魔法少女リリカルなのは~よくある転生記~   作:春夏冬 秋人

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第十一話 連休の出来事~俺、狸とエンカウント~

「いやーほんまに助かったわー」

「どうしてこうなった・・・」

 目の前にはどこか狸っぽいエセ関西弁を話す車椅子少女。

 場所は少女の家の玄関。

 運んだものは大量の本。

「お礼にお茶でも飲んで行ってくれへん?・・・いや、そやなどうせだから昼ごはんも食べてき!うんそれがええ」

 どこか必死に、引留めようと口早にまくし立てる。

 ご飯を作るね・・・誰が(・・)?おまえが?

 この家には人がいない。どことなく俺の家と同じ気配がする。

 

 

 

 この家には『家庭』というものの気配が極端に薄い。

 

 

 

 ほんとどうしてこうなった・・・。

 

 

 

 

 

‡  ‡

 

 今日は連休。

 つまりめんどくさい小学校に行かなくていい。マジ最高です!

 おまえ授業が体育以外苦痛でしかないんだぜ?いやだっていくら頭がいい学校ていったって所詮小学校、授業が退屈でしかない。いやまぁ中学だろうが高校だろうが退屈だけど。

 でも油断ができないのが聖祥小のマジキチなところ、だっておまえたまに大学の卒論レベルの課題が出るんだぞ?いったいあの学校は小学生に何を求めてるんだ・・・。やっちゃう方もやっちゃう方だけど。俺?もちろんやってませんが?

 まぁそんな学校に対する愚痴なんてなんの益にもならないことはやめて・・・今日何しようかなー。

 一応この連休に高町達に温泉行こうって誘われてたけど断ったし、テスタロッサに温泉行くんだけど一緒に行く?って訊かれたけど行かないって答えたし・・・暇だ。そして自業自得だ。でも行ってたらもっとめんどくさいトラブルに巻き込まれてたと思うのは俺だけだろうか?

 買ってるラノベの新刊は全部読んだし、今やってるゲームもないしお金もない。因みに向こうでおいしい物食べるであろうテスタロッサ達に飯作る必要もない。でも時間はあるときた。

 いや、おいしい物?ふむ・・・。

 最近人に食わせてるからか料理が好きになってきたところだし・・・、あたらしいレパートリーでも増やそうかな。ネタ料理の方もあたらしいの考えるか。

 いやー、どんなにアレなもの作ってもテスタロッサは全部食べてくれんだよなー。一度失敗料理間違って出した時もなんか涙目になりながら全部食べてくれたし、そこからたまにイタズラで変な味で食べさせるのにはまってる。涙目の美少女見てるとこう・・・ゾクゾクするよな!

 うん、まぁそんなことはどうでもいいんだ。レパートリーを増やすって話だな。料理本でも買いに行くか?いやでも買うのはなー・・・買わなきゃいいじゃん。

 この世には図書館という便利な施設があるじゃまいか。ついでに小説かなんか借りればいいし?銀河鉄道とかアリスとかそして誰も居なくなったとか読んで見たいし。

 そうと決まればさっそく行くか。

 現在午前十時、借りたらそのままどっかで飯食うか。

 

 

 

 

 そんな感じで図書館。

 静かな空気が充満する本の城。

 客はあんまりいないみたいだな。やっぱり今どき図書館なんてはやらないんだろうか?まぁどうでもいいけど。

 とりあえず目的の本を探すために旅に出ることにする。

 本に挟まれた通路を行ったり来たり。どうにも本がありすぎてどこに何があるのかいまいち分らない。

 小難しい専門書のエリアを抜けたさき第一の目的ではないが第二の目的の小説エリアを見つけた。とりあえず先にこっち見とくか。

 本を流し見しながら物色していると視線の先に変なもの見つけた。

「あともう――ちょいっ!」

 車椅子に乗った少女が届かない本に必死に手を伸ばして徒労(取ろうと)としている。

 なんか猿みたいだな。ほら吊るされた取れないバナナを必死に取ろうとしている感じ?まぁなんか猿っつうより容姿てきには狸っぽいけど。お腹でも叩いたらいい音が鳴るだろうか?いや、べつに肥っているわけではないけど、むしろ痩せてるんじゃないか?茶色い短い髪に丸めの顔、うんわりと美少女だな。

「あっ!――きゃあ!!あいた!」

 あ、転んだ。いや転んだっつーか落ちた。ついでに取ろうとした本も落ちて頭にくらってる。

「っぷ」

「いつつ。・・・むー、笑ってる暇があるんなら助けてくれてもええんとちゃう?美少女が困っとるんやで?」

「っくく。あーいや悪いな、手を貸す気も笑う気もなかったんだけど・・・ちょっとがまんできなかった」

 そう言いながら近づいて車椅子に座らせてやる。

「っとあんがとな。でも男の子としてかわいい女の子には手を差し伸べた方がいいと思うんやけど?」

「俺はお節介とかたまにしかしないんだよ。本人が望んでもいないのに手を伸ばすの気はない。振り払われたらやだし」

 そう言って軽くジト目で見てくる狸少女に取ろうととして落とした本を拾って渡す。

「なんや目つき悪いくせに度胸ないんやな」

「目つき関係ねーだろ。んじゃな、あんま無理すんなよ」

「ちょい待ち」

「あん?」

 立ち去ろうとしたら止められた。

「私はは八神はやて」

「・・・風切刃」

 自己紹介でもしたかったんだろうか?

「んじゃ刃くんやね。あそこにある本も取ってくれへん?」

「なんで?」

「望んだら手を伸ばしてくれるんやろ?」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 えー。

「いやだめんどい」

「なんでやねん!さっきと言っとることちがうやん!」

「いい事を教えてやろう俺の言うことは7割本当だ」

「は?それが・・・、いやあんさんそれ10割嘘とか5割嘘とかより立ち悪いやん!?」

「それに気づけたお前のお腹は真っ黒だな」

「は?なに言うてんの?お肌真っ白やで?ハリもあるで~?」

「やっぱりお腹が自慢なのか?」

「お腹じゃなくて肌や肌。一文字違うだけでも言葉って大分変わるんやで?というかさっきからなんなん?人を狸かなんか何かみたいに」

「いい音なるんだろ?」

「なるかい!しまいにはしばくで!?」

「ハッ!車椅子ができるかよ」

「障害者なめんなや!!」

「ぐおう・・・!」

お、親指・・・!足の親指が・・・!

 八神はタイヤ持ち上げソレを打ち下ろした。たまらずうずくまり悶える俺。

「ふん!どんなもんや!いつかパラリンピックに出るのが夢やで」

「お、おまえなら・・・で、出れるんじゃね・・・?」

「あ、やっぱりそう思う?」

 とりあえず重量上げはできるんでない?

 そう思ったけど言わないでおく。だって親指のライフがあと少ししかないから。

「まぁそれはともかく。」

 やっとこさ痛みが引いてきたので立ち上がる。

「取るのはいいけど一つ訊きたい事がある」

「なんや?スリーサイズでも聞きたいんか?」

「もうちょい育ってから言え寸胴」

「・・・じゃあ育ったら聞かせたるわ。興奮して鼻血だしてもしらんで?」

「育たなかったりして」

「もう一発くらいたいんか?」

「・・・冗談に決まってんだロー」

 怖いよー顔が笑ってるのに目が笑ってないよー。

「まぁソレはいいとして。八神はよく図書館に来るのか?」

「まぁ常連って言っていいくらいには来とるな」

「んじゃ俺の探してる本探すの手伝ってくれ」

「んー、まぁええよ?刃くんは図書館なんか来なさそうやからな」

「おいおいさっきもそうだが人を見かけで判断すんなよ」

「じゃあ来てるん?」

「今日が初めてだ」

「合ってるやん!?」

「うるさいな、さっきから声がでかいぞ。図書館ではお静かに」

「・・・誰のせいや誰の」

 おまえじゃね?喋ると面白いおまえが悪い。

 

 

 

 

 

「あっそれも取ってや」

「へいへい」

 言われるまま本を引き抜いていく。しかしずいぶん多いが持てるのか?・・・ああいや車椅子だから乗せりゃいいのか。納得。

「いやーそれにしても助かったでー不良少年。最初が納得いかへんけど」

「だれが不良少年だよ。見た目で決めんな」

「いや、今度は見た目やないで?平日の昼間から図書館(ここ)に居れば不良やろ。学校はどうしたんや学校は」

「今日は休みだ馬鹿」

「自主的に?」

「全国的に。というか今日は祝日だ。てか今日が普通の平日ならここにいるおまえだっておかしいだろうが」

「・・・べつにおかしくあらへんよ。私学校休校してるから」

 それもとってやー。と俺の身長でも届かないところ指されたので台に乗って取る。

「それにしても今日祝日やったんか・・・。なんか偶に曜日というか日にち感覚狂うんやよなー」

「ああーそれは分るわ。学校行ってないと曜日感覚狂うんだよな」

「・・・なんや実感こもっとるんやけど、・・・刃くんけっこう学校サボってるやろ」

「・・・さてなんのことかな」

「まったく・・・。学校行きたくてもいけない(ひと)もおるんやで?ちゃんと行き」

「へーそーなのかー」

 その逆もあるって事を忘れないでください。

「超人事!?あんたは鬼か!人が自虐ってまで言ってるのに!」

「そりゃ餓鬼だからな」

「・・・・・うまいこと言ったつもりなん?」

「・・・・・・・・・」

 見るな!そんな目で俺を見るな!

「というか今のが分るとはさすがヒッキー」

「引きこもりやのうて文学少女や!というかヒッキーなら図書館にも来いひんわ!」

「文学少女・・・。何この本食用?」

「ちがうわ!アホか!でも個人的にはあの人は尊敬しとるけどなー。高校に入ったら文芸部に入りたいわー」

「まぁがんばれや。俺はあんな事件だらけの歪んだ人間関係の部はごめんだけど」

「まぁたしかにな。っとそっちの本も取ってや、それで最後やから」

「了解」

 コレでやっと最後か・・・やっと開放されるわけだな。

「ほれ。これでいいんだろ?」

「ちょいまち。何処に置こうとしてるん?」

「おまえの膝」

 取った本をまとめて置こうとしたら待ったがかかった。なんでだよ?いいかげん重いんだけど?

「まさかやけど・・・か弱い女の子に全部持たせる気なん?」

「は?」

 か弱い?

「なんか今失礼なこと考えへんかった?」

「いやいやそんな」

 女ってどうしてこんな無駄に鋭いんだよ・・・。あれじゃね?女の勘ってもう一種の超能力だと思うんだけど?

「で?じゃあこれどうすんの?」

「もちろん刃くんが持つんよ?」

「はぁ?なんで?」

「なんでって――

 

 

望んだら手伸ばしてくれるんやろ?」

 

 

 

 クッソ!

 お前、何か!

 とってもクッソ!!

 もう笑顔がクッソ!!

 

 

 

‡  ‡

 

 

 

 そんな感じで現在。

「うまい・・・!」

「お口に合ってなによりや」

 八神家にてお昼をご馳走になっている。

 因みにあのあと自分の本を探す気にならず諦めた。大量の本持ってアレ以上うろつくとか腕が死ぬ。

「それにしても結局なんも本借りひんかったけど。なんの本探してたん?」

「なにって・・・」

 あれ?これってちょうどよくね?コイツ料理上手いし、こいつから教えてもらえばいいんじゃなかろうか?・・・うんそうしよう。

「実はだな八神・・・」

「うん」

「料理の本を探してた」

「・・・似合わなっ!?」

「うるせーよ!っでだ、おまえに頼みがある」

「うんええよ。引き受けた」

「まだ言ってないんだけど?」

「どうせ料理教えてほしいちゅうんやろ?ええよ」

「まぁそうなんだけど。・・・なんか釈然としない」

「しかしどうして料理作ろうと思ったん?料理作ってるようには見えへんけど」

「だから見た目で判断するなと・・・。まぁあれだよ俺が作るしかないからな」

「・・・・・・」

「ある程度は作れるから。こうレパートリー増やしたい」

「・・・・・・うんわかった、ええよ。じゃあとりあえず明日から始めるってことでええか?」

「うい、問題ない」

「ん・・・。それじゃ今日はゲームするでー!!」

「なんで!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず連休の予定は決まったな。

「八神てめーソレはハメだろ!?卑怯だぞ!」

「勝てばいいんや勝てば!!」

「てめっ!ならこっちも考えがある!!」

「んな!?それはいくらなんでもズルっ――」

 まぁたまにはこんな感じでもいいだろ。




狸登場。
はやての喋り方ってこんな感じでええんですかね?関西弁はよーわからへん。

いつの間にかお気に入り登録が350件超えててビックリです。みなさんありがとー!
この調子で感想もいただけると作者はよろこびますwww。






お気に入りが500超えたらなんか特別版みたいな番外編でも書こうかな?ネタは思いついてないですけど。
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