起きたら、知らない天井だった。
嘘です。椅子に縛られています。天井は見れません。横を見ると、かっちゃんも同じく縛られて座ってた。ヒーローに逮捕された
皆はどうしたんだろう…。かっちゃんが此処にいると言う事は、あのシルクハットの
ああ!不甲斐ない…。もし師匠達に知られたら…どんな修行が待っていることやら…!!
ま、まあ、それは後回しにして。
目下の所の問題点を解決しよう。
今、一番の問題点、それは…。
「イズく〜ん♡チューチューしていいですか?♡」
「……何で此処にいるんですかね、ヒー姉さん!?」
ヒー姉さんこと、渡我被身子さんは僕が8歳の頃に星の保育園にやって来た、2歳上のお姉さんだ。親に虐待の疑いがあり、保護されてきたと聞いたけど、詳しい事は教えて貰ってない。
ヒー姉さんの個性は「変身」。対象相手の血を吸うとそっくりに変身できる個性だ。変身できる時間は、飲んだ血の量による。
ただ個性の特性というか、副作用なのか、それとも元からの性格なのか血に執着を持ち、流血している人がカアイク、キレイに感じるそうだ。
師匠との修行で出血した時に、ペロペロ舐められたのは良い思い出だ。…良い思い出か!?
「でもヒー姉さん、カエルラ理事長が同じ様な個性を持ってて、理事長の指導の元で克服したって言ってませんでしたっけ!?」
「私なりに、ちゃーんと克服はしたのです。でもね、真っ赤でドクドク流れる血が嫌いになったわけではないのですよ?好きなものは好きだし、愛しいものは愛しいのです!それって、おかしい事なのですか?」
「…いや、おかしくないと思うけど…。やっぱりその、TPOに合わせてと言いますか…」
「敵連合の私と、人質のイズくん。縛られて動けないイズくんと、自由にできる私。チューチュー飲み放題な状況♡いつやるの?今でしょ!なのです!!」
「あああ!言われてみれば、そんな気が…!」
「おいコラ、デク!変身女に騙されとるぞ!」
かっちゃん、目覚めたんだ!?横へ振り向くと、かっちゃんがこっちを睨んでいた。
かっちゃんとヒー姉さんは、僕とかっちゃんが組手してたり、襲撃された時に偶然会っていて、少なくとも顔見知り程度の仲だ。
「あら勝己くん、起きてたのですか?」
「耳元で騒がれて寝てられるか!にしても変身女!テメーはヒーロ…」
かっちゃんが言い切る前に、ヒー姉さんはそっと手を出した。掌の上には、『潜入捜査中、変な事は言わない♡』と書かれた紙があった。
「…………くそっ、良いから解け!ここから解放しろ!」
「無理に決まっているのです!と言うか、解いたら暴れるでしょう!?」
「当たり前だ!!」
吠えるかっちゃんに、ヒー姉さんは処置無しと言った顔で首を横に振った。
「それはそれとして、チューチューしますね〜♡」
「いや、何がそれはそれって!止めて下さい!」
うっとりした顔で迫ってくるヒー姉さん!これさえ無ければ、憧れの歳上のお姉さんだったのに!!
「そう言えば強化合宿で、お茶子ちゃんと梅雨ちゃんを無事に宿泊施設に送り届けたのですよ?」
「え!?本当ですか!ありがとうございます、ヒー姉さん!」
「だからご褒美で、少しだけです!先っちょだけ、ほんの1リットルくらいだけです♡」
「1リットルは、ほんの少しじゃない!失血性ショック症状が出る量ですよ!?分かりました、分かりましたから、舐める程度で、痛あ!針を刺すなら、せめて消毒してぇ!!」
横で殺す殺すと凶悪な顔で吠えるかっちゃん、僕の血を吸ってると思わなければ、もの凄く色気のある顔でチューチューしてるヒー姉さん。
二人共
ヒー姉さんにチューチューされた後、少ししてから別の部屋、バーみたいな場所に移された。
そこには何人かは見覚えのある
かっちゃんは殺さんばかりに睨んでいるけど、多分半分はテレビ放送に耳を傾かけていると思う。こう言う時でも、爆発しながらも冷静だからね、かっちゃんは。
ふんふん…。合宿中に敵連合の襲撃、複数の生徒と先生が負傷、二人の生徒が拉致されたと…。
と言う事は、僕達以外のクラスメイトや先生達、プッシーキャッツの四人は負傷したものの助かったのか。良かった!
そして捕まった
そして…えっ?謝罪会見!?先生達が、スーツ着てテレビに出てる!
…何で、こっちが悪者になっているの!?
「…不思議なもんだよなぁ…。何故
手だらけマン…死柄木がテレビを観ながら呟く。
雄英高校の先生達は、確かに落ち度もあったかも知れない。でも、あんなに責められる謂れはない筈だ。
よくテレビで見かける記者が、意地悪な質問を次々と投げかける。その内、僕の事まで言い出した。
『攫われた緑谷くん、調べたらヘドロ事件の際、ヒーローの制止も聞かず個性を使ったらしいではないですか。もしそこに目をつけた上での拉致だとしたら?』
何を言ってるんだ!あの頃の僕は無個性だったぞ!?
ギリギリと歯ぎしりしそうになったその時、テレビの記者の後ろに見覚えのある人影が…。
その人は、がっしりと記者の頭を掴むと、片手で軽々と吊り上げた!
『おう、出久に文句があるのかぁ!?出久は俺の弟子だ!文句があるなら、俺に言え!!』
ゼ、ゼ、ゼッカ師匠!?何でそこに!?記者さん悲鳴を上げてのたうち回ってますよ!そんなに強く掴んだら、パキャッと頭が破裂しますって!!
あ、係員に連れて行かれた。何か抵抗してたけどトージ兄弟子が連れて行っちゃった。
……あの記者さん、今日はもう、駄目だろうな…。
その様子を見ていた
「ま、まあ、テレビはともかくだ!」
リーダーの死柄木は仕切り直して言葉を続けた。
社会の、決められたルールの理不尽さを、訴えた。そして僕達に向って言ったんだ。
「お前ら…俺達の仲間にならねぇか?」
幼い頃から知ってるエーリカ、陽子や歳上過ぎたサヤさんと違って、2歳上のヒミコちゃんは憧れのお姉さんになる筈…でした。
しかしチューチューされる度に上下関係を叩き込まれ、恋愛感情は摩滅した感じであります。
ちなみに、何だかんだとチューチューさせてくれる出久くんは、トガちゃんのお気に入りです。