ーー残り、10秒。
「【
アサシンが独断で解放した『宝具』。【第一段階】しか解放してないため、本来の姿とは程遠いが、
「どこに行きやがってーー!?」
目の前のアサシンが、親指にある宝石で胸を叩いたのを見た瞬間、ランサーは確かにアサシンを一瞬とは言え、
ドンッ!!
地面にくっきりと足跡を残して、音が遅れて夜闇に轟く。
ーー宙を舞う、ランサーの
「なっ!?」
ーー残り、9秒。
痛みよりも先に、ランサーの脳に驚愕の二文字が湧き出た。ランサーの両目は僅かながら、アサシンの動きを捉えていた。
捉えていたからこそ、ランサーは防ごうとしていた。カウンターの用意も出来ていた。
「まさかここまでとは、素直に恐れ入ったぜアサシン」
だが、アサシンはランサーが反撃の用意をしたのを確認して、ランサーの槍を
「余計に気になったぜ、お前が何の英霊か。雷の速度で移動して、しかもその速さを完全にモノにしているときた」
ーー残り、8秒。
ランサーが片腕で槍を構える。例え片腕となっても彼は英霊、英雄に名を連ねた1人。
英雄としての感覚が、目の前のアサシンに対して警鐘を鳴らしていた。ヒリつくような【死】の感覚を。
「ーーその心臓、貰い受けるッ!!」
死への恐怖を笑みで消して、赤き槍の
ーー残り、7秒。
「【
片腕であったとしてもその槍は揺らぐことは無い。真名と共に放たれた『宝具』はまっすぐに、アサシンの心臓に狙いを定める。
その槍は放たれた瞬間、因果の逆転が起きる。
その槍が放たれた時、既に心臓は貫かれている。故に回避不能、防御不能と謳う呪いの槍。
「アサシン!!」
凛が悲鳴を叫ぶが、槍は止まらずアサシン目掛けて、心臓を食い破ろうと進み続ける。
(安心しろよマスター。この程度で、俺は死なねぇよ)
念話でアサシンがなだめるが、それでも凛の焦燥は収まることは無い。
「ハハッ!!俺を倒したけりゃあ、槍一本じゃたんねぇぞ!!」
ーー残り6秒。
凛は自分の目を疑い、ランサーは頬に冷や汗をかいた。
アサシンはさも当然のように空を駆けていた。それは良いのだ、英霊の中にも空を走る逸話を持った者も確かに存在する。だが、それだけではランサーの槍は、容易く心臓を穿つだろう。
ただ、彼に
「嘘……」
空を駆けて、迫り来る槍を置き去りにしながらアサシンは、ランサーと戦闘を行っている。
アサシンはノッて来たのか、奇声を上げながらランサーの周りを高速機動で翻弄し続け、ランサーの体には無数の傷が出来ていた。
「いける……勝てるんじゃない!?」
ーー残り5秒。
凛はガッツポーズを決めて、期待の眼差しでアサシンを見つめるが、アサシン本人は全くの余裕は無い。
(早くしねぇと、
【
ーー宝具を起動してから10秒後、サンラクは
「どうしたアサシン!!キレが無くなって来たぞ!!」
空を踏む。背後から迫って来た赤い槍をバク転で回避、同時に右手に持ってる
そして、ある物を取り出す。
ランサーは延びた槍で投げられた剣を弾こうとするが、寸前で分解し虚空に消える。
ーー代わりに出て来たのは、【槍】
「ーー【
ーーパキッ
「誰だッ!?」
戦場に響いた木の枝が折れた音。
ランサーは展開していた宝具を止めて、音のした方を振り向くと慌てて逃げる生徒の姿。
「ここまでだアサシン。大変惜しいが、次会うその時には貴様の心臓を、破ってやる」
1度ため息を吐いて、名残惜しそうな表情でランサーは逃げた生徒を追い始める。魔術の秘匿のために、目撃者は消す。それが魔術師の常識。
だがそれを見た凛は一瞬、思考が停止するがすぐにアサシンに命じる。
「不味いわアサシン。早く追うわよ!!」
「ああ。分かったよ!!」