インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~ 作:kageto
IS学園の授業カリキュラムにおいて、通常学科とIS学科の比率は3:7のようだ。
まぁ、【IS】学園って言うからには当然の比率なんだろう。けど驚いたことがある。史学についてだ。
IS学園では歴史の授業がない。日本史も世界史もない。理由は言わずもがな。歴史の解釈って国によって違うんだよな。世界各国から生徒を集めてるから、歴史解釈でもめないための措置らしい。
どうしても学びたい生徒は、週一の自由学習の時間に、通信授業を受けるようにと言われている。
あぁ、そうそう。語学の授業は英語と日本語の選択制になっている。ISを作った天災兎が日本人ということもあり、IS業界における公用語が日本語で定められている。英語は国際公用語だ。IS業界で生きるということは世界規模の業界で生きるということだ、当然必要となる。
で、選択制ということは、授業として時間を取れるのは片方だけということで、英語圏と日本語圏の生徒は問題ないが、それ以外の言語圏の生徒は問題ありあり。たまったもんじゃない。授業で使われる言語は日本語なので、入学前に最低限の日本語は学んでくるが、その最低限とはISに関することだけという生徒も少なくない。
話を戻そう。IS学園では通常学科の比率が少ない。つまりはIS業界に進む気がない俺としては問題山ありなわけで。大学に進めるかどうかはわからないが、受験するつもりなら自分で何とかするしかないわけだ。
「というわけでですね。彼の特別授業といいますか、補習といいますか。IS学園ではやらないところのカリキュラムを組んでほしいんです。お願いします。エドワース先生」
山田先生と一緒に頭を下げる。
事の発端は一時間前。
「えっ?」
「ですから、初日の自己紹介のときにも言ったように、ISに関わる気はないんです。ですので、できれば進学も視野に入れておきたいんです。情勢的にといいますか、政治的にIS業界から離れられるかはわからないんですけど、だからといって最初からあきらめたくはないんです」
「言いたいことはわかります。けどですね」
「ISにおける最高の称号【ブリュンヒルデ】の弟というのはどこまでいってもなくなりません。俺があのウサギに気に入られている事実も変わりません。そのせいでISから逃げられない可能性が高いのはわかってるんです。それでもやりたいことがあります。それをあきらめたくはありません。あきらめられません」
「織斑君…」
頭を下げた俺に山田先生が言葉をかけようとして、ためらってを繰り返しているのがわかる。
「私はIS学園の教師です。本当なら織斑君をたしなめてIS業界に進むように説得するのが正しいのかもしれません。ですけど、私は教師です。教師なんです。織斑君の進もうとする道を手助けするのも教師の務めです。ですが、私は日本の代表候補生だったことを買われて、最低限の特別カリキュラムを受けて此処の教職につきました。ですので、私はIS業界以外に進む生徒の対応に関しては経験があまりありません」
普段のおどおどした雰囲気はなく、しっかりと話す山田先生の言葉を、顔を上げてしっかりと聴く。
「ですので、わかる人にお願いしましょう」
それで山田先生と一緒に来たのが、エドワーズ・フランシィ先生のところだったというわけで。
「……わかりました。進学に関しての資料と数学に関しては私が見ましょう。それ以外の教科に関しても私が先生方にお願いしておきます。課題は毎週月曜に織斑君の部屋の端末に送ります。土曜の夜、できれば金曜の夜までに各担当の教員にデータを送ってください。出来具合を見て翌週の課題を決めましょう」
「えっと、他の先生方の手配もできてないのにそこまで決めて大丈夫ですか?」
純粋に疑問に思ったんで聞いてみる。そのやり方は駄目だって言う先生もいるんじゃないか?
「直接指導をしたいという教員もいるでしょうが、織斑先生には知られると面倒なのでしょう?そのための手段ということです」
「……ありがとうございます」
「いえ、山田先生の前で言うのもなんですが、織斑先生の指導方法に不満を持つ教員もいるということです」
「それはっ。あのっ。えっとぉ……」
山田先生もその辺は知っていたらしくうろたえてはいるけど、反論はしないらしい。
「やっぱり職場でもやらかしてるんですね、アレ」
「織斑先生の教え方と言いますか、教育方針で育つ先は軍人です。学園は軍人を作る場所ではなく、IS関連技能取得者を育成する学校です。パイロットになる者もいれば整備士になる者、開発に進む者もいます。叩く。恫喝する。支配する。そんなやり方は教師として容認できません」
「それは……、おっしゃるとおりなんですけど……」
「山田先生は代表候補生時代にお世話になったことや目標としていたこともあって、織斑先生よりなのは知っていますが、一般教科担当教員からのウケはかなりよくないですよ。織斑先生」
あぁやっぱり。としか言えないわー。俺もアレが教員やってるって知ったときは、何の冗談かと思ったからな。
「もしかしなくても派閥とかって出来てたりします?」
「織斑派。反織斑派。中立派。この辺が存在することは否定しません」
「えぇっ?派閥ってあったんですか?」
「こんな感じなので、山田先生は個人的に織斑先生を慕っている中立派という認識です」
確かに派閥争いとかとは無縁そうだもんなぁ。ホント癒しキャラすぎる。
「大変ですね。教員も」
「原因は君の姉なのだけれどね」
「アレを家族と認めるのは不本意極まりないことです」
「大変ね。君も」
「お互い様というやつですね」
そう言って二人で軽く笑いあう。
「派閥だなんて、でも、ええぇ。私どうしたら……」
しゃがみこんで頭を抱える山田先生。可愛すぎじゃね?
山田先生はやっぱり癒しだなぁ。
次か、その次あたりで鈴登場ですね。予定では