「こ、これは…」
オールマイト先生は、かなり驚いていた。
それはそうだろう。僕はワン・フォー・オールを纏った超電磁空手を、かっちゃんは爆破の個性を多用し高速立体機動を行う、二人共いわば火山が爆発した様な戦闘スタイルだからだ。
しかし今はどうだ。かっちゃんは流水制空圏を使用し、オールマイトの攻撃を予知したかの様に躱している。完全に冷静になったかっちゃんは、第二段階の相手の心と同調する所まで達している様だ。
僕はと言えば、
派手な超電磁空手と違い、この武術は味方に被害をもたらす事はない。安心して戦えた。
螺旋の動きを中心に相手にくっつく事で筋肉の動きを読み、オールマイトの力を受け流してコントロールすらできる技だ。
大人し過ぎて超電磁空手とは相性が悪いけど、動の空手に静の八卦掌は使いこなせたら様々な状況に対応できる。
「爆豪少年は私の呼吸を読んでいるのか!?それに緑谷少年は、まるで粘着シートの様に取れないぞ!?」
オールマイトは自分の攻撃が先読みされて、そう判断した様だ。
まあ、僕の技は粘勁と似ているから、粘着シートとは言い得て妙だけど…!
「デク…!その技は何なんだ!?」
「重力に頼る
「お前…ほんっとうに無個性なんだよなぁ!?」
失敬な!無個性だったよ!かっちゃんが一番知ってるくせに!
「一番知ってるから疑わしいんだ!クソッ、良いから畳み掛けるぞ!」
かっちゃんが流水制空圏から攻撃に移る!僕もぴったり接触したまま急所へ打撃を撃ち込む!
「ハハハ!中々やるね、少年達!これは先生、頑張っちゃうぞ!」
むん!オールマイトも本格的に反撃、しかしかっちゃんは避ける避ける。オールマイトと息を合わせ、心の同調に成功している様だ。
「これは…こうならどうだ!?」
しかしオールマイトも只ではやられない。呼吸を合わせてくるなら、態と呼吸を乱してきた。流石のかっちゃんも、僅かに付いていけなくなった。その隙は、オールマイトにとって充分な隙だった。
僕とかっちゃんの攻撃を受けながら、一撃のパンチがかっちゃんに命中、それだけでかっちゃんは吹っ飛んでいった。
「か、かっちゃん!?」
「油断したな、緑谷少年!」
「ぐっ…!
とっさに腕を巻き取り、間接を極めようとするもオールマイトのパワーに押し負けた。ズドンと腹に拳がめり込み、向かいの建物まで飛ばされてしまった!
「さて…この暴れ馬たち、どう拘束したものか…」
強い!圧倒的に強い!
だけど、まだ立てる。向こうではかっちゃんも立ち上がった。
「対峙して改めてわかる。そうだよ、この男は
「かっちゃん!さっきのは個別に攻撃しているだけだ!今度は、本気で連携しよう!!」
「…スッキリしねえが今の実力差じゃまだ…クソナード、合わせろぉ!!」
かっちゃん…!よし、オールマイト、行きます!
怖い時、不安な時ほど、笑って行きます!!
「よし、ヒーロー!かかって来い!!」
かっちゃんは呼吸を整え、再び流水制空圏にてオールマイトに肉薄する。僕はその前面にて、
「「おおおおおおっ!!」」
オールマイトはまたかっちゃんの呼吸を乱そうとするけど、僕が阻止。かっちゃんは…かっちゃんは遂に流水制空圏の第三段階へ突入した!
「これは、私の動きが!?」
そう、第三段階に達すると相手の動きを完全に把握して、先の先を取る事で相手の行動をコントロールできるのだ。
僕もそれに合わせて、オールマイトの懐に飛び込む。
「かっちゃん!」「デク!」
「
「
僕が下から螺旋の動きにて腹に強烈な絶招を食らわす!かっちゃんは上から特大火力の爆発を叩き込んだ!!
流石はオールマイト、瞬時の判断で軸をずらし芯を躱したけれど、遠くの建物へと吹き飛ばす事に成功した!
漸く、時間ギリギリとはいえ僕達はゴールに辿り着き、試験に合格する事ができた…。
「おい、デク…。オールマイトの身体は…」
かっちゃんがこっちの顔を伺う。僕は頷いた。
恐らく、流水制空圏の心の同調で、オールマイトの身体の様子に気付いたのだろう。
かく言う僕も、八卦掌で筋肉の動きを把握した時に身体の中に気付いてしまった…。
「かなり、無茶をしていると思う。このままじゃ…近い将来、ヒーロー活動は…」
それ以上、言う事はなかった。
僕はオールマイトの頼みを何でも引き受けるつもりだったが、ワン・フォー・オールを受け渡してからの身体能力の衰えは、どうする事も出来なかった。
オールマイトも覚悟の上で二人の攻撃を喰らっております。
それはそれとして、ちょっと殺意が高いですね(汗)