魔法少女リリカルなのは~よくある転生記~   作:春夏冬 秋人

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喫茶翠屋、そこはシュークリームとコーヒーそして美男美女な従業員が話題の喫茶店。女子高生や奥様方などが主な客層。今日も身勝手な噂話や姦しいガールズトーク、男の子には決して聞かせられない黒いお話が客席という閉鎖空間で交わされている。それは小学生だって例外じゃない、何歳だろうと女が3人寄れば姦しいのだ。
 



 さぁ、お茶会を始めよう。
 見た目だけは優雅な一時。
 でも蓋を開けると?
 さて、それは見てからのお楽しみ。



 ――さぁお茶会を始めよう。


第恋話 少女達のお茶会

 喫茶翠屋。

 そのテーブル席にその仲良し5人は制服姿で集まっていた。

「んー・・・!やっぱり翠屋のシュークリームは美味しいわねー」

「にゃはは!お母さん自慢逸品だからね」

 幸せそうにシュークリームを食べその日本人離れした整った顔立ちを緩ませて幸せを堪能しているのは金髪(長髪)お嬢様ことアリサ・バニングス12歳。

その対面に座ってさり気に自分の明るい笑顔で母親を自慢する栗髪を左右にぴょこんと縛っているのが特徴の少女、ドジッ子少女こと高町なのは。

「うーん、やっぱりなのはちゃんのお母さんには敵わへんなー。どうやったらこんな風においしい物が作れるんや?」

「はやてはまだ料理できるだけいいよ・・・私なんて」

「フェイトちゃんはお手伝いしてるんだからそのうち作れるようになるよ。美味しいかは別として」

 アリサの横に座り食べながらもどうしたらこの味に近づけるかという料理ができる人しかできない楽しみかたをしてる関西弁の女の子み短めの茶色い髪に丸めの顔とどこか狸を思わせる雰囲気の少女、狸こと八神はやて。

 その対面に座り太陽で輝く長い金髪が逆に陰を作っているのはアリサとはまた違う雰囲気の日本人離れした美少女、子犬ことフェイト・T・ハラオウン。

 はやての隣でそんなフェイトに穏やかな笑顔で黒いというか毒を吐いているのは黒く長い夜を思わせる髪に整った顔立ちに深い瞳の少女、腹黒お嬢こと月村すずか。

 これに本当なら目つきの悪い短髪男、素行不良少年こと風切刃。計6人が仲良しグループのメンバーなのだが今日はどうやら欠席らしい。

「刃も来ればいいのに。なんでアイツは誘いから逃げるのかしら・・・?」

「ほんとだよね、刃君いっつも逃げるし皆で遊ぼうって誘っても断るの」

 アリサの愚痴に同意するようになのはも愚痴る。

「でもジンの気持ちもまったく分らないわけじゃないけど・・・でも確かに逃げすぎだと思う。集団じゃなければちゃんと付き合ってくれるけど」

「分るってなによ。まさか・・・フェイトも本当は私達と一緒に帰ったりするの嫌だったの・・・!?」

「ち、違うよ!?そ、そういう意味じゃなくって・・・!」

「分ってるわよ冗談よ冗談」

 フェイトの言葉の揚げ足をとってからかうアリサは実に楽しそうだ。

「でもどういうことなの?」 

 そんな二人のやり取りを苦笑しながら見ていたなのはが小首を傾げながら訊くと。

「それはねなのはちゃん。この中で男の子って刃君だけでしょ?」

「うん」

「それが嫌っていうか・・・気まずいんだと思うよ?私も男の子の中に自分だけ一人ってやだし」

 すずかがフェイトの代わりに教えてあげる。ソレ聞いたアリサはあいつがそんなの気にするかしら?っと疑問思う。

「でもアレやで?このグループって見方によってはハーレムやで?こんな美味しい状況を健全な男の子が見逃すとは思えへんのやけど。ほら私ら美少女やし」

「はやてちゃんアレが健全だと思う?」

「思わへん・・・。ん?それって余計見逃さないんやないの?というか美少女はスルーかい」

 間違った男性観持つはやてに失礼な毒で返すすずか。本人がいないからといいたい放題である・・・いても変わらないかもしれないが。

「ジンが不健全かどうかは置いといて。たぶん集団があんまり好きじゃないんだと思うよ?」

「あーなるほど・・・。家に来た時もなんやみんな居ると居心地悪そうにしとるときあるからなぁ」

 納得や、とフェイトの言に納得するはやて。余談だが刃が居心地悪そうにしてる理由内一つはたしかにそれだが、実はそれよりシグナムの好戦的な視線にゲンナリしてるのが主だったりする。

「まぁ理由がどうあれおかげで私達が苦労してるって事実は変わらないんだけどね」

「にゃはは・・・。今じゃあ他のクラスどころか他の学年の子も放課後見に来るくらいだもんね」

「・・・あれは最初見たときビックリした」

「私もや」

「アレ最初に始めたのはアリサちゃんだよね?」

「しょうがないじゃない・・・つい手が出ちゃったのよ」

 5人が言っているのは今や聖祥小学校名物のことである。

 ことの発端は小学三年生の二学期が始まって直ぐの頃、放課後いつものように刃が3人の誘いを断って逃げようとした刃に対してアリサがキレて殴り掛かった(説得です)のだが、それを全部避けて最後に鼻で笑われたアリサは悔しく思いその対抗心に火がついたのが始まり。良くも悪くも行動力のある彼女は直ぐさま護身術を身に付けたいと父にお願いした、4月に誘拐されていたこともありたしかに自分で身を護れるようにしといたほうがいいと父は思い許可した。そしてその日から執事の鮫島に護身術をならいはじめた。才能あふれる少女は格闘技に対する才能も有ったようでメキメキと実力を伸ばし、習ったことを刃相手に実践し軽くあしらわれてさらに修行するというある意味悪循環が形成された。そしてそれを見ていたすずかも”逃げるんだからしょうがないよね”と参加。その異常な身体能力を駆使しさらに姉の忍から戦い方を教わりアリサと協力して 刃に殴りかかる(あくまでも説得です)。そしてフェイトとはやてが転校してきたときも初日でバトりフェイトはおろおろしはやては”面白そう!”と言って参加した。ちなみになのはは足を引っ張りながら”うにゃー!?”と頑張って(転んで)いる。

 この6人のアクション映画さながらアクションは男女ともに大いに楽しんでいる、特に男子はアリサやすずか達がハイキックや跳び蹴りをするから歓喜している。某笑顔動画にもUPされており『ぅゎょぅι゛ょっょぃ』や『リアル大乱闘www』などのコメントをされている、もちろんハイキックや跳び蹴りに視聴者は歓喜している。

 閑話休題。

「まったく。アレのせいで変な噂流されたりするし・・・ホントいい加減にしてほしいわね」

「なんだかんだ言ってもアリサちゃんも楽しんでるけどね」

「ううっ」

「そやねー。最近は勝てるようになってきたし、よけい楽しいんとちゃう?」

「・・・・・・まぁ」

 アリサが顔を若干赤くされるのをみて他の四人は思わず頬を緩めた。

「わ、笑ってんじゃないわよ!」

「にゃはは、ごめんごめん。アリサちゃんがかわいくてつい」

「なのはのくせに生意気っ」

「いはいよーっ!」

 むいー、頬伸ばすアリサ。そのもちもちとした肌は費引っ張ってて楽しいが同時に腹立たしい。

 (なんでこんなやわらかくて張りがあんのよ!)

 そんな些細な嫉妬もあり頬は餅のように伸びていく。

「ごへんらはいー!」

「ええー?なんだってー?何言ってるかわかんないわよー?」

「うにゃーっ!?」

 実に楽しそうなアリサさんであった。

 

 

 

 

「ううー・・・ほっぺがー、ほっぺがー・・・!」

「なのは、大丈夫?まったく・・・、アリサちょっとやりすぎ」

「あははー、楽しくってつい」

 しばらくして頬を開放されたなのははフェイトに抱きつきフェイトはそれを慰めながらもアリサをしかる・・・がどうやら加害者は反省も後悔もないらしい。

「ついじゃないでーアリサちゃん。かわいい顔が不細工になったらどうするん?告白した男子がかわいそうやろ?」

「ふぇ!?」

「・・・・・・ちょっとまって。なのは告白されたの?」

「せやで?一昨日の昼休みやったかな・・・?」

「なんで知ってるの!?」

 一同驚愕。

「やるわね・・・。でどうだったの?」

 一同注目。

「ふえ・・・!?えっと、断った・・・よ?」

 一同納得。

「まぁそうよね」

「ううー・・・、今日のなのははアウェーなのです。自分の家の店なのに・・・」

「まぁまぁ落ち着きー、いつもと変わらんで?」

「うわぁーん!」

 思わずフェイトに抱きつくなのは。

「ちょっ、なのは!?はやても言いすぎだよ事実だけど」

「っ!?フェイトちゃんも敵なのー!」 

「ええっ!?」

 でも周りは敵だらけ。すぐさま離れる。もう今日は誰にも信じないと無駄な信念を固めた。

「私のことを皆黒いって言うけど実は一番酷いのってフェイトちゃんだよね」

 こういうことを言うから黒いって言われると自覚しているすずかが一番やっぱり黒い。酷いとは言ってるけど黒いと言ってないところが黒い。

「まぁ・・・丁度いいし、恋話しましょう?」

「お。ええなコイバナ!やっぱりガールズトークといえばコイバナやな」

「こ、こいばな・・・?」

 アリサ恋話宣言をする。反応は様々ではやてはノリノリであり、フェイトは困惑、なのは何か悟ったように遠い目をして、すずかは関係ない振りをしながらメニューを見ているが内心諦めている。

「さて・・・。じゃあなのは」

 ああ、やっぱり私なんだ、と遠い目でアリサのを方を向く。

(でもただではやられないの!せめて道連れにするの!)

 ダメフラグを建てながら。

「・・・そういうアリサちゃんはどうなの?」

 

 

 

「そうね、好きな人はいないけど気になる人ならいるわ」

 

 

 

「ふぇ!?そうなの!?」

「意外・・・」

「意外や」

「アリサちゃんにそんな感情があったなんて・・・!」

「あんたらしばくわよ?特にすずか。それにしてもあんた達が私のことをどう思ってるか分る瞬間ね」

「でもしょうがないと思うよ?」

「う・・・」

 自分でも少し心当たりがあるのか眉をよせる。まぁそれもあたりまえ、リアル大乱闘してたり男子に鉄拳制裁してたりする姿を頻繁に見せていればそんな風にしか見られないだろう。

「まぁまぁそんなことより今は他に言うことあるやろ?」

「私、気になるの!」

「・・・わかったわよ。あと勘違いしないで欲しいんだけど好きなんじゃなくて気になってるだけよ」

「アリサちゃんはツンデレだね!」

「いいかげんにしないとほんとに張り倒すわよ?すずか?」

「いいから、はやく」

「わかったからちょっと離れなさい近いわよフェイト」

 詰め寄ったフェイトを引き剥がし、ゴホン、と咳払いを一つしてアリサは言った。

「――刃よ」

 きゃーという甲高い声を静かに言うという器用なことをアリサ以外の皆はしながらも興奮絶好調のままにアリサに続きの言葉を期待する。

「あのね、さっきも言ったけど別に好きてわけじゃないのよ・・・いえ、違うわね正確には好きかどうかわからないのよ」

「乙女か!」

「花も恥らう12歳よ」

「そうやった!」

「ちょっとはやては黙っててくれないかな?それで?」

 なんでや理不尽や・・・と横で冷たくあしらわれたはやてを気にしつつ。

「それでって・・・何も無いわよ、気にはなるけどそれが恋愛感情なのかどうかはわからないのよ。まぁ私の周りで付き合ってもいいって思える男子って刃くらいだし・・・。そうね・・・こう言えばいいのかしら、告白はしないけど告白されたらさんざん悩んだ末に受ける。そんな感じよ」

 これでいいかしら?っと周りを見渡すアリサ、そんなアリサになのはが疑問の声を掛ける。

「えと、アリサちゃん質問なんだけど、刃君のどんなとこが気になるの?」

 アリサはそうね・・・、と目を瞑り顎に手を当て考え出す。そしてちょっとして答えが出たのか目を開いて真っ直ぐなのはを見る。

「・・・よくわからないとこかしら」

「よくわからいところ?」

「ええ、だってあいつおかしいじゃない?優しいのか優しくないのかわかんないし何考えてるかわかんないし、そのくせこっちのことは何かたまに見透かされてるし。追いかければ逃げ出すくせに追いかけなければそこに居るのよ?」

 気にするなって方が私には無理よ。と締めくくった。

 それを聞いた少女達の反応はおよそ一つ納得だった。それは少女達の間での共通認識なのだから。

「はい、私の話は終わりよ。さてなのは?私は腹を割って赤裸々に告白したんだから、あんたもちゃんと答えなさいよ?」

「ううっ!」

ささやか反撃が裏目に出た、もう少し恥らってくれるのかと思ってたのに平然と言われむしろ退路がなくなった。

 こうなったらしょうがない腹をくくろう、此処で逃げてしまったら負けた気になるし・・・なんていうかその女として。

 意を決してなのは暴露をはじめる、顔は真っ赤だがそれはご愛嬌というものだろう。

「えっと・・・、いないかな?」

 

 

 

「ダウト!」

「なんでっ!?」

 

 

 

「なのは・・・それはないよ?」

「アンタは・・・!あたしはちゃんと言ったっていうのにこの期に及んでそんな嘘吐くの?」

「というかなのはちゃんバレバレやで?」

「う、嘘じゃないよ!?・・・そのたぶん刃君のこと言ってると思うんだろうけど」

「「「「うん」」」」

 なのはの言葉に全員が頷いた。なのはに暴露させる意味あったのか疑問に思うが・・・。

「その、刃君のことは好きは好きだけどちょっと違うの」

「友達として好きってこと?」

「ううんすずかちゃん、そうじゃなくって。あの、刃君はお兄ちゃんみたいな感じなの」

「お兄ちゃん?」

 フェイトが首を傾げてオウム返しする。その怪訝な思いはなのはの話を聞いたみんな思ってることであり、少女たちは皆どういうこと?と目で訊いている。

「えっと・・・、いろんなこと知ってるし、助けてはくれないけど本当に悩んでるときは背中を押してくれるし。なんか私と違って大人っぽいし?やっぱりお兄ちゃんかな・・・」

 なのはにとって家族とは『ペアとなる誰かがいいる』という印象が強い。母には父が兄には姉が、そういった家族の中ででも『特別に仲の良い誰か』なのはにはその誰かがいなかった、別にそれはなのはが家族と仲が悪いわけではないむしろ良い方だ、しかし良いからこそ余計自分がこの家族(なか)で浮いているとそう思ってしまう。そこで幼い頃からの付き合いで自分よりも大人っぽくさらに印象に残り『自分になれ』など人格形成において大きな影響を与えた言葉を言われたりしているため、(ペア)になって欲しいという思いからの発言。しかしそんな本人でさえわかっていないことなど人に分るはずなど無く。

「意外や・・・、なのはちゃんは絶対刃くんのこと好きやと思ってたのに」

「は、はい!私の番もう終り!」

「終る前に一つ質問いいなのはちゃん?」

「・・・いいよ、なにすずかちゃん?」

「刃君に告白されたらどうするの?」

「・・・ふえ!?」

 (こ、告白!?・・・そりゃ嫌いじゃないし好き言われたらうれしいし・・・で、でもお兄ちゃんみたいな人だしそれってつまり家族ってことだし・・・あれ?それってお父さんやお母さんみたいな夫婦でも家族だから・・・えっとでもあのその刃くんはお兄ちゃんだしうれしいし・・・くぁwsでfrgtyふじこlp;@:「」)

「うにゃぁ~・・・・・・!」

「ちょっなのは!?」

「ショートしたわね」

「これはあれやねー、自分で気づいてないだけなんとちゃう?」

「なのはちゃんは相変わらず自分の事には鈍感なんだね」

 赤くなって煙を出しながらテーブルに突っ伏すなのはを見ながら好き勝手言う少女達、心配してるのはフェイトだけだった。

「さて次は・・・」

 しかしアリサがそう言って周りを見始めると皆目を逸らす、フェイトもなのはをほっぽってあらぬ方向を向いて冷や汗を流す。結局かわいいのは自分というわけなのだ。

 そんな中でただ一人目を合わせずアリサの目をしっかり見つめている少女・・・いや狸がいる。

「・・・フェイトね」

「え・・・」

「なんでやっ!?」

「恥ずかしがらない人から聞いたって面白くないでしょ?だからあんたは最後よ」

「むー・・・、まぁしゃーないね」

 フェイトはそんなアリサとはやてのやりとりを見て自分が選択を間違えたことに気づく、あそこは目をそらさないのが正解だった。

 結局最後には言うことになるだろうけど。

「さて、じゃあ話してもらいましょうか?」

「え・・・と、言わなきゃだめ?」

「ダメよ」

「ダメやな」

「ダメだよ」

「ダメなの」

「なのはまで!?」

 最後の抵抗空しく却下されたフェイトは溜め息と共に口を開いた。

「たぶん・・・いない・・・かな?」

「たぶんてことはあたしと同じで気になる人はいるっって感じなのかしら?」

「うん・・・。アリサと同じっていうよりなのはとアリサを足して二で割った感じかな」

「うん?どういうことや?」

「えっと刃のことは好きだけどそれが恋愛感情なのかはよくわからないんだ・・・。私はいままで友達がいなかったから・・・その、友達に対する気持ちとどう違うのかよくわからなくて・・・。たしかに男の子で一番好きなのはジンなんだけど・・・そもそも男の子の友達がジン以外いないし」

「なるほどね・・・。でもさっきの話からするとそれだけじゃないんでしょ?」

「うん。ジンとはこ、恋人というより家族になりたいんだ」

「家族?」

 家族になりたいとはどういうことか、アリサにはよくわからない。というかさっきから聞いてるとプローポーズにしか聞こえない・・・。

「なのははジンの事を家族――お兄ちゃんだと思ってるって言ってたけど・・・私の中ではジンは友達。でも私もジンを家族だと思いたいんだ」

「なんで家族になりたいと思ったの?」

 家族という言葉に反応したからか、なのはが再起動して問いかける。

「なりたいと思ったから・・・。ジンとご飯食べてると美味しくて、ジンと話してると楽しくて、ジンと一緒に安らいで、ジンが傷ついたら悲しくて、ジンを護りたいって、ジンのために何かしてあげたいって、ジンと一緒に居たいって思ったからだよ。――『母さん』に対してそう思ったように」

「・・・そっか」

 そう言ったフェイトを見つめるなのはの目はとても優しい目をしていた。それはある種の共感、フェイトのが言った最後の言葉、そこに込められた思いは確かに自分が彼に対して家族(あに)だと思ってるソレと同じものだから。

「なのは・・・」

「フェイトちゃん・・・」

 見詰め合う二人強い共感から二人は言いようのない感情が溢れ二人だけの空間を形成していく。

「はいはい・・・。もうあんたら付き合えばいいんじゃないかしら?(おにいちゃん)も祝福してくれるんじゃない?」

 そんな二人に悪態をアリサは吐くが当の本人達には聞こえちゃいない。冗談で言ったつもりだったがこうもスルーされると本当に付き合えばいいんじゃないかと思ってくる。

「まぁ・・・あの二人はほっといて次はあんたよ」

「・・・・・・はぁ。うんまぁ避けられないのは分ってたよアリサちゃん」

 指をさされたすずかは別段驚きはしなかった。自分の前の生贄(なのはとフェイト)のおかげで心の準備はできていたし最初から諦めてた。

 だから――。

 

 

 

「いるよ」

 

 

 

 確かな覚悟を持って、確かな心を持って気負わず自然に言ってのけた。

「・・・・・・まさかそんな自然に言われるとは思わなかったわ。ちょっとくらい恥ずかしがりなさいよ」

「だって恥ずかしくないんだからしょうがないよアリサちゃん。私は自分の(おもい)に恥なんて一つも無い」

「言うわね。いつもさらりと毒を吐くとき以外はあんまり強気じゃないのに」

「こればっかりは譲れないから。私だって強気になるよ」

「なら聞かせてもらおうやないか。誰が好きでどこが好きなん?」

 はやてが訊いた瞬間全員がすずかの方を向いた。もちろん見詰め合っていたなのはとフェイトも例外じゃない。

「刃君だよ」 

 これは戦線布告にして、先制攻撃。

 まだこの戦いに参戦(エントリー)していない人たちに対して楔を打つのだ。優しい彼女達は好きだと言った私のことを気を使うだろうし意識するだろう、そして参戦してきた時はその楔がわずかに足を鈍らせる。

 恋は戦争。何処かの誰かが言った言葉だが・・・よく言ったものだと思う。

「好きなとこは・・・、私を化け物(わたし)として・・・私の全部を肯定してくれるところだよ」

 でもそれはみんなも同じじゃないかな。

 そう言って全員を見回してから、

「みんなが刃くんを少なからず思ってる理由・・・というか好きなとこってたぶんこれだと思うの。誤解しないで欲しいんだけど・・・私も含めてみんな普通じゃないでしょ?・・・あれなんか違う、普通じゃないっていうか普通だけど普通じゃないっていうか」

「なんとなく言いたいことは分るから大丈夫だよすずかちゃん、みんなも分ってると思うし、続けて?」

 なのはにあわせてみんなが頷くのを見てすずかは続ける。

「・・・そんな私達の良い所もダメなところもそのまま肯定してくれる。文字どうり私達がどんな人でも刃くんはそれを私としてそのまま肯定してくれる、それはすごい安心感だよね。刃くんは私達が嫌いにならない限り私達を嫌わない、私達が裏切らない限り私達を裏切らない」

 

 

 

 私達が嫌いになって――嫌らいになっても。

 私達が裏切って――裏切っても。

 それごと私達を肯定してくれる。

 

 

 

「それが私が思う刃くんの良いところで好きなところで――怖いところだよ」

「そうね・・・たしかにすずかの言うとおりそれが私達の(・・・)アイツの好きなところよ」

 そう言ってアリサは強気に笑った、いやアリサだけじゃないなのはもフェイトもはやてもすずかもみんなが笑っていた。

「でもすずかちゃん私も刃くんのこと好きなんやから・・・、渡さへんで?」

「――受けて立つよはやてちゃん」 

「というかあんたがまだ言ってなかったの忘れてたわ」

「ちょっ、それはひどすぎるでアリサちゃん!?」

 二人の火花散る乙女に見事に水を注したアリサのおかげで再び笑いが上がる。この火種が燃え上がるにはまだ早い、なぜならまだ役者が・・・肝心の主役が欠席だ。

 もうすぐ中学生、此処からが本番だ。

 

 

 

 ――もうすぐ春がやってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ていう話をしてると私は思ってるんだけどお母さんどう思う?」

「あらあら、まったく美由紀ったら。ありえないって言えない所が面白いわねー」

「父さん、久しぶりに刃の奴を道場に呼ばないか?」

「お!丁度父さんもそう思ってたところだよ。恭也、二人で刃君に稽古を付けてあげようじゃないか・・・」

 




お待たせしました、特別板第一弾です。同時投稿された第戦話の後書きにも第一弾と書かれています。
五人同時会話大変でしたけど女の子達の話を書いててニヤニヤしてました、イエーイ。

この話はにゃん死神さん、空を飛ぶものさんのアンケートを採用しました。ご協力ありがとうございます。
うまく書けているかは皆さんに判断していただきたいです。

えー、何故今回特別版が二つかというと・・・アンケートで来た感想が三つだけでした、思った以上に少なかったです。5くらいは来ると思ってましたがどうやら甘かったようです。世界はこんなはずじゃないことばかっりだよwww。
それで作者は「こうなったら全部書いてやる!」と無謀な挑戦を開始、結果投稿が遅くなる。
ゴメンナサイ!!!
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