僕の超電磁ヒーローアカデミア【完結済】   作:アールエー

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その37 マスキュラー

 

「闇の饗宴…」

 

常闇くんの言葉に、ちょっとブルッとくる。

1人だもんな…。怖くて肝が潰れる所を他の人に見られる事がない…いや、B組の人に見られるか。しかも語り草になるやつ。

 

遠くから悲鳴が響き渡る。結構、距離があると思うのに、こんなに響くもんなんだなって感心するよ。この声は…耳郎さんと、葉隠さんかな?

お茶子ちゃんと梅雨ちゃんのペアも出発して、僕は一人ぼっちを満喫してます…。

 

等と、自分の順番を待っていると、ブルルッと相澤先生の携帯が鳴った。先生は取り出して眺め、目をカッと見開く。

なんだ?と思っていたら直ぐに隣にいたマンダレイに話しかけた。

 

「敵(ヴィラン)二名による襲撃です、生徒達にここまで撤退する指示を!予想より1日早かった」

 

え?え?襲撃!?また、USJみたいな!?

途端に頭の中にマンダレイのテレパスが響く。

 

『敵(ヴィラン)二名襲来!!動ける者は直ちに施設へ!!会敵しても決して交戦せず撤退を!!』

 

やはり敵(ヴィラン)が!気持ちを即座に切り替える。USJでは慌てふためき、完全に遅れを取った。今度は、今度こそは!

決意を固めたところで、超電磁レーダーに感アリ!

 

「ピクシーボブ!!」

 

瞬歩と言われる歩法で距離を詰め、少し離れたところに1人でいたピクシーボブを護る様に構え、更に向こうからくる悪意に立ち向かう!

 

「ちょっ、緑谷くん!?」

 

「超電磁連突きぃぃぃ!!」

 

向こうには二人分の悪意以外に気配なし!衝撃波で30メートル離れたコンクリートを粉砕する連撃で、遠慮なく殴りまくる!扇状に撃ちまくった正拳突きの衝撃波で、闇の向こう側からぐはっと声が聞こえてきた。

多分、不意を打つつもりで襲来し、逆に不意を打たれたから思わぬ直撃を食らったのかも。

流石にこれで戦闘不能とまではいかないと思うけど、それよりも!

 

「こ、こら!交戦するなって言ったでしょ!?」

 

「すみません!急に突きの練習がしたくなって!それよりもマンダレイ、僕、知っています!!」

 

マンダレイには、それで通じた様だ。

ここにはプッシーキャッツ三人に、相澤先生までいるんだ、問題ないだろう。

マンダレイの許可を得て、僕は洸汰くんのところへ飛ぶように走った!!

 

道を走らず、木々の間を真っ直ぐ突っ走ると、2メートルはありそうな大男が、洸汰くんを殴ろうとしている場面に遭遇した!咄嗟に間に飛び込んで大男の拳を受け、洸汰くんへの軌道を反らせるが、踏ん張りが効かずに僕が岩肌にめり込んだ!

 

「お、お前…なんで…!?」

 

「大丈夫…救けにきたよ!」

 

ガラガラと崩れる岩場から出て、敵(ヴィラン)に相対する。強烈なパンチだったけど、超甲殻三戦法を突破できるほど強くない。

 

「ん?お前は…連れて来いリストにあったな」

 

連れて来いリスト!?敵(ヴィラン)は、こちらのクラスメイトを把握して、誘拐しに来たのか!?

 

「まあ良い。手足ぶち折っても、連れて帰った事になるよなぁ!」

 

みるみると筋肉が膨らんで…と言うより纏わせていく。こいつは、見た事がある。確か、ウォーターホースを殺害した敵(ヴィラン)、マスキュラーだ!

 

「お前が、緑谷って奴だろ?安心しろ、お前は生きて連れて来いと言われているんでな!」

 

なんで僕が!?いや、今はそんな事はどうでも良い。

 

「大丈夫だよ、洸汰くん!僕が必ず救けるから!」

 

「必ず救ける…って?はぁはは…。さすがヒーロー希望者って感じだな。どこにでも現れて、正義面しやがる」

 

マスキュラーは殴りかかってくる。速い!が、師匠達に比べたら全然遅い。

回し受けで力を反らしながら、反撃の機会を待つ。…が、かなりの衝撃だ、強いぞこの敵(ヴィラン)は!

 

「そうそう、知ってたら教えてくれよ。爆豪ってガキはどこにいる?一応、仕事はしなくちゃあ…」

 

かっちゃん!?僕といい、かっちゃんも目的なのか!?と考える間も無く、再びマスキュラーが襲い掛かる!

僕はすいっとマスキュラーの右腕の内側に入り、裏拳で軽く肘の下を掴む。相手の機を読み取り、重心をずらして崖下へ投げ落とした。

 

「合機投げ!」

 

マスキュラーは「おおおっ」と叫びながら、崖下へ落ちて行った。この程度じゃ死なないどころか、直ぐに復帰してくるだろう。

 

「な、なんだ!?今の、個性か!?」

 

「違うよ洸汰くん。合機柔術って言う、武術だよ。個性を使わなくても、訓練すれば使える技なんだ。それよりも、早く隠れて!あの敵(ヴィラン)はこんな程度じゃ死にはしないから!」

 

洸汰くんを少し離れた洞窟っぽい場所へ避難させる。と、同時に崖下から駆け登ってきたマスキュラーが、僕の前に再び立ちはだかった。

 

「今のがお前の個性か?力を受け流すタイプか」

 

マスキュラーの筋肉が更に増え続け、腕の太さだけで大木みたいになっていった。筋力が増大すると言うより、人工的な筋繊維が身体に巻き付いている感じだ。ちょっと、気色悪い。

 

「俺の個性は筋肉増強。皮下に収まんねえ程の筋繊維で底上げされる速さ!!力!!何が言いてぇかって!?自慢だよ!」

 

マスキュラーは心底楽しそうに喋り続けた。

本当に楽しいんだろうな。弱い者を虐めるのが。

確かにこいつは強い。筋肉の鎧を突破するのは、かなり厳しいだろう。普通なら。

僕はワン・フォー・オールを起動させ、空手の基本の構え、組手立ちをする。

 

「おっやるか!?お前みたいな奴がどうやって勝つ!?どうやって救ける!?実現不可のキレイ事のたまってんじゃねぇよ!」

 

ぐんっとマスキュラーは蹴りを繰り出してくる。岩を粉砕し、正確に僕を狙ってきた。

しかし、歩法には上半身を揺らさず、まるで横に瞬間移動したかの様な技法がある。マスキュラーの蹴りは僕の横を通過し、お互いの距離は一気に縮まる!

 

「超電磁…正拳突き!」

 

ぼすっ。そんな音を立てて、僕の正拳突きがマスキュラーの胴部にぶち当たる。

 

「…なんだ?そのパンチは!?速さだけはあるが、力が全然足りてねぇ!」

 

そう言って、再び腕を振り上げて…マスキュラーの行動は、そこまでだった。

 

「ぐげほぉお!!!?な、なんだ!?」

 

血を吐いてのたうち回るマスキュラー。

僕の衝撃波を出さない超音速の突きは、マスキュラーの腹の中で衝撃波を出しまくったのだ。

例え筋肉の鎧を纏おうとも、全て無意味だ。

 

「力だけを求めて、『武』を知らな過ぎるよ」

 

トドメに超電磁下突きで、蹲ったマスキュラーをぶん殴る。キリキリ舞いながら、再び崖下へ落ちていった。これで戦闘不能だろう。

 

「大丈夫かい?洸汰くん?」

 

「う、うん…。あ、ありがとう…」

 

「怪我はないかな…。施設に行こう。こっからは近い…」

 

ガラガラと音がして、マスキュラーが這い上がってきた。口から血を吐いているが、まだ健在な様だ。しぶとい!

 

「やるなあ!緑谷…!おまえ強いもんな。やめるよ!遊びは終いだ!こっからは…本気の義眼(め)だ」

 

「洸汰くん、つかまって!」

 

咄嗟に洸汰くんを抱きかかえ、その場から飛び去る!マスキュラーの攻撃で、岩どころか崖そのものが崩壊した!!

 

さっきまでとは比べものにならない…!速さも力も…!!

本当に、遊び感覚で殺そうとしてたんだ。

 

少しでも離れて、洸汰くんを安全な場所に…!

 

マスキュラーとの第二ラウンドは、奴の本気で始まったんだ…。

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