感度3000倍アヘ顔最強忍者の同期(催眠能力持ち) 作:異種姦スキー
『いぇ~い! 彼氏クン見ってるぅ~? 今から君の彼女チャンといいことしちゃいます~!』
「……」
家のポストに入っていたDVDディスクを再生したら、友人と金髪チャラ男が下着姿で映っている映像が流れてきた。
送り主間違えているだろ。
映像の中にいる女は俺の友人だ。だが俺は彼女と付き合っていないし、そういうことをしたことは一度もない。
何をどう判断して俺に送ってきたのか全く分からん。なんかの策略か。愚策でしかないけど。
『ケハハハッ!こりゃあれだな。お前さん勘違いされたんだよ』
「勘違い?」
俺の隣から声が聞こえてくる。
見れば自分一人だけが座っていたソファにもう一人男が座っている。
そこに驚くことは無い。
俺にとっては当たり前で、こいつは生まれた時から一緒に居た。
男は人の形をしていた。だが尖った耳や渦を巻いた瞳が彼を人でないことを決定づけていた。
その正体は魔族だ。この世界には当たり前に人は異なる種族がおり、それらをまとめて世間では魔族と呼んでいる。
そいつらの中や共謀して悪事を働く者と対峙するのが、対魔忍と呼ばれる人間の戦士たち。
代々対魔忍をしている家系は先祖に魔族を持つ。
その中でたまに強力な“魔”を宿した人間が生まれる。
俺もその中の一人だったということだ。とはいえ、その“魔”は俺とは独立した意思を持ち完全に力を貸してくれない。
『そうさ、お前この頃よくあの女と一緒に行動していただろ? だからお前を狙う奴らが目をつけた。あの女を使ってお前の憂さ晴らしといったところか。ついでにお前のメンタルにダメージを与えられればと考えたんだろ』
「……」
『どうした? まさか本当にメンタルがやられたか?』
こいつの言うことが本当なら、俺の取るべき行動は一つだ。
逃げる。相手の情報が不透明な状況でここにいるのはあまりにも危険だ。だから逃げる。
理性ではそうするべきだと分かっている。
だが俺はそれを選べない。
このビデオは相手側からの警告か挑発か。考えるのは得意じゃない。
相手の策略だとかそんなのどうでもいい。友人にこんなことされて許せるわけがない。
「分かってるだろ。お前なら」
『ああ……。そしていい知らせだ。どうやら情報集める必要はなさそうだぞ』
「? それはどういう……。―――ッ!」
“魔”の言葉の真意を問おうとした瞬間、背後から爆発。
照明が吹き飛び暗闇に落ちる中、咄嗟にソファを倒し底面を背に身を潜める。
爆発したのはドアとその周辺、侵入目的の小規模な爆発。
こちとら引退したけど長く対魔忍をやってきた身。
基礎は叩きこまれている。そんな簡単にやられない。……嘘です。正面から戦ったら間違いなく死にます。
『そんな弱気でどうする……』
「ちょっとお前は黙ってろって……!」
追撃を警戒し身を潜めていると人の気配が増えた。
相手は三人。足音は聞こえないため恐らく訓練を受けた者。恐らく人間、軍隊なら人数が少なすぎるため対魔忍だろう。
相手は確実に武装をしている。
対魔忍なら刀、手裏剣、クナイ。多分恐らく。
何も持っていなかったら忍術を警戒しろ。
気配は部屋の中へと入ってくる。
それぞれ別々の方向に別れ、部屋を物色している。
本棚の奥とパソコンの中身は見ないで欲しい。
漁っている今の内がチャンスだがこちらは丸腰。
持っているのはスマホだけ。
この状況で助けになれそうな人間は俺の連絡先には登録していない。
この時点でこれはただの堅い鈍器に成り果てた。
武器は床下に隠しているが、取りに動いたらあちらに気づかれるだろう。
というかもう気付かれていると思った方がいい。
爆発が起きて吹き飛ぶことも無く不自然に倒れているソファ。まあ怪しいだろう。
だがその状況で部屋を漁るということを優先するなら、俺よりも大事なものが部屋にあるのだろう。
そんなもの保管している覚えがない。それか対魔忍はオカズ不足なのだろうか。
『おい早くしないとチャンス逃すぞ』
“魔”が忠告してくる。
それを皮切りにソファの足を折り、近くの対魔忍へ見えるように転がす。
「……? ―――! グッ……!」
まんまと引っかかりそれを拾いに来た対魔を関節技で固め、ソファに引きずり込みながら首を絞めていく。
相手は咄嗟のことで武器を取り出す余裕もなく、腕力で拘束を解こうとしてくるがその前に限界がきた。
一度力強く痙攣したかと思えば、だらりと体が脱力していく。
先程の対処の仕方からしてベテランではない。
ベテランだったらどこから隠していた武器を取り出し、俺の体に刺すなどいくらでも対処できただろう。
顔つきからしてもそうだ。俺と同い年か年下だろう。
情報を聞き出すためもう二人は無力化しよう。
スマホのカメラアプリを起動し、ソファの端からカメラを出す。
映し出したのは足元だが、それでも動きは十分見える。
一人はこちらに背を向けている。もう一人の姿は見えない。恐らく寝室だ。
隣の死体からクナイを拝借する。足の裏に隠していた物だ。
平時であれば触らないが、背に腹は代えられない。
ソファから飛び出し、クナイを投げた。
クナイは直線を描きふくらはぎに突き刺さる。
「ギィッ!」
『仕留めろよ!』
「わぁーてるよ!」
地を蹴り体制を整え対魔忍の元へ駆け出すと同時に爆発で転がった瓦礫を掴む。
襲撃を受けた対魔忍は一瞬で武器を構えたがもう遅い。
掴んだ瓦礫を対魔忍の顔面に押し付け床に倒し、その勢いのまま瓦礫と共に殴りつけた。
さらに鳩尾に一発入れたら気絶した対魔忍いっちょあがり。
対魔忍式制圧術、腕は鈍ってなかったみたいだ。
『チンピラ式の間違いだろ』
「うっせ」
ノリで決めるんだよこういうのは。
心の中でふんぞり返っていたからだろうか。
背後に忍び寄る魔の手に気が付かなかったのは。
突如後頭部に走る衝撃。
咄嗟に振り向いたが視界がかすみ、襲撃犯の姿しか確認できない。
「お前はビデオの……」
そこにいたのはビデオにいた金髪チャラ男であった。
☆
「おい……。おい! 起きろ!」
冷たい衝撃で目が覚める。
水を掛けられたのだとすぐに分かった。
体が動かない。
椅子に固定されているようだ。
朦朧とした意識を目覚めさせるように頭を掴まれ、目線を合わせられる。
そこにいたのは先ほど気絶させた対魔忍と金髪チャラ男。
チャラ男は顔をよく見せたいのかさらに近づける。
いかにも顔だけ生きてきたって感じだな。
「この顔に覚えは無いか!?」
「ビデオに出てたやつだろ」
「違う! 本当に覚えていないのだな、俺は覚えているぞ! 貴様がふうま弾正を殺した時から!」
その名前を聞いたのは久しぶりだった。
ふうま弾正。
何年か前、対魔忍に対して反乱を起こした奴らの頭領。
それはアサギ達率いる対魔忍らによって制圧された。だが生き残りがいないわけではない。
口ぶりからしてこいつらは残党だ。
その残党は俺がふうま弾正を殺したと勘違いしているようだ。
「……」
無理に決まってるだろ。
実力も能力もあの人に勝てる要素が一つも見当たらない。
あんなチート野郎事前に毒でも盛らないと勝てないだろ。
「何を勘違いしてるんだ? 俺が殺せるわけないだろ」
「黙れ! お前が殺したも同然だ! あの時お前が裏切らなければッ……!」
顔面を潰された対魔忍が言う。
俺がふうま側についていたことは事実だ。だが俺の裏切りの有無で勝敗が変わっただろうか。否、それは無いだろう。
あの時、相手取っていたのは対魔忍最強といわれるアサギとそのアサギに次ぐ上位の対魔忍達。その数は圧倒的。対してふうま側はふうま一門が割れその中でも弾正についていくと決めた者達。
どれだけ粒ぞろいでも数で圧倒されたらひとたまりもない。
結果訪れるのは反乱軍の敗北だ。
だが裏切った事実には変わらない。それでも言わせっぱなしはとても癪であった。
「何か勘違いしているようだが、俺は五車側に回ったわけではない。実際五車もふうまも何も危害を加えていないしな」
『嘘言うなよ……』
「ふざけるな! それも立派な裏切りだ!」
「ああ確かに……。それはすまなかった。でも先に裏切ったのはふうまの方だろ」
「何を言っている!」
「アイツが反乱を起こしたのは政府に対魔忍が利用されているのが許せないからだろ。なのに自分も同じことしていた。裏切る理由としては十分じゃない?」
「なッ! 天音殿のことを言っているのか!? それは本人も同意して……「本当にそうか?」何ッ!?」
「ただ依存しているだけではないか?」
弱った心は誰にだって付け入る隙を与える。そこで差し伸べられた手が善か悪かは関係ない。
奴がやったのは洗脳。自分に忠実な戦闘マシーンを作り上げる忌々しい手段だ。
大人が子供を利用する。政府が対魔忍を利用するのと同じではないか。
だから俺はすべてから逃げたのだ。あの反乱の時、戦死したと偽装して。
「本人が望んでその立場にいようが関係ない。そういうことをする奴がいる組織は信用ならない。それは組織を腐らせる」
「五車も同じだろうがぁ……!」
「ああ、だから俺はすべてから抜けた。だがそれも今日で終わりだ。お前たちは反乱の後はどうした?」
顔面が潰れた対魔忍が刀を首に当て、自らの首を切った。
椅子に繋がれた体は脱力し、対魔忍スーツを首の血で染めていく。
虚ろな目をしたチャラ男はそのことに気づくことは無く、同じく椅子に括り付けられた体で質問に答える。
「フッ ノマドに拾われたんだよ」
ノマド?
様々な事業を手掛けるあのノマドのことか?
「ノマドとはあのノマド? 色々な事業を手掛けてる……」
「そのノマドのことだ。だがそれは表の姿。裏では犯罪組織さ。人身売買や闇闘技場、何でもござれの組織さ」
「それは日本にもか?」
「ああ、スラム街の売春などを取りまとめ奴隷娼館も運営しているぞ」
「ふーん。そんなことをしている組織なら対魔忍が黙っていないと思うが」
「日本の財政界にも顔が効くからな。簡単には手出しできんのさ」
「うんうん。そうかそうか。ではその財政界の奴らの名前は?」
「さあ? 知らないな」
「じゃあ、今回の俺の襲撃は? 何かの任務か?」
「半分は私怨、半分は任務だ」
ほとんど私怨だったじゃねぇか。
「任務の内容は?」
「井河アサギの居場所を聞き出すこと。手段は問わないとのこと」
「だから俺を?」
「ああ、井河アサギの同期、アカデミー時代から任務を一緒にこなしてきた仲だろう。
俺を襲ったのはあくまで独断。
そこに司令塔の意思はない。
「その名前で俺を呼ぶな。どうやって俺の居場所を知った?」
「調べたんだよ。それと情報提供があった」
「……それは、誰からだ?」
「匿名だったから知らん」
匿名の情報提供……。
俺の居場所を調べられる奴で俺の情報を渡して得する人間は?
分からないな。考えるのは後にしよう。
「アサギの居場所を知ってどうする?」
「さあな。お前みたいに恨みを買ってるんじゃないか」
「その命令を出した奴は誰だ?」
「朧と呼ばれる女の対魔忍だ」
その名前が出てきたことですべてつながる。
ノマドにいて朧という名を持つ対魔忍は一人しかいない。
甲河朧
ノマドに与した対魔忍。
最終的に甲河忍軍もろともアサギが全員を殺した。
それが何らかの方法を使って蘇ったのだとしたら、アサギに恨みを持つのも当然か。
邪悪に堕ち負の感情に支配された今なら対魔忍全体に恨みを持っている可能性もある。
「その他に任務は与えられているのか? 例えば対魔忍を殺せだとか」
「あーそれもあったな。まあ俺達は見かけたらだがな。他の奴らは知らん」
マズいな。
責任問題とか言ってアサギが連れ戻される可能性がある。
アサギの力を利用しようとする奴らはあの世界に何万といる。
折角対魔忍を抜けて、愛する人と一緒になれたんだ。
アイツは幸せに生きるべきだ。
「ああ分かった。じゃあ最後の質問だ。朧は今どこにいる?」
「知らねぇよ」
「なら普段はどこにいる」
「俺は指令を受けただけで朧の情報は知らん」
「そうかい。ならもういいぞ」
「へっ 殺される準備はできたってことか」
「勝負はもうついてる。もうお前は俺の術中だ」
「は?」
言われて男は気づく。
自分と源秀の立場がいつの間にか変わっていることに。
源秀が見降ろし、自分が椅子に拘束されている。しかも喋らないと思っていた仲間も死んでいる。
死臭を感じなかった。ずっと自分が優位に立っていると思っていた。
奴が幻術を使うことは知っていた。だがそれはあくまで錯覚や空耳、すべて集中すれば防げるものだと聞いていた。
相手の思考を操り、五感を操り、命令を聞かせるなんて……。
「魔族みたいだって?」
こちらの思考を見透かしたかのように源秀の瞳に覗かれる。
以前の彼の瞳は人間の物だったと記憶している。だが今は違う。
まず瞳孔が無かった。あるのは螺旋を封じ込めた紫のみ。それは妖しい光を放ち、見ていれば吸い込まれてしまいそうだ。
やがて螺旋が回り元の黒色の瞳へと戻っていく。
「今からお前に拷問と陵辱の幻覚を見せる。その後首を刎ねるが、お前の意識は死なせない。一生幻覚に囚われたままだ」
「マッ……!」
絶望の宣告だった。
命乞いをする暇もなく、源秀の瞳が紫色に光り螺旋を描き始める。
その光に魅せられ男は深い意識へと落ちていく。
地獄だ。
痛みと快楽、同時に襲ってくるときもあればどちらか一方が増幅して襲ってくる。
やがて快楽がこの地獄で唯一の安息となる。
『終わったかー?』
「ああ……。……ッ!」
“魔”が持っている眼の使用を終えた俺は“魔”が語り掛けてきてもろくに対話することもできず、朦朧とする意識に鞭を打ち何とか立ち上がる。
この眼は視界内の人物すべてを思いのままに操る代わりに、脳に多大な負荷がかかり長時間の使用で脳が異常をきたし最悪の場合死ぬ。
しかもこれは加算式、一度使用をやめれば治るというわけではない。
『だからいつも言ってんだろ? 俺を受け入れろって。このままじゃお前は死ぬぞ』
「そうなる前に自分から死ぬからいい。今は行かないと……」
『行くってどこに』
「アサギに伝える。危機が迫っていると」
床を拳で突き破り隠し持っていた武器と衣服を取り出し、その中のロングコートを羽織った。
結局戦う運命からは逃れられないのか。だが仲間だけはその道には行かせない。たとえ俺がその道に行こうとも。
防弾性の加工したロングコートの下や中に様々な武器を仕込む。
刀、銃、手鎌、手斧、鉤縄、クナイ、すべてコート内に収納されている。
すべて現役で使用した装備。うまく扱えるか自信がないが、無いよりはマシだろう。
痕跡を消し終えた部屋は静かだった。
先程まで戦いがあったとは考えられない。
俺はその部屋へ心の中で別れを告げ、夜の闇へと潜っていった。
☆
アサギの元へ向かう前に源秀が向かった場所がある。
街の路面に面したパン屋、昼間は賑わい活気を見せている店は夜は正反対に静かだ。
その二階に娘が月を見ながら黄昏ていた。
表情は心ここにあらずといったようで、体はここにいるのに心はどこか遠い場所にいる。
柔らかい夜の風が彼女の頬を撫でる。
その風の行く方向へ目を向けると、紫色の螺旋が視界を支配した。
段々意識が薄れ、この状況を作り出した原因の記憶が自分の中で無くなっていく。
路地裏に連れ込まれた記憶、変な錠剤を飲まされた記憶、ホテルに連れ込まれた記憶。
それらすべては螺旋に巻き込まれ無くなる。
彼女がこの記憶を思い出すことは未来永劫訪れないだろう。そして一人の男の存在も。