ネツァクの深部
床に横たわるのは、激しく損傷した人型機械だった。装甲は焼け焦げ、塗装はほとんど剥がれ落ちている。右腕には砲身のような兵装が接続され、各部のフレームがむき出しになっていた。
口元を機械的なマスクで覆い、蹄状の足と金属の尾を持つ少女――アインは、その機体を慎重に分解していく。
この機械は、水辺に打ち上げられていたところを預言者ケテルが回収した
アインはそう聞いていた
「何だろう……この子……」
焼損した装甲片を持ち上げ、アインは小さく呟いた。
「人型……でも、損傷がひどい……。一部は欠損してるし、内部も焼け落ちてる……」
その時、部屋の扉が開く。
頭部に巻かれた帯と、独特な足首の機構を持つ少女――オウルが入ってきた。
「アイン。キヴォトス中の学園データを手当たり次第に調べましたが、この機械に関する記録は見つかりませんでした」
アインは返事をしない。
「それに、この鉄板みたいな部品……装甲、かな? 右腕には砲身らしきものも……完全に戦闘用――」
「アイン、聞いてますか?」
オウルが頬をつつく。
「ひ、ひぃん……! お、オウル!?」
「やっぱり聞いてなかった」
さらに頬をつつこうとしたところで、もう一人の少女が部屋へ入ってきた。
耳当てを装着し、左腕を包帯と幾重ものリボンで覆った少女、ソフだ。
「オウル・・・アインをいじめるな。それで、何かわかった?」
「ひぃん……ごめんなさい、まだ全然……。あ、でもこれ!」
アインは機体の胸部から黒い直方体を取り出した。
「メインコンピューターとメモリ、それと……たぶんブラックボックス。補助電源も生きてるかもしれない。ソフ、解析お願いしてもいい?」
「オッケー、任せて」
「さてと……どんなものかな……うわ、損傷がひどいなこれ」
ソフは補助電源を接続し、黒い直方体のメインコンピューターを起動する。投影された画面には、崩れた文字列とノイズ混じりのログが次々に流れていった。
「ソフ、駄目そう……?」
アインが分解作業の手を止め、不安そうに覗き込む。
「完全に駄目ってわけじゃないけど……」
ソフは指先で画面を操作しながら眉をひそめた。
「『H-1』……この領域は完全に欠損してる。上書きじゃなくて、物理的に焼失してる感じ。修復は無理かな」
「H-1……?」
「重要な識別コードか、個体名だと思う。でも――」
ソフの視線が、別のデータ領域で止まる。
「ん? 『LANA NIELSEN』……こっちは欠損してない」
アインとオウルが顔を見合わせた。
「見てみよう」
ソフが領域を展開すると、画面いっぱいに複雑なコードと演算ログが表示される。見慣れたキヴォトスのAIコードとは構造そのものが違っていた。
数秒間、無言で解析していたソフが、ぽつりと呟く。
「……これ、多分AIだ」
「AI……?」
「しかも、かなり高度。自己判断、戦術演算、記憶領域の保護処理……私たちと遜色ないくらいのレベルかもしれない」
オウルが目を細める。
「そんなもの、キヴォトスのどこにも見つかっていません。外部世界由来、もしくは・・・名もなき神々の技術のが・・・」
「こんな高度なAIが、どうしてあんな状態で……」
アインが焼け焦げた機体を見つめる。装甲の隙間からは、まだ熱を持った内部フレームが覗いていた。
オウルは静かに言った。
「AIなら、起動できれば対話が可能なはずです。試してみましょう、ソフ」
「……うん。でも、何が起きてもすぐ停止できるようにして」
ソフはメインコンピューターの端子へ、カメラ、マイク、スピーカーを順番に接続していく。
「これで映像入力と音声入出力は確保できた。もし内部に人格データが残ってるなら、対話できるはず」
アインが不安そうに機体と端末を見比べた。
「本当に話せるの……?」
「保証はない。でも、試す価値はあるよ」
ソフは一度深く息を吸い、メインコンピューターの起動シーケンスを実行した。
暗かった画面に、赤いカーソルが一つ点灯した。
《メインシステム、通常モード起動》
アイン、ソフ、オウルは少女って言っていいのかな
あと感想をじゃんじゃん書いていってください!!何でもいいです!!