魔法少女リリカルなのは~よくある転生記~   作:春夏冬 秋人

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「・・・・・・あんまり寝れなかったな」
 薄暗い部屋の中気だるい気持ちでアラームを止めて気が乗らないまま小学校に行くために準備する。
 歯を磨くために洗面所にいき鏡に映った顔を見る。
 寝癖が直されていないボサボサの栗色の髪、いつもの明るい笑顔はそこに無く憂鬱そうな小学3年生の少女――高町なのはの顔がそこにある。
 いつもの自分の顔のいつもじゃない自分の表情を見てこれではいけないと思って身支度をする。歯を磨いて寝癖を直し、トレードマークのツインテールに髪を結んで笑顔を浮かべれば元どおり、そこには作り笑顔を失敗した顔がある。
「・・・はぁ」
 これではみんなに心配される、とくに私の友達は感が鋭い人ばかりなのでこんな顔では誤魔化せないだろう。
 思い出されるのは昨日・・・いや一昨日の楽しかったはずの温泉旅行。幼馴染の男の子が来なかった事もそれなりに残念だったけど・・・予想できてたからよくないけどそれはいい。本当にショックだったのは・・・その後、夜の出来事だ。
「また・・・勝てなかった」
「なのは・・・」
 同居人?のフェレット――ユーノが心配そうに声を掛けるも失敗した笑顔を力なく向けるだけ。・・・それで誤魔化せないことは分っているのに。
 だからなのはは考える。
 次は勝てるようにせめて想像の中では勝とうと思い出す。
 あの夜、金色に輝く髪を靡かせた――黒衣の死神を。



‡  ‡



「そろそろジンは学校に行く頃かな」
高級マンションの一室シンプルでいながらもセンスいい部屋、そのベランダで朝の光を浴びながら小学生くらいの少女は呟いた。
 黒いパジャマを来て金色の長い髪を腰までストレートに下ろした少女――フェイト・テスタロッサは子犬のようにまだ眠たげな目を細めてまどろんでいる。
 思い出すのは昨夜のこと、頭を撫でられたこと――がんばったなって褒めてくれた、認めてくれた。いままでフェイトは頑張ってきたしかしその努力が認められたことなど、ましてや褒められたことなど両手で足りるほどしかない。特に彼女との契約が切れいなくなってしまってからは・・・。
 だから昨日のあの時あの瞬間、自分でもよく分らない何かが込み上げてきて・・・不覚にも泣きそうになってしまった。顔を伏せて赤くなってた自分のことを変に思われなかっただろうか?それが心配だったし恥ずかしかった。・・・その後のことは無かったことにしたい、おなかの中に虫がいるのなら確実に感電死させてやる。
 (護らなきゃ・・・!)
 昨夜のことを思い出し改めてそう決意した。彼がいるこの世界を。彼が住むこの街を。彼自身を――護りたいと。
 そのためにはジュエルシードを早く集めなければいけない。もともとぐずぐずしている暇などなかったが余計急がなくてはいけない。
 フェイトは部屋の中に入り私服に着替えてテーブルに置いてある魔法補助機(デバイス)、バルディッシュを手に取る。
「セットアップ」
 瞬間バルディッシュは光だし、黄色い三角形から黒くメタリックなどこか戦斧にた杖に姿が変わる。いつもならさらにバリアジャケットを展開し自身の服装も戦闘用に変わるのだが今回は私服のまま。そもそもこれからすることは戦闘じゃない。
「広域探索・・・」
 ジュエルシードを探す。広域探索はかなり体力を使うがしかたない、起動していないジュエルシードは見つかりにくい、起動すれば直ぐに分るがそれでは遅い。護るためにも集めるためにも時間を掛けずに済ませるには少しくらい無茶をやらきゃいけない。あの子よりも早く見つけるためにも。   
 きっとあの子はまだあきらめてない、一昨日の夜に実力の差を見せ付けたけど・・・、あの真っ直ぐな瞳は少しも曇ってなかった。
 (――負けたくない)
 フェイト自身は気づいていないがここまで対抗心、敵対心を持つのは初めてのこと、それはいままで相手が居なかったからしかたないのかもしれない、初めてあった同い年くらいの魔導師に対抗心を持つのは仕方ない。
 だがしかしそれだけでは説明がつかない。そもそもフェイトと相手の力量は現時点でかなりの開きになる、格上が格下に対抗心は普通持たないだろう、故に魔法について対抗心はおこらない。ならジュエルシード集めか?それもない、相手が幾つ集めてるかは知らないが奪えばいい、もともとすべて集める気だったし集めるしかないのだ。なら相手が幾つ持っていようが関係ない、現に一昨日の戦闘で相手から一つ奪っている。故にジュエルシードではここまで強い対抗心は生まれない。
「またあの子は来るのかな・・・。たぶんジンの知り合いの――もしかしたら友達の」
 そもこの敵対心対抗心は何処から来るか?簡単な話それは憧れ、いっそ嫉妬と言っていい感情からだ。
「負けたくない・・・!」
 だから思い出す。
 あの夜――真っ直ぐな目をした白い少女を。


第戦話 魔法少女の戦う気持ち

 夜天に青白い光の柱が立ち上る。

 海鳴温泉の近くの森のなか散歩コースとして安らぎを提供してくれる名所、その橋の上から直ぐ近くの光の柱を見る人影が二つ。

「すごい魔力だね・・・これがロストロギアの力かい?」

 タンクトップにホットパンツ、申し訳程度に黒いマントを羽織ってはいるがその見事なプロポーションを誇示するような格好だ。だが注目されるとしたらそのプロポーションではなくその頭と腰だろう、なにせ犬の耳と尻尾が生えている。長い髪と同色のオレンジの耳と尻尾、彼女――アルフが人でない証拠である。

「うん。でもこれはまだ不完全、これが本当に暴走したら・・・」

 髪黒いボディスーツのようなものに白いスカートを穿き漆黒のマントを羽織った金髪ツインテールの少女――フェイト・テスタロッサ。

「今更だけどフェイトの母さんはなんたってそんな危ないもの集めてんだい?」

「分らない・・・、だけど母さんが欲しがってるんだから集めないと。それにジンに迷惑が掛かるからこんな危ないもの放って置くわけにはいかない」

「そうだねー・・・、なんだかんだ世話になってるしね」

「・・・うん。そろそろ封印するよ。バルディッシュ、アルフ、サポートを」

「了解。ご主人様っ」

『Yes sir!』

 フェイトが行った瞬間、待機状態だったバルディッシュは起動状態の戦斧の姿に変わる。

『Sealing Form』

 だが今回はそれでは終らない。さらに形状が変化しヘッドの部分が反転し槍に似た形になり金色の光の翼のようなものが展開される。

「ジュエルシード封印っ!」

 バルディッシュの先端から金色の一筋の閃光がロストロギア・ジュエルシードに向かって走る。閃光が迸り一瞬後フェイトの手元のには封印されたジェルシード、蒼い菱形の宝石があった。

 

 

 

「ぁ・・・」

 

 

 

 足音と微かな声が聞こえフェイト達は音のした方を向く。

「あらー?子供はいい子でって言わなかったっけか?」

 アルフが声を掛けた先、そこには白い服に身を包み先端に金色の金具それに覆われるようにして紅い宝石が付けられている白いバトン状の杖のデバイスを持つ栗色の髪を両側で結んだ少女――高町なのはがいる。

「そのジュエルシードをどうするつもりだ!それはとても危険な物なんだ!」

 なのはではなくその肩に乗るフェレット――」ユーノ・スクライアが叫ぶ。

「答える必要を感じないね・・・。それにあたしは親切にも昼間に警告してあげたじゃないか――未熟者がでしゃばるならガブって行くよってっ!」

 瞬間、アルフの体に変化が起きる。髪が全身を覆い両手足の爪が伸びていく・・・、そしてそこに表われたのはオレンジの狼。

 オォォォォォ――――。

 分を弁えない愚かな少女を食らわんとその巨体がなのはに向かって迫り来る。主が出る幕じゃないこんなザコども自分ひとりで十分だ!主には指一本だって触れさせない!!

「させるかっ!」

 しかしソレは叶わない。なのはにその牙は届かない。届かせない。

 ユーノの張った防御魔法が牙を爪を阻んでいる。自分の所為でなのはは危険な目に遭っている自分が弱いから自分が戦えないから。ならせめて!サポートだけは完璧に!戦えないというのなら盾にはなってみせる!!

「フェイト先に帰ってな!ここはあたし一人で十分だよ!」

「なのはここは僕にまかせてあの子を!」

「させると――思ってんのかい!!」

「させて――みせるさ!!!」

 翠に輝く魔方陣がユーノを中心に描き出される。

「しまっ――!?転移魔法!?」

「ユーノ君っ!」

 なのは声は届かずアルフと共にユーノは虚空に消えた。

「転移魔法・・・いい使い魔は持っているね」

「・・・ユーノ君は使い魔っていうのじゃなくて友達だよ」

 さぁ――前座は終って端役は退場、ここから本番。二人の魔法少女(しゅやく)は向かい合う。

「で、どうするの?」

「話し合いでどうにかなる――てことはないよね」

 フェイトの問いになのはが杖――レイジングハートを構えて答える。

「私も貴女もジュエルシードを集めてる限りは」

 フェイトもそれに応じるようにバルディッシュを構える。

 もうすでに話し合いをする気などどちらも無い。

 話すことの大切さをなのははもちろん知っている。だがそれと同時に話すだけではどうにもならないことをよく分っている。幼少時『寂しい』と訴えても現状は変わらなかった。一年生の頃親友と友達になったきっかけは取っ組み合いの喧嘩だった。話を聞く気もない人間に対して話をしても意味が無い。それならいっそぶつかることで得るものがあることをなのはは知っている。それに――。

 (理由も分らずやられっぱなしは気に入らないの!)

「賭けて、お互いにジュエルシードを一つづつ」

「勝った方がもらうの」

 二人の少女が宙に浮く。

「実力の差を――現実を教えてあげる」

「勝ったらお話聞かせてもらうの」

 月を間に挟みにらみ合う。

『Standby』

『ready』

 

 

 

『『fight!』』

 

 

 

「――っ!」

 お互いのデバイスが同時に合図を出した瞬間、なのはの視界からフェイトが消える。この前はこのあと直ぐに落とされた、だがそう何度も同じ手では負けない。

 背後に現れたフェイトが横薙ぎに振るった戦斧をなのはは回避して距離をとる。しかしフェイトも逃がさないと追いかけようと加速した瞬間、なのはは反転して杖を構える。

「ディバイン――バスターーー!」

 フェイトの目の前に迫る桜色の光、危なく半回転グレイズし避ける。しかし避けた先には。

「シュート!!」

 またも桜色。フェイトの周りを囲むようにしてある三つの魔力球が一斉に襲い掛かる、がしかし遅い、起動性能に長けたフェイトにはあたらない。

「誘導弾・・・!」

 だがそれでは終らない。避けた魔力球はフェイト追いかける。速度、機動、共にフェイトの方が優れるが魔力球はそれぞれフェイトが進む方向を阻害するようにバラバラに動き追い詰める。

『Blitz Action』

 バルディッシュが主の意を汲み魔法を起動する。高速移動魔法で一気に加速し魔力球を振り切りなのはの死角へ移動し戦斧を振るう。

「つっ――」

 誘導弾の制御に意識を向けてたなのはに避けることはできず、だがギリギリのところで杖で受けることには成功する。

「ハアァァ!!」

『Protection』

 一撃では終らず次々と振るわれる戦斧、なのはも防御魔法で防いではいるがそれでも不利なことにはかわりない。そもそもなのはは近距離での戦闘は得意ではない、射撃と砲撃による遠距離からの火力に物を言わせた遠距離こそなのはの本領が発揮される。せめて遠距離と言わないまでも中距離まで離れないといけない。

「レイジングハート!」

『Barrier Burst』

「っ!?」

 一際大きい一撃に合わせなのはのバリアが爆発する。その効果によりなのは距離を取ることに成功する。そもこの魔法はこういった距離を詰められ攻撃されてる時にために用意した魔法だ、相手と自分を吹き飛ばし距離をとるさらにカウンターで決まれば今のフェイトのように怯ませる効果もある。

 そしてそれだけの時間が有れば相手が動き出す前に。

「ディバイィィィン――バスタァァァーーー!!!」

 砲撃をぶち込める。

「――サンダー――スマッシャー・・・!!!」

 しかしフェイトも黙って食らうほど弱くない、同じく砲撃魔法で迎え撃つ。

 丁度中間地点で金と桜色がぶつかり閃光が迸る。

「レイジングハート!いくよっ!!」

『All right!』

「貫けぇぇぇぇぇっっ!!!」

「っ!・・・・・・」

 なのはの掛け声と共に桜色が勢いを増し均衡が崩れ金色を飲み込みフェイトに迫りそのまま光が飲み込んだ。

(勝った・・・!)

 光がフェイトを飲み込んだのを見てなのは勝利を確信して気を抜いた――抜いてしまった。

 

 

 

『scythe slash』

「な・・・!?」

 

 

 戦闘において勝利を確信したときは致命的な隙になるとも知らずに。

 月を背に表われたフェイトが手にもつ戦斧――いや、いつの間にか形状が変化し今は刃の部分が金色に光る鎌のようになっている――をなのはの首もとに突きつける。

「勝負あり・・・だね」

『put out』

「レイジングハートっ!?」

 フェイトが告げた瞬間、主の許可なくジュエルシードを差し出した自らのデバイスに困惑・・・いや非難の声をなのはは上げる。

「主思いのいい子なんだね・・・。当の主には勿体無いくらい」

「な・・・!?」

「事実でしょ?あなたは弱いくて未熟だ。状況判断が甘い、魔法の制御が甘い、速さが足りない、経験が足りない」

「く・・・う・・・」

 なのは言い返せない。あの見下すような目で言われて言い返せない、だって事実だから。今この体勢が反論を許さない。自分は負けたそれが事実でそれが結果。

「これでわかったはず。貴女じゃジュエルシードをちゃんと集められない。怪我をしないうちに手を退いて。・・・次は止められないかもしれない」

 たしかに、弱くて未熟で甘いかもしれない・・・それでも、集めるって決めたから。護るって・・・決めたから・・・!

 なのはのその目は真っ直ぐとフェイトの目を見返した。

「・・・じゃあね。もう遭わないことを期待してる」

「まっ・・・!」

 静止の声も空しくフェイトは夜の闇に溶けて消えた。

 

 

 

‡  ‡

 

 

 

 なのはは力が抜けたようにゆっくりと地表に下りて行きそのまま橋の上に仰向けに倒れた。街灯が無いせいでよく見える月と星が綺麗で、キレイすぎて何故か嫌だった・・・。

「なのは・・・!」

 そのまま空を見ているとユーノが倒れているなのはを見て慌ててやって来る。

「大丈夫なのは!どこか怪我したの!?」

「怪我はしてないよ・・・。それよりゴメンネユーノ君、・・・私負けちゃった」

「いいよ・・・、なのはが無事ならそれで・・・」

 確かにジュエルシードは奪われた、それでもなのはが無事なら十分だ。自分の所為で巻き込まれた少女が怪我してしまったら悔やんでも悔やみきれない。負けて奪われたとしてもそれはなのはの所為じゃない、戦えない・・・弱い自分が悪いのだ。

 だがなのはにとってはもう既にジュエルシードの問題は自分で関わると決めた問題で、言い方は悪いがある意味ユーノのことなんてもう関係ないのだ。自分の問題で自分の所為。

「・・・ねぇ私あの子に勝てるかな?」

 自分を見下すあの子目が忘れられない。自分よりもうまく飛ぶ姿が瞼に焼きついて離れない。あの子の言葉が胸に突き刺さってジクジク痛む。たしかにあの瞬間、自分はあの目を見返した。次は勝つ、あきらめないし手も止める気はないと。でも時間がたって・・・揺らいでしまう。

 (本当に勝てるのかな・・・。)

「なのは・・・」

 沈黙が下りる。

 ユーノはなのはがあの子に勝つことはできると思っている――だがソレは『今』ではない。なのは才能は素晴らしい、いっそ異常だと言っていいくらいだ。なにも訓練の受けていない子供がジュエルシードを封印し、並みの魔導師と同等の魔法戦ができるくらいになった、それも魔法を知ってまだ一ヶ月も経っていないのにだ。だから時間が有れば勝てるだろうと思っている。だが今、現状では・・・勝てない。

 

 

 

『諦めるんですか?』

 

 

 

「レイジングハート?」

 なのはは驚いたように自分の杖の方を向く。

『私と契約した時の言葉覚えてますか?」

「・・・風は空に、星は天に、そして――不屈の心はこの胸に・・・」

不屈の心(わたし)を持つ人が――諦めるんですか?』

「レイジングハート・・・うん、そうだね。不屈の心はこの胸に。私は諦めない」

 そうと決まったらこんなところで寝てる場合じゃない。立ち上がって、立ち上がって、立ち上がって、立ち上がって――何度でも立ち向かおう、何処までも足掻こう。

 なのははしっかりと自分の足で、自分の力で、自分の想いで――立ち上がった。

『それでこそ私のマスターです』

 今この瞬間、想いを重ねてこの二人は真にパートナーとなった。

「・・・でも実際私よりあの子の方が強いよ?どうするの?」

『そんなのは当たり前です。マスターはまだ魔法に出逢って一ヶ月も経っていませんし、訓練だってしていません。勝てと言う方が無理です』

「うぐ・・・」

『でもそれでも勝てます。マスターが勝利(それ)を望むなら私はデバイスとして叶えます』

「レインジングハート・・・ありがとう」

 どうやら自分の相棒はとても頼りになるようだ。

『まずは訓練です、今まで以上にしなければいけません。寝るとき以外は練習あるのみです』

「・・・・・・」

 頼もし過ぎる相棒である、ちょっと手加減して欲しい。

「でも・・・それぐらいやんなくちゃ勝てないもんね!」

『ええ。それにそれだけやってもこちらは実力で劣るでしょう。なら戦略です実力で勝る相手に勝つなら戦略でうまく戦うしかありません。シュミレートも同時進行します』

「・・・・・・」

 手加減どころかさらにキツくなった。

 (これ大丈夫なのかな?)

 その懸念は的を得ていてぜんぜん大丈夫でない。この日から寝不足になりさらに二日後には親友に土下座するはめになる。

 

 

 

『マスター私は負けることより負けたままでいる方が嫌いです』

「奇遇だねレイジングハート私もだよ・・・!」

 

 

 

「僕さ・・・今回はがんばった筈なんだけどな・・・」

 歩いていく一人一機を後ろから眺める忘れられたフェレットが哀愁漂う声でそう呟いた。

 

 

 ‡  ‡

 

 

 

「フェイト・・・旅館には戻らないのかい?というかなんでそんな落ち込んでるだい?」

 両膝と両手を地面に付きおもいっきりへこんでいるフェイトを見てアルフが言う。

「戻れるわけないよ・・・。だってあの子同じ旅館に泊まってるんだよ?勢いで酷いこと言っちゃったし、今さっき倒したばっかりばっかりなんだよ?もし顔をあわせたらどうしたらいいかわかんないよ・・・」

 気まずい・・・いや、気まずいなんてレベルをもう超えている。本当にどうしたらいいかわからない。

「別に気にすることないと思うけどねぇ・・・。言い過ぎたって言っても全部事実なんだし、フェイトは気にし過ぎだって!もっと言ってもいいくらいだよ!」

「そうかな・・・?」

 いや、やっぱりダメだろうアレは言いすぎだ・・・。謝ることすらできないっていうのがまたつらい・・・謝る気なんてないが。

「しょうがないねぇ・・・じゃあ家に帰るかい?あたしはご飯も食べたし温泉も堪能したしいいよ、・・・まぁ朝風呂に入れないのは残念だけど」

「うん・・・帰ろう」

 それになんとなく彼に会いたい・・・今日はさすがに遅いから明日、いつもの時間に行こう。

 (ちょっと迷惑かな?)

 本当なら明日も行かない予定で彼にもそう言ってある。

 (でも・・・行こう)

 フェイトは立ち上がりマントを翻し夜空に飛翔した。

 いつか同じ空を飛びたいなとそんなこと頭の片隅で思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ていうかアルフ一人だけ温泉なんて入ってたんだね。念話で報告した時?」

「あ・・・いや、それはその・・・・・・」




お待たせしました、特別板第一弾です。同時投稿された第戦話の後書きにも第一弾と書かれています。
ちゃんとした魔法戦を書けてとても楽しかったです、イエーイ。

この話は黄金拍車さんのアンケートを採用しました。ご協力ありがとうございます。
期待どおりかはみなさんが決めてください。

えー、何故今回特別版が二つかというと・・・アンケートで来た感想が三つだけでした、思った以上に少なかったです。5くらいは来ると思ってましたがどうやら甘かったようです。世界はこんなはずじゃないことばかっりだよwww。
それで作者は「こうなったら全部書いてやる!」と無謀な挑戦を開始、結果投稿が遅くなる。
ゴメンナサイ!!!
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