インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~   作:kageto

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三話連続投稿一発目。
そこまでキレがないような気がする。言ってしまえばある種の会話回。


第16話

「第一回駄家賊同盟大愚痴大会~」

 

 努めて平淡に宣言する。

 

「わー」

「わー」

 

 簪とシャルロットも平淡な声で歓声を上げながら、割とどうでもよさ気に拍手する。

 

「けどあれだな。いざ愚痴を言うってなるとテンション下がるよな」

「同感」

「そうだね。溜めてること吐き出せるけど、いやなことを思い出すのも同時進行だからね」

 

 三人そろって溜息を吐く。

 

「とりあえずさ。君ら二人は家族の誰がひどいの?」

 

 シャルロットの問いかけに簪と目を見合わせてから声を揃えて言った。

 

『姉』

 

「それは厄介だね。兄弟姉妹って親よりも長生きだから」

 

「シャルは?」

 

 簪が気がついたらシャルロットを愛称で呼ぶくらいで仲良くなってるんだが。いつそんな時間あったよ。

 

「ボクは実の父親と義理の母親。まぁ今回のスパイ関係で投獄されるのがほぼ確定してるから、二度と会わないかもしれないけどね」

 

 顔は笑ってるけど目が澱んでやがる。そのギャップに簪と二人そろって軽く引いちまったよ。

 

「そ、そう。そう言った点で言えば私も後二年したら、あの人の活動拠点ロシアになるからほとんど会わなくなるんだけどさ」

 

「簪のお姉さんって生徒会長だっけ。ロシアの国家代表の」

 

「うん。だから卒業したら基本はロシアみたい。家の関係で戻って来ても私と会うことはないだろうし」

 

 二人ともそう遠くない未来に会わなくなれるわけか。

 

「なぁ。おれってどうなんだろう?どの進路選べばアレと会わなくてすむ?」

 

「…………」

 

 いや、だまるなよ。二人して。

 

「一夏はIS関係に進んだらアウトだよね」

 

「あと国内にいるのも危ないんじゃないかな?」

 

「けど俺って今のままだと海外出れないよな」

 

 身の安全的な意味合いで。

 

「無理」

「無理だね」

 

「即答だな。泣くぞ」

 

 自然と肩が落ちた。マジで逃げ場がない。

 

「人の来ない山の中に隠居すれば?」

 

「よし簪。そのときはおまえも道連れな。一緒に文化とはかけ離れた生活しようか」

 

「無理。特撮のブルーレイ買えないとか」

 

「だろ?俺も文化的生活は捨てられん」

 

 

「簪、今軽く流したけどプロポーズに近かった気がするんだけど」

 

 

「ん?どうしたシャルロット」

 

「なんでもないよ」

 

 そういうことにしとけ。

 

「ISがなければ万事解決なんだけどなぁ」

 

「それこそ無理だよ」

 

 俺の呟きを簪が即答で切り捨てる。本気で泣いていいかなぁ。

 

「そういえばさ、一夏」

 

「なんだ?シャルロット」

 

「あ、ごめん。そういえばさの話題の前に聞きたいんだけど、何で僕の呼び方ってシャルロットなの?」

 

 何でって言われても。

 

「愛称で呼んでいいって言われてないのに女子を愛称で呼んじゃまずいだろ」

 

 それやったらチャラ男って言われても否定できんぞ。

 

「あ、そういうことなんだ。うん。僕のことはシャルでいいよ。長くて呼びにくいでしょ?シャルロットじゃ」

 

「呼びにくくはなかったが、長いのは確かだよな。よし、シャルな。んで?どうした?」

 

 本来の用件はなによ?

 

「クラスの子に聞いたんだけど、織斑先生を保護責任者?っていうのから外すとかどうとかってどうなったの?」

 

 あぁ、その件ね。そういやクラスでこの話題にならないからなぁ。

 

「話はついたぞ。戸籍の関係上姉弟はやめられないけど、保護者だからって口出しされるようなことはないな」

 

「なにそれ。うらやましい」

 

 えぇい。簪。そんな恨めしそうな目で見るな。

 

「そうなんだ。じゃあいま一夏の保護者ってどうなってるの?両親いないんだよね」

 

 シャルナイス。このまま話を別の方に逸らしてやる。

 

「今は幼馴染の親がしてくれてるよ。アレが保護責任者になるまではその人がしてくれてたんだ。家族揃って良い人たちだよ。頭が上がらねぇ」

 

「そうなんだ。いいね。一夏がそこまで言うってことはホントに良い人なんだね」

 

 シャルホントにナイスだ。俺が話を逸らしたいのをわかってくれてるな。

 

「そのうちみんなで行くか?食堂やっててさ、マジでうまいんだ。近いうちに鈴も顔を出しに行くっていうから、一緒に行こうぜ」

 

「ん~。お言葉に甘えようかな?ボクも国にいた頃はよくビストロで食事をしてたから、こっちのビストロにもちょっと興味があるんだ」

 

 ビストロって?確か……。

 

「一夏。ビストロはフランス語で食堂。今の会話の流れでわかるでしょ」

 

「いや、面目ない。で、簪も来るだろ?」

 

 ってか連れて行くけどさ。どうせ。

 

「私は弐式のことがあるから……」

 

 て言うのはわかってるわけだ。

 

「簪。ボクの個人的な意見だけど、たまには息抜きも大事だと思うよ。それにボクとしては友達と出かけたい、かな」

 

 あ、簪の顔が赤くなった。いまだにボッチ属性が抜けきらないのな。友達ってフレーズに弱い。

 

「わ、わかった。私も、行く」

 

 よしあとは鈴に話をしておきゃいいか。

 

「で、話をスッゲー戻すが、愚痴大会どうする?続けるか?」

 

 俺としてはどうでもいいんだが。

 

「ボクはもういいかな」

 

「私も、いい」

 

「だよな。んじゃ、ちと早いが食堂行くか。誰かしら暇してるだろ。流れで夕食まで済ませようぜ」

 

 立ち上がって軽く伸びをする。

 

「そうだね。そうしようか」

 

「私は弐式を……」

 

「それは飯が終わってからなぁ。早めに食べるんだからそのぶん時間が取れるだろ」

 

 問答無用で簪を肩に担ぎ上げる。

 

「おーろーしーてー」

 

 抵抗なぞあってないようなものだな。

 

 

 

 

「なるほど、簪の友人として食堂に連行することも必要なんだ。ボクはどうやって運ぼうかな」

 

 よし、運搬要員ゲット。

 




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