僕の超電磁ヒーローアカデミア   作:アールエー

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その26 ヒーロー殺し

 

「体育祭での力の使い方…。ワン・フォー・オールは充分に使えてるだろう。それを見せてみなさい」

 

老人とは思えない、機敏な動きで部屋の中を飛び跳ねたグラントリノは、壁に張り付いた状態で僕を見下ろしながら言った。

この人、やっぱりオールマイトの先生だ。

 

コスチュームを身に纏い、ワン・フォー・オールを起動する。グラントリノの実力がどの程度か分からないけど、師匠達と同じと考えるなら、全力運転をするべきだ!

 

丹田を中心に、ワン・フォー・オールが身体中を駆け巡る!100%運転!

緑色の電撃がバチバチと唸り出す。

 

「押忍!よろしくお願いします!」

 

「うむ、ワン・フォー・オールを使いこなしているな。ならば、本気でかかっても大丈夫か!(と言うか本気でやらんと危ないかもな)」

 

そう言うと…グラントリノは再び猛スピードで部屋中を跳ね回る!速い!が、目で追えないほどではない!!

僕は拳法の構えを取り、攻撃の機会を探す(超電磁空手は封印、こんなオンボロビル内で使ったら、ビルが崩壊して生き埋めになるよ!)。

 

「そこ!」

 

僕が放った手刀を、グラントリノはギリギリで見極め反撃、しかし手刀に添えた逆手で反撃を振り払う!

こういう時、拳法では総じて余り動かない。

腰を下ろし、歩法で躱す程度に動く。

 

己は泰山の如く動かず、敵を木の葉の如く散らす。

 

背後からの攻撃に、力をそのまま受け流しグラントリノの体幹を乱して反撃!

対人戦で微細な手加減が必要な時は、星の保育園のクーさんやサヤさんから教わった対個性用八卦掌(アハトマスターデ)、それに合機柔術が有効だ。

グラントリノが僕の身体に触れた機を逃さず、身体の軸の移動だけで受け流し、投げ飛ばす。

 

これができるまで、サヤさんに徹底的に痛めつけられました…。サヤさん、あんなに優しそうな笑顔で接してくれるのに、まっっっったく情容赦なくブチのめしてくるから…!!

本当の悪魔は、恐ろしい姿ではなく輝く様な笑顔でやって来るものです…。

 

それは兎も角、グラントリノは投げ飛ばされた先でヒラリと身を翻すと、今度は正面から飛び掛ってきた。

僕もまた、正面から受けて立つ。対個性用八卦掌(アハトマスターデ)の基本は螺旋の動き、受け流す時も腕を捻り、力を分散させて敵に返す。

ワン・フォー・オールで身体を補強し、機を見付け更にグラントリノを投げ飛ばす!

 

「…どうやら、ワン・フォー・オールの制御も上手くやれている様だな。体育祭を見て分かっていたつもりだが、これほどとは!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「これだけ使えたら、直ぐにフェーズ2に移行しても問題ないな。…その前に、そういや朝飯食ってないな」

 

そう言うと、グラントリノはにやりと笑った。

 

 

 

「まさか人身事故で新幹線が止まるとは…」

 

朝食を食べて向かった先は、東京渋谷。

僕はグラントリノに連れられて、早速(ヴィラン)退治の実施訓練をやる、という事で新幹線に乗った。

矢張り(ヴィラン)の出現率からいって、東京の繁華街の方が高いから移動していたんだ。

が、昼前から乗った新幹線が、途中で人身事故が発生して停止してしまう。現場検証なんかを含めると、数時間は足止めを食らう事になってしまった。

 

「この街は…保須市でしたね」

 

「仕方ない。新幹線が復旧する迄、ボーッとしているのも勿体ない。ここでパトロールの訓練をするか!」

 

グラントリノは電話にて関係各所に連絡を行い、パトロールの手続きを済ませたと言って、ビルの谷間になる路地裏へ向かった。

 

「表で騒ぐ(ヴィラン)もいるが、矢張り多くはこんな日の当たらん場所に潜むもんだ」

 

確かに、元々はビル間の遊歩道として作られたと思うけど、車も通れない狭さで日もほとんど当たらず、中途半端に植えられた木も枯れ、閑散とした雰囲気を醸し出している。

あちこちにある大きなゴミ収集用のスチールボックスや植物が、人が隠れる場所を作ると共により淋しい、そして怪しい感じがして、余計に人を寄せ付けない。

 

「人が来ないから廃れる。廃れた場所には(ヴィラン)が集まる。すると治安が瞬く間に悪くなる。こういった場所をヒーローが巡回するのは、治安悪化を防ぐ為にも意味があるもんだ」

 

そんな裏通りを、グラントリノから気を付けるべき注意点を聞きながらパトロールをしていると、確かに雰囲気の悪そうな人物がチラホラ見かけた。彼等が(ヴィラン)なのか、その手前なのか分からないけど、この巡回が何らかの歯止めになっていれば良いな。

 

巡回もかなり奥まで行き、そろそろ引き返す頃合いかと思ったぐらいの時、ふと何か気配を感じてビルの上を見た。

晴れていて明るい筈の屋上のタンクの上に、黒い靄がかかっていて…あれは…!

 

「グラントリノ!」

 

鋭く、名前だけを叫んで靄を睨む。あれは、USJで僕らを襲った、霧状の(ヴィラン)

 

僕の声と目線で察したグラントリノは、即座に臨戦態勢に入る。

黒い靄から出てきたのは…ボロ布の様なマスクをし、刀を背負った禍々しい姿の男だった。

 

「俺は為すべきことを為す。この保須()を正さねばならぬ。それにはまだ…犠牲がいる」

 

男は、そう言ってこちらを見た。う、動けない。なんて迫力なんだ…!

 

「ヒーローとは、偉業を成した者にのみ許される称号!お前らは偽物か…?」

 

「あれは…ヒーロー殺しステインか!?構えろ、来るぞ!」

 

グラントリノが叫ぶのと、ヒーロー殺しが飛び掛ってくるのは全くの同時だった。

 

「この世が自ら誤りに気付くまで、俺は現れ続ける」

 

「はっちゃけやがって!ガチ戦闘は何年振りかな」

 

凄まじい速度で迫りくるヒーロー殺し!迎え撃つグラントリノも、負けない速度で応戦する。

僕は両頬を、自分で叩いた!よく見ろ!確かに異常な迄の気迫だが、師匠達を思い浮かべるんだ…!!

 

あ、うん、何とかなるな。

 

ワン・フォー・オールを身体中に張り巡らせ、気合いを入れた僕は、二人の戦闘の間に突入したのだった!!

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