コスチュームを考えた時、僕が思い付いたのはオールマイトをリスペクトした物と、超電磁空手の道着だった。
どちらにするか悩んだ末に、どうせ変更するかも知れないんだからミックスしちゃえとばかりに、道着の布地を使ってオールマイトに似せたマスクを、お母さんに作って貰った。
そして許可して貰えた黒帯を道着に装着し、マスク空手マンといった、やや斬新な感じのコスチュームになった。
胸には「超電磁」の刺繍をしている。
帯はゼッカ師匠が何故か「帯は革製に限る!」とか言って、ベルトみたいになってるので、ついでにポーチを付けて煙幕なんかの補助武器や、工具と簡易救護セットを入れておいた。
回りを見ると、尻尾が生えた…尾白くん?が道着を着ていたので、親指立ててグッと送ったら、向こうも返してくれた。
「要望ちゃんと書けばよかったよ…パツパツスーツんなった…はずかしい」
麗日さんが恥ずかしそうにコスチュームを隠して、モジモジしている。
確かに、レオタードの上にプロテクターを着ている様なコスチュームだ。
…うん、ちょっと目のやり場に困るな…。
横で「ヒーロー科最高」とか峰田くんが言っているけど、もう少し麗日さんの気持ちを考えてあげて…。
こんな時、星の保育園のクーさんなら…こう言うかな。まず褒める事から始めよって!
「その、宇宙服っぽいコスチュームだね!素敵だと思うよ!けど、恥ずかしさが上回るなら改造の要望を出しても良いかも…」
「ありがとうデクくん、私スペースヒーロー13号が好きで、宇宙服っぽいのはその為なんだよね」
そっか、憧れへのリスペクトは基本だよね~。
でも麗日さんは恥ずかしがっているけど、大体他の女子を見ると更に際どかったり、全裸だったり…全裸!?
見た目透明なのは分かるけど、え?ぜ、ぜ、全裸!?
可視光線は通過しているのだけど!?でも超電磁レーダー波はきっちり反射して、姿形がくっきりと…うわっ!!
慌ててレーダーを切る。最近、微弱な電波を出している癖が付いていたから、止めるのにちょっと努力がいるんだ!
しかし何も言わない訳にはいかないだろうけど、直接本人に言うなんて…。
「う、うら、うら、麗日さん、ちょっと…」
しどろもどろながら、麗日さんに個性の影響でレーダー照射ができる事、透明女子も反射して姿が見える事を伝えた。
こういう時は、身近な女性に頼んで同性から言って貰うのが一番だと思うよ。
麗日さんは驚いて、慌てて透明女子に駆け寄って説明する。向こうも驚いてこっちを見てる感じだから、両手を合わせて謝罪。
何とか、隣にいた女子に透明シートのマントを作って貰った様だ。
落ち着いた透明女子がこっちにやってきた。
「ごめんね〜私、葉隠透!ヒーロー基礎学で張り切って服脱いできたけど、個性で見える人もいるんだね…恥ずかし!」
「こっちこそごめんなさい!大丈夫…と言って良いかどうか、レーダー反射でぼんやり形が分かる程度だから!あ、僕は緑谷出久!」
まあ、実際は胎児の3Dエコー写真くらいの感じかな。…以外とはっきり見えるけど、色がないんだよね…。
「あははっ!いや〜目を合わせて会話するの、すごく新鮮!また話そうね!」
そう言って透明女子、葉隠さんは去って行った。ふう、助かった。
と、横から視線を感じた。え?峰田くん?
「おい緑谷…お前、葉隠の裸を見たのか?」
…ええ!?
「教えろ!おっぱいも乳首もお尻も、全部、全部見たのか!?詳細を細部まで詳しく!!」
「ぐわ!オールマイト、オールマイト来たから!その手を離せ〜!!」
僕に飛び移って、襟首捕まえて前後に揺さぶる峰田くん!やめろ!回りの人の視線が痛い!!
特に女子のこちらを見る目が、嫌悪から汚物を見る目に変わっている事に気付け!!
僕を巻き込むな、頼むからぁ!!
「始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!!」
多少、波乱があったけど、オールマイトが授業の説明を始める。
凶悪
しかし、いきなり2対2の実践屋内戦訓練って大丈夫なのかな。あの実技試験をクリアしている前提がないと、大怪我する可能性が高くてやれないだろうなあ。
オールマイトはカンペを見ながら、核兵器を巡ってヒーローと敵に分かれ、核を回収するか相手を捕まえるかで対戦する、アメリカンな設定を説明した。
コンビや対戦相手がくじで決まるのを見て、飯田くんが「適当なのですか!?」と驚いていた。
「急造チームアップの練習も兼ねてるんじゃないかな?」
「そうか…!先を見据えた計らい…」
本当にそうなのか分からないけどね。
そしてくじの結果、麗日さんとコンビを組む事になった。
「すごい!縁があるね!」
「僕も、少しでも気心の知れた人と組めて嬉しいよ、頑張ろう!」
そして、相手は飯田くんとかっちゃんのコンビ。それも第一戦目だ。
うわ…いきなりかっちゃんだ!
麗日さんとビルの入口にやって来た。
これから、5分間の作戦タイムだ。
「建物の見取り図、覚えないとねコレ。作戦はどうしようか?」
「飯田くんとかっちゃんは余り相性が良さそうに見えないから、それぞれ単独で来るんじゃないかなぁ」
「それじゃ、単独のところを2人でやっつけちゃう?」
「うーん多分…いや十中八九、かっちゃんが僕を襲ってくるよ。かっちゃんは僕のライバルなんだ。じっと待つ性格じゃないし。飯田くんは核を守ってるんじゃないかな…。もしかっちゃんが襲ってきたら、僕が抑えるから先に核の確保をして欲しい」
「爆豪くんに勝てる?一緒に闘った方が良くない?」
「かっちゃんの個性は爆発、建物内で食らったら共倒れの可能性もあるよ。大丈夫、1年前までは何とか勝てていたんだ。この1年でどれだけ成長したかによるけど、僕も大きく成長したからね!勝って直ぐに追いかけるよ!」
かっちゃんは天才だ。その天才がこの1年、僕を倒す為に努力を続けてきたはずだ。全く油断なんてできないだろう。
しかし、僕だって遥かに強くなった。ワン・フォー・オールは勿論、功夫も更に積み重ね、空手だって…だって…止めて下さい師匠、人間はそんな事出来ません!!
「デクくん?デクくん!?どうしたん!?突然止まってガタガタ震えて!!」
「おわっ!ご、ごめん、ちょっと空手の修行を思い出して…」
「ど、どんな修行だったん…?」
人外の修行だったよ…。人間、豪鼠になんて成れません。多分。
…いや、バリアとかも張れないよね、普通。もしかして成れる!?
とか考えている内に、5分経過してオールマイトから合図が出る。
僕は麗日さんと一緒に、ビルの中に突入した。
多分無いだろうけど、罠を気にしつつ奥へと進む。超電磁レーダーは、ビル内では乱反射して使い辛い。
だが、確かに殺気らしき気配を感じる。そう、この懐かしき殺気は…。
咄嗟に麗日さんを抱えて、後方にジャンプ!
僕がいた空間に、爆音が轟いた。
「デクうぅ…!!この日を待っていたぜ〜!!」
悪鬼羅刹がいた。
両手で抱えた麗日さんが、ヒッと息を飲んで抱き着いてくる。
う、麗日さん、そんなに抱き着かれたら、お胸がポヨンと、柔らかいって今はかっちゃんが目の前に…!
いかん!気を取り直して、麗日さんを降ろしてかっちゃんと対面する!
「今日こそは、てめぇを完膚なきまでに叩きのめす!てめぇの力を全て引き出してなぁ!!」
「分かった!僕も、個性に目覚めてから一度も全力を出してないんだ!!(師匠達以外は…全力でもあの人達に敵わないって、本当に何者なんだ!?)」
言いながら、手で合図して麗日さんを先に行かせる。
初戦からクライマックスだ!!