僕の超電磁ヒーローアカデミア【完結済】   作:アールエー

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その25 職業体験

 

「デクくんは、もう決めた?」

 

お茶子ちゃんが聞いてくるのは、職業体験の行き先だ。

 

「うーん、こんなに指名数があると、思いっきり目移りするよね…」

 

ひとまず、やりたい、体験したいジャンルを決めないと、短い時間では決めきれない。

(ヴィラン)の捕縛、災害救助、事務所の経営…。

自分としては、災害救助活動を主にしているヒーローチームが良いかな…。

 

正直、(ヴィラン)を相手にするには、この前の脳無の様な強敵が相手ではない限り手加減を完璧に覚えないと思わぬ事故につながりそう。一番困るのはかっちゃんクラスの手加減すると負ける相手だよな〜。

 

「お茶子ちゃんは、どこか決めた?」

 

「うん、指名が来てたバトルヒーローガンヘッドの事務所に決めたんよ」

 

「ゴリッゴリの武闘派だね」

 

「うん、デクくんからも拳法習ったけど、やっぱり強さは必要だと思って。強くなれば、そんだけ可能性が広がる!」

 

「そうだね。何をやるにせよ、ある程度の強さは必要だと思うよ」

 

お茶子ちゃんも色々考えているな。僕も方向性だけでも決めないと…。

 

「それより、さっきかから気になってたんだけど、震えてるね?」

 

お茶子ちゃんが、僕の足を見て疑問に思ったのか聞いてきた。

 

「ああ…コレ、空気イス」

 

「クーキィス!!まさか授業中ずっと!?」

 

「そう、それも僕の師匠特製のバネ仕掛け負荷装置も付けているんだ…」

 

お茶子ちゃんがバネ仕掛け?と不思議にしていたから、仕掛けを外して見せた。強力なバネがあらぬ方向へ間接を曲げようとして、かなりの力が必要になるんだ。

 

「ちょっと、何これ、動かへん…!!」

 

お茶子ちゃんが必死にバネを曲げようとするけど、全然動かない。その内、他のクラスメイトも集まり始めてきたけど、力自慢が全力でやって漸く動く代物なんだよね。

 

そこで、ふと横を見る。

飯田くんが真剣な表情で職業体験の申込用紙を見つめていた。

 

僕は声をかけようと思った…けど、その思い詰めた表情についに声を出す事が出来なかった。

 

 

 

「わわ私が独特の姿勢で来た!!」

 

放課後、突然オールマイトが教室にやって来て、呼び出された。

何でも、オールマイトの先生が指名をしているから、是非行って欲しいと言う。どうもグラントリノと言う、オールマイトの担任だった先生、らしいけど…。

え?オールマイト、どれだけ震えているの?

ものっすごい震えているんだけど!どんだけ恐ろしい人なんだー!?

 

まあ、師匠達ほどじゃないよね…?

今日も帰ったら、地獄の地獄…。

 

 

その日、オールマイトと僕が只管ガタガタ震えているのを、多数の生徒が目撃したと言う…。

 

 

職業体験の日。

駅に僕達は集合して、それぞれのヒーローの元へ、近くは県内、遠くは九州等へ向かう事になる。

 

ニュースで、飯田君の兄のターボヒーロー「インゲニウム」がヒーロー殺しステインに襲撃された事件は、連日報道されていた。

飯田君は何事もない様な感じで過ごしていたけど、むしろだからこそ、心配になるのだ。

 

 

 

「飯田君」

 

「…緑谷君、麗日君…」

 

「…本当にどうしようもなくなったら、言ってね。友だちでしょ」

 

隣でお茶子ちゃんも、ブンブン頷く。

 

「ああ。職場体験、お互いに頑張ろう!」

 

そう、爽やかな風に飯田君は職業体験へ向かって行った。

…恐らく、敵討ちとかを考えているんだろうな…。

星の保育園で相談したら、思い詰めた奴は極端に真っ直ぐ走り出す事があるって聞いたし。

超電磁空手の師匠達には相談出来なかった。

やったら、多分「よし!そのヒーロー殺しを狩りに行こう!!」とか言い出しそうだったし。師匠達が本気で狩り始めると、ヒーロー殺しの生死が不明になるくらいなら良くて、下手すれば街が更地になるんだよ…。

 

もう少し、飯田君には強く言うべきだったかなぁ…。

 

 

僕も職業体験へ、新幹線に乗って向かって行った。住所を見ながらやって来た先は…ものっすごいボロボロのビル。

えっ?ここ!?間違いない!!??

 

き、気を取り直して、中に入る。…崩れないよね、ここ…。

 

「押忍!雄英高校の緑谷出久です!宜しくお願いしま…あ…」

 

中に入ると、血溜まりの中に倒れる小柄な老人が一人。さ、殺人事件の現場!?

 

「あ あ あ ああ死んでる!!だ、大丈夫ですか!?」

 

慌てて老人の元へ駆け寄る!

 

「生きとる!!」

 

「生きてる!!ホッ」

 

生きてた!良かった〜。しかし、これは一体全体、どうなっているんだ?

 

「いやぁあ、切ってないソーセージにケチャップぶっかけたやつを運んでたらコケたァ〜!」

 

ケチャップ…。思わず血溜まりに指を突っ込んで匂いを嗅ぐと、うん、ケチャップだ。

 

「誰だ君は!?」

 

「ええ!?その、雄英から来た緑谷出久です!」

 

「何て!?」

 

「緑谷出久です!!」

 

「誰だ君は!!」

 

「え、ええ〜……やべぇ!!」

 

ヤバい…。もしかして、年寄りだから、もう…。い、いや、オールマイトが紹介してくれたんだ、きっと大丈夫…かなぁ…。

ちょっとオールマイトに電話確認するかな…。

 

「撃ってきなさいよ!ワン・フォー・オール!」

 

「!?」

 

「どの程度扱えるのか知っておきたい!」

 

振り向くと、僕のバッグからコスチュームを取り出していた。

どう見ても、ボケた老人にしか見えない。筈なのに…。

この感じ、雰囲気。師匠達と相対している様な。

ボケてない!間違いない、この老人はグラントリノ、あのオールマイトの師匠なんだ!

 

「押忍!直ぐに着替えます!」

 

僕は慌てて着替えた。待たせちゃいけない!

また「誰だ君は!」とか言ってるが、とりあえず無視!

これから、オールマイトも震える職業体験が始まるんだ!

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