルーツ】
* 次女――**黒龍グラン**【煉獄龍グラン・ミラオス】
* 三女――**黒龍ラース**【紅龍ミララース】
* 四女――**黒龍ミラ**【黒龍ミラボレアス】
* 末っ子――**黒龍アルバ**【煌黒龍アルバトリオン】
"禁忌の古龍"の力を宿した五姉妹。
誰一人としてこの五姉妹の全力を見せたことがない。
唯一知る者がいるとすれば――
姉妹達と一部の生徒達だけだった。
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## ミレニアム特設演習場
何重にも展開された巨大バリア。
数十基ものエネルギー塔。
ミレニアム最高技術による特注バリア。
巡空ミサイルすら無傷で防ぐ装置が今日だけで百基以上。
それでも技術者達は震えていた。
「……本当に保つのか?」
「保つしかない。」
「相手はあの五人だぞ……。」
観測室では各学園の代表者まで集まっていた。
ヒナも腕を組みながら静かに見守る。
「本当に全員、本気じゃないのよね。」
ルーツが微笑む。
「ええ。今日はあくまで模擬戦です。」
その一言で空気が凍った。
**あくまで模擬戦。**
その言葉を誰も信じなかった。
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## 五姉妹集結
白いドレスを纏う長女。
黒と橙の髪を揺らす次女。
紅蓮の翼を広げる三女。
黒き軍服姿の四女。
黒と翠の髪をなびかせる末っ子。
五つのヘイローが輝く。
そして。
ルーツが静かに告げる。
「全員。」
「怪我だけはしないように。」
ラースが笑う。
「姉さん、それ無理。」
グランは巨大なガトリングを肩へ。
「私は再生するから問題ない。」
ミラは少しだけ笑った。
「焼けても責任取らない。」
アルバは肩をすくめる。
「私は属性全部使うけど?」
観客席。
「……終わった。」
誰かが呟いた。
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## 審判
「それでは模擬戦…」
「開始!」
その瞬間。
ゴォォォォォォォッ!!
真っ先に動いたのはグラン。
グランの翼が開く。
しかし彼女は飛ばない。
いや、
飛べない。
翼の構造上、姉妹の中で唯一飛行能力を持たない。
その代わり。
地面が溶け
マグマが噴き上がる。
「行くよ!!」
ガトリングが火を噴いた。
数千発
いや数万発。
灼熱の弾丸が暴風となる。
ラースが笑う。
「甘い!」
ラースの翼が広がる。
ショットガン二丁。
轟音。
爆炎。
さらに。
空が赤く染まる。
「少しだけ本気。」
ドゴォォォォン!!
遠くの火山が噴火した。
火柱が天を貫く。
そして。
空から燃える隕石。
ミレニアム観測員。
「模擬戦で隕石呼んだぁぁぁぁ!?」
「バリア出力120%!!」
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その隕石へ向け、
ルーツが一歩。
「紅雷。」
ピシッ……
黒雲が生まれる。
次の瞬間。
天地を裂く紅い雷。
ズガァァァァァン!!
隕石すべてが空中で粉砕された。
雷は止まらない。
赤黒い稲妻が無数に分裂し、
ラースへ。
ラースは笑う。
「やっぱり姉さん強い!」
爆炎と紅雷。
二つの禁忌が衝突した。
世界が赤く染まる。
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その横で。
ミラが静かに歩く。
「……少しだけ。」
赤黒い炎。
劫火。
"燃焼そのもの"を操る災厄。
彼女が指を鳴らすだけで、
地面が消えた。
焼けたのではない。
存在そのものが灰になった。
観測員。
「炎温度測定不能!」
「色が赤黒い!!」
ヒナが目を細める。
「まだ青くない。」
姉妹と一部の生徒以外誰も知らない。
ミラが全力になれば、
その炎は蒼へ変わる。
姉妹と一部の生徒達しか見たことがない
"真なる劫火"。
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そこへ。
アルバ。
「じゃあ私も。」
右手に炎。
左手に氷。
右足に雷。
左足に龍。
足元に水流。
五属性同時展開。
「全部まとめて。」
世界が五色に輝く。
炎が雷へ
雷が氷へ
氷が龍へ
龍が水へ
属性変換
常識崩壊
ミレニアム研究員
「意味が分からない。」
「属性を無視してる!」
アルバは笑う。
「だって全部使えるもん。」
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その時だった。
ラースが叫ぶ。
「グラン!」
グランは笑った。
「来なさい!」
隕石が直撃。
轟音。
爆炎。
姿が消える。
しかし。
数秒後。
マグマの中から歩いて出る。
傷なし。
肉体は瞬時に再生。
骨も
臓器も
細胞も
煉獄龍の超再生。
不死に限りなく近い生命力。
ラースが苦笑する。
「それ反則。」
グランも笑う。
「飛べない代わり…」
「私は死なないから。」
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ルーツは静かに空を見上げる。
祖龍の力が解放される。
空一面を覆う紅雷。
その姿は神。
誰も近付けない。
ヒナですら静かに息を吐く。
「やっぱり…」
「ルーツさんは私より上。」
その一言に、
全員が息を呑んだ。
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ルーツは妹達を見渡す。
「そろそろ終わりにしましょう。」
四人が笑う。
「「「「はい、お姉ちゃん。」」」」
次の瞬間。
五人同時に古龍のオーラを解放しありったけをぶつける
祖龍
煉獄龍
紅焔龍
黒龍
煌黒龍
五体の禁忌の古龍の力が激突した。
バリアが軋む。
ミレニアム技術者達が叫ぶ。
「出力300%!」
「いや400%!」
「まだ足りない!」
「耐えろぉぉぉぉ!!」
巨大な光が演習場を包み込み、衝撃波は幾重ものバリアによって辛うじて封じ込められた。観客席には一切の被害はなく、それでも観測機器の多くは限界を迎えて停止する。
光が収まると、五姉妹は互いに武器を下ろし、笑みを交わしていた。
ルーツが妹たちへ優しく言う。
「みんな、強くなったわね。」
グランは照れくさそうに頭をかき、ラースは満足そうに笑う。ミラは小さく頷き、アルバは「次はもっと力を出して戦おう」と無邪気に笑った。
観客席では誰一人声を出せなかった。
それは勝敗が分からなかったからではない。
**五人全員が、本気を出していなかったことを悟ったからだ。**
こうして、キヴォトス最強と恐れられるゲヘナ学園の禁忌の古龍五姉妹による模擬戦は幕を閉じた。その日以降、ミレニアムの演習場には新たな規則が加えられた。
**「黒龍五姉妹による模擬戦を実施する際は、最高出力バリアの展開を義務とする。」**
それは、彼女たちの力が一つの学園では測れないほど、規格外であることを示す新たな伝説となった。