神野区のとあるビルの中、外からは分からないが、ある部屋はひたすら密度が高かった。
オールマイト、エンデヴァー、ベストジーニスト、エッジショット…。
警官達が周囲を固める中、日本有数のヒーロー達が集まっていたのだ。
生徒の1人、八百万が仕掛けた発信機を元に、複数存在すると思われるアジトを制圧し、完全に退路を断ち一網打尽にする。その為に集められた精鋭だった。
その中でオールマイトは、必ず奴も、オール・フォー・ワンも動き出すと考えていた。
と、そこに警官の制止を振り切って入ってきた男がいた。
何人かのヒーローから睨みつけられる圧力も何のその、堂々たる態度で参加を表明した。
「ワシもヒーロー免許ならば持っておる。拉致された出久は、ワシの弟子でのう。このおいぼれも参加させてくれい」
「緑谷少年が…弟子?あなたは…」
「オールマイトか。ワシは超甲殻空手のタラバ。出久は幼少の頃よりワシが空手を仕込んでおった。今回、拉致されたと聞いてやって来た」
「…良いでしょう。参加を認めましょう」
時間がないと判断したのか、オールマイトはあっさりと参加を許可した。タラバはヒーロー達の末席に入った。
敵連合のアジトの一つ、緑谷視点
「そいつを仲間に引き入れるって話だけど…本気?正直、殺しておいた方が良いと思うわ」
そう言い出したのは、筋骨隆々のアネゴ言葉を使う奴だった。僕が思いっ切り肘を打ち込んだ奴だけど、まだ捕まってなかったんだ…。身体に包帯を巻いているから、手応えからして肋骨の何本かは砕いた筈だけど。
こくこくと、頷く異形系の奴もいた。確か、複数の刃物をくっつけた塊みたいな武器を使っていた奴だ。蹴り飛ばした筈だけど、飛ばし過ぎて捕まらなかったのかな?顎が砕けたのか、喋れない様だね。
「…まあ、待て。爆豪くんは俺が選んだんだが、緑谷くんは先生のご指名だ」
死柄木は演説をする様に両手を広げて話しかけてくる。
「現代ヒーローってのは堅っ苦しいなァ、爆豪くんよ!」
彼は僕達が暴れても勝てない、それを前提に話してくる。自分達は暴徒ではない、世間に、社会に、ヒーローに縛られて苦しんでいる。
まあ、そんな事を言いながら、かっちゃんと僕の拘束を外した。
対等に扱わないと、スカウトじゃないんだと。
そもそも、攫ってきた時点で…ねぇ?
更に演説は続き、かっちゃんに近付く死柄木。
ちらっとかっちゃんを見ると、黙って聞きながら、拘束されていた手首の様子を確かめている。ただ、その眼光は相手を捕らえて離さない。
長年付き合ってきた僕には分かるけど…。やるな、こりゃ。
後先考えるなら、とりあえず従う振りをするのが正しいんだろうけど…。仕方ない、僕もやるしかないか。
「俺達は勝つつもりだ、君も勝つのは好きだろ?ここにいる者、事情は違えど人に…ルールに…ヒーローに縛られ苦しんだ君ならそれを…」
そう言いながら、かっちゃんに近付いたのが間違いだった。かっちゃんはいきなり爆破で死柄木を攻撃し、吹き飛ばした!
「俺はオールマイトが勝つ姿に憧れた。誰が何言ってこようが、そこはもう曲がらねえ!」
かっちゃんが吠えた!こう言う所は、憧れるよね!
僕も超電磁空手で…。
「
と思ったら、ヒー姉さんが僕の後ろに回り込んで!足を掴まれたと思った瞬間、世界がひっくり返った!姉さん得意の機甲術の技だ!
ヒー姉さん、恐ろしいのは技の破壊力じゃなくて、この超電磁レーダーすら掻い潜る機を外した素早い動きと、確実に仕留めにくる正確で無慈悲な打撃なのだ。これに何回押さえ込まれてチューチューされたか!
「もう少し、あと数分待つのです」
耳元で、僕にだけ聞こえる様に囁くヒー姉さん。あと数分って…!?
それよりも!そんな事を考える状況じゃないけど!そんな、ピッタリ背中にくっついてポヨヨンで後ろから耳元に息を吹き掛けられたら…!!
コレはヒー姉さん!コレはヒー姉さん!!
お茶子ちゃんを思い出せ〜!!
「おいデク!!なにイチャイチャしてやがんだ!?状況を考えろ!!」
「いや、かっちゃん!結構がっちり要所を押さえられて、身動き取れないんだよ!」
かっちゃんは攻撃体勢を取っているけど、半分僕を人質に取られている状態に、動きが取れない。
などと、双方がジタバタしながらやっている時に、ドアをノックする音が!?
「どーもォ。ピザーラ神野店ですー」
えっ!?ピザ!?誰か頼んだの、こんな所へ?
そして爆発する様に「SMASSH!!」壁が何処かへ飛んで行く
!!オールマイト!?
「先制必縛…ウルシ鎖牢!!」
更に木の枝と言うか、触手と言うか、ずぞぞぞっと部屋に侵入してかっちゃん以外の
咄嗟に枝を燃やそうとした火傷顔の
「もう逃げられんぞ、敵連合…。何故って!?我々が来た!」
…あれ?一件落着?