「八神センセー、こんな感じでええんですか?」
「うん、ええよ。なんやもう教える必要ないくらいできてるんやん。もうここまで来たらあとは経験やで経験」
そーなのかー。まぁ今まで作っててなんとなくわかってたけどな。料理は慣れだ。
「でも俺の知らない調理法とか知ってるから勉強になるな。ありがたくパクらせてもらおう」
「まぁこれでも美少女やからな。美少女は料理スキルがデフォで高いんや」
それは違うと思います。合ってたら俺が此処にいる理由がない。
そんな感じの連休二日目。八神センセーのお料理教室一日目。
でもなんか今日で終わりそう。八神も「もうレシピ教えるだけでええやん」と言ってるし。
そんなこんなでお昼ご飯。ポトフを作った・・・まぁ美味い、八神の作ったやつが。
「いやいや、十分刃くんが作ったのもうまいで?でもまぁ相手が悪かったっちゅうことやな。あた」
笑いをかみ殺しながら言う八神がものすごくムカついたのでデコピンで黙らせる。そのうちおまえよりか美味しいもん作ってやる!
「いったいな~もう・・・」
そう言いながらも顔はどこかうれしそう、というかにやけている。
まぁあれだ、理由は想像できなくもない。でもそれはこいつにとっても俺にとっても地雷だ。見たところけっこうまえからっぽいが・・・、そうなると余計問題だ。小学生が一人暮らし、なにか訳がないとありえない。
「それでなこないだ読んだ本なやけど――」
「へーそーなのかー」
八神の話を適当に相槌を打って聞き流す。
仮に同い年だとして9歳、そして少なくとも2年くらい一人暮らし、下手したら俺と同時期から一人。普通のガキが耐えられると思えない。もしかしたらこんな風に誰かと一緒に飯を食うのすらひさしぶりなのかもしれない。
それを可哀想だとは思わない、同情も憐憫も不要だろう・・・たぶん。俺は八神じゃないからわからない。
ここまで考えといてなんだけど、まるで意味がないな。気にしたところでどうにも思わないしどうしようもない。まさか一緒に住むわけにはいかないし、つーか俺が嫌だし。
このことについて気にするのも考えるのもコレで最後にしたほうがよさそうだ、気取られて俺も一人暮らしだと知れたらめんどくさい。最悪家族欲しさに一緒に住もうとか言われそう・・・。
「――話ちゃんと聞いとる?」
「安心しろ、聞いてない」
「なんでや!?」
ポトフ食い終り、思考にも一段落ついたところで八神に訊かれた、無論正直に返してやる。
「ふつうそこは嘘でも聞いてるって言うところやろ!?」
「そんなこと言われても・・・俺ポンデ・・・ごほん。嘘嫌いだし」
「ダウト。というか何言おうとしてんねん・・・」
いやなんか電波が。ドーナッツはそんな好きじゃないんだけどな・・・。
「それはさておき。嘘じゃないぜー、相手に嘘吐かれるとイラってくるからな」
「嘘吐きが何いってんねん。刃くんが言えることやないで?」
「言うことは言えるさ、聞いてくれるかは別として。それに嘘吐きが嘘を嫌いだっておかしくないだろ?好きで吐いていても好きだから吐いているとは限らない」
「なんや、嘘吐きっていうより詐欺師やね」
「うるさいぞ狸」
「腹黒って言いたいんやな?まったくこんな美少女つかまえて酷いわー」
この受け答えからして小学生とは思えないんですけど・・・。
「・・・気になってるんやろ?」
「なにが?」
お茶を飲んで一言。むこうは表情が強張ってるけど俺は平然としてる自信がある。当然だ、思うところなんて何も無い。
「なんで私以外だれもおらんのか」
「まぁ・・・まったく気にならないって言ったら嘘になるな。でもどうでもいいかって訊かれたら頷くけど」
もちろん嘘にはならない。
「ほんま酷いなー」
「そうでもない。聞き役くらいにはなれる。酷いかどうかはおまえしだい」
「・・・なら、聞いてもうおうか。っても一言で終るんやけどな」
苦笑する八神にどうぞっと無言で先をうながす。
「両親が事故で死んじゃったんよ。助かったのは私だけ。でも一応後見人?はおるんよ、お父さんの友達らしいんやけどな?ただ会った事はないんやけど・・・手紙では話しとるし、お金も入れてもらとる。ほんまに感謝してもしきれへん」
緊張してるからかまったく訊いてないことまで焦ったように言い出す八神。いやそもそもなにも訊いてないんだけどな?でも
「まぁよくある話だな」
そうよくある話だ。事故で両親が早くに他界するどこにでもありふれた話だ。
両親が他界しただけだったら。
肝心なのはそのあとで・・・、その足長小父さんは何物だ?お父さんの友達?ならなんで会ったことがない?なぜ引き取らない?普通なら小学生を一人暮らしなんてさせないだろう、友達の娘というなら尚更だ。
俺みたいに『棄てられた』なら分る。でもこいつは棄てられるようにやつに見えないし棄てられたようにも見えない。だいたい棄てたなら手紙でやりとりなんかしないだろうし、こいつの口ぶりからもそんな険悪な感じはしない。まぁ所詮文字だから感情はどうとでも誤魔化せるけど、それでもやっぱり手紙は余分だろう。
なんかおかしい・・・中途半端だ。
どうにもきな臭い・・・。
「それは刃くんも同じやから?」
「・・・・・・は?」
思考に埋没した意識が八神の声に釣り上げられる。俺の顔は陸に上がった魚のように間抜けづらをしているに違いない。
「ずっと不思議に思っとんたんよ。私よりかは下手でも私と同じくらい料理ができるなんておかしいやろ?さっきも言ったやろ
これは・・・まずいんじゃないだろうか?
「それに昨日言っとった『俺が作るしかない』これおかしいよな?親が普通作ってくれるやろ」
「・・・家の親はいい年してまともに料理作れないんだよ」
「ダウトや」
正解。そう言って思わず頷いてしまいそうなくらい確信を持った表情で言われた。
「それなら『俺が作るしかない』やのうて『俺以外作れるやつがいない』って言うはずや」
「・・・・・・俺は小学生だぞ?ちょっとくらい言い回しを間違うときだって多々あるさ」
「それもない。昨日から話しとって思ったことやけど、刃くん頭ええやろ?とくにこういう言い回しを間違えないくらいには。じゃなきゃあんなおもろい会話できへんと思うで?」
「・・・それは遠まわしに自分も頭いいって言いたいのか?」
「もちろんや。文学少女なめるんじゃないで?」
「・・・まぁそうだな。一人暮らしって意味じゃ同じだな」
「なら――!」
ほんとあと一歩だったところとかそっくりだ。
「親が二人そろって出張でな、今は俺だけなんだよ。だから俺しか作るやつがいないの」
「・・・あ、そ、そうなん・・・?」
「そーなんです」
「・・・そうなんか」
目に見えて気落ちする八神。大方俺が自分と同じないし似たような境遇だったら一緒に住もうとか考えてたんだろう。しかし昨日今日会ったばかりの奴と一緒に住もうとするとは・・・よほど飢えてんだな。・・・なんかこの表現エロいな。
しかし危ないなーこいつ。急に表われた知らない人でもあっさり家族にしちゃいそうで。しかもなんか変なことに巻き込まれてそうだし。
「さて!暗い話はここまでだ!ゲームしようぜ?」
「・・・うん、そうやね!」
まぁ俺には関係ない。
「・・・なぁ、また遊びに来てくれるん?」
「あん?来るに決まってんだろ?料理もまだ盗み足りないしおまえ面白いし」
「――っ。美少女やし?」
「それはどうでもいいな。美少女は間に合ってる」
「なっ!?それどういう意味や!?」
まぁ・・・関係ないから遊びに来よう。
八神家からの帰り道。
ふと視線を感じて振り返る。
猫。
塀の上見たこともない黒猫が一匹こちらをじっと見ている。それは何かを探っているような目。普通の猫ではありえない。
・・・猫又とか妖怪の類か?吸血鬼がいるんだ他の妖怪が居てもおかしくない。
「なーお」
しばらくすると不機嫌そうに一声鳴いて黒猫は八神の家のほうへ行ってしまった。
「・・・気のせいか?あの猫・・・余計な事はするなって言った気がする」
魔法もあって妖怪が居る。現にフェレットが喋ってるんだ猫が喋ったっておかしくない。だとすると。
「どうにもめんどくさそうだ」
実は作者は基本ノリで書いてたりするのでたまにギャグだけになったりシリアルだけになったりします。
でもそろそろバトルが書きたい作者。でも物語的にバトルは入らない、入っても主人公はとうぶんバトらない。
そもそも魔法が出てこない。そこで作者は疑問に思う。
作者書いてるのってなのはだよな?
そして最近東方も書きたくなってきた。
夏休みが怖い。