インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~ 作:kageto
久しぶりに出てきた。ただしセリフ短い。
次で臨海学校編終了。
女子達から一足遅れての風呂を終えて、旅館の談話スペースに来た。ここでだべってるってことだったが。
「本音、あんたでかかったのね。ずっとこっち側だと思ってたのに」
「りんりんもちゃんと胸あるよ~。りんりんだとおっきすぎるとみためわるくなるよ~?ばらんすばらんす」
エロ談義だし。胸の話題してる中に飛び込んだら死ぬ。談義っつっても、鈴とのほほんさんが話すばかりで、シャルは苦笑いしてる。簪は顔を赤らめてるが、興味深そうに聞いている。ここからだと鈴は背中しか見えない。
「ん~。本音」
唐突に鈴がのほほんさんに声をかけた。アイコンタクトで通じていたのか、のほほんさんは珍しく俊敏な動きを見せると、シャルの後ろに回りこんで眼を塞いだ。
「な、なに!?」
「シャル。昼をよ~く思い出しなさい。まずは本音」
あ、胸談義終わってないのな。シャルの顔がうろたえた。あのサイズを思い出したらしい。
「ふむ。次に簪」
で、次はちょっと悔しそう。
「最後にあたし」
あ、それ、アウト。ほっとした顔はダメだって。
「えぇえぇ。よーくわかったわ。確かにシャルのほうがサイズあるものねー」
「り、理不尽だよ。確かにほっとしちゃったボクも悪いけどさ」
あきらめろとしか言いようがないな。自販機でお茶を買って、4人が見えない位置の壁に寄りかかる。声は聞こえるから、タイミング見計らって合流しよう。盗み聞きといわれたら否定しきれないけど、あの話題の中に入っていく方が勇気がいる。
「ま、いいわ。でも昼の一夏は面白かったわね。あのうろたえようはなかったわ」
「の~さつ?の~さつ?」
「仕方ないんじゃないかな?一夏だって男の子なんだし。本音のあの水着は刺激が強すぎるよ」
おぅふ。話題が恐ろしい方に飛び火しだした。
「けどあいつ、一瞬で鼻押さえてたわよ。そこはどう思ったの?簪」
「わ、私?た、確かにちょっと……」
ぐ、ぐはぁ。ライフが、ライフが削れていく……。
「でっしょ~。情けないったらないわよ」
壁から離れて、そっと鈴の背後に忍び寄っていく。最初に気がついたのは鈴の正面に座ってたシャルだ。次に簪、最後にのほほんさんだ。
「男らしさのかけらもなかったわよ。まさに間抜け面ね」
「間抜け面に関しては、鈴も引けを取らなかったと思うんだがな」
鈴の後頭部を右手で全力で鷲掴みにしながら言ってやる。
「あ、あら一夏。遅かったじゃないのぉぉぉぉぉぉっ。痛い痛い痛い。割れるっ。私の頭割れるっ」
「われないぞー。俺の握力そんなにないから。何せ俺、男らしさなんてないからなー」
「ちょっ。ごめんっ。ごめんって。私が悪かったから、はなしてぇぇぇぇぇ」
最後にちょっとだけ強く力を入れてから開放してやる。みみっちいが復讐完了。にしても、大きい声を出さないまま叫ぶって、変に高等技術使うな、鈴のやつ。まぁ、ロビーに近いから騒がないのは当然だが。これくらいは許してもらおう。ちらりと通りすがりの仲居さんを見ると笑ってたから大丈夫だろう。
隣のテーブルから椅子を引っ張ってきて鈴と簪の間に座る。丸テーブルに5人だが、そこまで狭くないな。
「わ、割れるかと思った。あんたたちも気が付いてたんなら教えなさいよ。あぁもう、髪も乱れちゃったじゃないの」
「ほぅ。まだ余裕があるんだな。もう少しやっとくか」
鈴に向かって手をニギニギと動かしながら脅しをかける。
「ギブ。ギブアーップ」
みんなで笑いながらふざけていたら、予想外というか、予想通りというか、声がかかった。
「おまえ達、話し込むのは構わんが、場所を考えろ。ここだと宿の従業員の迷惑になるだろう」
久しぶりに絡んできたよ。織斑先生。教師の威厳というものを見せておきたいんだろうか。入学式のアレ以降、若干人気が下向きらしいからな。
俺と鈴はあからさまに溜息をついた。簪は半眼で呆れ顔だし、シャルは苦笑。のほほんさんはきょとんと首をかしげている。いやまぁ首も傾げたくなるよな。鈴に視線で対応するようにせっつかれたから、織斑先生に体を向けて見上げてから口を開いた。
「馬鹿ですか?」
ドストレート。鈴が吹き出しそうになって口を押さえた。
「なっ!」
「俺が友人と話すのにここ以外だとどうなるか考えてます?俺男なんですよ。あなたたち大人からしたら子供が何言ってると思うでしょうけど、高校一年生男子って世間では男の子じゃなくて男として扱われるんですよ。そんな俺が、夜8時っていうこの時間に女子の部屋にいる。逆に俺の部屋に女子を招きいれるってことがどういう判断を世間から受けるか考えてますか?たとえ“そういう”ことが実際になくてもそう判断されかねないんです」
ここまでだったら、寮だとどうなんだって話なんだけど……。
「しかもここは旅館です。管轄は学園ではないんですよ。“そういう”風に騒ぎ立てられたら学園だけでなく、この旅館にも迷惑がかかるんです。だから俺達は、食事後の自由時間内で、旅館の共同スペースであるこの談話スペースで、話してるんです。やましいことなんて何一つないことを周りに示す意味も含めて」
一息吐いて間を空ける。続けて話してると結構疲れる。
「そして、はしゃいでいたのは事実ですが、それほど回りに響く大きさの声は上げてません。その辺の配慮は当然しています。俺達が子供だからといって、その辺がわからない程ガキじゃないですよ」
言い切って返しを待とうと構えたタイミングで、旅館の時計が8時を告げる鐘を鳴らした。織斑先生も、鐘の音にタイミングを失ったようで、口を開きかけた状態で固まっている。
「どうやらこれで時間のようですね。8時から生徒は割り当てられた部屋に戻って就寝準備でしたね。これ以上は注意の対象になってしまいますから失礼させていただきます」
椅子を元のテーブルに戻してから、「お先に失礼します。おやすみなさい」と、あてつけるように言って解散する。四人も織斑先生(アレ)に挨拶して女子部屋に戻っていった。
あの人は、ここが学園じゃなくて旅館だということをちゃんと認識してるんだろうか?部屋に戻って『教師の時間は終わった』とか言って酒飲みだしたりしないだろうな。こういうとき教師陣って見回りとかあるから、結構遅くまで仕事あるんじゃなかったっけ。
まさかね。
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