インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~ 作:kageto
「で、ですからね・・・」
「お断りします」
涙目の山田先生の要求を即座に拒否する。涙目+上目使いで困ったようにこちらを見上げる山田先生に心が揺れる。この人二十歳超えてるのに可愛すぎじゃね?
「断られてもどうしようもないんですよぅ。私も決定を伝えられただけなんですし」
「ちっ。あの兎め。失礼しました先生。専用機支給の件、了解しました」
「あぁ、よかったぁ。今回の決定は政府勅令だったので、寮のときのように無理が通せなくって」
いや、寮の件では無理言ったからなぁ。確かに。
「あ、やっぱり寮の件はアレの独断だったんですね」
「え、えぇと。は、はい。織斑先生の独断だったので。内装に関しては学園内のことでしたので、上層部に掛け合う形でした。経営陣の男性方から賛同を得られたので、内装案がすべて通りました」
「その節はお世話になりまして。えぇ、ホントに」
腰を折って頭を下げる。
「い、いえ、そんな、生徒のために動くのが教師なんですし・・・」
身長差と互いの距離から、視線がちょうど谷間に行く。いつも思うのだが、先生の服装、胸元開きすぎじゃね?先生が小顔ってこともあるが、胸と顔のサイズが同じだよ。禁断のパフパフしたら乳圧すごそうだ。
きっちり20秒谷間を凝視してから顔を上げる。
「あっ。そうでした。織斑君にこれを渡しておきますね。予備を含めて3着、特注の男性用スーツです」
山田先生が小脇に抱えていた紙袋をそのまま渡してくれた。覗き込んでみると、黒い若干光沢のある服が入ったビニール袋が3つ。後で試着しておこう。
「制服のときの採寸を基に作られてるらしいのでサイズに問題ないとは思いますが、今日中に袖を通してみてください。不備があるようでしたら明日のうちに私までお願いします。でないと来週から始まる実習に間に合いませんから」
「わかりました。この後部屋に戻って着てみます」
軽く頭を下げて踵を返す。そういえば・・・
「そうだ先生。昨日食材も買ってきたので、日ごろのお礼も兼ねてご馳走しますよ」
「え、ええぇ。そ、そんな、教師が生徒にご馳走されるなんて・・・」
「それに、織斑先生(アレ)がかなり迷惑かけてるみたいですし」
あんな性格でまともに教職が勤まるとは思えないしな。
「そ、それはまぁ・・・。あっ!あの、いえ、そ、そんなことはありませんよ。ホントですよ」
「そういうことにしておきます。先生にも立場があるでしょうし。その辺も含めて、感謝の印ということで。詳しい日取りはメールしますので」
優柔不断気味の山田先生に一方的に言い切る。こう強気に出ると先生の性格的に・・・
「え・・・っと。それじゃあ。ご馳走になりますね」
断れない、と。
「それでは失礼します」
真っ赤になって悶えてる山田先生を置いて、早々に部屋に戻ることにする。さすがに先生が想像してるだろう事態に発展はさせないぞ。ちょっと心惹かれるけど。
で、スーツを早速着てみたんだが、デザイン的にはアレだ。二昔くらい前に水泳選手たちが着てた全身タイプの水着。上は首、二の腕の真ん中。下は太ももの真ん中まであるやつ。
とりあえず最大の問題は、だ。
「一人で着れねぇよ。ジッパー背中に付けんなよ。女子に背中丸出しで『ジッパー上げてくれ』とかやったら、俺の人生終わるっての。社会的に」
上半身下半身で分けて、伸縮性の高い素材だったら首も通るか?
「あと、これだな。股間。セーフティーカップ。履くやつじゃなくて、こいつにセットできるようにしてもらおう。カップまで洗うと、手間が増える」
カップ無しで履いたら、それでも俺が社会的に死ぬ。女子のスーツとか見た目スク水じゃねぇかよ。しかもタチ悪いことに水着よりも素材薄くてぴっちりしてやがるし。そんな中でガチ反応どころか、少しでも反応しようものなら、これから3年間俺の立場がなくなる。
「カップで少しでも隠さないとな。どこまで隠せるか、そっちがある意味最大の問題かもなぁ」
口頭で伝えたら確実に山田先生がりんご色を超えて赤くなるだろうから、レポートにして提出しよう。
ちくしょう。世界唯一って、やっぱ不便だぜ。