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とうとう中学3年になった。
来年はいよいよ目指す雄英高校への受験が始まる。
身体は可能な限り鍛えたし、超電磁空手の数々の技も身に着けた。
勉強も自信を以て挑む事ができる。
この1年で、どれだけ仕上げる事ができるかが勝負になると考えていた。
今日もホームルームで、日課のヒーロー記録を書きながら、こんな考え事をしていた。
「…大体ヒーロー科志望だよねえ」
先生がそんな話をしている。
隣でかっちゃんが「高額納税者ランキング」とか何とか、みみっちい事を言ってるのを聞き流していると。
「緑谷も雄英高校志望だったな」
とか、こっちに話を振ってきた。
「やっぱり緑谷は雄英高校か…」
「でもあいつ、無個性だろ?」
「いや、爆豪の奴と良く格闘してるが、結構良い勝負をしているらしいぞ」
「やっぱり出久君、雄英高校なんだ!」
「い、今の内に関係を深めて…」
「イズ君が、あんたを相手にするわけないでしょ!」
「なによ、その呼び方は…!」
周りがヒソヒソ話しているが、そこまで馬鹿にされた感じはない。
そうそう、星の保育園で拳法と同時に教え込まれた女性の扱い方を、実践しろって言われて学校でやってみたら、女の子が少し優しくなったよ。流石は師匠達だなぁ!(サヤさんの
ちなみに、今の僕は身長170cm、がっしりした細マッチョで鍛え上げた身体をしている。
…もう少し身長が欲しいかなぁ…。まだ成長期だし、伸びれば良いけど。
そう言えば以前、子供の頃に筋肉鍛え過ぎると骨の成長を阻害するとかしないとか聞いた覚えが。いや、まさか…大丈夫だよね?
「チッ!やはりテメェも雄英か…」
かっちゃんが隣で舌打ちしているが、流石に突っ掛かっては来ない。かなりかっちゃんとの仲は改善されたと思う。
そして学校も終わり、帰宅する。
今日はかっちゃんも襲って来ず、他の友人と街へ行く様だ。僕も足りない文具を買いに行くかなぁ…。
と言う訳で1人で商店街へ向かって歩いていると、後ろから変な気配が!
超電磁空手を学んでいる時、師匠達と相談して、応用技で
以降、かっちゃんの不意討ちや死角からの攻撃に即応できるようにかなって、大変重宝しております。
「Lサイズの…隠れ蓑…」
なん…!泥!?変な奴がマンホールから!
いや!
咄嗟にバックステップして敵の攻撃を躱す。
「避けるな…大丈〜夫、身体を乗っ取るだけさ…」
僕は初めて見る敵に、びびって…びびって…
いや、師匠達の方が余程怖いぞ?
再び迫りくる敵!僕は腰に拳を溜める!
「落ち着け…苦しいのは45秒、すぐに楽になるさ」
「ごめんなさい!変な人に着いて行っちゃ駄目って母さんから言われたんだ!超〜電磁〜正拳突きゃー!!」
超音速の正拳突きが敵に炸裂する!
瞬間、拳から生まれた衝撃波が敵を弾く様に襲い掛かる!
「な、な、なにぃ!」
衝撃波はアスファルトを砕き、敵を吹き飛ばし、後方の陸橋にヒビを入れ…おっとやばい!やり過ぎた!?
い、いやちょっとヒビが入っただけ…だよね?兄弟子だったら、お構い無しで陸橋を粉砕するんだが…超電磁空手は手加減が難しい!
泥の敵はびしゃっと弾け飛び、動かなくなった。気を失ったかな?
と、今度はマンホールが飛び上がり、中から誰か出てきた!新手か!?
「もう大丈夫だ少年!!私が来た!…って、あれ?」
おおっ!オ、オ、オールマイト!?画風が違うと言うか、目の前で見たら何か迫力が違う!
「えっと、これは少年がやったのかい?」
「は、はい!襲ってきたんで、つい殴っちゃいました」
「殴ったって…液状の敵を殴れるとは、良い個性を持っている!だが、個性の無断使用については注意しないといけないな!」
「あ、いえ、僕は無個性なんで」
「…ええっ!?」
なんて事を言いながら、敵をペットボトルに詰め込むのを手伝う。
こんな小さなペットボトルに入るのか!?と思ったけれど、核となる目や口を確保しておけば、大丈夫だそうだ。
目玉とか、ペットボトルの口の方が小さいぞ…と思ったが、にゅるんと入った。流石は流動体。
凄く良い個性だと思うんだけど…臭いかな。それで人の道を外れたのかな?
「そういえばオールマイト、一つだけ質問があるんですが」
「む?いや、時間がないので…」
「僕は無個性ですが、それでもヒーローになれると思いますか?」
僕はオールマイトと目を合わせ、有無を言わせず言い放つ。
「プロはいつだって命懸けだよ。『個性がなくとも成り立つ』とは、とてもじゃないがあ…口に出来ないね」
それは、何となく分かっていた返事だった。
もし僕が1人ぼっちだったら。
タラバ師匠に拾って貰わなかったら。
兄弟子に、ゼッカ師匠やドンファー師匠に鍛えて貰えなかったら。
オールマイトに、その言葉に縋るしかなかったら。
僕は絶望していたかも知れない。
でも、今は違う!
「それは分かります、オールマイト。でも、僕は、それでもヒーローを目指したいです!」
オールマイトは驚き、周りを見回して、更にペットボトルの泥が完全に気絶しているのを確認した。
ブワッと煙が出たかと思うと、痩身の血を吐いてる男が現れた。
「オ、オ、オールマイト!?そ、その姿は…!?」
「そうだ、プールで腹筋を力み続ける人がいるだろう?アレと同じさ。見られたついでだ少年、間違ってもネットに書き込むな?」
僕は思わずコクコクと何度も頷いた。。
「5年前…敵の襲撃で傷を負った。今や私の活動時間は3時間程しかない」
オールマイトは自分の傷を見せながら、僕に話し掛ける。
「夢見るのは悪い事ではない。だが、相応に現実も見なければな少年」
オールマイト程のヒーローでも、こんな大怪我をする。ヒーロー活動とは過酷なのだと、オールマイトの腹の傷は雄弁に物語っていた。
怖気づく僕に…それでも、師匠達から受けた修行の数々が背中を支える。後押ししてくれる。前へ行けと押してくれる!
…いや、ちょっと、そんなにグイグイ押さなくても!そっちは崖なんですってば!ワンチャンダイブって、人間、空を飛ぶようにできてないぃぃ!
はっ!いけない、気持ちを切り替えよう!
「ありがとうございます、オールマイト。先ほど、ヒーローに成れるかと聞きましたが、それは間違いでした」
僕は、ただヒーローに成りたいが為に雄英高校を目指していた。だが、今は違う。
「僕はヒーローになります!貴方の傷を見て、覚悟を聞いて、より決意できました。誰かを救いたい時に後悔しないため、必ずや強いヒーローになると!」
僕は簡単には死なない!鍛え上げ、必ず生き残ってヒーローをやる!そしてNo.1ヒーローを目指す!それこそが、最大の目標だ!
「僕は、無個性でも必ずや生き残り、戦い続けるヒーローになります!!」
「…そうか、そこまで決心した少年を止める事はできないな。頑張り給え、少年!」
そう言うと、再び筋肉マンになったオールマイトは飛ぶ様に空を掛けて行った。
小さくなるオールマイトを、僕はずっと眺めていた…。
ん?あれ?今、オールマイト、何か落とさなかったか??
※超電磁レーダーは独自設定。超甲殻三戦法の応用で出来そうだから。
スカラー波出してバリア張れるなら、可能っしょ。
携帯電話程度の電波で、体に害はないものとして下さいませ。