誤字修正、ありがとうございます。
あれから、エーリカちゃんと陽子ちゃんを残った男子に紹介しようとしたけど、峰田君がナンパしてきて
二人はクラスメイトの女子達が居ないなら、また今度〜って帰っていった。
最終種目、トーナメント形式のガチバトルだった。
組み合わせのくじを引く前、尾白くんとB組の庄田くんが辞退した。騎馬戦の時の記憶がないそうだ。
代わりに鉄哲チームの2人が上がってきた。
何に信念を置くかは人それぞれ、仕方ないと思うけど…。
そして組み合わせが決まる。
僕は第一戦目、普通科の心操くんと当る。
彼とは、少し訓練を積んだけど、個性は知らないんだよな。しかし、同じ騎馬戦のチームだった2人が記憶がないと棄権したと言う事は、彼の個性は精神に関わる事?
っと、尾白くんから「奴に答えるな」と警告が。なるほど…。
いよいよ出場だ。競技場までの通路を歩いていると、オールマイトから声をかけられた。
「ワン・フォー・オール、使いこなせているな!」
「オールマイト…いえ、本当に使えているかは不安なんですが」
「ハッハッハッ、大丈夫、君は立派にやれているさ!」
スタタアンと肩を叩く。オールマイト、痩せた身体でも痛いんですけど。
「覚えておくといい。怖い時、不安な時こそ笑って臨むんだ!!ここまで来たんだ、虚勢でもいい。胸を張っとけ!私が見込んだってこと、忘れるな!」
『一回戦!障害物競走、騎馬戦共に1位通過のヒーロー科の空手家、緑谷出久!』
「拳法家でもあるけどね」
『対、ごめん、まだ目立つ活躍なし!普通科、心操人使!!』
そしてルール説明。場外か降参で勝ちだが、もちろん命に関わる事はアウト。ヒーローだしね。
心操くんが「なり振り構ってちゃダメなんだ…」とか言ってるが、それこそ何でもしてきた僕に言う事か?少しくらいは身体を鍛えないと駄目だろう。
「あ~これは独り言なんだが、精神系の個性は僕に使わない方が良いかなぁ。多分。とても危険だから」
まあ、こんな事を言っても無駄だと思うけど。彼にはそれしか武器がないし。
「もし君が個性を使わないなら、僕は個性も空手も使わない!」
ドンファー師匠…あなたの精神修行※1、役に立つ日が来るとは…。
『START!!』
「あの猿はプライドなんかで、チャンスをドブに捨てるなんてバカだと思わないか?」
「アホか!!」
うお!暗示にかかるため、態と答えたけど…。
なるほど、こんなに呆気なくかかるのか!
だが、早く回復しないと!とんでもない事に…んん?なんだ?向こうの入口に、誰か…誰かいる!?
ワン・フォー・オール…聖火の如く引き継がれたもの。人…この力を紡いできた人の…気配が…何人かいて…こっちを見てる!?
「おい超電磁空手ってなんだよ!?」「これが個性じゃないって…」「俺達、いらなくね??」
なんか、話しているけど、よく聞こえない…!
はっ!!いかん早くしないと!!
さて、拳法にしろ空手にしろ、同じ形を、套路を何回も何十回も、何千何万回も繰り返す。
何故か?それは、いざという時、咄嗟の時、危機の時、意識外の攻撃を受けた時、無意識の内に正しい形で反撃できる様にする為である※2。
僕も同じく繰り返し、その上で師匠のドンファーさんに反撃システムを組み込まれていた。
そして今、精神攻撃を受けて、反撃が始まる!
「超電磁、正拳突き!」
ブレーキブレーキブレーキ、利け利け利かんかコラァ!!!!
超音速の拳が出る。痛みが僅かに走る。制御を取り戻した!!止まれえ!!
超音速の拳は衝撃波を発生させコンクリートのステージを破壊するが、途中で停止した為に心操くんに行き着く前に減衰した。
といっても、人が吹き飛ぶのに十分な威力はあった。
「ちょっと心操くん大丈夫!?」
場外に飛んでいった心操くんに、僕の二回戦進出の声を聞いてから駆け寄った。
大丈夫…鼻血や耳血が見えるが…え?ホントに大丈夫?
うう…っとうめき声が聞こえた。大丈夫かな?担架はまだか?
心操くんは、何とか意識を取り戻し、普通科の人達から、ヒーロー達から賞賛されながら行った。
そりゃ、声掛けだけで敵を無力化できるし情報すら引き出せるんだから、期待するよな。ヒーローに相応しい個性だ。
よし、一回戦突破できた!別の意味で危うかったけど。
続いて轟対どんまい瀬呂の試合。
うん、瀬呂くん、どんまい。
B組塩崎対上鳴は、相性の悪さで上鳴くんが負け、飯田対発目は商品展覧会になった。
正直、こっちが二回戦の試合だったら、どんまい飯田になっていたと思います。
しかし、あの飯田くんに「嫌いだ」と言わせるとは、発目さんは本物か。
まだ試合は続くが、お茶子ちゃんが控室へ向かったので、激励に行こう。
お茶子ちゃんの相手はかっちゃん。
…かっちゃんか…。
手加減は…しないよね…。性格的にも、試合的にも。お茶子ちゃんも本気だったから、本気でいくと思う。僕の殺しちゃうから手加減と違うよな…。
「そうか、君の相手、あの爆豪君だものな…」
「うん、超怖い」
部屋に入ると、飯田くんが先に来てた。
やっぱり怖いか。しかし、それでも闘志に燃えている様を見ると、お茶子ちゃんもヒーローの卵なんだな。
「やあ!お茶子ちゃん!」
不安になってるお茶子ちゃんに、なるべく明るく声掛けしてみる。
しかし僕にくってかかってきたのは飯田くんだった。
「緑谷くん、あのサポート科なんなんだ!?」
「あ、あ〜彼女、変わった子だね?」
「真剣勝負だと言うのに、騙された!」
ええっと…。その時ふと、星の保育園の師匠から聞いたセリフが頭に思い浮かんだ。
「飯田くん、一つ覚えておいた方が良い…。女のウソは、許すのが男だ」
「いや、男でも女でも、嘘は駄目だろう?」
はい、その通りです。その通りなんだけど、飯田くんはモテない…かも?
気を取り直して、お茶子ちゃんを励ましてみよう。
「お茶子ちゃんの相手は、あのかっちゃんだ。一筋縄ではいかないだろうね」
「しかしまァ、流石に爆豪くんも女性相手に全力で爆発は…」
「するよ、確実にする。お茶子ちゃんが真剣勝負するなら、間違いなく本気でくる」
「ああ…彼の攻撃は、その、容赦なかったな」
お茶子ちゃんは、何かを考え込んで、意を決した様に聞いてきた。
「デクくんは…私と闘う事になったとして、本気で闘う?」
伺う様な、それでいて真剣な目でこちらを見るお茶子ちゃん。
それならば、真剣に応えるべき、なんだけど。
「いや、僕の場合は殺しちゃうパンチになるから…手加減しないと…」
そう、オールマイトとか、せめてかっちゃん並みに丈夫な相手じゃないと、殺しちゃうパンチは撃てないもんな…。人としても、ヒーローとしても。
「それは、やっぱり私が弱いからだよね…」
「…正直に言えば、そうなんだけど…ちょっと違う様な」
「デクくんは凄い!どんどん凄いとこ見えてくる。今思えば騎馬戦の時…デクくんに頼ろうとしてたんかもしれない。だから、強くなりたい!挑戦したい!デクくんに本気出して貰える様に、デクくんに頼って貰える様に!」
ぐっと震える手で、親指を立てるお茶子ちゃん。
「決勝で会おうぜ!」
うん、お茶子ちゃん、頑張れ!!
※1精神修行は独自設定ですが、あってもおかしくないのが超電磁空手です。
※2繰り返す意味は他にもありますが、こういう意味もあると言う事で。