文才は乏しい方ですので暖かい目でご覧下さい。
不定期での連載となります。
プロローグ:「人生の終わり」
ピー、ピーと電子音が静寂に包まれる空間に鳴り響く。
ここは日本の東京に位置する大病院の一室。
そこでは窓から月明かりが差し込み、病院ベッドに静かに横たわった青年を照らしていた。
青年は自力では呼吸が困難なのか、呼吸器をつけ、静かに生きながらえていた。
僕の名前は天城 眞、世間一般では高校生2、3年生くらいの17歳だ。
僕はいま、病院のベッドの上で苦しみの最中、死の淵を彷徨っている。
今の僕は意識を保つので精一杯なくらいに苦しい。
「はぁー、はぁー」
なぜ、そんな状態なのか、説明すると長くなる。
それは遡ること15年前のこと。
僕は2歳の頃、突如として死にかけた。
家族みんなで公園に出掛けた際、突如として胸を押さえ、倒れ込む。
そして病院に救急搬送され、僕は何とか一命を取り留めるも、人生最大の悪夢は終わることはなかった。
これは僕の両親から聞いた話にはなる。
MRIやCTの検査を受けた僕の検査結果を見て、先生は最初、顔を顰めていたそうだ。
そして数分が経つと、一人、また一人と様々な医療分野の先生が集まりはじめ、側から見れば、只事ではない様子だった。
そうして数時間が経つ頃に、夕暮れの時間帯となり、両親は先生に呼ばれた。
慌ただしい雰囲気に気が気でない両親に先生は重苦しい表情で口を開き、告げる。
先生から告げられたのは、世界でも珍しい先天性の心疾患と言われたそうだ。
この病気は世界でも数人しか、確認されておらず、治療法も存在しない。
だが、この病気が恐ろしい点は、成人までに命を落としてしまうことだ。
この病気を発症者の殆どが成人を迎えるまでに命を落としているそうで、例外は今のところ確認されていないそうだ。
まさに悪夢そのもののような出来事に僕の両親は泣き崩れたそうで、僕としてもこの話を聞いた時は大泣きしたのを今でも覚えている。
そして、それから十数年後、今に至る。
あれから様々な大学や病院が治療法を模索してくれたものの、未だ大した成果はなかった。
その間の気分はというと、正にモルモット。
言い方は悪いが、動物実験のネズミの気持ちは少しわかった気がする。
でも、感謝はしている。僕のために頑張って治療法を模索してくれた人達には頭が上がらない。
そして、それは両親に対してもだ。
両親は裕福ではなかったにしろ、愛情をたくさん注いでくれた。
感謝はあれど、恨みはこれぽっちもない。
僕が学校に通えなくて、寂しい思いをしないように勉強の本を買って勉強させてくれた。
一番嬉しかった出来事は3歳になる誕生日のプレゼントだったのを今でも覚えてる。
それはどこのホームセンターのガーデニングエリアでも買えるような観葉植物をプレゼントしてくれた。
マグカップくらいのプランターに入った観葉植物で、僕は病院生活の中での初めてのプレゼントということもあって、とても嬉しかったのを覚えている。
枯れないように毎日、丁寧に水をやったりなどの世話を行った。
「ずっと元気でいてね。」
何一つ変わらない日常の最中で、一番のやりがいを見出すことができた。
僕にとって生きるということは、この観葉植物があってこそのもの。
いつの間にか、僕にとってこの植物は人生になくてはならない存在になっていた。
誰か、僕が死んだ後、僕の観葉植物の世話をしてくれたら、嬉しいな。迷惑をかけるのは忍びないけど僕みたいに枯れて死んでいく道は歩ませたくない。心優しい人に出会うことを祈るよ。
《確認しました。ユニークスキル「
(僕は・・・・・・死ぬのかな。)
僕は今、死の淵を微かな意識で彷徨う中、自身の運命を悟る。
正直、今までの人生に満足はしていないが、後悔はない。
幼い頃に不治の病を患い、運命を縛られたとしても、誰かを恨む気も、呪う気すらなかった。
両親は僕のことを心の底から愛してくれたし、深い愛情を注いでくれた。
そんな僕は世界で一番の幸せ者だと思ってる。
「でも、もし・・・・・・来世があるというのなら、僕は・・・・・・」
昔、両親が買ってくれた本にラノベというジャンルの本があったのを覚えている。
それは異世界転生というものを扱った冒険小説で、俗に言うところの生まれ変わりというものらしい。
地球で死んだ青年が異世界に魔物として生まれ変わり、仲間を集め、冒険する物語という内容で、僕はその物語を読むたび胸を躍らせていた。
自分が変えることのできない理不尽な運命に縛られることのない、自由気ままに生まれて
もし、神様が存在するのか、知らないけど・・・・・・人生最後の我が儘を聞いてくれますか?
もし生まれ変わりがあるのなら、僕は植物として生を受けたいです。
何者にも屈せず、自由気ままに生きる
《個体名:マコト・アマギの承認を確認・・・・・・これより物質体の放棄を開始します》
《個体名:マコト・アマギの
《続いて、個体名:マコト・アマギの転生体の生成を開始します》
《個体名:マコト・アマギの申請を確認・・・・・・受理します》
《個体名:マコト・アマギの申請に該当する生命体を検索・・・・・・成功しました》
《個体名:マコト・アマギの転生体となるヒポクテ草に
《微弱な拒絶反応を確認しました。代案としてヒポクテ草をユニークスキル『
《ヒポクテ草は
なんだ?
さっきから、ぶつぶつと不思議な声が聞こえる。幻聴かな?
スプラウトに転生?
一体なんなんだ?
あぁ・・・・・・だめだ。限界が近付いてきた。意識を保つのでやっとだ。
本当に死ぬんだと思うと、怖くなってきたな。もっと勉強しとけば良かったな。
病院生活の中で高校生くらいのまでの勉強はしてきたけど、もっとしたいことあったんだよな。
《確認しました。ユニークスキル「
そして僕の意識はだんだん、闇の中に静かに沈んでいき、浮かんでくることはなかった。
こうして僕こと、天城 眞は齢17という年齢で安らかにその生涯を終えた。
その時の彼の安らかそうな表情は、とても幸せそうだったといい、傍らでは、彼の育てた観葉植物が綺麗で鮮やかな花を咲かせ、まるで彼の人生そのものを祝福しているようだった。