年が明け、いよいよ受験である。
雄英高校の巨大な入試会場に乗り込むと、後ろから聞き慣れた怒鳴り声が。
「どけっデク!俺の前に立つな殺すぞ!」
「おはよう、かっちゃん!相変わらずだね!」
チッと舌打ちすると、かっちゃんは横をすり抜けて行った。相変わらず、ツンツンしてるな〜。
こっちも急がないと、っと足を踏み出すと、あれ?滑った?転んじゃう!?…コレだよ!
受け身を取ろうとした瞬間、ふわっと浮かぶ我が身体。
「私の個性、ごめんね勝手に。でも転んじゃったら縁起悪いもんね」
緊張するよね〜って話し掛けてくれる可愛い女の子!
「う、うん、ありがとう!」
その子は手を振りながら、試験会場に行ってしまった。可愛かったな…。
星の保育園の女性陣とは違った、温かみを感じる女の子だ。
…保育園の女性は全員、何らかの拳法の達人だもんな…。
よし、頑張るぞ!
流石は雄英高校、司会も本物のヒーロー、プレゼントマイクがやるんだ。
誰もマイクの掛け声に応えてないけど。流石にね…。
「それじゃ実施試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!」
番号が連番だったから、颯爽と別れた割にはかっちゃんと隣同士に座ってしまい、ちょっと気まずい。
話を聞いていると、3種のロボットを倒せば良いのかな?
「あれ?かっちゃん、ロボット4種類あるね?」
「ああん?何種類あろうと、全部ぶっ殺せば良いだろうが!」
やっぱり物騒だな〜とか思っていたら、質問していた眼鏡君がこっちに向かって叫んできた。
「そこの二人!さっきからボソボソと気が散る!物見遊山のつもりなら、即刻雄英から去りたまえ!」
「なんだと!?」
かっちゃんまで指摘されたので、喧嘩腰に素早く反応した!
僕はかっちゃんを抑えつつ、両手を合わせて謝る格好をした。
と、ここでプレゼントマイクから仲裁が入る。
うう…。唯でさえ緊張するのに、叱られて目立ってしまった…。あの眼鏡の人には後で謝るかな…。
そして僕達は実技試験の会場へ。同じ学校で手助けできない様にか、かっちゃんとは別々の会場になってしまい「てめぇを潰せねぇ」とか温かい言葉を頂いた。
しかし広いな〜!試験会場ってもう、完全に一つの街じゃないかな!
あっ、さっきの可愛い女の子がいた。
目を瞑って精神統一してるのかな?
「君、彼女は精神統一をしているんじゃないか?邪魔しに来たのかね!?」
と、そこに僕に話し掛けてくる、さっきの眼鏡君。ああ、叱られてばかりだよ…。
「いや、さっきは騒いでごめん。邪魔するつもりはなかったんだ…」
なんとか笑って応える。厳しいな〜。いや、物凄く真面目なのかな?僕が謝ると、彼も素直に返事をしてきたよ。
「ハイスタート〜」
そこへ、突然の放送。
普段から師匠達に不意討ちされて慣れている僕は、反射的に全力で地面を蹴り、試験会場の街へ飛び込んで行く!
「どうした〜!実践じゃカウントダウンなんざねえんだよ!走れ走れぇ!!」
プレゼントマイクの声を背中に、早速説明にあったロボットが出てきた!
「目標発見!ブッ殺す!」
おおっ、口の悪いかっちゃんロボだ!だけど迫力が本人に遠く及ばない!
軽くボディを叩くと、簡単に壊れた。脆い!中学生向けなのか、かなり薄い鉄板で出来ているみたいだ。
まずは1点獲得、よし次々に行くぞ!
この程度の強度なら、超電磁空手やワン・フォー・オールを使うまでもないや!
十数体ばかりロボットを破壊して試験に慣れてくると、周りを見渡す余裕がでてきた。
あ、あの人囲まれている!周りのロボットを何体か叩くのは、横取りじゃないよね!?
「君!後のロボットは抑えるから、前のロボットだけを相手して!」
「す、すまない!」
こうして、他の受験生を助けつつ50点以上稼いだところで、試験会場に地鳴りが発生した!
ビルの横でゆっくりと立ち上がるあれは、説明にあった点にならないお邪魔ロボか!?
「うおお、で、デカい!…あれが0点!?」
これは迫力があるぞ!ビルを超える様な大きさのロボットが目前に迫ると、進行方向にいた他の受験生は蜘蛛の子を散らす様に逃げ回った。
その時、僕は見たんだ!巨大ロボットの足元で足を瓦礫に挟まれて動けない女の子を!
足に力を入れ、素早く駆け寄って女の子の上の瓦礫を蹴り上げる!
「大丈夫、助けに来たよ!」
瓦礫に挟まれていたのは、入口で助けてくれたフワフワ可愛い女の子だったよ!
彼女を抱きかかえ、安全と思われる後方に下がり、比較的綺麗と思われるところに降ろす。
「少し待ってて、ちょっとあのデカいの潰してくる!」
「ええっあれは0点だから、逃げた方が良いよ?」
「大丈夫、任せて!あんなのがいたら、安心して試験を受けれないって!」
ダンっとロボットの下まで駆け寄り、ワン・フォー・オールを使ってロボットの顔面まで飛び上がった。
「超電磁、連突きゃゃああ!!!」
チェスチェスチェストーーー!!
ロボットの正中線に沿って、正拳突きが炸裂する!回りに被害が及ばない様に、ロボットの内部で衝撃波を発生させて!
2つに割れる様に、左右に分かれて倒れ行く大型ロボット。
僕が着地する直前、背中を叩かれてふわっと浮いた。
「ま、間に合った〜!」
さっきの女の子!また助けてくれたんだ!
お礼を言おうとしたら、なんか下を向いていた。
うろろろ〜とか聞こえてきたのは、聞かなかった事にしよう。うん。
個性の反動かな?
「終了〜」
アナウンスが流れる。恐らく合格ラインは突破したと思うけど、後は合格通知を待つしかないか。
吐気が落ち着いた女の子を抱きかかえ、救護所へ急ぐのだった。