明日から、1日1話の予定です。
ストックが尽きるまでは。
身体を鍛え始めて5年経ち、10歳になった。鍛え始める前から目指している雄英高校の入試まで、折り返し地点を過ぎたという事だ。
無個性でヒーローを目指している僕は、まず身体能力を鍛え抜かないとならなかった。
ひ弱な肉体では、過酷な空手の修行に付いていけないからだ。
限界まで走れ!と町内を何周もして倒れたら、限界を超えろ!と追加で走らされた。
初っ端からそんな事をさせられたら、あっと言う間に潰れそうだけど、なにか不思議なスープを飲むと次の日には元気になった。
よく分からないけど、ドーピン…?何とかコンソメスープとか言ってた。
余り気にしちゃ駄目らしい。
しかし、そんな僕に立ちはだかるのは、修行の辛さではなかった。邪魔する者がいるのだ。
彼だ。あの幼馴染のかっちゃんが、修行中の僕の邪魔をするんだ。
かっちゃんは事あるごとに突っかかってきて、お前は駄目な奴だ、デクだ、無個性がヒーローに成れるものか、身の程知らずめ!と暴言をぶつけてくるのだ。
それでも僕は諦めず身体を鍛えていたら、今度は爆発で物理的に邪魔してくる。ほとんど毎日。
僕が憧れるかっちゃんだけど!何で邪魔するの!?
かっちゃん、本当にヒーロー目指しているの!?今のままじゃ、どう見ても
一度、実際に暴力を振るってきたので、思わず逃げてしまった。
何度も死線を彷徨った修行のお陰で、爆破を喰らいはしたけれど、かっちゃんから逃げる事ができた。
…修行の成果が出たと喜ぶべきなのか、そもそも死線を彷徨う事がどうなのかと悲しむべきなのか。
その後、かっちゃんのお母さんに会っちゃって、爆発の火傷跡を見られて土下座せんばかりに謝られた。
それから数日間、かっちゃんは大人しかったけど、ほとぼりが冷めるとまた鬼の様な形相で襲い掛かってきた。
本当に、本当に勘弁して、かっちゃん!!
さて、鋼の精神力を(修行で無理矢理)持つ僕は、かっちゃんの妨害にも耐え、道場に入り浸って身体を鍛え続けた。その結果が…これだ!
体力や筋力はそこそこ付いたと思う。現状は、合計数十キロの重りを身に着け、腕立て等は重りを着けたまま、片手逆立ち腕立てを三桁超えの回数でやれている。
でもオールマイトは何人も抱えて飛び回っている。こんな程度じゃまだまだ。
そして、タラバ師匠から超甲殻空手の基礎を習っている。
一般的な拳法なんかの道場は、個性社会でドンドン潰れていったけど、タラバ師匠に連れて行って貰った道場は健在だった。
その名も「超電磁空手道場」。
共同道場主のドンファーさんとゼッカさん、兄弟子のトージさん、時々道場に訪れて修行をつけてくれるタラバさんに、親切丁寧に寄って集って鍛えられたんだ。
ごめん、入り浸っては嘘です、逃げられなかった、というのが正しい…。
「達人への道は崖を飛び降りる様なもの、一度落ちれば引き返せない」とは、誰の言葉だったか…。
最初は基礎体力作りと空手の形を習った。
特にタラバさんから、
「いいか!自らの筋肉を
「師匠!サイボーグじゃないのに、普通の人間にバリアなんて出来るんですかぁ?」
「ん?ワシはできとるぞ!出久もできる!!筋繊維1本1本を内観で把握できるようにならねばならん!空手の道は奥深いぞ〜!」
はっはっは!と笑って
痛い痛い!も、もう少し手加減を!
そして半年後、できちゃった…。
内観で自分の筋繊維を意識しながら動かしていたら、いつの間にか自然と出来るようになった。
これが出来るなら、個性とか目覚めても良いじゃんか…。
「うーむ、本当にできるとは…」
「えっ?何か言いました?師匠?」
「ん?いや、何でもないぞ!これで超電磁空手の最初の道に踏み出したな!」
「ええ!?これが超電磁空手じゃないんですか!?」
「いや、これが出来ないと、超電磁空手で身体や四肢が吹き飛ぶからのう…。五体満足でいたいだろう?」
なんか、恐ろしい事を言う師匠。
うへ!?身体が吹き飛ぶ様な修行するの?
さ、流石にそろそろ、この空手道場の異常さに気付いてきたんで、多分本当の事なんだろう…。
「次は超電磁空手の基礎を教えてやろう!ついて来い!」
考える間もなく、兄弟子のトージさんに引き摺られて道場へ連れて行かれる僕。
「超電磁空手の本領は、連打必殺を初心とし、一撃虐殺を悲願とする!一撃にて100人を殺戮しうる虐殺士を目指すのだ!」
「ちょっと兄弟子!虐殺したらヒーローになれません!」
「うむ!気にするな!まずは正拳突きからだ!!」
うーん、ここで空手を習って良かったのか…ほんの少しだけ疑問に思う。
他に弟子がいないからか、付きっきりで教えてくれるのはありがたいのだけど…。
ちょっと威力が強過ぎるよ!正拳突きで衝撃波が出るって!超音速の拳?個性ないと無理でしょ!
…また、できちゃった…。ここにきて今さら思うのだけど、何なんだ超電磁空手というやつは…。
こりゃあ確かに、超甲殻三戦法ができないと吹き飛んじゃうよ。
ちなみに、師匠達に頼み込んで大陸の拳法家を紹介して貰う事になったよ。
正直、超電磁空手が強過ぎて相手を殺してしまいそうで…。
拳法も充分殺傷能力があるんだけど、流石に手加減のレベルが違うんだよな…。
かっちゃんは五月蝿いけど、殺したい訳じゃないしね。
「出久!こちらが星の保育園の理事長のカルエラさん、保育士のクー・ツァンさんとサヤさんだ」
「あの…師匠?拳法家の方…じゃないんですか?保育士の方って…」
「グダグダ言わんと、やってみろ!」
結論から言うと、あらゆる拳法や剣技をマスターしているカルエラさん、八卦掌を元にした格闘技「アハトマスターデ」を操るクー・ツァンさん、触れただけで投げ飛ばされる「合機柔術」を身に付けたサヤさんに、徹底的にしごかれました。
ついでに、女性相手にしどろもどろになる僕に、女性の扱い方も徹底的に仕込まれました…。
しかし、無個性でも、強くなってきた!
このまま修行を積めば、きっとヒーローになれると信じています!