僕が騒ぎを聞きつけて到着した時には、もう商店街は火の海になりつつあった。
オールマイトが落したのは、ヘドロヴィランが入ったペットボトルだった。脱出した
回りのヒーロー達は個性的に不利だと近づかない。有利な個性のヒーローが来るまで放置していた。
かっちゃんは必死に抵抗するも、息が詰まり、身動きができず、流動体の身体を掴む事もできず、回りを見て、目が合った。
「かっちゃん!」
確かに目が合った!
あれは間違いなく、助けを求める目だ!!
僕は迷わなかった。考える間もなく、飛び出していった!
回りの制止も聞かず、真っ直ぐに敵に立ち向かう!
「あのガキか!爆死だ!」
泥が攻撃をするべく向かってくるのを、目がある顔面っぽい場所にカバンを投げつけた隙に、一気に距離を詰める。
「かっちゃん!」
「デク!なんでテメェが!」
「君が、助けを求める目をしていたから!!」
敵の攻撃を振り切り、上空にジャンプ!
泥はかっちゃんと一体化している!
かっちゃんに当てず、泥の敵だけを倒すには!
「いかに衝撃波を出さずに突きを当てるか」
泥の上で気合いを溜めて!
「いかに敵の体内で衝撃波を出すか」
ゼッカ師匠の教えが頭を駆け巡る!
「超〜電磁、逆突きゃあああっ!!」
衝撃波を纏った拳は超音速で敵に突き刺さり、敵の体内で衝撃が弾け飛ぶ!!
咄嗟にかっちゃんを引き摺り出し、超甲殻三戦法で守り抜いた!
その時、群衆から飛び出してくるヒーローが1人!
「君を諭しておいて、己が実践しななんて!!!プロはいつだって命懸け!!!!」
天候を変える一撃は、この騒動に終止符を打つ一撃だった。
この後、僕はヒーロー達から怒られた。僕が前に出る必要はなかったのだと。
でも、あの
更に僕が無個性だと知ると驚愕していたけどね。修行を積めば、誰だってあのくらいできる様になるでしょ?…いや、あの修行はどうかと思うけど!
その帰り道、かっちゃんが僕を呼び止めた。
「デク!!てめぇに助けを求めてなんかねぇぞ!それに、何だあの技は!今まで手加減して粋がっていたのかぁ!!!!」
僕は少し、ため息をついて言った。
「粋がって手加減したつもりはなかったよ、かっちゃん…。あの技は、本当に危ないんだ」
「!!…そうかい…つまり、結局は手加減してたって事じゃないか…。デク!!てめぇを襲うのは、今日限りで止めだ!俺は、必ず強くなる!てめぇよりも、オールマイトよりも!!だから…必ず、雄英に来い!!」
それは、負けながらもプライドだけは保っていたかっちゃんの、初めての敗北宣言であり、挑戦状だったのかも知れない。
かっちゃんは、それ以上言う事もなく、踵を返して帰って行った。
なんか、かっちゃんの成長が見れたのと、ライバルとして肩を並べる事ができた気がして、心地良かった。
…まあ、少々かっちゃんの心が捻くれ過ぎてる気もするけど…。
「私が来た!!」
「うわ!オールマイト、何故ここに!?」
感傷に浸っていると、突然オールマイトが現れた!マスコミに囲まれていたのに!
「取材陣を抜けるくらい、ワケないさ!何故なら、私はオールマゲボォ!!」
「あ~あ~ちょっとオールマイトぉ!?」
ひとまず痩せたオールマイトを落ち着かせて、口の血だけでも拭ってみた。
「あ~済まないね。少年、君に礼と訂正…そして提案にきた」
落ち着いたオールマイトは、僕に語りかける。
「君がいなければ、口先だけのニセ筋になるところだった!ありがとう!」
「いや、ニセ筋って…」
「トップヒーローは学生時から逸話を残している…。彼らの多くが、話をこう結ぶ。考えるより先に体が動いていたと。君も、そうだったんだろう!?」
かっちゃんの宣言を聞いて、そしてオールマイトの…。
「君はヒーローになれる」
今日まで、ずっと無個性だからと否定され続けていた僕が、この言葉で何もかも救われた様な気がした…。
流石はNo.1ヒーローのオールマイトだ。
「君なら私の力、受け継ぐに値する!!」
「う、受け継ぐ…ですか!?」
「個性を譲渡する個性…それが私の受け継いだ個性!冠された名は、ワン・フォー・オール」
「ワン・フォー・オール…」
「元々、後継は探していたのだ。そして君なら渡しても良いと思ったのさ!まァしかし、君次第だけどさ、どうする?」
オールマイトはそう言ってくれたけど、僕は既に決めていたんだ。
ヒーローになる為に、何でもしようと!
「はい!お願いします!!」
「即答!そうくると思ったぜ!」
こうして、僕はオールマイトから個性を受け継ぐ事になったのだ。